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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第95話 閑話:英断の渡りと、集いし希望の原石たち

第95話 閑話:英断の渡りと、集いし希望の原石たち

 辺境の街アシュタルの東、小高い丘に広がる特級クラン『絆紋亭』の拠点であり、今や『絆紋公国』の中心地となったこの場所は、今日もまた、世界中のどの場所よりも優しく、そして奇跡のような調和に満ちた朝を迎えていた。

 庭の中央にそびえ立つ精霊樹は、深淵の邪神を浄化した光をたっぷりと吸収し、もはや一つの森と見紛うほどの巨大な神樹へと成長を遂げている。その豊かに茂ったエメラルドグリーンの枝葉が朝の心地よい風に揺れるたび、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋が広がり、拠点全体を極上の癒やしのオーラで包み込んでいた。

「ウォンッ!」

「キュイッ!」

「きゅるるーっ!」

 澄み切った青空の下、縁側で朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいる俺の足元へ、一番最初に俺の固有スキルである『絆紋』を受け入れ、共に歩み始めた最古参の相棒たち――銀色のウルフ『フェル』と、純白のポーションラビット『ピコ』、そして空色小竜の『ソラ』が競い合うように飛び込んできた。

 それに続くように、水豹のリン、幻宝石獣のキラ、白銀の幼熊ブラン、空間転移を操る銀狐のギン、鋼棘の鎧獣マル、疾風の隼ゲイル、影猫のシャロ、水妖の獺ミロ、風精のリスであるルル、土精の土竜ドロ、星翼の梟ステラ、幻影の蝶ファル、雲羊のモフ、木精の栗鼠コノも一斉に集まってくる。

 フェルは艶やかな銀色の毛並みを俺の手にすり寄せ、ピコは長い耳をパタパタさせながら俺の膝に飛び乗り、ソラは俺の肩にふわりと着地して頬をすりすりと擦りつけてくる。ギンはポンッと空間転移をして俺の頭の上に乗っかり、ルルは俺の腕に登ってきて得意げに尻尾を揺らし、コノは小さな木の実を俺の手に押し付けてきた。

「おはよう、みんな。今日も元気いっぱいだな」

 俺が彼らの頭を順番に優しく撫でると、魔物たちは心底嬉しそうに目を細めて尻尾を振った。

 庭を見渡せば、漆黒の竜ノヴァが竜使いのルカに鱗を磨いてもらいながら気持ちよさそうに目を閉じ、紅蓮の火蜥蜴ガエンや鋼角の犀ザイン、岩砕の巨獣ダグといった大型の魔物たちが木陰でうたた寝をしている。黄金の甲殻を得て進化した砂塵の魔蠍ゼットは、太陽の精霊鳥ソルをハサミの上に乗せて日向ぼっこを楽しんでいた。

「レイン様、朝食の準備が整いましたよ!」

 厨房から、見習い魔導士のエリスが元気な声を上げた。

 ダイニングルームには、元宮廷料理人のセシルが腕を振るった極上の朝食が並べられている。今朝のメニューは、特製の魔力小麦で作った『焼きたてのハーブチキンと卵のホットサンド』に、農学者セリーヌが育てた新鮮なキノコをふんだんに使った『濃厚マッシュルームスープ』、そして砂漠の巫女ナディアが持参したスパイスで味付けされた『彩り野菜のグリル』だ。

「ガハハ! 今日も飯が美味い! しかし、アシュタルの街も開拓村も、毎日すんごい勢いで人が増えてるねぇ。訓練する新兵の数も右肩上がりで、アタシの斧も休む暇がないよ!」

 女戦士のアイラが、ホットサンドを豪快に頬張りながら大笑いする。

「ええ。クロードやアリスたちの上位陣が各地で結果を出しているおかげで、彼らに憧れてアシュタル軍や冒険者ギルドの門を叩く若者が後を絶たないわね」

 少女魔導士のルウも、うっとりとした表情でスープを口に運びながら言う。

「実力で示し、秩序をもたらす。これこそが真の平和への道です。しかし、気を抜くことは許されません。我々は常に最強の矛であり、盾であり続けねばならないのですから」

 剣聖シルヴィアも静かに頷き、満足げに紅茶をすすった。

訓練場での新たなる原石と、風の鎌

 朝食後、俺たちは郊外の特設訓練場へと足を運んだ。

 そこでは、数ヶ月にわたる【全軍強化計画】によって見違えるほどの精鋭部隊へと成長した辺境伯軍の騎士たちと、バルカンが選抜した冒険者たちが汗を流している。

 今日もまた、厳しいシゴキの中で新たな才能が芽吹き始めていた。

「そこです! 敵の魔力の流れが右に偏っています。右側からの奇襲に備えて!」

 訓練場の隅で、目隠しをしたまま的確な指示を飛ばしている小柄な少女がいた。彼女の名前は『ニーナ』。元々はスリや盗賊が横行する貧民街の孤児だったが、シオンの隠密部隊に保護され、ギルドの訓練生として参加していた。

「すごいわね、ニーナ。完全に視界を塞いでいるのに、魔物の動きどころか、魔力の微細な揺らぎまで完璧に捉えているわ」

 ルウが感心したように声をかける。

 ニーナの持つ特殊技能『魔力反響マナ・ソナー』。それは、自身の微弱な魔力を音波のように周囲に放ち、跳ね返ってくる魔力の波長で地形や敵の位置、罠の有無、さらには敵の感情の揺れまでを精密な立体図として脳内に描き出すという、索敵において規格外の能力だった。

「シオンが目をかけるだけはあるな。彼女がいれば、どんな複雑な変異ダンジョンでも迷うことなく最短ルートでコアに到達できる。素晴らしい後方支援の要になるぞ」

 俺が褒めると、ニーナは目隠しを外して照れくさそうに笑った。

 そんな訓練の最中、森の奥から鋭い風切り音が響き、一匹の小さな魔物が訓練場へと転がり込んできた。

「キュギャッ……!」

 それは、鋭い鎌のような爪を持ち、風を纏って空を駆けるイタチの魔物――『鎌鼬カマイタチ』だった。どうやら、森の中で変異魔物との縄張り争いに敗れ、深い傷を負って逃げてきたらしい。

「魔物だ! 訓練生、構えろ!」

 騎士の一人が剣を抜こうとするが、俺はそれを手で制した。

「待ってくれ。敵意はない。ただ助けを求めているだけだ」

 俺は傷ついた鎌鼬の元へ静かに歩み寄り、右手の甲の『絆紋』の光を灯した。

 翠色の温かな波紋が、鎌鼬の小さな体を包み込む。『万物の調和と極限浄化』の力が、裂けた皮膚を瞬時に縫い合わせ、体力を回復させていく。

「キュゥ……?」

(痛みが……消えた? 人間が、俺を助けてくれたのか?)

 鎌鼬から、驚きと安堵の入り混じった思念が伝わってくる。

「もう大丈夫だ。俺はレイン。お前、すごく速い風を纏えるんだな」

 俺が微笑みながらその滑らかな毛並みを撫でると、鎌鼬は嬉しそうに俺の腕を駆け上り、肩の上で得意げに胸を張った。

「キュイッ♪」

「よし、今日からお前の名前は『タマ』だ。よろしくな、タマ」

「キュイキュイッ♪」

 フェルやピコたちも駆け寄り、タマの匂いを嗅いで新しい家族として迎え入れる。タマは風を操り、ルルやモフたちと追いかけっこを始めた。

 新たな原石ニーナの覚醒と、新しい家族タマの加入。アシュタルの力は、今日も確実に底上げされていた。

豪快なる英断と、民を導く王

 訓練の視察を終え、俺たちが領主の館の執務室へ戻ると、アルベルト国王、首席文官エレナ、開拓村総代官ウィリアム、そして特級密偵シオンが、緊迫した表情で巨大な地図を囲んでいた。

「レイン様、お待ちしておりました。緊急の報告があります」

 エレナが眼鏡を押し上げ、分厚い報告書を差し出した。

「数日前、アシュタルの忠告を無視して不法な領土拡大を行っていた『ザウエル帝国』が、自国に発生した変異ダンジョンのスタンピードによって完全に滅亡したことはお伝えした通りです。しかし、そのザウエル帝国の南に隣接する小国『オークヘイヴン王国』と、国境付近を治める辺境伯『ダリウス伯爵』の領地から、信じられない報告が入りました」

「信じられない報告?」

 シオンが地図の一点を指差した。

「オークヘイヴン王国の国王ボルグと、ダリウス伯爵は、アシュタルが発した『武力による平和の強制』と『変異ダンジョンの脅威』の警告を、極めて重く受け止めていました。彼らは自国の戦力では、いずれ必ず押し寄せるスタンピードを防ぎきれないと冷静に判断したのです。そして……」

 シオンは信じられないといった様子で息を吐いた。

「国王ボルグは、国を捨てる決断を下しました。ダリウス伯爵と結託し、自国の全ての領民、全財産、家畜、さらにはザウエル帝国から逃げ延びてきた難民をも全て収容し、総勢五万人を超える超大規模な『移動国家』として、アシュタル辺境国を目指して大移動を開始したのです」

「ご、五万人!? 国ごと引っ越してくるってことか!?」

 俺は思わず大声を上げた。

「ガハハハ! 国を捨てて民を生かすか! こいつはとんでもねぇ豪快な王様がいたもんだ!」

 アイラが腹を抱えて大笑いする。

「しかし、事態は一刻を争います」

 アルベルト国王が険しい顔で地図を睨む。

「五万人の移動となれば、その足は極めて遅い。そして、彼らの背後には、ザウエル帝国を食い尽くし、さらに規模を拡大させた変異魔物の超巨大スタンピードが迫っています。我々の国境警備隊からの報告によれば、このままでは彼らがアシュタルの防衛圏内に入る前に、魔物の大群に追いつかれ、全滅する危険性が高いと」

「……なるほど。意地やプライドを捨てて、民の命を最優先に考えた王様と貴族か。アシュタルの忠告を真っ向から信じてくれた恩義もある」

 俺は剣の柄を固く握りしめた。

「見捨てる理由はないですね。俺たちで迎えに行きましょう。クロードたち『魔境鎮圧部隊』の精鋭も同行させます。最高の実地訓練になりますよ」

「頼む、レイン殿。彼らのような清廉な者たちこそ、我がアシュタルと絆紋公国が保護すべき民だ。全軍を挙げて彼らを迎え入れよ!」

「はっ!」

絶望の追撃と、希望の盾

 アシュタルから遥か東、荒涼とした平原。

 そこには、地平線を埋め尽くすほどの巨大な人の波があった。

 オークヘイヴン王国の国王ボルグは、筋骨隆々の巨体に傷だらけの鎧を纏い、自ら大剣を振るって最後尾で民を守っていた。彼の隣には、ザウエル帝国の元辺境伯であるダリウスが、血に染まった槍を握りしめて並び立っている。

「陛下! 後方から変異サイクロプスとオークの群れが! もう防衛線が持ちません!」

「くそぉぉっ! アシュタルの国境まではまだ距離があるというのに! ここで民を死なせるわけにはいかんのだ!」

 ボルグ王が血を吐くような声で叫ぶ。

 彼らは、ザウエル帝国の傲慢な皇帝がアシュタルの警告を無視した時、自国に迫る破滅を確信した。だからこそ、王冠も城も捨てて、泥にまみれてでも民を生かす道を選んだ。ザウエル帝国から見捨てられた難民たちすらも、見捨てることはできなかった。

「ダリウス! 貴殿は民を連れて先に行け! ここは私が食い止める!」

「馬鹿なことを仰るな、ボルグ王! 私も最後まで戦います。我々の決断が間違っていなかったと、この命を賭して証明してみせる!」

 ダリウス伯爵も悲壮な覚悟で叫ぶ。

 地鳴りを立てて迫る、数万の変異魔物のスタンピード。

 赤黒い瘴気を放つ魔物たちの先頭には、体長十メートルを超える『超変異ベヒモス』が、全てを粉砕すべく突進してきていた。

「これまでか……っ!」

 ボルグ王が絶望に目を閉じた、その瞬間。

 ――ズドォォォォォンッ!!!

 天から隕石が降り注いだかのような凄まじい轟音が響き、ボルグ王たちの目の前の大地が大きく爆ぜた。

 巻き上がる土煙の中、変異ベヒモスの突進を真正面から受け止めている巨大な影があった。

「俺の盾は、次元の壁より硬いぜ。……よくここまで持ち堪えたな、アンタら」

 分厚いタワーシールドを構え、ニヤリと笑う巨漢の重騎士、ガレス。

「アシュタル辺境国、第一魔境鎮圧部隊、到着しました。ここから先は、我々が引き受けます」

 長槍を構えたクロードが、ボルグ王たちを背に庇うように立ち塞がる。

「な、なんだ君たちは!? たった数名で、この大群を止めるつもりか!?」

 ボルグ王が驚愕する中、空から美しい声が響いた。

「数名ではありませんわ。我が公国の全てが、貴方たちを歓迎いたします」

 上空の巨大な漆黒の竜ノヴァの背から、ルウが炎の杖を掲げる。

「全軍、突撃!! 民を守り抜いた誇り高き王と貴族に、我らが武の極致を見せつけろ!!」

 俺の号令と共に、アシュタルが誇る精鋭部隊が、スタンピードの側面から雪崩れ込んだ。

「行きます!『マルチ・アイス・シールド・極』!」

 アリスが展開する巨大な氷の防壁が、魔物たちの進行ルートを完全に遮断する。

「『起爆!!』」

 リアムが張り巡らせた魔糸と起爆札が、敵の足元で連鎖爆発を起こす。

「『貫きの風矢・群雨』!!」

 ザックの放つ無数の矢が、空を覆う魔物たちを正確に撃ち落とす。

「『双刃乱舞』!」「『魔刃斬』!」「『蛇縛裂斬』!」

 エララ、ディルク、クロエたち遊撃部隊が、陣形を崩された魔物たちの急所を次々と切り裂いていく。

「ミリィィィッ! 全員に『聖なる大いなる鼓舞・神域』!!」

 ミリーの極大バフがアシュタル軍全体を包み込み、彼らの戦闘力は限界を遥かに超えて跳ね上がった。

「ば、馬鹿な……。なんだあの強さは……! たった数百の兵で、数万のスタンピードを一方的に蹂躙しているだと!?」

 ダリウス伯爵が、震える声で呟く。

「これが、アシュタル辺境国……絆紋公国の力……! 我々の判断は、間違っていなかった……!!」

 ボルグ王は、安堵と感動のあまり、その場に泣き崩れた。

 さらに、俺たち『絆紋亭』の教官陣と魔物たちも容赦はしない。

「ガハハ! デカブツはアタシがもらうよ!『旋風大車輪・極』!!」

 アイラの戦斧が超変異ベヒモスの脚を根こそぎ粉砕し、シルヴィアの神速の剣閃がその首を撥ね飛ばす。

「ウォォォンッ!!」「キュイッ!!」

 フェルとピコが雷光と浄化の光となって戦場を駆け抜け、ソラ、ノヴァ、ガエン、ゲイルたちのブレスが、後続の魔物の群れを跡形もなく焼き尽くした。

 戦闘開始からわずか一時間。

 数万のスタンピードは完全に鎮圧され、大地には浄化の光の粒子だけが舞っていた。

歓迎の宴と、深淵の培養槽の異変

 無事に救出されたオークヘイヴン王国の五万の民と、ザウエル帝国の難民たちは、アシュタル辺境国と絆紋公国の開拓地へと温かく迎え入れられた。

 その夜、領主の館では、ボルグ王とダリウス伯爵を歓迎する盛大な宴が開かれていた。

「アルベルト国王陛下、レイン公王殿下。我々のような国を捨てた敗残の民を、これほど温かく迎え入れてくださり、なんとお礼を申し上げればよいか……」

 ボルグ王が、涙ながらに深く頭を下げる。

「頭を上げてください、ボルグ殿。国を捨てることは敗北ではない。民の命を最優先に考え、自ら泥にまみれて戦い抜いた貴方たちこそ、真の王であり貴族だ。我々は、貴方たちのような清き心を持つ者たちを心から歓迎する」

 アルベルト辺境伯が、温かい笑顔で彼らの肩を叩く。

「ボルグ殿、ダリウス殿。東の開拓地には、まだまだ未開の土地がたくさんあります。貴方たちの統治経験を活かし、新たな街の領主として、共にこの国を豊かにしていきましょう」

 俺がワイングラスを掲げると、二人は感極まって杯を飲み干した。

「ははっ! この命に代えても、アシュタルと絆紋公国のために尽くさせていただきます!」

 訓練生たちも、自分たちの力で数万の民を救ったという事実が大きな自信となり、互いの健闘を称え合いながら宴を楽しんでいた。

 フェルやピコ、そして新入りのタマたち魔物組も、セシルが用意した特製の肉料理を頬張り、難民の子供たちと楽しげに遊んでいる。

 己の力を過信し、忠告を無視して滅んだ愚者たちとは対照的に、自らの判断で民を思い、見栄を捨てて助けを求めた者たちは、こうして絶対的な平穏と新たな未来を手に入れたのだった。

   * * *

 一方その頃。

 世界が新たな平和と希望に包まれているその裏側で。

 大陸の最北端、忘れ去られた常闇の地の地下深く、第百層を超える深淵の『培養槽』では、取り返しのつかない異変が起きていた。

『ゴボッ……ゴボボボボッ……』

 瘴気の沼の中央に鎮座していた、巨大な漆黒の繭。

 その表面に走っていた亀裂が、限界に達した。

 ――パァァァンッ!!

 漆黒の繭が内側から弾け飛び、凄まじい衝撃波が地下空間を揺るがす。

 飛び散った粘液の中から姿を現したのは、魔王ゼアノスが求めた『虚無』すらも喰らい尽くした、純粋なる破壊と吸収の権化。

 人型でありながら、全身が光を吸い込む絶対的な漆黒に覆われ、背中には空間を歪めるほどのおぞましい六枚の黒翼を生やした『究極の突然変異体』。

『…………腹ガ……減ッタ……』

 音にならない思念が、もはや物理的な震動となって空間をひび割れさせる。

 その怪物は、ゆっくりと上を見上げた。

 彼が求めるのは、この世界に満ちる全ての魔力、全ての生命。

 特に、遥か南の地から感じる、極上の『調和と浄化』の光――レインの持つ『絆紋』の魔力は、怪物にとって最高の獲物の匂いを放っていた。

 世界を食い破る絶望が、ついに深淵の底から這い上がり始めた。

 だが、今のレインたちがその足音を知る由もない。

 彼らは今日も、アシュタルの温かい食卓を囲み、家族となった魔物たちと笑い合い、明日への希望を語り合っているのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 【安全第一】死に戻り商人の異世界スローライフ~万能魔法と『リトライ』を駆使して完璧な物流網とインフラを整備し、のんびり隠居を目指します~

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