第152話 烈風の大峡谷と、夢追う飛空艇技師
第152話 烈風の大峡谷と、夢追う飛空艇技師
辺境の街アシュタルの東、小高い丘に広がる特級クラン『絆紋亭』の拠点であり、『絆紋公国』の中心地であるこの場所は、世界が真の平和と調和に向けて確かな歩みを進める中、今日もまた、この星のどの場所よりも優しく、奇跡のような温もりに満ちた朝を迎えていた。
庭の中央にそびえ立つ巨大な精霊樹は、深淵の虚無や旧魔王城の怨念を完全に浄化した極上の光をたっぷりと吸収し、もはや一つの大森林と見紛うほどの神聖なる大樹へと成長を遂げている。その豊かに茂ったエメラルドグリーンの枝葉が朝の心地よい風に揺れるたび、チリン、チリンと微かな鈴の音のような魔力の波紋が広がり、拠点全体を極上の癒やしのオーラで包み込んでいた。
「ウォンッ!」
「キュイッ!」
「きゅるるーっ!」
澄み切った青空の下、縁側で朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいる俺の足元へ、一番最初に俺の固有スキルである『絆紋』を受け入れ、共に歩み始めた最古参の相棒たち――銀色のウルフ『フェル』、純白のポーションラビット『ピコ』、そして空色小竜の『ソラ』が競い合うように飛び込んできた。
彼らの後に続くように、水豹のリン、幻宝石獣のキラ、白銀の幼熊ブラン、空間転移を操る銀狐のギン、鋼棘の鎧獣マル、疾風の隼ゲイル、影猫のシャロ、水妖の獺ミロ、風精のリスのルル、土精の土竜ドロ、星翼の梟ステラ、幻影の蝶ファル、雲羊のモフ、木精の栗鼠コノ、鎌鼬のタマ、鋼殻の戦亀カメ、雷雲の幼鳥ライたちが一斉に集まってくる。
さらに、これまでの救済活動で仲間になった無数の魔物たち――晶雪の霊狐フブキ、白銀の守護熊ヒョウガ、月氷の白梟マシロ、清冬の妖精リッカ、星砂の霊狐ミラ、緑洲の霊亀スナ、天光の聖隼ソル、水鏡の妖精ガラ、鋼玉の霊熊ルビ、紫電の霊鷹アメ、翠玉の霊蛇エメ、琥珀の機蜘蛛アン、そして前回、忘却の群島で仲間になったばかりの蒼波の霊竜ソウ、命瑚の霊亀サンゴ、癒光の聖月ユア、水鏡の妖精ミナたちも、すっかり拠点に馴染み、わらわらと俺の周囲に集まり、種族や属性の壁を越えて心地よさそうに喉を鳴らしている。
「おはよう、みんな。今日も元気いっぱいだな。ソウ、庭の池から勢いよく飛び出すとみんなが水浸しになるから気をつけろよ。サンゴも、ダグと一緒に日向ぼっこするのはいいが、花壇を潰さないようにな」
俺が彼らの頭を順番に優しく撫でると、魔物たちは心底嬉しそうに目を細め、尻尾を振って応えた。庭の奥では、漆黒の竜ノヴァや紅蓮の火蜥蜴ガエン、鋼角の犀ザイン、岩砕の巨獣ダグといった大型組も、朝の日差しを浴びて気持ちよさそうに背伸びをしている。圧倒的な力を持つ彼らがこうして穏やかにまどろむ風景こそが、俺たちが守り抜くべき真の平和の象徴だった。
「レイン様、朝食の準備が整いましたよ!」
厨房から、見習い魔導士のエリスと元宮廷料理人のセシルが、賑やかな声を上げた。
ダイニングルームの巨大なテーブルには、特製の魔力小麦で作った『焼きたてのチーズバゲット』に、農学者セリーヌが育てた新鮮なカボチャをふんだんに使った『濃厚なパンプキンスープ』、そして砂漠の巫女ナディアが持参した特製スパイスで味付けされた『極上オーク肉の厚切りロースト』が並べられている。
「ガハハ! 今日も飯が美味いねぇ! 海人の兄ちゃんもすっかりマリンと意気投合して海域の警備に励んでるし、アタシらの陣営もますます賑やかになってきたじゃないか!」
女戦士のアイラが、オーク肉を豪快に頬張りながら大笑いする。
「ええ。カイトの海流を読む力と、クラウスの魔導機関技術が組み合わされば、海上の安全は飛躍的に向上しますわ。次は空の安全網を構築したいところですわね」
少女魔導士のルウも、優雅にスープを飲みながら、冷徹な分析の中に確かな期待感を滲ませて微笑んだ。
「陸、海と平定が進めば、必然的に空の開拓が急務となります。どのような脅威が待ち受けていようと、我が神速の剣で切り拓いてみせましょう」
剣聖シルヴィアが静かに紅茶のカップを置いた。
朝食を終えた俺たちが執務室へ向かうと、そこには首席文官のエレナと特級密偵のシオンに加え、古代のホムンクルスであるセブンが、顔面を蒼白にして巨大な大陸地図の中央部――『烈風の大峡谷』と呼ばれる領域を指し示していた。
「マスター、おはようございます。本日は私が監視を続けている古代魔力ネットワークの観測網から、看過できない異常事態の報告が上がっております」
セブンが深く一礼し、緊迫した無機質な、しかしどこか感情の籠もった声で報告を始める。
「大陸中央部を東西に分断する『烈風の大峡谷』……かつて古代魔法文明が飛空艇の試験場として利用していたとされる領域ですが、数日前から突如として峡谷の底に眠っていた『古代風力コア』が暴走を始めました。その影響で、局地的な超巨大竜巻が複数発生し、周辺の空路を完全に遮断しています」
「古代風力コアが暴走した……。世界中の浄化が進んだ影響で、地脈に隠されていた古代の遺産がまた目を覚ましたのか」
俺が推測を口にすると、シオンが震える声で報告を引き継いだ。
「はい……。その超巨大竜巻の影響で、峡谷周辺に生息していた風属性の魔物たちが狂暴化し、峡谷を越えようとする商隊や冒険者たちを無差別に襲撃しています。さらに、峡谷の入り口付近で、一人の若い飛空艇技師が、無謀にも暴風の中に飛び込んでいく姿が確認されています。どうか、レイン様のお力をお貸しください!」
「頭を上げてくれ、二人とも。危険な暴風域に飛び込んだ若者を、俺たちが見過ごすわけがないだろう」
俺が優しく彼女たちの肩に手を置くと、教官陣も力強く頷いた。
「ガハハ! 風の暴走だろうがなんだろうが、アタシの斧で竜巻ごと真っ二つに割ってやるよ!」
「荒れ狂う風には極限の熱を。私の炎で、乱気流ごと焼き尽くして差し上げますわ」
「暴風であろうと、我が剣の太刀筋が揺らぐことはありません。一刀両断にしてみせましょう」
「よし。フェル、ピコ、ソラも一緒に行くぞ。過酷な暴風域での戦闘だ。空間転移のギン、烈風の大峡谷の入り口まで一気に跳躍してくれ!」
「ウォォォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」
俺たちは万全の準備を整え、銀狐ギンの空間転移魔法によって、荒れ狂う風が吹き荒れる大陸中央部へと一気に跳躍した。
空間跳躍を終え、俺たちが降り立ったのは、猛烈な突風と砂埃が吹き荒れる『烈風の大峡谷』の、切り立った崖の上だった。
視界を遮るほどの砂塵と暴風の中、峡谷の底から湧き上がるような強風に煽られながら、一隻の小型飛空艇が崖の端に不時着しているのが見えた。
その飛空艇の傍らで、ゴーグルを身につけ、油にまみれた作業着を着た一人の青年の姿があった。
彼の名前は『シド』。古の飛空艇技術を独学で復元し、誰もが安全に空を旅できる未来を夢見る、情熱的な若き飛空艇技師だった。
「くそっ……! 古代の風力コアの暴走が、こんなに激しいなんて……! だが、俺の夢はこんなところで終わらせない!」
シドが血を吐くような叫びを上げながらレンチを握りしめ、飛空艇の魔力機関の修理を試みる。しかし、峡谷の底から無限に湧き出してくる狂暴化した魔物の群れに対し、彼の体力と魔力はすでに限界を超えていた。
「キィィィィッ!」
全身が鋭い風の刃で覆われた巨大な怪鳥――『烈風の怪鳥』が、鋭い爪を振り下ろし、ついに飛空艇の装甲の一部を粉砕した。
装甲にヒビが入り、そこから無数の『竜巻の鎌鼬』がシドへと雪崩れ込んでくる。
「しまった……!」
シドが魔力切れで膝をつき、絶望の瞳で迫り来る怪鳥の爪を見上げた、その瞬間だった。
「よく一人で夢を守り抜いた。あとは俺たちに任せろ!」
暴風を切り裂いて、俺の声が峡谷に響き渡った。
「フェル、ピコ、ソラ! 飛空艇に群がる魔獣どもを散らせ!」
「ウォォォンッ!!」「キュイッ!!」「きゅるるーっ!!」
フェルの天雷が風を割って轟き、怪鳥の羽を内側から爆砕する。ピコの浄化の蹴りが炸裂し、飛空艇に群がる鎌鼬たちを蹴り飛ばす。ソラの神聖なブレスが、周囲に蔓延する峡谷の淀んだ魔力を中和し、シドの周囲の乱気流を劇的に軽減した。
「な、なに……!? あなたたちは……?」
膝をついたシドが、驚愕に目を瞬かせる。
「アイラ、ルウ、シルヴィア! 峡谷の底まで道をこじ開けるぞ!」
「ガハハ! 風遊びは終わりだ!『極大旋風・星砕き』!!」
アイラの戦斧が巻き起こす超質量の竜巻が、暴風そのものを上書きし、群がっていた魔獣たちを空高く巻き上げて粉砕する。
「乱気流など、私の魔法の前では単なるそよ風ですわ。『紅蓮の大地』!!」
ルウの杖から放たれた極限の炎が、魔獣たちを風ごと一瞬にして焼き尽くし、完全に動きを封じる。
「我が剣の前に、風の盾など意味を成しません。『神速・絶空の剣』!!」
シルヴィアの神速の剣閃が、炎に包まれた魔獣たちの急所を的確に叩き割り、次々と無力化していった。
圧倒的な蹂躙劇に、シドが歓声を上げる。
「怪我はないか? 俺はアシュタルのレイン。シオンたちから異常を聞いてやってきた」
俺が崖に降り立ち、シドに手を差し伸べる。
「絆紋公王様……!? わざわざ、一国の王がこんな危険な場所まで……! 俺は『シド』。飛空艇の設計士です。助けていただき、本当にありがとうございます!」
シドが慌てて頭を下げ、レンチを杖代わりにして立ち上がった。
「素晴らしい情熱だ。あの機体がなければ、君はとうに風に飲まれていたはずだ」
俺が称賛すると、シドは悔しそうに唇を噛み、暴風が吹き荒れる峡谷の底を見据えた。
「ですが、まだ終わっていません。この暴風と魔獣を生み出しているのは、あの峡谷の底にある『古代風力コア』の暴走です。あれを止めない限り、この空域全体が死の空になってしまいます」
「ああ、分かっている。シド、君はここで待機してくれ。俺たちが元凶を断ってくる」
「お待ちください! 俺も行きます!」
シドが力強く進み出た。
「飛空艇技師である俺なら、峡谷の乱気流を読んで安全な降下ルートをナビゲートすることができます。それに、暴走しているコアの守護獣たちは、元々この空の安全を守ってくれていた尊い魔物たちなんです。どうしても、助けたいんです!」
その瞳にある「空の未来と魔物を守りたい」という強い意志を受け取り、俺は深く頷いた。
「分かった。ただし、絶対に俺の背中から離れるなよ」
シドのナビゲートで、俺たちは荒れ狂う暴風を越え、峡谷の底へと足を踏み入れた。
峡谷の内部は、切り立った岩肌と、風の魔力を増幅させる複雑な地形の魔力回路で構成されていた。シドの技師としての直感と知識によって、次々と発生する突風の罠や、壁から飛び出す風の刃を未然に防ぎながら、俺たちは峡谷の最深部へと進んでいく。
やがて辿り着いたのは、巨大な翠色の水晶体が浮遊する『風神の間』だった。
水晶体からは、莫大な風圧と暴走した鋭い魔力がドクドクと脈打つように溢れ出し、空域全体に超巨大竜巻を引き起こしている。
そして、その水晶体を守るように――いや、コアの暴走を自らの体で抑え込もうとして、逆にその強大な力に飲み込まれ狂暴化してしまった四匹の魔物たちが立ち塞がっていた。
一匹は、荒れ狂う竜巻のような羽毛を持つ巨大な鷲――『烈風の神鷲』。
一匹は、風を纏い鋭い鎌を振るう巨大な鼬――『竜巻の巨鎌鼬』。
一匹は、雷雲を纏い暴風雨を呼ぶ巨大な蛇――『雷雲の暴蛇』。
最後の一匹は、風を形にして周囲を切り裂く恐ろしい精霊――『狂風の魔精』。
「あの魔物たち……昔からこの空の道標となってくれていた守護獣たちです! 暴走したコアの瘴気を、自分たちの体で受け止めて……!」
シドが悲痛な叫びを上げる。
「ギャオォォォォッ!!」
痛みに狂った烈風の神鷲が、超高圧の風の刃を吐き出しながら、俺たちに向かって突進してくる。
「アイラ、ルウ、シルヴィア! 奴らの動きを止めてくれ! 俺がコアを浄化する!」
「了解しましたわ! シド、気流の乱れを予測して私たちに伝えなさい!」
「はいっ!」
ルウの高度な魔法指揮とシドの的確なナビゲートのもと、アイラの風が巨鎌鼬が放つ竜巻を吹き飛ばし、シルヴィアの神速の剣が魔精が放つ風の刃を完璧に弾き返し、神鷲の突進を真っ向から受け止めた。
「フェル、ピコ、ソラ! 俺の道を作れ!」
「ウォォォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」
相棒たちの完璧な援護を受け、俺は吹き荒れる暴風の壁を突き抜け、暴走する『古代風力コア』の目前へと跳躍した。
「これ以上、空の命を苦しめるな。俺が全て、調和させてやる!」
ズバァァァァァァァァァァァンッ!!!!
右手の甲の『絆紋』を限界まで輝かせ、両手を水晶体に押し当てる。
翠色の極限浄化の光が、風神の間から峡谷全体、そして空域を眩いばかりに照らし出した。
暴走していた鋭く刺々しい古代の魔力が、光の波紋によって一瞬にして洗い流され、徐々に穏やかで美しい、自然な風の魔力へと還元されていく。
外で吹き荒れていた超巨大竜巻と暴風はピタリと止み、烈風の大峡谷の空に澄み切った青空と穏やかな風が戻った。
そして、その圧倒的な浄化の光は、狂わされていた四匹の魔物たちをも優しく包み込んだ。
魔物たちの体を覆っていた歪な瘴気と刃が溶け落ち、本来の美しく神聖な姿へと戻っていく。
烈風の神鷲は、透き通るような美しい白羽を纏う『天翔の霊鷲』へと変化した。
竜巻の巨鎌鼬は、心地よいそよ風を運ぶ愛らしい『春風の鎌鼬』へと生まれ変わった。
雷雲の暴蛇は、優しい恵みの雨を降らせる『雲海の霊蛇』として蘇った。
狂風の魔精は、清らかな風の音を奏でる『風雅の妖精』へと姿を変えた。
(……あたたかい。痛みが、消えた……。狂っていたマナが、穏やかになった……。お前が、私たちを救ってくれたのか?)
天翔の霊鷲から、静かな青空のような、穏やかで涼やかな思念が伝わってくる。
「ああ。俺はレイン。お前たち、空を守るために無茶をしたんだな。偉かったぞ」
俺が微笑みながら霊鷲の美しい白羽を撫でると、彼は嬉しそうに身をすり寄せ、俺の胸に顔をうずめてきた。春風の鎌鼬もふんわりと歩み寄って俺の足首に巻きつき、雲海の霊蛇は俺の頭上にふわりと浮遊し、風雅の妖精は俺の周囲をキラキラと光を散らしながら飛び回った。
「ウォンッ♪」「キュイッ♪」「きゅるるーっ♪」
フェルやピコたちも近寄り、新しい仲間を優しく迎え入れる。
「もしよかったら、俺たちの家族にならないか? うちには、お前たちのように優しくて、一緒に遊んでくれる仲間がたくさんいる。お前たちの力があれば、もっとたくさんの命を救うことができるはずだ」
俺の誘いに、四匹の魔物は嬉しそうに大きく頷いた。
「よし。霊鷲のお前は『テン』だ。鎌鼬は『ハル』。霊蛇は『クモ』。妖精は『フウ』だ。今日からよろしくな、みんな!」
「ピョロォォッ♪」
「キュイィィッ♪」
「シャァァッ♪」
「ルルルッ♪」
新たなる家族、テン、ハル、クモ、フウを迎え入れた俺は、息を呑んで立ち尽くしている飛空艇技師、シドに向き直った。
「シド。君の気流を読み解く力、そして空の未来と魔物を守ろうとする強い意志は、これからの世界に絶対に必要なものだ」
俺は手を差し出し、真っ直ぐに彼の目を見つめた。
「……どうだろう、アシュタルへ来て、俺たちの仲間にならないか? うちには、古代知識を持つセブンや、魔導機関技術の天才クラウスがいる。君には、『公国直属・飛空艇開発および空路管理局』の責任者として、その才能を存分に振るって、この空の未来を拓いてほしい」
俺の誘いに、シドは信じられないほどの喜びに満ちた笑顔を浮かべ、レンチを強く握りしめながら、深く頭を下げた。
「はいっ……! 俺の技術が公国の役に立つなら、喜んでこの身を捧げます! セブンやクラウスと共に、絆紋公国の誰もが安全に飛べる飛空艇を造り上げてみせます!」
こうして、空の風を読む若き飛空艇技師シドが、新たな人間の仲間として陣営に加わったのである。
その夜。
アシュタルの領主の館の中庭では、大峡谷の完全浄化と、シドの公国への仕官を祝う、盛大な空の宴が開かれていた。
シドが持ち帰った無事な飛空艇の部品が中庭の端に飾られ、アイラやルウたちも上機嫌で酒杯を交わしている。
シドはさっそく、セブンやクラウスと共に、古代の風力機関と現代の魔導機関を融合させる設計図について熱心に語り合い、記録の妖精メモや記憶の水晶亀カメオたちも興味津々で記録を取っている。
魔物たちも、新しく加わった天翔の霊鷲テンがノヴァと一緒に夜空を駆け回り、春風の鎌鼬ハルが岩砕の巨獣ダグの背中でくつろぎ、雲海の霊蛇クモがふわりと浮かんで中庭を涼やかにし、風雅の妖精フウが空色小竜ソラと一緒に心地よい風の音を奏でて楽しんでいた。
「ガハハ! 空高く舞い上がっても、アタシらの熱気があればいつでも大宴会だね! これでまた一つ、世界が平和に近づいたよ!」
アイラが樽ジョッキでエールを煽りながら大笑いする。
「ええ。シドの飛空艇技術は素晴らしいものですわ。風を読み、自然と共にある彼の技術は、絆紋公国の防衛と発展に不可欠なものとなるでしょう。これで陸海空、すべての道が開かれますわね」
ルウが優しく微笑み、シルヴィアも深く頷いた。
「ウォンッ!」「キュイッ!」「きゅるるーっ!」
フェル、ピコ、ソラが俺の膝の上に飛び乗り、顔をすり寄せてくる。
彼らの温もりを感じながら、俺は満天の星空と、笑顔に溢れる家族たちを見渡した。
世界に広がりゆく魔力変動の余波も、過酷な自然の猛威も。
全ての人と魔物が笑って暮らせる世界を築き上げるためならば、何度でもその壁を越えてみせる。
若き飛空艇技師と、新たなる空の魔物たち。
絆紋公王レインと仲間たちの果てしなき救済と開拓の旅は、明日もまた、この星をどこまでも温かく、そして優しく照らし続けるのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、現在新作もよろしく(*´∀`)ノ
しがらみだらけの人生に疲れたので、記憶を消して無人境へ転生します〜無限魔力の【万能創造】で理想の拠点を作ってたら、最強の魔獣たちが勝手に懐いて最高の家族になりました〜
https://ncode.syosetu.com/n3777mp/




