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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第72話 独立同盟と、新たなるSランククラン

第72話 独立同盟と、新たなるSランククラン

 辺境の街アシュタルの東、小高い丘に広がるクラン『絆紋亭』の拠点は、魔王軍の四天王を打ち破った激戦から数日が経過してもなお、世界で最も穏やかで優しい朝を迎えていた。

 庭の中央にそびえ立つ精霊樹は、日を追うごとにその存在感を増し、豊かな枝葉が風に揺れるたびに、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋を広げている。

「ウォンッ!」

「キュイッ!」

 縁側で朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいる俺の足元へ、競い合うように二匹の魔物が飛び込んできた。銀色のウルフである『フェル』と、純白のポーションラビットである『ピコ』だ。

 俺が王都を追放され、この名もなき辺境の森にたどり着いたその日、一番最初に俺の『絆紋』を受け入れ、共に歩み始めた最古参の相棒たちである。フェルの銀色の毛並みは月明かりのように美しく気高い光を放ち、ピコもまた、その小さな体には信じられないほどの敏捷性と強靭な魔力を宿している。

「おはよう、フェル、ピコ。今日もいい天気だな」

 俺がしゃがみ込んで彼らの頭を順番に優しく撫でると、フェルは嬉しそうに目を細めて俺の手に頬をすり寄せ、ピコは自慢の長い耳をピクピクと動かして俺の膝の上に飛び乗ってきた。空からは空色小竜のソラがパタパタと舞い降りてきて、俺の肩にふわりと着地する。

 庭を見渡せば、巨大な黒竜ノヴァが日向ぼっこをしており、竜使いの少女ルカがその硬い鱗を一生懸命に磨いていた。雷鳴の怪鳥ライや黄金の天馬ルミナ、鋼角の犀ザイン、岩砕の巨獣ダグたちも、思い思いの朝の時間を満喫している。

 そんな和やかな朝の風景を遮るように、拠点の大扉が重々しい音を立てて開かれた。

 現れたのは、アシュタルを治める領主アルベルト辺境伯と、冒険者ギルドのギルドマスターであるドワーフのバルカン、そして数名の護衛の騎士たちだった。彼らの表情は極めて真剣であり、ただならぬ用件であることを物語っていた。

「レイン殿、朝早くから突然の訪問を許してほしい」

 辺境伯アルベルトが、深く頭を下げる。

「辺境伯様、それにギルドマスターも。一体どうされたのですか?」

 俺が尋ねると、二人は顔を見合わせ、重々しく口を開いた。

辺境伯の決断と自治区設立

 リビングの大広間に案内された辺境伯とギルドマスターは、セシルが淹れた温かいハーブティーを一口飲み、心を落ち着かせてから話し始めた。

「単刀直入に言おう。レイン殿、そして『絆紋亭』の皆よ。先日の魔王軍四天王ドラグ・ゾル率いる大軍勢からの防衛……心より感謝申し上げる。貴方たちがいなければ、このアシュタルは間違いなく火の海となり、領民は全て虐殺されていただろう」

 アルベルト辺境伯は、騎士たちと共に深々と頭を下げた。アイラやルウ、シルヴィアたちも静かにその言葉を受け止めている。

「しかし、事態は我々が想定していたよりも遥かに深刻だ。先日、王都が魔力炉の暴走によって完全に崩壊し、国王陛下を含む王族、並びに王国軍の中枢が全滅したことはすでに知っているな?」

「ええ。勇者パーティーも全滅したと聞いています」

 俺の言葉に、辺境伯は重く頷いた。

「もはや『ルミナス王国』という国家は存在しない。残された各地の領主たちは混乱し、魔王軍の残党や盗賊の標的となっている。……そこで、私は決断した」

 アルベルト辺境伯は、強い意志を込めた眼差しで俺を見据えた。

「このアシュタル領を、王国から独立した独自の国家として宣言する。 そして、レイン殿。貴方たちのクラン『絆紋亭』が拠点を構えるこの一帯の土地と周辺の森を、完全に貴方たちの裁量で治める**『自治区』**として認可したい」

「自治区、ですか?」

 俺が驚きの声を上げると、辺境伯は立ち上がり、一枚の羊皮紙をテーブルの上に広げた。

* 完全なる自治権の付与: 絆紋亭の拠点および周辺の森に対する領主の介入を一切禁ずる。

* 非課税特権: クランの活動における税を永続的に免除する。

* 対等な同盟関係: 新たな独立国家と『絆紋亭』は、主従関係ではなく、同格の『同盟国』として国交を結ぶ。

「貴方たちは、魔王軍の主力すら打ち砕く圧倒的な力を持っている。我々が上に立つなど烏滸がましい。どうか、この辺境の地を守る同盟者として、我々と共に歩んでくれないだろうか」

 一国の王となる男からの、最大限の誠意と敬意。

 俺は仲間たちと顔を見合わせた。アイラもルウも、フェルやピコたちも、誰もが誇らしげに微笑み、俺に頷きかけている。

「……分かりました。俺たちの居場所を守るためにも、その同盟、喜んでお受けします」

ギルド本部昇格とSランク認定

 辺境伯との盟約が結ばれた後、今度はギルドマスターのバルカンが身を乗り出してきた。

「次はギルドからの話だ。王都が崩壊したことで、当然ながら冒険者ギルドの本部も消滅した。そこで、各地の生き残ったギルド支部と協議した結果、この魔王軍の侵攻を食い止めたアシュタルのギルドを『新たなギルド本部』として機能させることになった」

 バルカンの言葉に、シオンやフレアが驚きに目を見開く。

「それに伴い、レイン。お前たちの非公式クラン『絆紋亭』を、ギルド本部直属の**『正式な特級クラン』**として昇格させる。さらにだ……」

 バルカンは懐から、眩い黄金の輝きを放つ冒険者プレートを何枚も取り出し、テーブルの上に並べた。

「先日の四天王討伐、および飛竜部隊の殲滅という前代未聞の功績を称え、『絆紋亭』に所属する全メンバーを、無条件で【Sランク冒険者】へと特別昇格とする!」

「ええっ!? 私みたいな見習い魔導士も、Sランクになっちゃうんですか!?」

 エリスが信じられないというように声を上げる。

「ガハハ! アタシらが全員Sランクか! こいつは傑作だね!」

 アイラが大笑いし、シルヴィアも「再びこの階位を手にする日が来るとはな」と感慨深げに黄金のプレートを見つめていた。

「お前たちが従えている魔物たちも、ギルドとしては『Sランク指定の特級守護獣』として正式に登録させてもらう。これで、誰もお前たちの活動に文句を言える奴はいなくなる」

 バルカンの粋な計らいに、俺は心からの感謝を告げた。

 王都で足手まといとされ、Fランクの底辺冒険者だった俺が、今やSランククランのマスターであり、一つの自治区を治める同盟の長となったのだ。

次なる魔王軍への対策会議

 祝賀の空気が落ち着いた後、俺たちは広げられた地図を囲み、次なる魔王軍の動きに対する対策会議を始めた。

「魔王軍の四天王の一人、ドラグ・ゾルを討ち取ったことで、連中は間違いなく警戒を強めています」

 シオンが偵察部隊からの情報を整理し、報告を行う。

「クロの影探知と、王国の生き残りからの情報によれば、魔王軍はアシュタルへの直接侵攻を一時凍結し、大陸の東に広がる砂漠地帯へと軍勢を移動させているようです」

> 【魔王軍の現在の動向】

> * アシュタルへの直接侵攻部隊の撤退。

> * 全戦力を大陸東部の砂漠地帯へ集結。

> * 目的:砂漠に眠る『深淵の邪神』の封印解除の可能性。

>

「深淵の邪神……だと?」

 バルカンが顔面を蒼白にして立ち上がった。

「おとぎ話じゃなかったのか!? かつて世界を滅ぼしかけたという禁忌の存在だぞ!」

「ええ。魔王ゼアノスは、レイン様たち『絆紋亭』の力との直接戦闘を避け、世界そのものを破壊する邪神の力をもって、このアシュタルごと消し去ろうとしていると推測されます」

 シオンの冷静な分析に、大広間に重い沈黙が落ちた。

「上等じゃない。邪神だろうが魔王だろうが、アタシらの『絆』の前にはただの的よ」

 ルウが杖をドンッと床に突き立て、強気な笑みを浮かべる。

「その通りですわ。レイン様の浄化の光と、我々の力があれば、どんな闇も打ち払えます」

 フレアも聖剣に手を添え、力強く頷いた。

「みんな、ありがとう」

 俺は地図を見つめ、決断を下した。

「敵が東の砂漠で邪神を復活させようとしているなら、俺たちから打って出るしかない。アシュタルを完全に要塞化し、防衛の要を残しつつ、選抜部隊で東の砂漠へと向かおう」

遠征と防衛の準備

対策として、以下の準備を迅速に進めることが決定された。

* アシュタル絶対防衛線の構築: マキアとメリル、ドーラを中心に、ノヴァの巨体でも防ぎきれない広範囲攻撃に備え、自治区全体を覆う『魔導防壁』を精霊樹の魔力を引き出して構築する。

* 砂漠環境への適応装備の製作: ノエルとリナが協力し、極度の暑さと乾燥に耐えうる特製の冷却マントとポーションをクラン全員分用意する。

* 遠征部隊の選定: 砂漠の地形に強いゼットや、空からの索敵が可能なソラ、ステラを主軸とし、機動力と浄化能力に特化したメンバーを選抜する。

「よし、やるべきことは決まったな。俺たちの新しいSランククランの初仕事は、世界を脅かす邪神の復活阻止と、魔王軍の完全なる打倒だ!」

「「「おおおおおっ!!!」」」

 仲間たちの雄叫びが、アシュタルの空に力強く響き渡った。

現在のステータス

俺たちの絆は、新たな称号と権限を得て、さらに強固なものとなった。

| 項目 | 詳細 |

|---|---|

| 名前 | レイン |

| 職業 | Sランク冒険者(特級クラン『絆紋亭』マスター / 自治区代表) |

| 称号 | 追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手 / 導きの光 / 豊穣の主 / 浄水の守り手 / 迷いを導く者 / 真理を導く者 / 絆の真髄を知る者 / 竜を解放する者 / 独立同盟の盟友 |

| Lv | 71(※大規模防衛戦と政治的同盟締結による経験獲得) |

| HP/MP | 730 / 530 |

| 固有スキル 絆紋きずなもん:対象と心を通わせる。万物を調和させ、極限の浄化と最適化を行う絶対的な力。 |

【クラン『絆紋亭』主要メンバー(全員Sランク認定)】

* 魔物組: フェル(銀狼)、ピコ(白兎)、ソラ(空色小竜)、ノヴァ(漆黒の竜)、ゼット(砂塵の魔蠍)、ザイン(鋼角の犀)、ダグ(岩砕の巨獣)、ライカ(雷角の小鹿)他多数の特級守護獣。

* 人間組: アイラ(戦士)、ルウ(魔導士)、ゴット(薬師)、シオン(密偵)、セシル(料理人)、フレア(聖騎士)、ノエル(錬金術師)、シルヴィア(剣聖)、メリル(魔導技師)、マキア(爆破技師)、ルカ(竜使い)他多数のスペシャリストたち。

 魔王の焦りと邪神の足音が迫る中、俺たち『絆紋亭』は、そのすべての脅威を跳ね返すための準備を、笑顔と共に進めていくのだった。


ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作 【安全第一】死に戻り商人の異世界スローライフ~万能魔法と『リトライ』を駆使して完璧な物流網とインフラを整備し、のんびり隠居を目指します~

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