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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第36話 虹の歌声と、夢見る人魚

第36話 虹の歌声と、夢見る人魚

 アシュタルの街の東、小高い丘に広がる非公式クラン『絆紋亭』の拠点は、今日という日もまた、世界中のどの場所よりも優しく、そして奇跡のような調和に満ちた朝を迎えていた。

 庭の中央に植えられた精霊樹は、昨日までの苗木という段階を完全に脱し、わずか数日で人間の二階分ほどにまで枝葉を広げるという驚異的な成長を遂げていた。その葉が朝の心地よい風に揺れるたび、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋が広がり、庭全体を極上の癒やしのオーラで包み込んでいる。

 宝石蜘蛛のルリが編み上げた虹色の天蓋を透過して降り注ぐ朝日は、精霊樹の放つ淡い翠色の光と混ざり合い、視界に入るものすべてをきらきらと輝かせていた。魔力農園で育つ野菜たちは、その恩恵を受けて、朝ごとに一回りも二回りも大きく、鮮やかに色づき、はち切れんばかりの生命力を誇示している。

「きゅるるーっ!」

「ウォンッ!」

「ピィィィッ!」

「ヒンッ♪」

「ルルゥッ♪」

「シャァンッ♪」

 澄み切った青空を背景に、空色小竜のソラ、雷鳴の怪鳥ライ、黄金の天馬ルミナが楽しげに上空を旋回している。ルミナの放つ神聖な黄金の光、ライの纏う青白い雷光、そしてソラの美しい空色の鱗が交差し、まるで空に生きた巨大な芸術作品が描かれているかのようだった。

 その三つの影を追いかけるように、地上では銀色のウルフであるフェルが、花纏いの黒豹フロリアと並んで軽やかに駆け回っていた。フェルの背中には、純白のポーションラビットであるピコがちょこんと乗り、風を切る感覚を楽しそうに味わっている。

 縁側の特等席では、クリスタル・ゲッコーのルチルが鉱石の鱗を虹色に輝かせて日向ぼっこをし、精霊獣のミエルは優雅な足取りで精霊樹の周りを散歩している。クリア・スライムのスイと水妖の獺ミロは、庭に引かれた清らかな水路の中でパチャパチャと水を掛け合って遊び、氷雪の幻獣マシロは、冷気を放ちながらミエルの足元で丸くなっている。

 影猫のクロは、シオンの肩の上からその平和な光景を眺め、月影の白蛇ルナは精霊樹の太い枝にその美しい銀白の体を巻きつけて、穏やかに目を細めていた。

「おはよう、みんな。今日も最高の天気だな」

 俺ことレインは、フェルとピコ、そしてマシロを順番に優しく撫でながら、自然と口元を緩めた。

 王都の勇者パーティーにいた頃は、毎朝が息の詰まるようなプレッシャーと冷徹な命令の連続だった。自分がどれだけ尽くしても、誰からも感謝されず「無能」と切り捨てられ、すべての居場所を奪われた。

 だが、今の俺には、こんなにも温かく、かけがえのない家族たちがいる。誰もが互いを尊重し、足りない部分を補い合い、笑顔を交わす。この『絆紋亭』こそが、俺にとっての絶対の帰る場所だった。

「さて、みんなのお腹が空く前に、朝飯の準備をするか。今日は魔力農園の野菜がとびきり美味しく育っているはずだからな」

 俺がそう呟くと、魔物たちは嬉しそうに歓声を上げ、それぞれの持ち場へと散っていった。

   * * *

 一階の広々とした厨房へと降りると、そこにはすでに見習い魔導士のエリス、仕立屋のリナ、元王都特級密偵のシオン、そして元宮廷料理人のセシルがエプロン姿で立ち、手際よく調理を進めていた。

「あ、レイン様! おはようございますっ!」

「レインさん、おはようございます。今朝も魔力農園のお野菜がキラキラしてますよ」

「レインさん、おはようございます。お肉とハーブの仕込みは完了しています」

「皆さん、おはようございます! 今朝のメニューは、特製の魔力小麦を使った焼きたてクロワッサンと、具沢山のミネストローネですよ!」

 四人がそれぞれの持ち場から、明るく温かい笑顔で迎えてくれる。

 厨房いっぱいに広がるのは、バターが何層にも折り重なって焼ける芳醇な香りと、トマトベースのスープがコトコトと煮込まれる濃厚な匂いだ。セシルが加わったことで、俺の『料理』スキルや『植物知識』との相乗効果が生まれ、クランの食事はもはや開拓地の料理の域を完全に超え、王都の最高級店すら凌駕するクオリティに達していた。

 石窯の魔道コンロから取り出されたクロワッサンは、表面がサクサクで中はふんわりと仕上がり、一口かじれば極上のバターの風味が鼻を抜ける。ミネストローネには、シオンが寸分の狂いもなく均等に切り分けたニンジンやジャガイモ、そして厚切りの自家製ベーコンがたっぷりと入り、野菜の自然な甘みがスープに溶け出して黄金色に輝いている。

 アイラ、ルウ、ゴット、ドーラ、そして新たに加わった元聖騎士のフレアもリビングに集まり、「いただきます」の合図と共に賑やかな朝食が始まった。

「んんっ! このクロワッサン、口の中で溶けるねぇ! スープの酸味と甘みが絶妙だ!」

 アイラが豪快にパンを平らげ、目を輝かせる。

「本当によ……セシルが来てから、毎朝の食事が楽しみで仕方がないわ。太っちゃわないか心配になるくらいね」

 ルウもうっとりとした表情を浮かべる。

「このスープ、野営で食べていた硬い干し肉とは次元が違います……。涙が出るほど美味しいです……!」

 フレアは、王都の追手から逃げ延びた緊張が完全に解けたのか、美しい顔をほころばせながらスープを夢中で頬張っていた。

 テラスでは、魔物たちもそれぞれに用意された特製の朝食を夢中で食べている。誰もが満ち足りた顔で、笑い合いながら食卓を囲む。この他愛のない日常の風景こそが、俺にとって何よりの宝物だった。

   * * *

 和やかな朝食を終え、食後のティータイムを楽しんでいた時のことだ。

 俺はふと、前々から考えていた農園の土壌改良についてのアイデアを口にした。

「みんな、今日はアシュタルの南、海岸沿いにある『人魚の入り江』に行こうと思うんだ」

「人魚の入り江? あそこは、美しい場所だけど、潮の満ち引きと岩場が複雑で、冒険者でも遭難しやすい危険な場所よ。何か用事があるの?」

 ルウが首を傾げる。

「ああ。あの入り江にしか自生していない『真珠の苔』を採取したいんだ。あの苔を乾燥させて粉末にし、魔力農園の土に混ぜ込めば、作物の栄養価と魔力純度が飛躍的に高まる。それに、ゴットさんのポーションの素材としても一級品になるはずだ」

「真珠の苔か! それは素晴らしい。王都でも滅多にお目にかかれない幻の素材じゃぞ。ぜひとも手に入れたいものじゃ」

 ゴットが目を丸くして身を乗り出した。

「でも、あの入り江には強力な水棲魔物が多く生息しています。海岸線特有の凶暴な魔物も……。討伐依頼が出ているわけではありませんが、十分な警戒が必要です」

 シオンが密偵としての正確な情報を付け加えた。

「そうだな。だから、水辺に強いメンバーを中心にパーティーを組もう。俺、アイラ、ルウ、シオン。魔物はフェル、クロ、そして水に強いミロとスイを連れて行く。ゴットさんたちは拠点の防衛と、精霊樹と竜の卵の管理をお願いできるか?」

「任せな! 万が一魔物が出たら、アタシの斧でぶっ飛ばしてやるよ!」

 アイラが戦斧を背負い直して力強く頷いた。

「ほっほっほ、拠点の守りはワシらとフレア殿にお任せあれ」

 こうして、食材調達と新素材の採取を兼ねた探索パーティーが結成され、俺たちは元気よくアシュタルの街を南へと出発した。

   * * *

 アシュタルから馬車と徒歩で二時間ほど南下すると、潮の香りが強くなり、視界が一気に開けた。

 切り立った崖の下に広がるのは、白波が打ち寄せる美しい青い海と、複雑に入り組んだ岩礁地帯だった。ここが『人魚の入り江』。伝説では、満月の夜に人魚の美しい歌声が聞こえるというロマンチックな場所だが、実際には鋭い岩肌と荒い潮の流れが冒険者の行く手を阻む、過酷な自然の要塞だ。

「うわぁ……海風が気持ちいいわね。でも、足元がかなり滑るわ」

 ルウが杖を突きながら、慎重に岩場を降りていく。

「シオン、クロ、周囲の警戒を頼む。フェルは岩陰の魔物の匂いを追ってくれ」

「了解です。クロ、影の索敵を広げて」

「にゃっ!」

 俺たちは波打ち際すれすれの岩場を這うようにして進み、潮が引いた時にだけ入り口が姿を現すという、目当ての洞窟を探した。

 やがて、シオンがピタリと足を止め、岩陰の奥を指差した。

「レインさん、あそこです。波打ち際の岩肌に、銀色に発光する苔が付着しています。あれが真珠の苔ですね」

 指差した先には、太陽の光を受けて真珠のように鈍く、しかし美しく輝く苔がびっしりと群生していた。

「よし、見つけたぞ。アイラ、ルウ、周囲の警戒を。俺が採取する」

 俺が慎重に岩場を降り、採取用のナイフを取り出した、その時だった。

「キュキュッ!!」

「ウォンッ!」

 水妖の獺であるミロとフェルが、同時に海面に向かって鋭い警戒の鳴き声を上げた。

 穏やかだった海面が突如として不自然に盛り上がり、巨大な水柱が上がった。

 ザバァァァッ!!

 水飛沫と共に姿を現したのは、体長が四メートルを超える、巨大な二枚貝の殻を持つ異形の魔物――Aランク相当の『シェル・ゴーレム』だった。

 その殻は鉄の盾より硬く、魔法の直撃すら弾き返すという厄介な魔物だ。殻の隙間からは、ドロドロとした軟体部と、不気味に光る無数の眼球が覗いている。

「ギィィィッ!!」

 シェル・ゴーレムは不快な摩擦音を響かせながら殻を大きく開き、内部から圧縮された高圧の水流の刃――『ハイドロ・カッター』を無数に放ってきた。

「ルウ、エリスがいなくても行くわよ!『アイス・ウォール』!」

 ルウが瞬時に巨大な氷の壁を展開し、水流の刃を次々と弾き飛ばす。ガキィンッ!という轟音が岩場に響き渡る。

「邪魔するんじゃないよッ!『雷鳴破斬』!」

 アイラが戦斧に闘気と雷属性の魔力を纏わせ、大きく跳躍してシェル・ゴーレムの硬い殻に強烈な一撃を叩き込んだ。

 ドゴォォォンッ!!

 凄まじい衝撃波が走り、シェル・ゴーレムは大きく後ろへ仰け反ったが、その極厚の殻にはわずかな亀裂が入っただけだった。

「チッ、なんて硬さだ! アタシの斧をまともに受けて耐えるとはね!」

「ギィィィッ!!」

 シェル・ゴーレムは怒り狂い、今度は閉じた殻を高速で回転させながら、巨大な丸鋸まるのこのように岩場を削りながら俺たちへ突進してきた。

「シオン、ミロ! 足止めをして隙を作れ!」

「了解です! クロ、影縛り!」

「にゃぁっ!」

 シオンが影から飛び出し、高速回転するゴーレムの死角を縫うようにして短剣を投げつける。クロが『シャドウ・バインド』の魔法でゴーレムの影を岩場に縫い付けようとするが、相手の質量と回転力の前では数秒しか持たない。

「キュキュッ!」

 ミロが水面を滑るような動きでゴーレムの周囲を攪乱し、水路を操って強力な放水攻撃でゴーレムの視界を奪う。

「プルルッ!」

 スイもミロに同調し、酸性の強い溶解液を水流に混ぜ込んでゴーレムの殻に浴びせかけた。

「今だ!」

 俺は、クロの影縛りとミロたちの攪乱によってゴーレムの動きがほんの数秒だけ止まった隙を見逃さなかった。

 俺は『野戦調薬』の技術を応用し、事前に調合しておいた『強酸性の特殊溶液』が入ったフラスコを取り出し、『絆紋』の魔力で強化してゴーレムの殻の亀裂に向かって正確に投げつけた。

 パリンッ!

 フラスコが割れ、特殊溶液が殻の内部へと流れ込む。

「ギィイィィッ!?」

 驚異的な硬度を誇る殻が、酸の力とスイの溶解液の相乗効果で、内部からジュウジュウと音を立てて脆く変質していく。

「仕上げだ、アイラ! 亀裂の中心を狙え!」

「オラァッ!! これで終わりだぁぁっ!!」

 アイラの渾身の、渾身の一撃が、酸で脆くなった殻の中心を正確に打ち抜いた。

 バキィィィィンッ!!!

 ガラスが砕け散るような豪快な音と共に、シェル・ゴーレムの巨大な殻は粉々に砕け散り、内部の軟体部が海へと崩れ落ちて完全に沈黙した。

「ふぅ……手こずらせやがって。やっぱり海辺の魔物は厄介だね」

 アイラが戦斧を肩に担ぎ直し、汗を拭う。

「完璧な連携だったな。みんな、怪我はないか?」

 俺が声をかけると、シオンやルウたちも安堵の息を吐いて頷いた。

 戦闘を終えた俺たちは、無事に『真珠の苔』を大量に採取し、収納袋に詰め込んだ。

「よし、目的は達成だ。潮が満ちてくる前に引き上げよう」

 俺がそう言って岩場を引き返そうとした、その時だった。

 ――♪……あぁ……♪――

 波の音に混じって、どこからか、ひどく美しく、それでいて深い悲しみを帯びた『歌声』が聞こえてきたのだ。

「……レインさん、聞こえますか? 誰かの歌声です」

 シオンが耳を澄まし、岩礁の奥を指差した。

「ああ。風の音じゃない。確かに行ってみよう」

 俺たちは足音を忍ばせ、歌声のする岩礁の裏側へと回り込んだ。

 そこには、俺たちの想像を絶する光景が広がっていた。

 波打ち際の鋭い岩の間に、一人の少女が倒れ込んでいたのだ。腰から上は透き通るような白い肌を持つ美しい人間の少女だが、腰から下は、青く輝く見事な魚の尾ひれになっていた。

 伝説の種族、人魚だ。

 しかし、その人魚の少女は、自力で動くことができない状態だった。

 彼女の美しい青い尾ひれには、魔物捕獲用の巨大で無骨な『返し付きのもり』が深々と突き刺さり、それが重い鎖で岩に固定されていたのだ。密猟者が仕掛けた悪質な罠にかかってしまったに違いない。

「なんてこと……! こんなところにまで、人間の密猟者が入っていたなんて!」

 ルウが怒りに顔を歪める。

「キュゥ……痛い……誰か、助けて……海に、帰りたい……」

 人魚の少女は、苦痛に顔を歪めながら、すがるように歌声で助けを求めていたのだ。

(怖い……人間が来る……また、私を捕まえて、痛いことをするの……?)

 俺の脳内に、人魚の少女からの悲痛で、人間に対する深い恐怖と絶望の感情が流れ込んできた。

「シオン、周囲に密猟者が潜んでいないか警戒してくれ。アイラ、あの鎖を断ち切る準備を」

「了解です」

「任せな!」

 俺は武器を置き、両手を広げてゆっくりと彼女へと近づいていった。

「来ないで……! 人間、嫌い……!」

 人魚の少女は怯え、岩に身をすり寄せようとする。

「大丈夫だ。怖いことはしない。君を助けに来たんだ」

 俺は右手の甲にある翠色の痣――『絆紋』の光を限界まで解放した。

 翠色の温かな波紋が、潮風に乗って広がり、人魚の少女の震える体を優しく包み込む。

 絆紋の波動が彼女の心に届いた瞬間、怯えきっていた瞳から恐怖の色がスッと消え去り、代わりに驚きと安心の色が浮かんだ。

「この光……すごく、あったかい……。あなたは、悪い人間じゃないの……?」

「ああ。今、痛いのを取ってあげるからな」

 俺は『野戦調薬』で作り出しておいた特製の麻酔成分を含むポーションを傷口に振りかけ、痛みを完全に麻痺させた。

「アイラ、今だ! 鎖を頼む!」

「オラァッ!!」

 アイラの戦斧が的確に鎖を断ち切る。俺は慎重に、しかし素早く、尾ひれに突き刺さっていた銛を引き抜いた。

 すぐに超回復ポーションを塗り込み、絆紋の浄化の光を流し込む。深くえぐれていた尾ひれの傷口はみるみるうちに塞がり、青く輝く美しい鱗が元通りに再生していった。

「……あ、痛みが、ない。私の尾ひれが……治った……」

 人魚の少女は信じられないといった表情で自分の尾ひれを撫で、そして、俺の顔を真っ直ぐに見つめた。

(ありがとう……あたたかい人。私を、冷たい岩場から救ってくれて……)

 俺の心に、深い海のような、穏やかで純粋な感謝の感情が流れ込んでくる。

「俺はレイン。絆紋亭のマスターだ。君は?」

「私は『シーナ』。この入り江の奥で、仲間とはぐれて一人で暮らしていました。でも、人間の罠にかかってしまって……もう、海には帰れないかと……」

 シーナは透き通った青い瞳から、ぽろぽろと真珠のような涙をこぼした。

「一人ぼっちだったのか。……帰る場所がないなら、うちのクランに来ないか?」

「えっ?」

「うちの庭には、清らかな水路もあるし、精霊の泉から引いた大きな池を作ることもできる。それに、水辺の仲間もたくさんいるんだ」

 俺がそう言うと、ミロとスイが「キュキュッ!」「プルルッ!」と嬉しそうにシーナの周りを跳ね回った。

 シーナは、俺の差し出した手と、温かい仲間たちの姿を見て、満面の笑みを浮かべた。

「はいっ……! 私、あなたとなら、どこへでも行きたいです……!」

 こうして、夢見る人魚の少女シーナが、絆紋亭の新しい家族として加わることになった。

   * * *

 その日の夕暮れ。

 大量の『真珠の苔』と、新しい家族であるシーナを連れて、俺たちはアシュタルの拠点へと帰還した。

 シーナの移動には、俺の『生活魔法』とルウの『水魔法』で作った水の球体ウォーター・スフィアを利用し、快適に運ぶことができた。

 拠点では、ゴットやフレアたちが温かく出迎えてくれ、人魚という伝説の存在の加入に拠点中が歓喜の声を上げた。ドーラとアイラはすぐさま裏庭の拡張工事に取り掛かり、シーナが快適に過ごせる広大で美しい『精霊の池』をあっという間に作り上げてくれた。

 そして夜。

 庭の虹色の天蓋の下、精霊樹の優しい光に照らされながら、シーナの歓迎会が開かれた。

 セシルはシーナのために、海産物と魔力野菜をふんだんに使った特製の『アクアパッツァ』や、色鮮やかなシーフードマリネを腕によりをかけて作り上げた。

「シーナさん! うちのクランへようこそ! これからは、アタシたちが背中を預け合う最高の仲間だ!」

 アイラが木製ジョッキを高々と掲げる。

「ふふっ、ありがとうございます。このお料理、海の味がしてとっても美味しいです……!」

 シーナは、新しい水辺の居場所で、ミロやスイたちと一緒に嬉しそうに笑っていた。

 食後、シーナは感謝の気持ちを込めて、精霊の池の中心で美しい歌声を披露してくれた。その歌声は虹色の天蓋に反響し、拠点全体を極上の癒やしと安らぎで包み込んだ。

 王都の権力者たちがどんなに焦り、絶望に沈もうとも、ここには変わらぬ幸福がある。

 明日の食卓を囲む家族の笑顔と、新しい命の成長を見守りながら、俺は今日もまた、最高の一日を確信していた。

 満天の星空の下、笑い声と美しい歌声が、いつまでも響き渡っていた。

【現在のステータス】

名前:レイン

職業:冒険者(クラン『絆紋亭』マスター)

称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手 / 森の守護者 / 大地の開拓者

Lv:39(※シェル・ゴーレムの討伐とシーナの救出によりアップ)

HP:410 / 410

MP:210 / 210

【スキル】

・生活魔法 Lv.10(極まる)

・剣術 Lv.3

・解体 Lv.7

・野営技術 Lv.10(極まる)

・野戦調薬 Lv.10(極まる)

・植物知識 Lv.10(※真珠の苔の活用により極まる)

・建築・修繕 Lv.9

・鑑定 Lv.5

・気配察知 Lv.8(※レベルアップ)

・魔導知識 Lv.6(※レベルアップ)

・料理 Lv.10(極まる)

【固有スキル】

絆紋きずなもん:対象の魔物と心を通わせ、警戒心を解き放つ。集った魔物たちと精霊樹の魔力を調和させ、巨大な隠蔽と浄化の絶対結界を形成している。

【クラン『絆紋亭』メンバー】

空色小竜ソラ:絆レベル5

・銀色のウルフ(フェル):絆レベル5

・ポーションラビット(ピコ):絆レベル5

・クリスタル・ゲッコー(ルチル):絆レベル5

・スピリット・フォーン(ミエル):絆レベル5

・クリア・スライム(スイ):絆レベル5

宝石蜘蛛ルリ:絆レベル5

・雷鳴の怪鳥ライ:絆レベル5

・シャドウ・キャット(クロ):絆レベル5

・水妖のミロ:絆レベル5

・氷雪の幻獣マシロ:絆レベル5

・黄金の天馬ルミナ:絆レベル5

・花纏いの黒豹フロリア:絆レベル5

・月影の白蛇ルナ:絆レベル5

・人魚の少女シーナ:新規合流 / 絆レベル3

・未知の竜の卵:孵化待ち

・ウールシープの群れおよび森の小動物たち

・アイラ(女戦士・正式なクラン協力者)

・ルウ(魔導士・正式なクラン協力者)

・ゴット(薬師・正式なクラン協力者)

・エリス(見習い魔導士・クランメンバー)

・ドーラ(ドワーフの若き職人・クラン専属建築士兼鍛冶師)

・リナ(服飾職人・クラン専属仕立屋)

・シオン(元王都特級密偵・クラン専属防衛担当)

・セシル(元宮廷料理人・クラン専属料理人)

・フレア(元聖騎士・クラン専属護衛担当)


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