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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第83話 騎士たちの覚醒と、疾風の隼

第83話 騎士たちの覚醒と、疾風の隼

 辺境の街アシュタルの東、小高い丘に広がる特級クラン『絆紋亭』の拠点は、今日もまた、世界中のどの場所よりも優しく、そして奇跡のような調和に満ちた朝を迎えていた。

 庭の中央にそびえ立つ精霊樹は、深淵の邪神を浄化した光をたっぷりと吸収し、もはや一つの森と見紛うほどの巨大な神樹へと成長を遂げている。その豊かに茂ったエメラルドグリーンの枝葉が朝の心地よい風に揺れるたび、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋が広がり、拠点全体を極上の癒やしのオーラで包み込んでいた。

「ウォンッ!」

「キュイッ!」

「きゅるるーっ!」

「ルルゥッ♪」

「キュゥッ♪」

「キュゥッ、キュゥッ!」

「キュンッ♪」

「キュルッ♪」

 澄み切った青空の下、縁側で朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいる俺の足元へ、競い合うように八匹の魔物が飛び込んできた。

 俺が王都を追放され、この名もなき辺境の森にたどり着いたその日、一番最初に俺の固有スキル『絆紋』を受け入れ、共に歩み始めた最古参の相棒たちである銀色のウルフ『フェル』と、純白のポーションラビット『ピコ』。そして空色小竜の『ソラ』に、水豹の『リン』、幻宝石獣の『キラ』、白銀の幼熊『ブラン』、空間転移を操る銀狐の『ギン』、そして先日ダンジョンで救出した鋼棘の鎧獣『マル』だ。

 フェルは艶やかな銀色の毛並みを俺の手にすり寄せ、ピコは長い耳をパタパタさせながら俺の膝に飛び乗り、ソラは俺の肩にふわりと着地して頬をすりすりと擦りつけてくる。リンやキラ、ブランたちもそれぞれの定位置を取り合い、ギンはポンッと空間転移をして俺の頭の上に乗っかり、マルは足元でコロコロと丸まって甘えていた。

「おはよう、みんな。今日も朝から元気いっぱいだな」

 俺が彼らの頭を順番に優しく撫でると、魔物たちは心底嬉しそうに目を細めて尻尾を振った。

 庭を見渡せば、漆黒の竜ノヴァが竜使いのルカに鱗を磨いてもらいながら気持ちよさそうに目を閉じ、紅蓮の火蜥蜴ガエンや鋼角の犀ザイン、岩砕の巨獣ダグといった大型の魔物たちが木陰でうたた寝をしている。黄金の甲殻を得て進化した砂塵の魔蠍ゼットは、太陽の精霊鳥ソルをハサミの上に乗せて日向ぼっこを楽しんでいた。

「レイン様、朝食の準備が整いましたよ!」

 厨房から、見習い魔導士のエリスが元気な声を上げた。

 ダイニングルームには、元宮廷料理人のセシルが腕を振るった極上の朝食が並べられている。今朝のメニューは、特製の魔力小麦で作った『焼きたてのチーズブレッド』に、農学者セリーヌが育てた新鮮な根菜をふんだんに使った『ゴロゴロ野菜のポトフ』、そして砂漠の巫女ナディアが持参したスパイスで味付けされた『ハーブローストポークの厚切りステーキ』だ。

「ガハハ! 今日も飯が美味い! 隣国のスタンピードを自分たちだけで止めたことで、あいつら随分と自信をつけやがったからな。今日の訓練はさらに一段ギアを上げてしごいてやるよ!」

 女戦士のアイラが、チーズブレッドを豪快に頬張りながら凶悪な笑みを浮かべる。

「ええ。冒険者の子たちは見込みがあるけれど、辺境伯軍の騎士たちはまだ動きが固いわ。私の炎で、もっとステップを軽やかにしてあげなくちゃね」

 少女魔導士のルウも、うっとりとした表情でスープを口に運びながら物騒なことを言う。

「実戦を経て、彼らの目つきは確かに変わりました。しかし、慢心は死を招きます。我々が真の絶望と希望の両方を教え込まねばなりません」

 剣聖シルヴィアも静かに闘志を燃やしていた。

 先日、隣国エルディア公国で発生したスタンピードを、俺たち教官陣の手を借りずに訓練生たちだけで鎮圧したことは、彼らにとって凄まじい自信と経験をもたらした。

 だが、俺たちが目指すのは『世界規模で発生し続ける変異ダンジョンを鎮圧できる最強の軍団』の育成だ。現状で満足させるわけにはいかなかった。

   * * *

 朝食を終えた俺たちは、アシュタル郊外に設けられた広大な特設訓練場へと向かった。

 そこには、辺境伯軍の騎士団長レオンに率いられた数百名の騎士たちと、バルカンが選抜した中堅冒険者たちが、すでに熱気に満ちた表情で整列していた。先日の実戦で覚醒した槍使いのクロード、魔法盾使いのアリス、狙撃手のザック、支援術師のミリーの四人は、皆の模範として最前列に立っている。

「全員、よく集まってくれた! 先日の実戦演習での働きは見事だった。だが、あれはあくまで始まりに過ぎない。今日も限界を超えてもらうぞ!」

 俺が声をかけると、訓練生たちは一斉に「ははっ!」と地鳴りのような返事をした。

 訓練が開始されると、アイラやルウ、シルヴィアたちによる容赦のないシゴキが始まった。

 俺はフェルやピコたちと共に訓練全体を監視しながら、個々の動きを分析していた。冒険者たちの中からはアリスやザックのような逸材がすでに見つかっているが、辺境伯軍の『騎士』たちの中にも、まだ見出されていない原石が眠っているはずだった。

「そこっ! 動きが遅い! そんな重い鎧を着てノロノロ動いてたら、魔物の的になるだけだよ!」

 アイラが木製の戦斧を振り回し、一人の大柄な騎士を吹き飛ばした。

 その騎士――ガレスは、身の丈二メートル近い巨体に分厚い重鎧を着込み、巨大なタワーシールドを構えていたが、あまりの重装備ゆえに回避行動が全く取れず、アイラの連撃をただサンドバッグのように受け続けていた。

「ぐはっ……! も、申し訳ありません、アイラ教官……!」

 ガレスは息も絶え絶えに立ち上がるが、その足取りは重い。

 俺は、ガレスの動きをじっと観察していた。

「……アイラ、少し待ってくれ」

 俺が声をかけると、アイラは戦斧を下ろした。俺はガレスの元へ歩み寄り、声をかけた。

「ガレス、と言ったな。君はなぜ、攻撃を避けようとするんだ?」

「えっ……? そ、それは、教官たちが『敵の攻撃は避けろ』と……」

「それは身軽な前衛の話だ。君のその巨体と重装甲、そしてその分厚い盾。君の才能は『躱す』ことじゃない」

 俺は重騎士のセリアを呼んだ。

「セリア、彼に『壁』の真髄を教えてやってくれないか」

「はい、レイン様。……ガレス殿、構えなさい」

 セリアが大盾を構えて前に出る。

「騎士の誇りとは、味方を背後で守り抜くこと。回避など不要。その足に根を張り、全ての理不尽を真正面から受け止める『岩』におなりなさい」

 セリアの言葉に、ガレスの目がハッと見開かれた。

「避けない……全てを、受け止める……!」

 俺はガレスの重鎧に手を当て、右手の甲の『絆紋』 の光を流し込んだ。鎧の重量バランスが極限まで最適化され、彼の筋力と完全に同調する。

「さあ、アイラ。もう一度彼を打ち込んでみてくれ」

「へへっ、いいよ。耐えられるモンなら耐えてみな! 『旋風撃』!!」

 アイラの渾身の一撃がガレスの盾に叩き込まれる。

 ガキィィィンッ!!

 凄まじい衝撃音が響き渡るが、ガレスは一歩も退かなかった。彼の足は地面を深く捉え、巨大な盾はアイラの力を完全に殺していた。

「おおっ……! 弾き飛ばされない! 俺は、壁になれる……!!」

 ガレスが歓喜の声を上げる。また一人、無敵の盾となる原石が覚醒した瞬間だった。

 そのすぐ隣の剣術訓練エリアでは、シルヴィアが指導に頭を悩ませていた。

「エララ、また剣筋がブレています。騎士のブロードソードは力で押し切るものではありませんが、貴女の腕力ではその剣を振るうことすらままならないようです」

「くっ……申し訳ありません、シルヴィア教官……!」

 エララと呼ばれた女性騎士は、華奢な体つきでありながら、騎士団の規定装備である重い長剣を無理やり振るおうとして、バランスを崩してばかりいた。

 彼女の動きは非常に素早く、ステップは羽根のように軽やかだが、武器の重さがその長所を完全に殺してしまっている。

「エララ」

 俺は彼女に歩み寄り、木製の長剣を取り上げた。

「君の才能は、大地を踏みしめることじゃない。風のように戦場を駆け抜けることだ」

 俺はアイテムボックスから、二本の軽量な短剣ショートソードを取り出し、彼女に手渡した。

「規定の装備なんて忘れろ。今日から君は、双剣使いだ」

「そ、双剣……!? しかし、騎士団の教えでは……」

「俺たちが教えるのは、生き残り、敵を倒すための術だ。型に嵌る必要はない」

 俺が『絆紋』 の光で双剣の重心を彼女の手に馴染ませると、エララは不思議そうに二本の剣を振るった。

 シュンッ、シュンッ!

 空気を切り裂く鋭い音が連続して鳴り響く。先ほどまでのぎこちなさが嘘のように、彼女の体は流れるような剣舞を披露した。

「すごい……剣が、羽みたいに軽い……! これなら、私のスピードを殺さずに戦える!」

 エララの顔に、希望の光が宿った。

 重装の壁となるガレスと、疾風の双剣使いエララ。

 辺境伯軍の騎士たちの中からも、確かな才能を持つ逸材たちが次々と芽を出し始めていた。

   * * *

 午後。

 覚醒の兆しを見せた騎士たちを実戦で試すため、俺たちは通常のパトロール依頼を兼ねて、アシュタルの東にある国境の山岳地帯へと足を運んだ。

 今回の班は、俺、アイラ、シルヴィアの教官陣に加え、槍使いクロード、魔法盾アリス、そして新たに才能を見出した重騎士ガレスと、双剣使いエララの四人だ。魔物組はフェル、ピコ、ソラ、それに索敵能力に長けた銀狐のギンを連れている。

「この山岳地帯には、変異した魔物が群れを作っているという報告がある。ガレス、エララ、午前中に掴んだ感覚を忘れるなよ」

「は、はいっ!」

 二人は緊張しながらも、力強く頷いた。

「キュンッ!」

 俺の頭に乗っていたギンが、不意に前方の崖上を指差して鳴いた。

「敵か。……来るぞ!」

 俺の警告と同時、崖の上から巨大な岩石が雨あられと降り注いできた。

 見上げると、そこには全身が岩のような皮膚で覆われ、赤黒い瘴気を放つ巨大な猿の魔物――『変異岩猿ロック・エイプ』の群れが、二十体以上も陣取っていた。

「上からの投石だ! 防ぎきれないわ!」

 アリスが悲鳴を上げ、『マルチ・アイス・シールド』を展開するが、岩の質量と数が多すぎる。

「俺の背後に隠れろ!!」

 そこに、巨体の騎士ガレスが飛び出した。

 彼はタワーシールドを天に掲げ、足を深く大地に沈めこませた。

 ドゴォォォォンッ!!

 巨大な岩石が次々とガレスの盾に直撃する。しかし、ガレスの巨体は微塵も揺らがない。彼は自らを城壁と化し、後方の仲間たちを完璧に守り抜いたのだ。

「すごい……! あんな岩の雨を、一歩も退かずに……!」

 クロードが驚愕の声を上げる。

「岩の雨が止んだ! 今度は奴らが降りてくるぞ!」

 投石を終えた変異岩猿たちが、狂暴な雄叫びを上げて崖から飛び降りてきた。

「私の番ですね……行きます!」

 双剣を構えたエララが、風のような速度で前線へと飛び出した。

 彼女は岩猿の豪腕による振り下ろしを、紙一重のステップで躱し、そのすれ違いざまに双剣を岩猿の首の隙間――最も皮膚の薄い急所へと的確に滑り込ませた。

 ズバァァッ!!

 岩猿が悲鳴を上げて倒れる。エララは立ち止まることなく、次から次へと敵の死角に回り込み、流れるような連続攻撃で群れを翻弄していった。

「いいぞ! クロードはガレスの盾の隙間から槍で迎撃しろ! アリスはエララの死角を氷の魔法でフォローだ!」

 俺の指示に、四人の訓練生たちは見事な連携で応えた。

 ガレスが絶対の壁となり、クロードがその壁の隙間から確実な一撃を放つ。エララが戦場をかき回し、アリスが魔法で敵の動きを阻害する。

 即席のパーティーとは思えない、見事な攻防一体の陣形だった。

「やるじゃないか。あのアホ騎士どもが、たった半日でここまでモノにするとはね」

 アイラが満足げに頷く。

「原石を磨き上げるのも、我々の重要な任務ですからね。……レイン様、どうやらまだ『お客様』がいるようです」

 シルヴィアが、崖のさらに上方を睨みつけた。

 ギャアアァァァッ!!

 岩猿の群れの奥から、一際巨大な、ボス格と思われる変異岩猿が姿を現した。その手には、引き抜かれた大木が握られている。

 そして、その巨大な岩猿の足元で、何かが必死に抵抗しているのが見えた。

「ピィィィィッ!!」

 鋭い鳴き声と共に、エメラルドグリーンの風の刃が岩猿に放たれるが、硬い皮膚に弾かれてしまう。

 それは、美しい翡翠色の羽を持った猛禽類の魔物――『疾風のエアロ・ファルコン』だった。

 隼の片翼は折れ曲がって血を流しており、その後ろの岩の隙間には、淡く光る卵が一つ隠されている。

 どうやら、卵を守るために、狂暴化した岩猿の群れに単騎で立ち向かい、傷ついてしまったらしい。

「あの隼、卵を守るためにあんな化け物に……!」

 エララが悲痛な声を上げる。

「グォォォォッ!!」

 ボス岩猿が、煩わしそうに大木を振り上げ、隼と卵をまとめて叩き潰そうとした。

「させない! フェル、ピコ!」

「ウォォォンッ!!」

「キュイッ!!」

 俺の叫びと共に、銀色の閃光と純白の弾丸が宙を舞った。

 フェルの『白銀の迅雷』がボス岩猿の腕を直撃して大木を落とさせ、ピコが『ホーリー・ムーン・キック』で岩猿の顔面を強烈に蹴り飛ばす。

「今だ!」

 俺は空間転移で俺の肩に乗ったギンのサポートを受け、一瞬で崖上の隼の元へと跳躍した。

 右手の甲の『絆紋』 の光を長剣に纏わせ、倒れ込んだボス岩猿の眉間へと深々と突き立てる。

 ズバァァァンッ!!

 翠色の浄化の光が炸裂し、ボス岩猿の巨体は光の粒子となって消滅した。

 ボスの死を見た残りの岩猿たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、戦闘は完全に終了した。

疾風の隼と、新たな絆

 俺は剣を収め、傷ついた隼の元へとゆっくりしゃがみ込んだ。

「ピィィ……ッ」

 隼は片翼を引きずりながらも、卵を守るように俺に対して威嚇の声を上げた。

「大丈夫だ。もう敵はいない。君の卵も無事だよ」

 俺は右手の甲の『絆紋』 の光を灯し、そっと手を差し伸べた。

 翠色の温かな波紋が、隼の傷ついた体を優しく包み込む。

『万物の調和と極限浄化』の力が、折れた翼の骨を瞬時に繋ぎ合わせ、傷口を完全に癒やしていく。

「ピィ……?」

(あたたかい……。痛みが、消えた。あなたが、私と子供を救ってくれたの?)

 隼の澄んだ瞳から、警戒が解け、深い感謝の念が伝わってくる。

「俺はレイン。君の勇気、見事だったよ」

 俺が隼の翡翠色の羽を撫でると、隼は嬉しそうに俺の指に頬をすり寄せた。

「ウォンッ♪」

「キュイッ♪」

 フェルとピコも崖を登ってきて、隼の匂いを優しく嗅ぐ。隼は彼らの強さと優しさを感じ取り、安心したように喉を鳴らした。

「もしよかったら、俺たちのクランに来ないか? ここなら、君の卵も安全に孵すことができるし、ソラっていう空を飛ぶ先輩もいるぞ」

 俺が誘うと、隼は嬉しそうに翼を広げ、俺の肩に飛び乗ってきた。

「よし、今日から君の名前は『ゲイル』だ。よろしくな、ゲイル」

「ピリリィッ♪」

 ゲイルは高らかに鳴き、空高く舞い上がってその健在ぶりをアピールした。

 崖下では、ガレスやエララたち訓練生が、俺たちの戦いぶりを見上げて歓声を上げていた。

「す、すごい……! あんな巨大なボスを一瞬で……!」

「我々も、いつかレイン様やアイラ教官たちのような強さを手に入れたい……!」

 彼らの顔には、己の未熟さを知る悔しさと共に、それ以上の強い憧れと向上心が燃え上がっていた。

   * * *

【閑話 他国の戦慄と、崩れゆく常識】

 アシュタル辺境伯軍の『訓練生』たちが、隣国のスタンピードを鎮圧し、さらに国境付近の変異魔物たちを次々と単独で討伐しているという事実は、各国に送り込まれていた密偵たちを通じて、瞬く間に大陸中に広まっていた。

「馬鹿な……! 我が国の誇る聖騎士団が手も足も出なかった変異オーガの群れを、アシュタルの『ただの一般兵』が連携だけで討ち取っただと!?」

 大陸北西部に位置する神聖国ルミナの教皇は、報告書を握りつぶして震え上がった。

「教皇猊下、事実でございます。アシュタルの軍は、特級クラン『絆紋亭』の直接指導により、装備、戦術、そして個々の能力が異常な速度で進化しております。もはや、我々の知る『通常の軍隊』の枠組みを完全に超越しています……!」

 密偵の言葉に、教皇は顔面を蒼白にした。

「そんな軍隊が、もし我が国に牙を剥いたら……!」

「……一週間と保たないでしょう。王都を失った今、アシュタルに対抗し得る武力は、この大陸のどこにも存在しません」

 世界各国は、魔王軍の脅威が去った後、自分たちが覇権を握ろうと水面下で暗躍していた。

 しかし、アシュタルが見せつけた圧倒的な「軍事力の底上げ」は、彼らの野望を根底から打ち砕いた。

 アシュタルに手を出せば、国が消し飛ぶ。

 その絶対的な事実が、皮肉にも大陸に完全な平和と、アシュタルへの絶対的な恭順をもたらしていたのである。

   * * *

 その日の夜。

 特級クラン『絆紋亭』の拠点では、厳しい訓練と実戦演習を乗り越えたガレスやエララたちを労うための、盛大な夕食の宴が開かれていた。

 セシルの作る極上の肉料理を前に、ガレスは巨大な盾を横に置いて感涙にむせび、エララは双剣の手入れをしながらアイラとシルヴィアに熱心に質問を投げかけている。

 テラスでは、フェルやピコ、ソラたち魔物組が、新入りのゲイルと、大切にクッションの上に置かれたゲイルの卵を囲んで、優しく見守っていた。

 賑やかで、優しくて、誰もが誰かを必要とし、誰もが誰かに感謝している場所。

 原石たちは磨かれ、新しい家族は増え、俺たちの絆はさらに強く、大きく広がっていく。

 星降る夜の下、笑い声と美しい音楽が、いつまでも絶えることなく響き渡っていた。

【現在のステータス】

名前:レイン

職業:Sランク冒険者(特級クラン『絆紋亭』マスター / 自治区代表)

称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手 / 導きの光 / 豊穣の主 / 浄水の守り手 / 迷いを導く者 / 真理を導く者 / 絆の真髄を知る者 / 竜を解放する者 / 独立同盟の盟友 / 熱砂を歩む者 / 深淵を浄化せし者 / 変異を鎮める者 / 導きの軍師

Lv:80(※国境防衛と後進の育成、ボス討伐によりアップ)

HP:830 / 830

MP:630 / 630

【固有スキル】

絆紋きずなもん:対象と心を通わせる。万物を調和させ、極限の浄化と最適化を行う絶対的な力。

【クラン『絆紋亭』メンバー(一部抜粋)】

・銀色のウルフ(フェル):絆レベル5

・ポーションラビット(ピコ):絆レベル5

空色小竜ソラ:絆レベル5

・漆黒のノヴァ:絆レベル5

・砂塵の魔蠍ゼット:絆レベル5

水豹リン:絆レベル5

幻宝石獣キラ:絆レベル5

・白銀の幼熊ブラン:絆レベル5

銀狐ギン:絆レベル5(※絆深化)

・鋼棘の鎧獣マル:絆レベル4(※絆深化)

・疾風のゲイル:新規合流 / 絆レベル3

・アイラ(女戦士・Sランク)

・ルウ(魔導士・Sランク)

・シルヴィア(剣聖・Sランク)

・シオン(密偵・Sランク)

・レオン(辺境伯軍・騎士団長 / クラン協力者)

・クロード(辺境伯軍・槍使い / 有望株)

・アリス(冒険者・魔法盾使い / 有望株)

・ザック(冒険者・狙撃手 / 有望株)

・ミリー(神聖教会・支援術師 / 有望株)

・ガレス(辺境伯軍・重騎士 / 訓練生・有望株)

・エララ(辺境伯軍・双剣使い / 訓練生・有望株)

(※その他拠点防衛および生産メンバー多数)

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 【安全第一】死に戻り商人の異世界スローライフ~万能魔法と『リトライ』を駆使して完璧な物流網とインフラを整備し、のんびり隠居を目指します~

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