第18話 湯煙の朝と、焦熱の谷の亀
第18話 湯煙の朝と、焦熱の谷の亀
東の空が薄紫色から鮮やかな黄金色へと移り変わり、辺境の街アシュタルの輪郭が朝靄の中からゆっくりと浮かび上がってくる頃。
街のはずれ、小高い丘の上に位置する非公式クラン『絆紋亭』の拠点には、今日もまた優しく穏やかな朝の空気が満ちていた。
かつては雑草に覆われ、屋根も抜け落ちていた開拓民の廃屋は、今や見違えるほど立派なロッジ風の建物へと生まれ変わっている。庭には色とりどりの花が咲き乱れ、貴重なハーブが朝露に濡れてきらきらと輝き、その中心では伝説の樹木『星林檎』の若木が微かな銀色の光を放ちながらしっかりと根を張っていた。
そして、この丘に昨日から新たに加わった自慢の設備――ドワーフの少女職人ドーラの設計と、クランメンバー全員の協力によって一日で完成した『魔鉱石の露天風呂』から、豊かな湯煙が白いヴェールのように立ち上っていた。
「……ぷはぁーっ、極楽だ」
ひんやりとした朝の空気の中、俺ことレインは肩まで温かい温泉に浸かり、目を閉じて深く息を吐き出した。
微かな硫黄の香りと、周囲を囲むヒノキの柵の香ばしい匂いが混ざり合い、鼻腔をくすぐる。地中深くから湧き出る天然の温泉は、魔鉱石のレンガによって絶妙な温度に保たれており、これまで溜まっていた体の芯の疲労をじんわりと溶かしていくようだった。
「ほっほっほ、朝一番の風呂というものは、どうしてこうも命の洗濯になるのかのう。寿命がまた十年ほど延びた気分じゃわい」
男湯の隣では、老薬師のゴットが頭に小さな手ぬぐいを乗せ、極楽浄土にでも辿り着いたかのような穏やかな笑みを浮かべていた。
「ウォォン……」
「きゅるるぅ……」
俺の両隣の浅瀬では、銀色のウルフであるフェルと、空色小竜のソラが、お湯の温かさにすっかりとろけきった顔をしてうずくまっていた。
フェルは本来、水に濡れるのを嫌がるはずの狼だが、この温泉の絶妙な温度と心地よさには抗えなかったらしく、今ではすっかり朝風呂の虜になっている。見事な銀色の毛並みがお湯に濡れてぺったりとしている姿は、普段の威風堂々とした様子とは打って変わって愛嬌があった。
ソラに至っては、俺の膝の上に顎を乗せたまま、半分眠りかけている。その空色の鱗がお湯の中でキラキラと輝き、まるで美しい水底の宝石のようだった。
柵を隔てた隣の女湯からも、賑やかな声が聞こえてくる。
「はぁ〜っ、最高だねぇ! 朝からこんなでかい風呂に入れるなんて、冒険者稼業の疲れが全部すっ飛んじまうよ!」
豪快にお湯をかく音と共に、女戦士アイラの笑い声が響く。
「ちょっとアイラ、お湯を跳ねさせないでよ。……でも、確かにこのお湯、肌がすごくスベスベになるわね。魔力もじんわりと回復していくのが分かるわ」
魔導士のルウも、ツンとした態度を崩しきれないながらも、その声には明らかな歓喜が混じっていた。
「えへへ……私、こんなに贅沢な毎日を送ってしまっていいんでしょうか。なんだかバチが当たりそうですっ」
見習い魔導士のエリスが、幸せそうにはにかむ声。
「ふふん、ドワーフの最高傑作だからね! 魔鉱石の遠赤外線効果で、体の芯から温まる設計なのさ。さあピコ、ミエル、あんたたちもこっちの浅瀬においで!」
設計者であるドーラが誇らしげに胸を張る声と、「キュイッ!」「キュゥン♪」というポーションラビットのピコ、精霊獣ミエルの可愛らしい鳴き声が続く。
クリスタル・ゲッコーのルチルはお湯には入らず、温められた岩風呂の縁の石の上にへばりつき、岩盤浴のようにして気持ちよさそうに目を細めていた。
誰に急かされることもなく、厳しい規律や理不尽な命令に縛られることもない。
王都の勇者パーティーにいた頃は、朝といえば暗いうちから起き出し、冷たい井戸水で顔を洗う暇すら惜しんで、全員の武器を磨き、荷物をまとめ、火を起こし……ただひたすらに「足手まとい」と呼ばれないよう、必死に雑用をこなすだけの地獄のような時間だった。
それが今では、こんなにも温かいお湯の中で、信頼できる家族たちの気配を感じながら、ゆっくりと朝焼けの空を見上げている。
その圧倒的な幸福感に、俺は思わず口元を緩め、フェルの濡れた頭を優しく撫でた。
* * *
朝風呂を満喫し、さっぱりとした体でリビングへと戻ると、エリスとルウが協力して作ってくれた朝食がテーブルに並べられていた。
こんがりと焼き上げられた厚切りのベーコン、半熟の目玉焼き、庭で採れた新鮮なハーブをふんだんに使ったサラダ、そして、昨晩からじっくりと煮込まれたミネストローネ風のスープだ。
全員で席につき、「いただきます」の合図と共に賑やかな食事が始まる。
ソラやフェル、ピコたちのための特製プレートも用意され、魔物たちも夢中で新鮮な肉や野菜を頬張っていた。
「んんっ! エリス、今日のスープも最高に美味いね! トマトの酸味と肉の旨味が絶妙だよ!」
アイラが木のスプーンでスープをすくい、目を輝かせる。
「ありがとうございますっ! レイン様に教えていただいたスパイスの配合を、少しアレンジしてみたんです」
エリスが嬉しそうにはにかむ。
そんな和やかな朝食の席で、パンを齧りながら羊皮紙に何やらガリガリと羽ペンを走らせていたドーラが、不意に顔を上げた。
「ねえレイン。この拠点、生活するには申し分ない最高のお城になったけどさ、アタシが本格的に職人仕事をするための『工房』がまだないんだよね」
「工房? ああ、確かにドーラが鍛冶や工作をするための専用の場所は作ってなかったな」
「そう! だから、アタシの次のプロジェクトとして、この庭の隅に最高の『ドワーフ式・魔法窯(まほう釜)』を作ろうと思うんだ。窯があれば、みんなの武器の手入れも完璧にできるし、新しい道具や魔道具だって作り放題になるからね!」
ドーラがバンッとテーブルに叩きつけた羊皮紙には、精密で美しい窯の設計図が描かれていた。
確かに、俺の持つ『建築・修繕』スキルや『生活魔法』だけでは、高度な鍛冶作業や武具の本格的な打ち直しは難しい。クラン専属の職人となったドーラが本領を発揮できる工房があれば、これほど心強いことはなかった。
「素晴らしい提案だと思う。俺たちに手伝えることはあるか?」
俺が尋ねると、ドーラはニヤリと笑って大きく頷いた。
「もちろんさ! 窯を作るための図面も、基礎の石材も手配できる。だけど、肝心の窯の心臓部を作るための特別な素材が二つ足りないんだ。それが『耐火粘土』と『炎精石』さ」
「炎精石……たしか、常に高熱を帯びていて、極上の火力を生み出すことができる希少な鉱石でしたね」と、ルウが魔導士としての知識を披露する。
「その通り。その二つを手に入れるには、アシュタルの南西にある『焦熱の谷』って呼ばれる岩山地帯に行かなきゃならないんだ。あそこは熱気が強くて、アタシ一人じゃ荷物を運ぶのがきつい。だから、手伝ってほしいのさ!」
「焦熱の谷か。分かった、今日の依頼はそれにしよう。みんなで行って、最高の窯の材料を集めてこよう」
俺がそう宣言すると、アイラがガハハと笑って戦斧を担いだ。
「よっしゃ! 力仕事と護衛なら任せな! アタシの出番だね!」
「わ、私も荷物持ちの魔法や、冷却の魔法でサポートしますっ!」とエリスも気合を入れる。
こうして、クラン『絆紋亭』の面々は、ドーラの工房造りのための素材採取へと出発することになった。
メンバーは俺、ドーラ、アイラ、ルウ、エリスの人間に加え、鼻が利き索敵に優れたフェル、高所からの偵察が得意なソラ、そして身軽で岩場を跳ね回れるピコの三匹の魔物たちだ。ゴットとルチル、ミエル、ウールシープたちには拠点のお留守番をお願いし、俺たちは元気よくアシュタルの街を出発した。
* * *
アシュタルの街から南西へ歩くこと数時間。
豊かな緑に囲まれた森の景色は次第に姿を消し、ゴツゴツとした赤茶色の岩肌がむき出しになった荒涼とした地帯へと足を踏み入れた。
ここが『焦熱の谷』。地下深くを流れるマグマの熱が地表にまで伝わり、常に夏の真盛りのような猛暑と乾燥に見舞われている過酷な岩山地帯だ。
「ふぅ……さすがにここは暑いねぇ。汗が止まらないよ」
アイラが額の汗を拭いながら、持参した水筒の水をあおる。
「エリスちゃん、冷却魔法の出力をもう少し上げて。杖が熱を持っちゃうわ」
「は、はいっ! 『アクア・ブリーズ』!」
ルウの指示を受け、エリスが水の精霊に祈りを捧げて冷たい微風を発生させる。そのおかげで、俺たちは茹で上がるような熱気の中でも、なんとか快適に歩みを進めることができていた。
「ウォンッ!」
先頭を歩いていたフェルが、岩陰で立ち止まり、鋭く鼻を鳴らした。
「どうしたフェル、何か見つけたか?」
俺が駆け寄ると、フェルが前足で示した先の地面に、赤黒くひび割れた特殊な土の層が広がっていた。
「あっ! それだよレイン、それ! 見事な『耐火粘土』の層だ!」
ドーラが歓声を上げて駆け寄り、小さなツルハシを取り出してコンコンと土を叩き始めた。
「すごいじゃないかフェル、お手柄だな。よし、俺たちも手伝うぞ」
「任せな!」
アイラが豪快にツルハシを振るい、俺もスコップを使って、高品質な耐火粘土を次々と掘り出していく。ピコも短い前足を器用に使い、シャカシャカと土を掘るのを手伝ってくれた。
十分な量の耐火粘土を魔法の収納袋に収め終えると、ドーラは満足げに頷いた。
「よし、粘土は完璧だ。あとは『炎精石』だね。炎精石は、谷のさらに奥、地熱が一番高い場所にあるはずなんだけど……」
「きゅるるーっ!」
その時、はるか上空を旋回して偵察を行っていたソラが、急降下してきて俺の肩に留まり、谷のさらに奥の方角を翼で指し示した。
「奥に何かいるのか? よし、行ってみよう」
ソラの案内に従い、俺たちは谷の最深部へと足を踏み入れた。
そこは、岩の割れ目から赤いマグマがチラチラと覗き、硫黄の匂いが立ち込める巨大なすり鉢状のクレーターだった。そしてその中央に、小山と見紛うほどの巨大な魔物がうずくまっていたのだ。
「……あれは、『マグマ・トータス』か!」
ルウが息を呑んで声を上げた。
マグマ・トータス。火山地帯に生息する巨大な亀の魔物で、その甲羅は硬い岩石とマグマで構成されている。非常に温厚な性格で、自ら人間に危害を加えることは滅多にないが、怒らせれば大噴火を引き起こすほどの力を持つ、Aランク相当の強力な魔物だ。
しかし、そのマグマ・トータスの様子がどうもおかしい。
「グォォォ……ッ……」
苦しげな、重く低い唸り声を上げ、その巨大な頭を何度も岩肌に擦り付けている。よく見ると、その背中にそびえ立つ岩石の甲羅の隙間に、赤く輝く美しい結晶体――『炎精石』がびっしりと群生していた。
だが、その炎精石の根元の部分に、何やら黒くて蠢く無数の虫のような魔物が取り憑き、甲羅をガリガリと削り取っているのが見えた。
「あれは……『ロック・イーター』だ。硬い岩や鉱石を食い荒らす害虫魔物だよ。マグマ・トータスの甲羅に寄生して、痛めつけてるんだ!」
ドーラが顔をしかめて解説する。
(痛い……痒い……誰か、背中の悪い虫を取ってくれ……)
俺の脳内に、マグマ・トータスからの悲痛な感情が、ズシンと重い波動となって流れ込んできた。
本来なら自力で脱皮するか、マグマの熱で焼き払うはずなのだろうが、ロック・イーターが異常繁殖しすぎて手が負えなくなっているらしい。
「よし。俺があの子の背中を綺麗にしてやろう」
俺がそう言って一歩前に出ると、アイラが慌てて腕を掴んだ。
「おいレイン! いくら温厚な魔物とはいえ、あんな巨体に近づくのは危険だ! それに、あの背中の熱は半端じゃないぞ!」
「大丈夫だ。ルウとエリス、俺にありったけの冷却と耐熱の魔法をかけてくれ。それからドーラ、虫を取り除くための専用の道具を貸してくれないか」
俺の真剣な瞳を見て、仲間たちはゴクリと息を呑み、力強く頷いた。
「……分かったわ。絶対に無理はしないでよ。『アイス・シールド』!」
「『フリーズ・ベール』! レイン様、お気をつけて!」
ルウとエリスの魔法が何重にも俺の体を包み込み、ひんやりとした強力な冷気の鎧が形成された。ドーラからは、ドワーフ特製の『鉱石剥がしのノミとハンマー』を受け取る。
俺は両手を広げ、敵意がないことを示しながら、ゆっくりとマグマ・トータスへと近づいていった。
「グォォォ……!」
マグマ・トータスは俺の姿に気づくと、警戒して低い唸り声を上げたが、俺は右手の甲にある翠色の痣――『絆紋』の光を限界まで解放した。
「大丈夫だ。怖がらないで。君の背中の痛いのを、今取ってあげるから」
翠色の温かな波紋が、熱気渦巻くクレーター全体に広がっていく。
絆紋の波動がマグマ・トータスの心に届いた瞬間、その赤い双眸から警戒の色がスッと消え去り、代わりに助けを求めるような弱々しい色へと変わった。
「グゥゥ……」
マグマ・トータスは、俺を信頼するように、その巨大な頭をゆっくりと地面に伏せた。
「よし、いい子だ」
俺はマグマ・トータスの巨大な前足によじ登り、冷気の鎧に守られながら、灼熱の甲羅の上へと飛び乗った。
そこには、忌まわしいロック・イーターたちがびっしりと蠢いていた。
かつて、王都の勇者パーティーにいた頃。
俺の仕事は、戦闘後に仲間たちの武器についた血脂を落とし、鎧の隙間にこびりついた汚れを専用のノミで一つ一つ丁寧に削り落とすことだった。
『そんな地味な作業、誰でもできる。お前は本当に戦闘の役に立たない無能だな』
アレクたちは俺のその技術を鼻で笑い、見下していた。だが、誰よりも早く、正確に、武具を一切傷つけることなく汚れだけを完全に除去する俺の『清掃と修繕』の技術は、実は熟練のドワーフ職人すら凌駕するほどの領域に達していたのだ。
「今だ、いくぞ!」
俺はドーラから借りたノミとハンマーを両手に構え、目にも留まらぬ速さで甲羅の上を駆け回った。
カンッ! カンカンカンッ!!
小気味よい金属音が焦熱の谷に響き渡る。
俺はマグマ・トータスの甲羅そのものには一ミリの傷もつけることなく、寄生していたロック・イーターだけを正確に叩き落とし、弾き飛ばしていった。ロック・イーターの強固な顎も、俺の絶妙な角度と力加減のハンマー捌きの前では無力であり、次々と甲羅から剥がれ落ちていく。
十分後。
俺が最後の一匹を甲羅から弾き飛ばすと、マグマ・トータスは「グォォォォーッ!!」と、痛みが完全に消え去った歓喜の咆哮を上げた。
同時に、甲羅の上に群生していた古い『炎精石』が、古い角質が剥がれ落ちるように、ボロボロと大量に地面へとこぼれ落ちていった。これは、寄生虫のせいで滞っていたマグマ・トータスの自然な脱皮現象だった。
「ふぅ……これでスッキリしたな」
俺が甲羅から飛び降り、冷気の鎧を解いて汗を拭うと、マグマ・トータスはその巨大な鼻先を俺の胸に優しくすり寄せてきた。
(ありがとう……あたたかい人。これ、お礼……持っていって)
マグマ・トータスは、地面に落ちた大量の、そして最高純度の『炎精石』を前足で俺の方へと押しやってくれた。
「こ、これはすごい……! 全部、特級品の炎精石じゃないか!」
ドーラが駆け寄り、目をキラキラと輝かせて石を拾い上げる。
「ありがとう。大切に使わせてもらうよ」
俺が微笑んでマグマ・トータスの鼻先を撫でてやると、巨亀は満足げに目を細め、再びマグマの奥深くへとゆっくり帰っていった。
「すげえ……あんな巨大な魔物の背中を、一瞬でピカピカにしちまうなんて……お前のその手際の良さ、一体どこで覚えたんだ?」
アイラが信じられないものを見るような目で俺を見た。
「はは、昔、仲間の武器の手入れを毎日やらされてたからね。それがこんなところで役に立つとは思わなかったよ」
俺が苦笑いすると、ルウもエリスも、そしてドーラも、深く感心したように俺を見つめていた。
* * *
その日の夕暮れ。
無事にクラン『絆紋亭』へと帰還した俺たちは、ドーラの指揮のもと、早速『魔法窯』の建設に取り掛かった。
掘り出してきた耐火粘土で頑丈な土台と外壁を作り、その心臓部に、マグマ・トータスから譲り受けた特級品の炎精石を組み込んでいく。ソラのブレスで急速乾燥させ、ルウとエリスの魔法で強固な魔力コーティングを施せば、あっという間に立派なドワーフ式・魔法窯の完成だ。
「よし! 完璧な仕上がりだよ! これなら、どんな名剣でも、どんな頑丈な防具でも打ち直せる最高の工房になるね!」
ドーラが完成したばかりの窯の前で、誇らしげに胸を張った。
夕日に赤く染まる庭では、留守番をしていたミエルやルチルたちが、完成した窯を珍しそうに囲んでいる。フェルとピコも、自分たちが協力して持ち帰った素材で作られた窯を前に、どこか誇らしげな顔をしていた。
「本当にお疲れ様、みんな。これでまた一つ、この拠点が便利で賑やかな場所になったな」
俺がそう言うと、アイラが背中をバシッと叩いた。
「さあ、仕事の後はあれだろ! 完成したばかりの露天風呂に入って、そのあとは極上の夕飯だ!」
「大賛成ですっ! 今日の夕食は、お祝いの特別メニューにしましょう!」
エリスが満面の笑みで両手を挙げる。
笑い声が飛び交う中、俺たちの新しい施設が、また一つ『絆紋亭』に加わった。
王都の勇者パーティーでは「無能」と切り捨てられた俺の雑用技術が、ここでは魔物を救い、仲間たちの笑顔を作り出す最高の力となっている。
失った過去を嘆く必要なんてない。俺には今、この温かくて騒がしい、最高の居場所があるのだから。
心地よい疲労感と共に、一番星が瞬き始めた空を見上げながら、俺は深い幸福感に包まれていた。
【現在のステータス】
名前:レイン
職業:冒険者(クラン『絆紋亭』マスター)
称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手 / 森の守護者
Lv:27(※魔物の救済と採取により微増)
HP:290 / 290
MP:90 / 90
【スキル】
・生活魔法 Lv.7
・剣術 Lv.3
・解体 Lv.5
・野営技術 Lv.8
・野戦調薬 Lv.6
・植物知識 Lv.5
・建築・修繕 Lv.7(※ドーラとの窯作り、マグマ・トータスの甲羅清掃で大幅アップ)
・鑑定 Lv.3
・気配察知 Lv.4
・魔導知識 Lv.2
・料理 Lv.5
【固有スキル】
・絆紋:対象の魔物と心を通わせ、警戒心を解き放つ。深い絆を結んだ魔物と感覚や力を共有できる。
【クラン『絆紋亭』メンバー】
・空色小竜:絆レベル5
・銀色のウルフ(フェル):絆レベル5(※絆深化、完全な信頼)
・ポーションラビット(ピコ):絆レベル5(※絆深化、完全な信頼)
・クリスタル・ゲッコー(ルチル):絆レベル4
・スピリット・フォーン(ミエル):絆レベル4
・ウールシープの群れおよび森の小動物たち
・アイラ(女戦士・正式なクラン協力者)
・ルウ(魔導士・正式なクラン協力者)
・ゴット(薬師・正式なクラン協力者)
・エリス(見習い魔導士・クランメンバー)
・ドーラ(ドワーフの若き職人・クラン専属建築士兼鍛冶師)
・マグマ・トータス(焦熱の谷の友好的な隣人として縁を結ぶ)
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