第153話 機械都市の迷宮と、鋼の錬金術師
第153話 機械都市の迷宮と、鋼の錬金術師
辺境の街アシュタルの東、小高い丘に広がる特級クラン『絆紋亭』の拠点であり、『絆紋公国』の中心地であるこの場所は、世界が真の平和と調和に向けて確かな歩みを進める中、今日もまた、この星のどの場所よりも優しく、奇跡のような温もりに満ちた朝を迎えていた。
庭の中央にそびえ立つ巨大な精霊樹は、深淵の虚無や旧魔王城の怨念を完全に浄化した極上の光をたっぷりと吸収し、もはや一つの大森林と見紛うほどの神聖なる大樹へと成長を遂げている。その豊かに茂ったエメラルドグリーンの枝葉が朝の心地よい風に揺れるたび、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋が広がり、拠点全体を極上の癒やしのオーラで包み込んでいた。
「ウォンッ!」
「キュイッ!」
「きゅるるーっ!」
澄み切った青空の下、縁側で朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいる俺の足元へ、一番最初に俺の固有スキルである『絆紋』を受け入れ、共に歩み始めた最古参の相棒たち――銀色のウルフ『フェル』、純白のポーションラビット『ピコ』、そして空色小竜の『ソラ』が競い合うように飛び込んできた。
彼らの後に続くように、水豹のリン、幻宝石獣のキラ、白銀の幼熊ブラン、空間転移を操る銀狐のギン、鋼棘の鎧獣マル、疾風の隼ゲイル、影猫のシャロ、水妖の獺ミロ、風精のリスのルル、土精の土竜ドロ、星翼の梟ステラ、幻影の蝶ファル、雲羊のモフ、木精の栗鼠コノ、鎌鼬のタマ、鋼殻の戦亀カメ、雷雲の幼鳥ライたちが一斉に集まってくる。
さらに、これまでの救済活動や世界各地の開拓、そして空海陸の冒険で仲間になった無数の魔物たち――晶雪の霊狐フブキ、白銀の守護熊ヒョウガ、月氷の白梟マシロ、清冬の妖精リッカ、星砂の霊狐ミラ、緑洲の霊亀スナ、天光の聖隼ソル、水鏡の妖精ガラ、鋼玉の霊熊ルビ、紫電の霊鷹アメ、翠玉の霊蛇エメ、琥珀の機蜘蛛アン、蒼波の霊竜ソウ、命瑚の霊亀サンゴ、癒光の聖月ユア、水鏡の妖精ミナ、天翔の霊鷲テン、春風の鎌鼬ハル、雲海の霊蛇クモ、風雅の妖精フウたちも、すっかり拠点に馴染み、わらわらと俺の周囲に集まり、種族や属性の壁を越えて心地よさそうに喉を鳴らしている。
「おはよう、みんな。今日も元気いっぱいだな。テン、あまり翼を大きく広げると、庭の植木鉢が倒れてしまうぞ。ハルも、ピコと一緒に走り回るのはいいが、朝の静けさを大切にな」
俺が彼らの頭を順番に優しく撫でると、魔物たちは心底嬉しそうに目を細め、尻尾を振って応えた。庭の奥では、漆黒の竜ノヴァや紅蓮の火蜥蜴ガエン、鋼角の犀ザイン、岩砕の巨獣ダグといった大型組も、朝の日差しを浴びて気持ちよさそうに背伸びをしている。圧倒的な力を持つ彼らがこうして穏やかにまどろむ風景こそが、俺たちが守り抜くべき真の平和の象徴だった。
「レイン様、朝食の準備が整いましたよ!」
厨房から、見習い魔導士のエリスと元宮廷料理人のセシルが、賑やかな声を上げた。
ダイニングルームの巨大なテーブルには、特製の魔力小麦で作った『焼きたてのチーズフォカッチャ』に、農学者セリーヌが育てた新鮮なキノコをふんだんに使った『濃厚なクリームポタージュ』、そして砂漠の巫女ナディアが持参した特製スパイスで味付けされた『極上オーク肉の厚切りグリル』が並べられている。
「ガハハ! 今日も飯が美味いねぇ! 空の飛空艇技師シドもすっかりクラウスと意気投合して新しいエンジンの開発に夢中だし、アタシらの陣営もますます活気が出てきたじゃないか!」
女戦士のアイラが、オーク肉を豪快に頬張りながら大笑いする。
「ええ。シドの風力機関とクラウスの魔導機関、そしてセブンの古代知識が融合し、公国の科学技術は今や一つの頂点に達しつつありますわ。ですが、その技術の根幹を支える『特殊金属』の加工において、新たな拠点からのSOSが届いております」
少女魔導士のルウも、優雅にポタージュを飲みながら、冷徹な分析の中に確かな警戒心を滲ませて微笑んだ。
「新しい技術には、必ず新しい試練が伴うもの。我が神速の剣、今日も淀みなく冴え渡っております」
剣聖シルヴィアが静かに紅茶のカップを置いた。
朝食を終えた俺たちが執務室へ向かうと、そこには首席文官のエレナと特級密偵のシオンに加え、新しく仲間に加わった魔導技師クラウスと飛空艇技師シドが、青ざめた表情で巨大な大陸地図の中央東方――『古代工業都市オルクス』と呼ばれる領域を指し示していた。
「レイン様、おはようございます。本日は私とシド君で共同開発を進めていた新型飛空艇のテスト飛行中に入った、深刻な緊急連絡についてご相談があります」
クラウスが深く一礼し、緊迫した声で報告を始める。
「かつて古代魔法文明の金属加工と錬金術の中心地だった『工業都市オルクス』ですが、世界的な魔力変動の影響で、都市の地下に眠っていた『自動防衛プロトコル』が誤作動を起こし、都市全体が巨大な迷宮と化して暴走を始めているのです」
「古代の工業都市が迷宮化して暴走した……。放置すれば、周囲の開拓地や交易路が完全に破壊されるな」
俺が推測を口にすると、シオンが険しい表情で報告を引き継いだ。
「はい……。その暴走の影響で、都市の地下工房に閉じ込められてしまった一人の『天才錬金術師』から救助要請の魔導通信が届いています。彼女は都市の暴走を内側から止めようと単独で中枢へ潜入したものの、暴走した機巧魔獣たちに囲まれ、絶体絶命の危機にあるとのことです」
「頭を上げてくれ、二人とも。危険な迷宮に飛び込んだ仲間を、俺たちが見過ごすわけがないだろう」
俺が優しく彼らの肩に手を置くと、教官陣も力強く頷いた。
「ガハハ! 機械仕掛けの迷宮だろうがなんだろうが、アタシの斧でガラクタの山に変えてやるよ!」
「暴走した錬金術には極限の冷気を。私の絶対零度で、中枢コアごと凍てつかせて差し上げますわ」
「いかなる迷宮であろうと、我が剣の太刀筋が揺らぐことはありません。一刀両断にしてみせましょう」
「よし。フェル、ピコ、ソラも一緒に行くぞ。過酷な地下迷宮での戦闘だ。空間転移のギン、工業都市オルクスの正門前まで一気に跳躍してくれ!」
「ウォォォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」
俺たちは万全の準備を整え、銀狐ギンの空間転移魔法によって、重厚な石と鉄で造られた古代の街並みが広がる『工業都市オルクス』へと一気に跳躍した。
空間跳躍を終え、俺たちが降り立ったのは、工業都市オルクスの巨大な正門前だった。
周囲は立ち並ぶ溶鉱炉から黒煙が上がり、街のあちこちから金属が擦れ合う異様な駆動音と、魔導回路がショートする激しい火花が散っている。
その正門のすぐ内側で、無数の機械仕掛けの魔獣たちに包囲されながら、必死に錬金術の防壁を展開している一人の少女の姿があった。
彼女の名前は『リリー』。古代錬金術の継承者でありながら、機械と物質を自在に変化させる類まれな才能を持つ、気丈な天才錬金術師だった。
「くそっ……! 防壁の魔力が持たない! このままじゃ、私の研究データと一緒にスクラップにされちゃう!」
リリーが血を吐くような叫びを上げながら錬金術の陣を展開し、周囲に次々と鉄の壁を生成して時間を稼ぐ。しかし、地下のメイン工房から無限に湧き出してくる暴走した機巧魔獣の群れに対し、彼女の体力と魔力はすでに限界を超えていた。
「ギギギギギ……!」
全身が黒ずんだ耐熱合金と鋭い歯車で構成された巨大な機械の獅子――『機巧の重戦車獅子』が、巨大な鉄の爪を振り下ろし、ついにリリーの最後の防壁を粉砕した。
防壁が砕け散り、そこから無数の『自律式魔導弾』がリリーへと雪崩れ込んでくる。
「しまった……!」
リリーが魔力切れで膝をつき、絶望の瞳で迫り来る魔導弾の群れを見上げた、その瞬間だった。
「よく一人で持ち堪えたな。あとは俺たちに任せろ!」
黒煙を切り裂いて、俺の声が工業都市に響き渡った。
「フェル、ピコ、ソラ! リリーに群がる機巧魔獣どもを散らせ!」
「ウォォォンッ!!」「キュイッ!!」「きゅるるーっ!!」
フェルの天雷が金属の街並みに轟き、重戦車獅子の駆動系を完全に麻痺させる。ピコの浄化の蹴りが炸裂し、リリーに群がる魔導弾たちを蹴り飛ばして無力化する。ソラの神聖なブレスが、周囲に蔓延する機械油と焦げた魔力を中和し、リリーの周囲の空気を清浄なものに変えた。
「な、なに……!? あなたたちは……?」
膝をついたリリーが、驚愕に目を瞬かせる。
「アイラ、ルウ、シルヴィア! 地下メイン工房まで道をこじ開けるぞ!」
「ガハハ! スクラップ拾いの時間だ!『極大旋風・星砕き』!!」
アイラの戦斧が巻き起こす超質量の竜巻が、暴走する機械の群れをまとめて空高く巻き上げ、建物の壁に叩きつけて粉砕する。
「機械仕掛けなら、内部の回路を焼き切るのが手っ取り早いですわね。『インフェルノ・バースト』!!」
ルウの杖から放たれた極限の炎が、機巧魔獣たちを包み込み、その熱で内部の歯車と魔力回路をドロドロに溶かし尽くす。
「我が剣の前に、鋼鉄の装甲など紙切れと同義です。『神速・絶空の剣』!!」
シルヴィアの神速の剣閃が、残った機巧魔獣たちの関節部分を的確に斬り裂き、次々と解体していった。
圧倒的な蹂躙劇に、リリーが呆然と口を開ける。
「怪我はないか? 俺はアシュタルのレイン。クラウスたちから連絡を受けてやってきた」
俺が石畳に降り立ち、リリーに手を差し伸べる。
「絆紋公王様……!? わざわざ、一国の王がこんな危険な街まで……! 私は『リリー』。この街の錬金術師です。助けていただき、本当にありがとうございます!」
リリーが慌てて頭を下げ、手元の錬金術の杖を杖代わりにして立ち上がった。
「素晴らしい錬金術の防壁だった。あれがなければ、君はとうに機巧の餌食になっていたはずだ」
俺が称賛すると、リリーは悔しそうに唇を噛み、街の中央にそびえ立つ巨大な錬金術塔を見据えた。
「ですが、まだ終わっていません。この街を暴走させているのは、あの塔の最上階にある『古代錬金術炉』の暴走です。あれを止めない限り、この街全体の機械が自爆し、周囲一帯が吹き飛んでしまいます」
「ああ、分かっている。リリー、君はここで待機してくれ。俺たちが元凶を断ってくる」
「お待ちください! 私も行きます!」
リリーが力強く進み出た。
「錬金術師である私なら、塔内部のセキュリティや物質変化の罠を完全に解除することができます。それに、暴走しているコアの守護獣たちは、元々この街の発展を支えてくれていた尊い魔物たちなんです。どうしても、助けたいんです!」
その瞳にある「街と魔物を守りたい」という強い意志を受け取り、俺は深く頷いた。
「分かった。ただし、絶対に俺の背中から離れるなよ」
リリーの案内で、俺たちは暴走する機械の罠を潜り抜け、工業都市の中央にそびえ立つ『古代錬金術塔』へと足を踏み入れた。
塔の内部は、精密な歯車と、物質を自在に変化させる錬金術の魔力回路で構成されていた。リリーの錬金術師としての直感と知識によって、次々と作動する溶解液の罠や、壁から飛び出す金属の矢を未然に防ぎながら、俺たちは塔の最深部へと進んでいく。
ヤがて辿り着いたのは、巨大な黄金の錬金炉が浮遊する『錬金術の間』だった。
錬金炉からは、莫大な熱量と暴走した物質変化の魔力がドクドクと脈打つように溢れ出し、街全体に狂った自動防衛プロトコルを引き起こしている。
そして、その錬金炉を守るように――いや、コアの暴走を自らの体で抑え込もうとして、逆にその強大な力に飲み込まれ狂暴化してしまった四匹の魔物たちが立ち塞がっていた。
一匹は、全身が純金と超硬合金で構成された巨大な獅子――『金剛の機巧獅子』。
一匹は、物質を溶かす溶解液のブレスを吐く巨大な蛇――『錬金術の毒蛇』。
一匹は、鋭い刃を持つ複数の翼で空を切り裂く巨大な鳥――『鋼翼の機巧鷹』。
最後の一匹は、液体金属のように姿を自在に変える恐ろしい精霊――『流体の魔精』。
「あの魔物たち……昔からこの街の工房を守ってくれていた守護獣たちです! 暴走した錬金炉の瘴気を、自分たちの体で受け止めて……!」
リリーが悲痛な叫びを上げる。
「ガァァァァァッ!!」
痛みに狂った金剛の機巧獅子手足からスパークを散らしながら、俺たちに向かって突進してくる。
「アイラ、ルウ、シルヴィア! 奴らの動きを止めてくれ! 俺がコアを浄化する!」
「了解しましたわ! リリー、魔力の波長を予測して私たちに伝えなさい!」
「はいっ!」
ルウの高度な魔法指揮とリリーの的確なナビゲートのもと、アイラの風が機巧鷹の飛行バランスを崩し、シルヴィアの神速の剣が毒蛇の放つ溶解液を完璧に弾き返し、機巧獅子の突進を真っ向から受け止めた。
「フェル、ピコ、ソラ! 俺の道を作れ!」
「ウォォォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」
相棒たちの完璧な援護を受け、俺は吹き荒れる熱風とスパークの壁を突き抜け、暴走する『古代錬金術炉』の目前へと跳躍した。
「これ以上、街の命を苦しめるな。俺が全て、調和させてやる!」
ズバァァァァァァァァァァァンッ!!!!
右手の甲の『絆紋』を限界まで輝かせ、両手を錬金炉に押し当てる。
翠色の極限浄化の光が、錬金術の間から工業都市全体を眩いばかりに照らし出した。
暴走していた鋭く刺々しい古代の魔力が、光の波紋によって一瞬にして洗い流され、徐々に穏やかで美しい、自然な錬金の魔力へと還元されていく。
外で暴走していた自動防衛プロトコルと機巧魔獣たちの機能停止音はピタリと止み、工業都市オルクスに澄み切った静けさと温かな平穏が戻った。
そして、その圧倒的な浄化の光は、狂わされていた四匹の魔物たちをも優しく包み込んだ。
魔物たちの体を覆っていた歪な合金と瘴気が溶け落ち、本来の美しく神聖な姿へと戻っていく。
金剛の機巧獅子は、眩いばかりの純金と聖なる光を纏う『黄金の聖獅子』へと変化した。
錬金術の毒蛇は、澄み切った宝石の鱗を持つ『宝玉の霊蛇』へと生まれ変わった。
鋼翼の機巧鷹は、気高い銀の羽を羽ばたかせる『白銀の聖鷹』として蘇った。
流体の魔精は、清らかな液体と光の粒を纏う『水銀の妖精』へと姿を変えた。
(……あたたかい。痛みが, 消えた……。狂っていたマナが, 穏やかになった……。お前が, 私たちを救ってくれたのか?)
黄金の聖獅子から, 重厚でありながらも温かい思念が伝わってくる。
「ああ。俺はレイン。お前たち, 街を守るために無茶をしたんだな。偉かったぞ」
俺が微笑みながら聖獅子の黄金のたてがみを撫でると, 彼は嬉しそうに身をすり寄せ, 俺の胸に顔をうずめてきた。宝玉の霊蛇もふんわりと歩み寄って俺の足元に巻きつき, 白銀の聖鷹は俺の頭上にふわりと浮遊し, 水銀の妖精は俺の周囲をキラキラと光を散らしながら飛び回った。
「ウォンッ♪」「キュイッ♪」「きゅるるーっ♪」
フェルやピコたちも近寄り, 新しい仲間を優しく迎え入れる。
「もしよかったら, 俺たちの家族にならないか? うちには, お前たちのように優しくて, 一緒に遊んでくれる仲間がたくさんいる。お前たちの力があれば, もっとたくさんの命を救うことができるはずだ」
俺の誘いに, 四匹の魔物は嬉しそうに大きく頷いた。
「よし。聖獅子のお前は『キン』だ。霊蛇は『タマ』。聖鷹は『ギン』。妖精は『メタリ』だ。今日からよろしくな, みんな!」
「ガァァッ♪」
「シャァァッ♪」
「ピョロォォッ♪」
「ルルルッ♪」
新たなる家族, キン, タマ, ギン, メタリを迎え入れた俺は, 息を呑んで立ち尽くしている天才錬金術師, リリーに向き直った。
「リリー。君の物質変化の技術, そして街と魔物を守ろうとする強い意志は, これからの世界に絶対に必要なものだ」
俺は手を差し出し, 真っ直ぐに彼女の目を見つめた。
「……どうだろう, アシュタルへ来て, 俺たちの仲間にならないか? うちには, 魔導技師のクラウスや飛空艇技師のシドがいる。君には, 『公国直属・錬金術および素材開発局』の責任者として, その才能を存分に振るって, この世界の未来を物質の面から支えてほしい」
俺の誘いに, リリーは信じられないほどの喜びに満ちた笑顔を浮かべ, 錬金術の杖を強く抱きしめながら, 深く頭を下げた。
「はいっ……! 私の技術が公国の役に立つなら, 喜んでこの身を捧げます! クラウスやシドと共に, 絆紋公国の技術をさらに高めてみせます!」
こうして, 物質を操る若き天才錬金術師リリーが, 新たなる人間の仲間として陣営に加わったのである。
その夜。
アシュタルの領主の館の中庭では, 工業都市の完全浄化と, リリーの公国への仕官を祝う, 盛大な工業の宴が開かれていた。
リリーが持ち帰った古代錬金術のサンプルが中庭の端に飾られ, アイラやルウたちも上機嫌で酒杯を交わしている。
リリーはさっそく, クラウスやシドと共に, 金属加工と魔導機関の応用について熱心に語り合い, 記録の妖精メモや記憶の水晶亀カメオたちも興味津々で記録を取っている。
魔物たちも, 新しく加わった黄金の聖獅子キンが岩砕の巨獣ダグと背比べをし, 宝玉の霊蛇タマが翠玉の霊蛇エメと一緒に庭を駆け抜け, 白銀の聖鷹ギンが夜空を美しく飛び, 水銀の妖精メタリが空色小竜ソラと一緒にキラキラと光の粒を降らせて楽しんでいた。
「ガハハ! 機械仕掛けの街でも, アタシらの熱気があればいつでも大宴会だね! これでまた一つ, 世界が平和に近づいたよ!」
アイラが樽ジョッキでエールを煽りながら大笑いする。
「ええ。リリーの錬金術の才能は素晴らしいものですわ。物質を変化させ, 自然と機械の双方を補う彼女の技術は, 絆紋公国の防衛と発展に不可欠なものとなるでしょう」
ルウが優しく微笑み, シルヴィアも深く頷いた。
「ウォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」
フェル, ピコ, ソラが俺の膝の上に飛び乗り, 顔をすり寄せてくる。
彼らの温もりを感じながら, 俺は満天の星空と, 笑顔に溢れる家族たちを見渡した。
世界に広がりゆく魔力変動の余波も, 古代都市の暴走も。
全ての人と魔物が笑って暮らせる世界を築き上げるためならば, 何度でもその壁を越えてみせる。
若き天才錬金術師と, 新たなる機械と宝玉の魔物たち。
絆紋公王レインと仲間たちの果てしなき救済と開拓の旅は, 明日もまた, この星をどこまでも温かく, そして優しく照らし続けるのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作もよろしく(*´∀`)ノ
しがらみだらけの人生に疲れたので、記憶を消して無人境へ転生します〜無限魔力の【万能創造】で理想の拠点を作ってたら、最強の魔獣たちが勝手に懐いて最高の家族になりました〜
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