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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第6話 小竜ソラ、大空へ――そして新たな依頼の予感

第6話 小竜ソラ、大空へ――そして新たな依頼の予感

 アシュタルの街のはずれに構えた非公式クラン『絆紋亭』の拠点には、毎日のように穏やかな時間が流れていた。

 朝の柔らかな光がハーブガーデンを包み込む頃、俺ことレインはテラスで淹れたてのハーブティーを楽しんでいた。その足元では、ウールシープたちがのんびりと草を食み、小動物の魔物たちが楽しげに追いかけっこをしている。

 かつて王都の殺伐とした空気の中で、明日の生死を案じながらピリピリと過ごしていた日々が、まるで遠い昔の出来事のように感じられた。

「きゅるるーっ!」

 そんな平和な朝の空気を切り裂くように、明るく元気な鳴き声が響いた。

 見上げると、改修した家の屋根の上から、小竜のソラがパタパタと懸命に翼を動かして飛び立とうとしていた。ここ最近、毎日のように飛行訓練を重ねてきたソラの体は、以前よりも一回り大きくなり、その空色の鱗は太陽の光を受けて眩しいほどに美しく輝いていた。

「お、ソラ。今日は調子が良さそうだな」

「きゅっ!」

 俺が声をかけると、ソラは自信満々に胸を張り、一歩大きく踏み出した。そして、これまでにないほど力強く小さな翼を羽ばたかせ、ふわりと屋根の上から大空へと舞い上がった。

「あっ……!」

 風に煽られ、最初のうちはバランスを崩してグラリと体が傾いたが、ソラは諦めなかった。俺と結ばれた『絆紋』の繋がりを通じて、俺の持つバランス感覚や心の平穏がダイレクトに伝わったのだろう。ソラの瞳に強い光が宿り、ふっと体勢を立て直した。

 次の瞬間、ソラの小さな体が美しい弧を描きながら、アシュタルの青空をスイスイと滑空し始めたのだ。

「すげえ……! 飛んでるぞ、ソラ!」

「きゅるるるーーっ!!」

 ソラは嬉しさのあまり、空中でクルリと一回転し、風に乗って大きく旋回した。その姿は、まるで本物の大竜のように気高く、そしてどこまでも自由だった。

 庭で草を食べていたウールシープたちも「メェ~!」と鳴いて祝福し、遊び疲れて昼寝をしていた他の魔物たちも顔を上げてパチパチと拍手をするかのように飛び跳ねた。

 空を飛ぶことに失敗して、悔しそうに土まみれになっていたあの日の姿が思い出される。

 焦る必要なんてなかったのだ。自分のペースで、一歩ずつしっかりと進んでいけば、いつだって誰だって、行きたい場所へ飛べるようになる。ソラの飛ぶ姿を見ていると、胸の奥から熱いものがこみ上げてきて、自然と目頭が熱くなった。

 大きく弧を描いたソラが、ふわりと俺の肩に着地した。

「よくやったな、ソラ。最高にかっこよかったぞ」

「きゅぅ~ん♪」

 ソラは満足げに俺の頬に頭を擦りつけ、甘えるように喉を鳴らした。お互いの絆が一段と深まったことを、魂の奥底でハッキリと実感することができた。

   *

 ソラの初飛行の感動の余韻に浸りながら、俺は午後から依頼を受けるためにアシュタルの街中へと足を運んだ。

 相変わらず活気に満ちた冒険者ギルドの扉を押し開けると、受付の赤毛の女性職員がパッと顔を輝かせて手を振ってくれた。

「あ、レインさん! ちょうどいいところに!」

「こんにちは。どうかしたんですか、そんなに慌てて」

 俺がカウンターに近づくと、彼女は一枚の分厚い羊皮紙をそっと差し出した。そこには、普段の採取依頼とは違い、赤いインクでしっかりと重要マークが記されていた。

『西の森の奥地、古い遺跡周辺における迷い人の捜索と、異常気象の調査。報酬:銀貨八枚および特製魔石』

「迷い人の捜索、ですか?」

「はい。ここ数日、西の森の奥にある古い遺跡へ向かったきり、戻ってこない駆け出しの冒険者パーティーがいるんです。さらに、その周辺だけ急に天候が荒れたり、魔物たちの動きが妙に慌ただしくなったりしていて……ギルドとしてもベテランを向かわせたいんですが、あいにく他の面々は遠征中で手が塞がってまして……」

 彼女は申し訳なさそうに眉を下げた。

 西の森の奥地――それは、ソラと出会った場所よりもさらに深く、かつて魔王軍の残党や古代の遺物が眠っていると噂される危険なエリアだった。通常の初心者であれば絶対に立ち入らない場所だが、今の俺には『絆紋』の力があり、森の魔物たちとも深い繋がりがある。

「分かりました。俺が探してきますよ」

「本当ですか!? ありがとうございます、レインさん! くれぐれも無理はしないでくださいね」

 快く依頼を引き受けた俺は、準備を整えて再び西の森へと向かった。

 肩の上には、先ほど見事に空を飛べるようになった相棒のソラが、得意げに胸を張って座っている。

「さて、行きますか。迷子の冒険者を連れ戻しがてら、森の様子も確かめてこよう」

 木漏れ日が差し込む穏やかな小道を抜け、俺たちは誰も踏み入らない深い森の奥へと足を踏み入れていった。新しい仲間たちとの平穏な日常を守るため、そして困っている誰かを助けるため、絆紋使いレインの新しい冒険が、今、静かに動き出す。

【現在のステータス】

名前:レイン

職業:冒険者(クラン『絆紋亭』マスター)

称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手

Lv:17

HP:190 / 190

MP:40 / 40

【スキル】

・生活魔法 Lv.5

・剣術 Lv.3(※ソラとの飛行訓練による体幹強化で微増)

・解体 Lv.5

・野営技術 Lv.7

・野戦調薬 Lv.4

・植物知識 Lv.3

・建築・修繕 Lv.3

・鑑定 Lv.2

・気配察知 Lv.2(NEW)

【固有スキル】

絆紋きずなもん:対象の魔物と心を通わせ、警戒心を解き放つ。深い絆を結んだ魔物と感覚や力を共有できる。(※ソラの飛行成功により、空間把握能力が一時的に向上)

【クラン『絆紋亭』メンバー】

空色小竜ソラ:初飛行成功! / 絆レベル4

・ウールシープの群れおよび森の小動物たち

・アイラ(女戦士・協力者)

・ルウ(魔導士・協力者)

・ゴット(薬師・協力者)

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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