錬金術の講習
ロゼがアパートに戻るとキシがニールとなにやら小声で話している。
「よ。ロゼ!講習は大盛況のようだな」
キシがいつものように笑い掛ける。
「ああ、セドは森で自主練か?」
「ああ、レオンと他の何人かで練習している」
ニールが言う。セドもレオンもまだ取得できていない。西門の近くの森で練習をしているようだ。
「ずいぶんと掛かっているな」
「セドに言うなよ。その言葉!」
ニールが慌てて言う。口に人差し指を当てている。
「細かいコントロールなんてあいつらは一番苦手だろうな」
慌てた様子がおもしろい。
「俺だって最初は魔力切れを起こして立てなかったんだからな!」
「ニールはずいぶんと早かっただろう。取得するの」
「いやまあ、やり方がわかればすぐだったが…慣れるのに時間が掛かるんだよ!」
「医務室送りにされたもんな、ぷぷっ」
キシが笑う。
「おいやめろ!黒歴史だよ!」
ニールは初日、立てなかったのではなく倒れたらしい。
「頑張ったのはいいことじゃないか、っぷ」
ロゼもその光景を思い出してちょっと吹き出す。
「はぁ!おまえが最初から飛ばしたんだろ!10㎝の玉が出来るまで休めるな!とか」
「そうだったか?まぁ舐められないようにするには鬼になるしかなかったんだよ」
「オニってなんだ!まぁ…俺らも最初は舐めていたしな。それは悪かったよ」
ニールが謝ってきた。やっぱり舐めていたのか…。
立ち話をしていると、疲労困憊のセドが戻ってきた。挨拶もそこそこで話もせず、そのまま自身の部屋に戻っていった。
「はぁ、そんな難しいかな?考えすぎてないか」
ロゼはセドを見て言う。
「考え過ぎってどういう事だ?」
最も早く取得したキシが言う。
「単純だろう。大きい物をそのまま小さく念じるだけだろう」
「じゃあセドに助言してあげてくれよ」
優男のニールは言う。
「あ~自分で見つけるのも修行だよな」
ロゼは7階の部屋に戻ろうとする。
「あっおまえ面倒くさいと思ったな」
「じゃまたな」
そそくさとその場を去る、ロゼ。
「ロゼはああいう奴だよな」
キシは呆れている。
うるさいのが静かになってくれてセイセイしているロゼである。
自身の講習以外にも、ロゼは乗馬や錬金術の講習に通っていた。それはとても楽しいもので乗馬なんて前世ではセレブの習い事だったし、錬金術なんてなかった。剣や弓より遥かに自身に向いているようだ。
将来、錬金術師になるにもいいな。
しかし、自身の講習で生徒の数が多くなり錬金術の講習には疲れてしまいなかなか行けずにいた。休んでいるせいもありロゼは冬中盤だと言うのに、まだ低級ポーションがうまく作れずにいる。
ポーションを作る際には、必要な薬草の他に、錬金鍋を自在に操り魔力と魔石、薬草などを配合する微妙な魔力操作がいる。ロゼが教えている撃つ魔法の魔力の使い方とはまた違ってくる。
なかなかうまく行かなかったが、そんなに焦りはなかった。前世の頃から不器用で何一つうまく行ったことなどなかった。それが今世では、精霊から愛され、背も高く紫の瞳をした美人である。もう勝ったも同然だ。などと考えている為、他の生徒にバカにされてもなんとも思わないのであった。
ポーションとは、水薬である。傷口に掛けたり、飲んだりするものである。
この国の錬金術師は所謂、薬師に該当する。錬金術師にも階級があり、低級・中級・高級、その上もある。また、魔石や宝石に属性を付与する行為も錬金術と呼ばれている。
低級ポーションまでは冒険者ギルドで講習を受け資格を取得することが出来きる。中級ポーションは中級までの資格がある錬金術師の弟子になり認めてもらえば、高級が学べる資格を得る。高級は王都にある錬金術アカデミーで学ばなければならない。
ポーションや付与を製作する際にも精霊の火・水・風の属性が必要不可欠になる。錬金術師になり店を構えたいとなったら複数人で店を持つか、属性専門の店にして他の属性と連携するしかないのだ。
ポーションの種類は、赤・青・黄の三種類
赤は火属性、青は水属性、黄は風属性に分けられる。
赤のポーションは傷口に掛けるもの、外からの傷に効く
水のポーションは飲み薬、頭痛・腹痛などに効く
黄のポーションは総合薬で傷口に掛けるものと飲み薬があり、赤切れ、水虫などの皮膚病などに効果がある
などに分類されている
ロゼは一応、水属性なので身体の内側に効くポーションが得意とされているが、全属性が協力体制にあるということは周知の事実だろう。
ちなみに、ロゼが考案した撃つ魔法は『ピストル弾』と命名。そのままである。由来を聞かれたが、「響きで」と会話を終了させた。
ポーションについては、まだまだ時間がある。ゆっくり学んでいこうと思っている。
冬も後半になり、もうすぐ春になる頃、ロゼの周りで少々問題が発生していた。
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