第17話 新たな建築と、ドワーフの職人
第17話 新たな建築と、ドワーフの職人
東の空が薄紫から黄金色へと移り変わり、辺境の街アシュタルを包み込んでいた朝靄が静かに晴れていく頃。
街のはずれ、小高い丘の上に位置する非公式クラン『絆紋亭』の拠点には、今日もまた優しく穏やかな朝の空気が満ちていた。
かつては雑草に覆われ、屋根も抜け落ちていた開拓民の廃屋は、今や見違えるほど立派なロッジ風の建物へと生まれ変わっている。庭には色とりどりの花が咲き乱れ、貴重なハーブが朝露に濡れてきらきらと輝いている。そしてその中心には、先日アース・ベアから譲り受けた伝説の樹木『星林檎』の若木が、微かな銀色の光を放ちながらしっかりと根を張っていた。
ひんやりとした朝の空気が開け放たれた窓から流れ込み、ふかふかのベッドで眠る俺、レインの頬を撫でた。
「きゅるる……」
枕元から聞こえてきた愛らしい寝息に、俺はゆっくりとまぶたを開けた。すぐ横では、空色小竜のソラが体を丸め、無防備な姿で心地よさそうに眠っている。その美しい空色の鱗は、差し込んできた朝日に照らされて宝石のように輝いていた。
そっと手を伸ばし、ソラの温かい背中を撫でてやると、くすぐったそうに身をよじらせ、ぱちりと黄金色の瞳を開いた。
「おはよう、ソラ。今日もいい天気だな」
「きゅっ!」
ソラは元気よく短く鳴くと、小さな翼をパタパタと羽ばたかせて俺の胸元に飛び乗ってきた。その心地よい重みと温もりを感じながら、俺はゆっくりとベッドから身を起こした。
一階へ降りてリビングを抜け、裏庭のハーブガーデンへと出ると、そこにはすでに先客たちがいた。
「ウォンッ!」
「キュイッ!」
朝の澄んだ空気の中、見事な銀色の毛並みを風になびかせているのは、大型のウルフであるフェルだ。かつて群れからはぐれ、傷ついていたところを保護した誇り高き狼は、今やすっかりこのクランの頼れる家族となっている。
そして、そのフェルの周りをぴょんぴょんと軽快に跳ね回っているのは、純白の毛並みを持つポーションラビットのピコだ。フェルがわざと歩幅を合わせてピコを追いかけ、ピコがトリッキーな動きでそれをかわす。種族も大きさも全く違う二匹だが、『絆紋』を通じて心を繋いだ彼らの間には、本物の兄弟のような深い信頼関係が築かれていた。
「おはよう、フェル、ピコ。朝から元気だな」
俺が声をかけると、フェルはふさふさの尻尾を大きく振って俺の足元に駆け寄り、その大きな頭をぐりぐりと押し付けてきた。ピコも俺の足の甲にちょこんと乗り、短い前足で顔を洗うような仕草を見せる。二匹の柔らかな毛並みを撫でてやると、指先からじんわりと温かな愛情が伝わってくる。
「キュキュッ」
足元から微かな声がして視線を落とすと、縁側の木材の隙間から、クリスタル・ゲッコーのルチルが顔を出していた。ルチルの体表を覆う鉱石の鱗は、朝の光を乱反射して虹色にきらめいている。
「おはよう、ルチル。よく眠れたか?」
指先でその冷たくて滑らかな頭を撫でてやると、ルチルは気持ちよさそうに目を細め、ちろちろと舌を出した。
さらに庭の奥、色とりどりの野花が咲き乱れる一角では、精霊獣のミエルが静かに佇んでいた。純白の毛並みと水晶のような小さな角、背中の蝶のような翼が、朝の光を浴びて神々しいほどの美しさを放っている。ミエルはこちらに気づくと、「キュゥン」と優しく澄んだ鳴き声を上げ、優雅な足取りで近づいてきて俺の手のひらに鼻先を擦りつけた。
庭の隅ではウールシープの群れが「メェ~」と鳴きながらのんびりと干し草を食み、小鳥の魔物たちが木々の枝で美しいさえずりを響かせている。
かつて、王都の勇者パーティーに所属していた頃。
俺の朝は、誰よりも早く起き出し、冷たい水で顔を洗う暇もなく仲間たちの武器の手入れをし、火を起こし、彼らの機嫌を損ねないようにビクビクしながら朝食の準備に追われるという、息の詰まるような時間だった。
『お前はもう、いらない』
その一言で居場所を奪われ、すべてを失ったと思っていた。
だが、どうだろう。今、俺の目の前に広がるこの光景は。
信頼できる仲間たちと、心を通わせた魔物たち。誰に急かされることもなく、自分のペースで深呼吸ができるこの空間。俺は今、世界中の誰よりも幸福な朝を迎えているという確信があった。
「さて、みんなのお腹が空く前に、朝飯の準備をするか」
俺がそう呟いて厨房に戻ろうとした時、勝手口の扉がギィッと開き、エプロン姿の可愛らしい少女が顔を出した。
「あ、レイン様! おはようございます!」
大きな眼鏡をかけた見習い魔導士のエリスだった。彼女はクランに加入して以来、俺から生活魔法や薬草の知識を教わりながら、積極的に家事やクランの仕事を手伝ってくれている。
「おはよう、エリス。早いな」
「はいっ! 今日は私が朝食のスープの仕込みをしようと思って、少し早く起きたんです。昨日の夜のうちに、アイラさんたちが狩ってきてくれたフォレスト・ボアの骨で出汁を取っておいたんですよ」
「それは助かるよ。じゃあ、俺はパンを焼いて、ベーコンエッグとサラダの準備をしようかな」
二人で厨房に立ち、手際よく朝食の準備を進める。
エリスが魔法で火力を絶妙に調整しながら大鍋をかき混ぜると、厨房いっぱいに肉と野菜の煮込まれた濃厚で食欲をそそる香りが広がっていく。俺は『料理』スキルと『植物知識』を活かして、庭で採れたばかりの新鮮なハーブと葉野菜を絶妙なバランスでボウルに盛り付け、特製の酸味の効いたドレッシングを手早く作り上げた。
さらに、分厚く切った自家製ベーコンをフライパンでじっくりと焼き、その脂で新鮮な卵を半熟に仕上げる。石窯の魔道コンロを使って、ふっくらとした白パンと、木の実を練り込んだ香ばしい黒パンの二種類を焼き上げれば、完璧な朝食の完成だ。
大きな木製のテーブルに大皿を並べ終えたちょうどその時、待ち構えていたかのように玄関の扉が勢いよく開いた。
「おーっす! いい匂いが外まで漂ってきたぜ! 腹ペコだ!」
巨大な戦斧を背負った女戦士アイラが、豪快な笑い声を上げながら入ってきた。
「ちょっとアイラ、朝から声が大きいわよ。耳が痛くなるじゃない……ふぁあ、おはようレイン、エリスちゃん」
その後ろから、眠そうに目をこすりながら杖をついた少女魔導士ルウが続く。
「ほっほっほ、美味い朝飯の匂いに釣られて、年寄りも早く目が覚めてしまったわい」
最後に、ニコニコと穏やかな笑みを浮かべた老薬師ゴットが姿を現した。
「おはよう、みんな。ちょうどできたところだ。さあ、冷めないうちに食べよう」
俺の言葉を合図に、全員がテーブルにつき、朝食の時間が始まった。
もちろん、テラス側にはソラやフェル、ピコたちのための特製魔物用プレート(新鮮な生肉や、魔力を含んだ特上野菜の盛り合わせ)も用意してある。フェルは豪快に肉を噛みちぎり、ピコはシャキシャキとした野菜を幸せそうに頬張っていた。
「んんっ! このスープ、骨の髄まで旨味が溶け出してて最高だね! エリス、料理の腕を上げたじゃないか!」
アイラが木のスプーンで熱々のスープを口に運び、目を輝かせる。
「えへへ、ありがとうございます! レイン様に火加減のコツを教えていただいたおかげです」
エリスが照れくさそうに笑い、ルウも焼きたてのパンに半熟のベーコンエッグを乗せて大きく口を開けた。
「……んーっ、パンの香ばしさとベーコンの塩気が絶妙ね。王都の高級レストランの朝食よりもずっと美味しいわ」
「ほっほっほ、このサラダに使われているハーブも、朝採れで香りが一段と引き立っておる。体が内側から浄化されるようじゃ」
賑やかな話し声と、カチャカチャと食器の触れ合う音。テラスからは魔物たちが美味しそうに食事をする咀嚼音が聞こえてくる。
俺は自分の分のコーヒーをゆっくりと啜りながら、この温かい光景をただ静かに眺めていた。
* * *
朝食を終え、和やかなティータイムを楽しんでいたその時だった。
クランの敷地の外から、ゴトゴトと重たい車輪の音が近づいてきた。そして、手作りの木の門がドンドンと力強く叩かれる。
「おや? こんな朝早くからお客さんかい?」
アイラが不思議そうに首を傾げる。
俺が立ち上がって門へと向かい、扉を開けると、そこには見覚えのある立派な髭を蓄えたドワーフの老人が立っていた。先日、木漏れ日の森でアース・ベアから星林檎の若木を保護した際に助けた、『鉄床商会』の商人だ。
その後ろには、大量の木材や石材を積んだ大型の荷馬車が停まっており、さらに老ドワーフの隣には、作業着のオーバーオールに身を包み、頭に防塵ゴーグルを乗せた小柄なドワーフの少女が立っていた。
「おおっ、レイン殿! 朝早くからすまんな!」
「これは鉄床商会の。わざわざご足労いただいて、どうしたんですか? 荷物もずいぶん多いようですが」
老ドワーフはガハハと豪快に笑い、自分の隣にいる少女の背中をバンバンと叩いた。
「実はな、先日の街道での一件、商会の者たちに話したら大騒ぎになってな。我らの誇りである商品を傷つけることなく、しかも伝説の星林檎まで救い出したお主に、ぜひともきちんとした礼をしたいということになったのじゃ。そこで、我が商会が誇る最高の『建築士』兼『鍛冶師』である、わしの孫娘を連れてきたというわけじゃ!」
「えっ、お孫さんですか?」
俺が驚いて少女を見ると、彼女はオーバーオールのポケットに両手を突っ込んだまま、ジッと俺を値踏みするように見上げてきた。ドワーフ特有の筋肉質でがっしりとした体つきながらも、顔立ちはあどけなく、くりくりとした大きな瞳が印象的だ。
「……あんたが、噂の絆紋使いのレインってやつね。アタシはドーラ。鉄床商会で一番の腕を持つドワーフの職人だよ」
「あ、ああ。よろしく、ドーラさん」
「さん付けなんていらないよ。じいちゃんから話は聞いてる。どんな凶暴な魔物でも手懐ける、変わった冒険者だってね。……でも、まさか本当にこんなにたくさんの魔物を放し飼いにしてるなんてね」
ドーラの視線の先では、門の近くまでやってきたフェルが興味深そうに匂いを嗅ぎ、頭の上をソラがパタパタと飛び回っていた。
「驚かせて悪かったね。でも、みんな賢くて優しい子たちばかりだから、危害は加えないよ」
「ふーん……まあ、ドワーフは嘘を見抜く目を持ってる。あんたも、この魔物たちも、悪い気配はしないね。合格だよ」
ドーラはニヤリと笑うと、背中に背負っていた巨大なハンマーをドンッと地面に突き立てた。
「で、だ。今日アタシがここに来たのは、あんたたちに『恩返し』をするためさ」
「恩返し?」
「そう! この『絆紋亭』、手作り感があって悪くない建物だけど、水回りの設備が全然なってないじゃないか! こんなに大勢の人間と魔物が暮らしてるのに、井戸水を汲み上げて水浴びするだけなんて、ドワーフの職人魂が許さないね! だから今日、アタシがここに最高級の『露天風呂』を作ってやることにしたのさ!」
「ろ、露天風呂!?」
俺だけでなく、後ろで話を聞いていたアイラやルウ、エリスも揃って素頓狂な声を上げた。
「ああ、そうさ! 昨日、この丘の地脈をアタシの探知具で調べたんだけどね。少し掘れば、極上の温泉水脈にぶち当たるはずなんだ。荷馬車に積んであるのは、耐熱性に優れた特注のレンガと、保温効果のある魔鉱石さ。これを使えば、人間も魔物も一緒に入れるデカい風呂が作れる!」
露天風呂。
王都にいた頃ですら、貴族の屋敷か超高級宿にしか備わっていないような贅沢な設備だ。それをこの辺境のクランハウスに作ってくれるというのか。
「お、おいおい、そんな大掛かりな工事、タダでやってもらうわけには……」
「馬鹿言ってんじゃないよ! あんたが救ってくれた商会の荷物は、露天風呂百個分の価値があるんだ。これでもまだ足りないくらいさ。それに……アタシ自身が、こういう面白い場所に自分の作品を残したいって思ったんだから、黙って作らせな!」
ドーラの職人としての熱意と、老ドワーフの「どうか受け取ってくれ」という真摯な眼差しに、俺は断る言葉を見つけられなかった。
「……分かりました。そこまで言ってくれるなら、お言葉に甘えます。俺たちも全力で手伝わせてください。俺も『建築・修繕』のスキルを少しだけ持っているんです」
「おっ、言うじゃないか! なら話は早い、すぐに取り掛かるよ!」
* * *
ドーラの指示のもと、クラン『絆紋亭』の総力を挙げた露天風呂建設プロジェクトが幕を開けた。
場所は、裏庭のハーブガーデンから少し離れた、見晴らしの良い丘の斜面に決定した。
「まずは温泉を掘り当てるよ! ルウって言ったね、あんたの土魔法で、アタシが指定したポイントを深く掘り下げておくれ!」
「わ、分かったわ。大地の精霊よ、我が声に応え、その道を穿て!『アース・ディグ』!」
ルウの魔法によって、指定された地面がズゴゴゴという音を立てて深くすり鉢状に掘り下げられていく。
「よし、水脈まであと少しだ。アイラ、あんたのそのバカでかい斧で、あの岩盤をぶち割ってくれ!」
「任せな! アタシの自慢の怪力を見せてやるよ! せいッ!」
アイラが戦斧を振り下ろすと、轟音と共に硬い岩盤が砕け散った。その瞬間、プシューッ!と勢いよく白い湯気が噴き出し、熱いお湯がこんこんと湧き出してきた。
「大成功だ! 次は浴槽の組み立てだよ! レイン、あんたは魔鉱石のレンガをアタシの指示通りに並べて、その上から魔力でコーティングしてくれ!」
「分かった!」
俺は『建築・修繕』スキルと『生活魔法』をフル活用し、ドーラが削り出した石材を寸分の狂いもなく組み上げていく。ドーラは俺の手際の良さを見て、「へぇ、素人にしては驚くほど丁寧で速いじゃないか」と感心したように目を丸くしていた。
人間たちだけでなく、魔物たちも大活躍だった。
「ウォンッ!」
フェルは持ち前の豊かな筋力を活かし、荷馬車から重たい丸太を咥えて運んでくる。
「キュイッ!」
ピコは小さな前足を高速で動かし、排水用の溝をあっという間に掘り進めていく。
「きゅるるーっ!」
ソラは空を飛び回りながら、組み上がったレンガの隙間に詰められた粘土に向かって微弱な火炎の息を吹きかけ、急速乾燥させて強度を高めるという神業を見せていた。
ウールシープたちは運ばれてきた資材のクッション代わりになり、エリスとゴットは作業の合間に冷たいお茶や塩分補給の軽食を配って回った。
誰一人欠けることなく、全員の力と絆が一つに結集していく。
ドーラの的確な指示と、クランメンバーの圧倒的な手際により、通常なら数週間はかかるであろう露天風呂の建設作業は、なんとその日の夕暮れ前にはほぼ完成してしまった。
「……ふぅ、できた! 完成だよ!」
ドーラが額の汗を拭いながら声を上げると、全員から「おおぉーっ!」と歓声が上がった。
そこには、十人以上が余裕で入れる広々とした岩風呂があった。周囲には目隠しと風情を兼ねた美しいヒノキの柵が巡らされ、湯口からはこんこんと透明な温泉が流れ込んでいる。湯気と共に漂う、微かな硫黄と木々の香りが心地よい。さらに、魔物たちも入りやすいように、浅瀬のステップまで設けられているという親切設計だった。
「すげえ……本当にたった一日でできちゃったよ」
俺が感嘆の息を漏らすと、ドーラは得意げに鼻を鳴らした。
「ふん、アタシの設計と、あんたたちのバカみたいな連携力のおかげさ。人間と魔物がこんなに息ぴったりに土方作業をするなんて、ドワーフの長い歴史でも聞いたことがないよ」
ドーラはそう言って、少しだけ表情を和らげた。
「……レイン。あんたのこのクラン、本当にいい場所だね。みんなが平等で、誰も誰かをこき使ったりしない。みんなで笑いながら一つのものを作り上げる。職人として、これ以上ワクワクする現場はなかったよ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。ドーラさんの設計があったからこそだ」
「ねえ、レイン」
ドーラが少しモジモジとしながら、俺を見上げて言った。
「アタシさ……この『絆紋亭』の専属の職人として、出入りさせてもらえないかな? もちろん、商会の仕事は続けるけど……あんたたちが集めてくる変な素材を使って、もっともっと面白い建物をここで作ってみたいんだ!」
その申し出に、俺は迷うことなく満面の笑みで頷いた。
「もちろん大歓迎だ。ドーラが来てくれるなら、これほど心強いことはないよ」
「本当かい!? やった! よろしく頼むよ、マスター!」
* * *
その夜。
夕日に染まる空が次第に藍色へと変わり、一番星が瞬き始めた頃。
俺たちは、完成したばかりの露天風呂に早速浸かっていた。
「ぷはぁーっ……! 極楽だねぇ……!」
男湯(柵で男女は仕切られている)で、ゴットが頭にタオルを乗せながら深く息を吐き出す。
「ああ、最高だな。体の芯から疲れが溶けていくみたいだ」
俺も肩までお湯に浸かり、目を閉じて温泉の温もりを堪能していた。
「ウォン……」
「きゅるる……」
俺の両隣では、フェルとソラが浅瀬に体を沈め、気持ちよさそうに目を細めてとろけそうな顔をしている。ピコやルチルたちも、お湯の温かさが気に入ったようで、岩場でうっとりとしていた。
柵の向こう側、女湯からも賑やかな声が聞こえてくる。
「はぁ〜、お肌がツルツルになるわね、このお湯。ドーラ、あんた本当にいい仕事したじゃない」
「へへっ、だろ? 魔鉱石の保温効果で、湯冷めもしないんだからね!」
「わ、私、こんなに大きなお風呂に入るの初めてで……すごく幸せですっ」
みんなの楽しそうな笑い声が、夜空に吸い込まれていく。
王都を追放され、あてもなく辺境へ流れ着いたあの日。俺は完全に独りぼっちだった。
だが今は、こんなにも温かいお湯の中で、かけがえのない家族たちの気配を感じながら笑っている。
「急ぐ必要なんて、やっぱりどこにもないんだな」
夜風が心地よく吹き抜け、湯煙を揺らす。
新しくドワーフの職人という心強い仲間を迎え入れたクラン『絆紋亭』の夜は、これからもどこまでも温かく、幸せに満ちたまま更けていくのだった。
【現在のステータス】
名前:レイン
職業:冒険者(クラン『絆紋亭』マスター)
称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手 / 森の守護者
Lv:26
HP:280 / 280
MP:85 / 85
【スキル】
・生活魔法 Lv.7(※レベルアップ)
・剣術 Lv.3
・解体 Lv.5
・野営技術 Lv.8
・野戦調薬 Lv.6
・植物知識 Lv.5
・建築・修繕 Lv.6(※ドーラとの共同作業で大幅アップ)
・鑑定 Lv.3
・気配察知 Lv.4
・魔導知識 Lv.2
・料理 Lv.5
【固有スキル】
・絆紋:対象の魔物と心を通わせ、警戒心を解き放つ。深い絆を結んだ魔物と感覚や力を共有できる。
【クラン『絆紋亭』メンバー】
・空色小竜:絆レベル5
・銀色のウルフ(フェル):絆レベル4
・ポーションラビット(ピコ):絆レベル4
・クリスタル・ゲッコー(ルチル):絆レベル4
・スピリット・フォーン(ミエル):絆レベル4
・ウールシープの群れおよび森の小動物たち
・アイラ(女戦士・正式なクラン協力者)
・ルウ(魔導士・正式なクラン協力者)
・ゴット(薬師・正式なクラン協力者)
・エリス(見習い魔導士・クランメンバー)
・ドーラ(ドワーフの若き職人・クラン専属建築士として新規加入)




