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魔法

 あれは何だったんだろうか?


 身体が熱くなり素手で魔獣を倒した。実際は素手ではないが。

今までの魔獣の倒し方だと、精霊たちが好き勝手に倒していた。

風たちだと、風で吹き飛ばしたり、ひのちゃんだと丸焼き、水のさんだと水攻めか水圧で首を一振りで絶命させてきたが、今回はちょっと違う。


 魔獣の魔力が大きく強すぎて精霊1体の力では抑えられなかった。

もちろん精霊はたくさんいるのだから協力していれば出来たかもしれないが、そもそも命令しないと精霊は力を出さない。勝手にやっているロゼの精霊が異例なのだ。


 ロゼはいつもの水圧で魔獣の首を一振りで倒せないかと思ったのだが、一番強い精霊の力でも跳ね返ったようで水のさんはアワアワしていた。

なので水圧で鉄砲のような一瞬で貫通するような感じで魔獣を倒せないかとその場で考えた。

 考えたのだが精霊に伝わるわけがなかった。言うなれば水鉄砲だが、その名前事態はおもちゃのようで可愛らしいが、水の威力は固い鉄をも貫通するのだ。クマの頭ぐらい狙えばやれるだろうと簡単に思っていて思っていただけだった。


 あの時クマを倒した時、精霊と自分が合体しているみたいだった。私が精霊の力を使い水鉄砲を発砲させたようだった。


 もう一度やってみよう。


 手をピストル型にして構える。集中をしてピストルを撃つイメージをする。

先ほどのように指先から水がうごめき合う。シュッと音とともに木に命中する。木は貫通して向こう側が見える。


 また手をピストル型にして構える。今度は火が発射されて木が燃えた。慌てて大きな消防車のホースをイメージして木に水を掛けた。


ロゼは息が荒くなり茫然ぼうぜんした。


 精霊に命令をしていないのに水や火が出せた。私がしたことだ。あれ?これって普通のことなんだろうか?今までは精霊にお願いをしていた。お願いを聞いて精霊が実行していたことでは?あれ?私の考え方が違っていたのかな?


精霊たちを見る。なに?という顔をしている。


「これって普通のこと?」

『これって?』

「私がイメージしたことが現実になったこと」

『…それが魔法でしょ?』

「え?これって魔法なの?!」

『魔法じゃないならなんなの?』

「えっと…精霊にお願いしたこと…?」

『だからぁそれが魔法でしょ!?』


よく分からない…。


「そ、それって魔法ぉ?!私って魔法を使っていたの!?じゃあお願いしなくてもイメージをしていたらできたって事?!」


『そうだね…』

精霊たちは今頃この人はなにを言っているのかと微妙な顔をしている。


 ラノベはたくさん読んでいて魔法はイメージするものと知っていたけどいざ自分の立場になるとまるで頭になかった。精霊にお願いをして生活水準を上げているだけだと思っていた。やっぱり50代は頭が固いのかしら。


『まぁ、ロゼは私たち精霊が見えているわけだからお願いするって思っちゃたんじゃないの?普通の人間は私たちの事見えないからお願いとかしてこないし』

『そーそー』うんうんと精霊たちが頷いている。


「え?普通の人は精霊が見えてないの?」

『あれ?その話していなかった?』

精霊たちは一斉に傾いている。かわいい。


「いや、どうだったかな?したかな?私以外、人型に見えないんだっけ?」

精霊チートだよね。

『人型というか、なにも見えていないと思うよ』

「え?光も見えてないの?」

『うん』うんうんとまた精霊たちが頷いている。


「じゃあ話せるだけ?」

『…最近ではロゼ以外の人と話したことないよ…』

「え?!話せない!じゃあ意思疎通ってどうやってするの!」

『だから、イメージでしょ!』

「えーー!イメージ?それもイメージ!なんか根本的にちがーう!!みんな最初から頭でイメージして魔法を使っていたんだ。精霊=魔法っていう考え?私の考え違いなのか…」

ガックリと項垂れる。


『し、仕方ないかもね。まっ今、分かったんならいいじゃない』

落ち込んでいるロゼに精霊たちがどうにか慰めようとしている。

「それもそうね。でも初めて魔法使った感じした。そうかこれが魔法かぁ」

あっという間に立ち直るロゼ。


 そう言えば、ルーイが初めて魔法使ったときに興奮していたな。あれはこういう事だったのだ。確かに精霊が見えなくて魔法を使ったんだとすれば興奮する。今の私も興奮している。


 クマの魔獣を解体して時ちゃんに収めてもらおうとした時、はっとして【収納する】と頭でイメージしてみた。解体したクマの魔獣は一瞬にして消えた。


 クマの魔獣を自分の水魔法で倒したこともあってこれは売ってもいいだろうと思い、人が少ないであろう時間帯で精算してもらうことにした。


 冒険者ギルドに着き、袋から肉と毛皮、牙や爪、魔石などを出していくとギルドの職員たちが集まってきた。


「これはクマの魔獣だろう。しかも大きい。どこら辺にいた?街の近くか?こんなのが出てきたのならまだ何匹かいるかもしれない。討伐隊を立てるか!」


 真っ赤な髪をなびかせてガタイのいい強面の元気なおじさんが顎鬚あごひげさわりながら言う。


「そうだな。早い内がいいかもだな。ロゼどの辺にいたか詳しく教えてくれ」

いつも精算してくれているムカイが言う。


 困った。場所なんて覚えてない。感知能力で察知してフラフラと向かっただけだ。


「よく覚えていない。ただ1時間くらいは森の中を歩いていたと思う。薬草を探していたから」


「え?そんな森の中に入ったのか。いくらなんでも一人で危ないだろう」

ムカイは顔をしかめる。

「街の近くじゃないのか、なら見回りぐらいで討伐隊は見送るか…」

ガタイのいい強面のおじさんが言う。


「ロゼだったか。俺はギルド長のレオンだ。あんまり無茶をするなよ。最近いい薬草を持ってきてくれると、錬金術師たちも喜んでいたが。しかし、これをどうやって倒した。ずいぶんきれいに倒しているな」

眼光鋭い目つきでロゼを見る。


 おっギルド長のおでましか。よくラノベにも登場するな。主人公に味方になってくれるがこいつはどうかな?それにしてもイカツイ顔だ。


「水で…」

多くは語らない戦法だ。勝手に理解してくれたらいいし、聞きたければ聞いてくるだろう。


「水?属性か?水でこんなにキレイに倒せるのか?わからん。…教える気がないってことか?」

黙っていたら非協力的だと思われたようだ。


 聞いてくれれば説明するのに…。でも聞いてこないな。


「分かった。いいだろう。若さってことだな。まぁいい」

そのままどこかに行ってしまった。


 50代ですから、若いからではなく性格ですかね。


「なにか言えない事情があるのか?」

精算係のムカイが聞いてきた。ムカイも倒した方法を知りたいらしい。


「事情?特にないが…」

「じゃあなぜ教えない?」

「聞かれていないだろう」

「聞いただろう!どうやって倒したか!」

「だから言ったろ?水だと。」

「水でどうやって倒したんだと聞いているんだ!」

「それは聞かれてない。」

「はぁ?」

「そこまで聞かれてなかっただろう?」

「…じゃあ水でどうやって倒したんだ?」

「魔獣の頭に水で一撃、撃ったんだ。」

ピストル型をした指をこめかみに付け撃つしぐさをする。ちょっとかっこつけた。

「打った?そんなので倒せるわけはないだろう!」


あっ全然通じてない…これ以上は不毛だ。

「…そんなことより早く精算してくれないか?」

「え?あぁ…ちょっと待ってろ」

ムカイは慌てて精算に取り掛かる。


 あぁまずった。精算なんかするんじゃなかった。初めて自分の魔法で倒したから気分がよかったのだろうな、私は。自慢したかったのだろうな、私は。注目を浴びたかったのだろうな、私は。


 どうやらずいぶんと浮かれていたようだ。失敗、失敗。しかもなんかたまたまいた、ギルド長に目を付けられてしまったようだ。今まで感じのよかったムカイにも不快な思いをさせたな。まぁ仕方ない。今後大人しく薬草で生計を立てよう。


と思っていたら、クマの精算は全部で金貨5枚にもなった。

「わっ!こんなにもなるのか!?」

珍しく子供のように喜ぶロゼ姿を見てムカイは、

「当たり前だろ。こんなに大きい魔獣だ。キレイに倒しているし。だからお前の倒し方を知りたいんだよ」

「なるほど。でも別に秘密でもなんでもないよ。知りたければおしえるよ。言葉ではムリだけど。でもそん時は有料な。ふふ」


「あぁ。言葉では難しいって事ね。そういう事か。わかったよ。」

ムカイは喜んで帰るロゼの後姿を見送った。


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よろしくお願いします(^◇^)

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