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ギルドからの依頼

「おい!ロゼ!おまえクマを倒したそうだな。すごいじゃないか!」

セドである。

「そんなあからさまにいやそうな顔をするなよ」

イケメンのキシが呆れた顔で言う。


「…どこかに行っていたんだっけ?静かでよかったが…」


「ああ、ユロランまで荷の護衛をな。」

優男ニールが吹き出しそうな顔で教えてくれた。


 護衛といっても結界が張っている街道には魔獣も出ないし、強盗も出ない。そもそも強盗はこの国にはいない。病人が出た場合やなにかのトラブル要員だ。


「ロゼも一緒に行ってもいいんだぞ。護衛の仕事の方が早く稼げるだろう。」

キシが誘ってくる。

「護衛なんて出来ないよ。馬にも乗れないし」

「護衛なんて形だけだぞ。馬だって冬の間、ギルドで習えるし」

ニールが言う。

「馬の乗り方習えるのか。じゃあ次の冬は馬を習おう」

パアと明るくロゼが返事をする。

「ああ、そうしたらいい」

ニールもキシも優しい笑顔で答える。

「来年は一緒に護衛に行けるな」

「いや、行かないし」

「「なぜだ!」」


和気あいあいとキシとニールと3人で楽しく話をしていると、

「いや、俺の話は無視かよ!クマの話を教えてくれ!」

セドがなぜか怒っている。

「たまたま出くわしたんだよ。いい金になった」

「あんまり無茶して森の奥まで行くなよ」

ニールが自身の弟を心配するように言う。

「ああ、わかっている」

「それでな冬の間、錬金術の講習もしているんだよ」

「え?錬金術も。それも習おう」

「どんだけ習うんだよ!」

キシが呆れたように笑う。ニールもロゼも笑う。


セドだけ怒っている。

「いや!クマの話!詳しくおしえろって!」


「別に大した話はないよ」

「たまには昼飯付き合えよ。セドがおごるから」

キシがセドの方を見て笑う。

「そうか、ありがとう。」

ロゼは素直に礼をいい、セドに笑いかける。

「ま、まぁ昼飯ぐらいいいけどな」

なぜか照れる、セド。


たまには、若い輪の中に入るのも悪くない。




 夏が過ぎ、秋が近づいている今日この頃。

ロゼは相変わらず一人で依頼をこなしていた。たまに一緒に依頼をしないかと言われていたが、何日も街から出る仕事などは断っていた。

 いつどこで誰に会うかわからない。そもそも成人しないと街から何日も出る依頼は受けられないという決まりがあるらしい。その時に年齢を確認されるようだ。


 今までは特に年齢確認をされていなかったようで、受付のサムや精算のムカイもロゼの年齢は知らないようだった。


 ギルド職員にも年齢はバレてなかったのか、バレても今まで通りなら問題ないけどなんか面倒だからこのままでいいか。聞かれるまで黙っていよう。


「ロゼ、今日はもうこれで終わりか?ギルド長から話があるらしい。上まで行ってくれるか?」

精算を待っているとムカイから声を掛けられた。


「わかった」

面倒だと思いつつギルド長室に向かう。足取りは重い。

コンコン、扉をノックする。

「ロゼだ」


「入ってくれ」

中に入ると机に向かっているレオンがいた。なにやら書類が貯まっている。


「呼び出して悪かったな。冬の間だが、なにか予定はあるか?頼みたいことがあるんだが」

レオンはロゼに椅子に座るよううながす。


「頼みごと?冬は色々な講習を受けようと思っているが…」

「ああ、講習か。なんの講習か聞いてもいいか?」

「乗馬と錬金術だ」

「んーそうか。講習の間に時間を割いてくれると助かるが」

「内容による」

「水で打つか?前にクマの魔獣を倒した技を講習に組み込みたいんだ」

「ああ、あれか。俺が教えるのか?いくら出す?」

「一人300ベニーだ」

一人3万円だ。

「そんなに出すのか!」


「ああ、来年な森に入って魔獣を間引きせんにゃならん。5年に1回のペースで実地しているのだが毎回若いやつらが死んだり、手足がなくなったりするんだ。それを少しでも食い止めたい。協力してほしい」

と頭を下げられた。


「頭を上げてくれ。金が貰えるならそれでいい。講習の時間割を考えてくれるのであれば、その依頼を受けるよ」

「おお、助かった。おまえも来年間引きに参加してくるだろう?報酬もいいぞぉ」

「えっやだよ。怖いし…」

「はぁ?怖いってなんだ。あんなデカいクマの魔獣を倒しといて」

「だからたまたまだよ。あれ以来、森の奥には行ってない。そもそも団体行動が苦手だ。あれやこれや指示を受けるのも好きじゃない」


「そ、そうか。派手に魔獣を狩れて稼げるからいいと思うが…」

 レオンは唖然としてしまう。トゲのある若造と思っていたがどうやらムカイの言う通り口下手なだけかもしれん。話してみると子供っぽいなと思い直した。

「じゃあ、日程は調整をしておく。冬の間よろしく頼む」

「ああ」


ロゼはギルド長室を後にした。



「ムカイ、小僧は帰ったのか」

「ああ、帰ったが、話終わったんだろう?なにかあったのか?」

休憩中のムカイにレオンが話掛けてきた。


「話は終わったがね…。あの小僧はよくわからん。どういう奴だ。来年の間引きには参加しないと言われた。その理由が怖いだと。なんだそれは。俺の眼光にもビクリともしなかった奴が理解出来ん」

「眼光って…ビビらなったから生意気だと思ったのか?」

呆れるムカイ。


「いや!普通ビビるだろ!16・7歳の若造がこの俺に睨まれてるんだぞ!なんて可愛げがないんだ!」


「いや、知らん。そんなことより間引きはロゼに期待していたんだが…。あれ以来大物の素材も持って来なくなったしな。まぁ無茶をしていないのならそれでいいのだが。そういえば、日数が掛かるような依頼は断っている話を聞いたな。なにか理由があるのか…」

「よしムカイ、さぐれ!」

「えっやだよ」

「なぜだ!」

「なんで俺がそんなことしないといけない?そもそも間引きは自由参加だ。講習は引き受けてくれているのであれば、なんの問題ない。間引きに参加してほしくばいい条件を提示するしかない。怖いというかていよく断れただけだろう」


「ぐっそうか…」


 ムカイに言われて、あの小僧に軽くあしらわれていたことにようやく理解したのだった。レオンはムカイにも軽くあしらわれていることは気が付いていない。


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