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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第10話 ウルフとラビットの合流、そしてクランに満ちる新たな温もり

第10話 ウルフとラビットの合流、そしてクランに満ちる新たな温もり

 アシュタルの街のはずれに構えたクラン『絆紋亭』の拠点は、日を追うごとに賑やかさを増していた。

 朝の柔らかな日差しがハーブガーデンを包み込む頃、俺ことレインはテラスで淹れたてのコーヒーの香りに包まれながら、庭の様子を眺めていた。足元では、すっかり大きくなった小竜のソラが「きゅるる」と喉を鳴らしながら、俺の足元に体を預けている。

「おはよう、ソラ。今日もいい天気だな」

「きゅっ!」

 ソラの機嫌の良い鳴き声に合わせるように、庭の木陰からガサリと草木を揺らす音が響いた。

 振り返るとそこには、かつて西の森の浅い階層で罠にかかっていたところを助けたポーションラビットの姿があった。さらにその背後からは、鋭い眼光を持ちながらもどこか誇らしげな足取りで近づいてくる一頭の大型の魔物――かつて群れからはぐれてボロボロになっていたところを助けた銀色の牙を持つ『ウルフ』の姿があった。

「おっ、フェルじゃないか。それにピコも」

 俺が声をかけると、銀色のウルフ――フェルはフサフサとした尻尾をブンブンと振って俺の足元に駆け寄り、大きな頭をガシリと俺の膝に擦りつけてきた。ポーションラビットのピコも、ぴょんぴょんと軽快に跳ねながらテラスの階段を駆け上がり、ソラの横にちょこんと座って挨拶をする。

 西の森のあちこちに散らばっていた彼らが、俺の持つ『絆紋』の微かな導きと、ここが安全で温かい「帰る場所」であるという確信を得て、いよいよ本格的にこの『絆紋亭』へと合流するためにやってきたのだ。

「みんな、よく来てくれたな。ここが今日から、お前たちの本当の家だ」

 俺が優しく微笑みながらフェルの頭やピコを撫でてやると、庭にいたウールシープたちも「メェ~!」と嬉しそうに声を合わせ、まるで新しい家族の到来を盛大に祝福しているかのように跳ね回った。

 かつて王都のパーティーで「足手まとい」と嘲られ、自分の居場所のすべてを失った自分が、今やこんなにも多くの心優しき魔物たちや、信頼できる仲間たちに囲まれている。ふと、胸の奥が熱くなり、言い知れない幸福感が全身を満たしていくのを感じた。

 その時、クランの入り口に作った手作りの木の門の方から、聞き覚えのある豪快な笑い声が響いてきた。

「おや、朝っぱらから一段と動物が増えてやがるな! 相変わらずモフモフのパラダイスじゃないか、ここは!」

「ちょっとアイラ、大声を出さないでよ。動物たちが驚いちゃうでしょ」

 姿を現したのは、巨大な戦斧を担いだ女戦士アイラと、気だるげに杖をつく少女魔導士ルウ、そしてその少し後ろからニコニコと髭を揺らしながら歩いてくる老薬師ゴットの三人だった。

 彼らは今や、非公式クラン『絆紋亭』の初期メンバーとして、毎日のようにこの拠点に顔を出してくれるようになっていた。

「おはよう、アイラ、ルウ、ゴットさん」

「おはようレイン! おや、この大きなウルフは……? 前に森で会ったやつかい?」

 アイラは興味津々という様子で、フェルの立派な銀色の毛並みをジッと見つめた。フェルは少しだけ警戒したように低い唸り声をあげたが、俺が「大丈夫だ、大切な仲間だよ」と声をかけると、スッと敵意を引っ込め、アイラの方を大人しく見上げた。

「おっ、利口なやつだねぇ! よしよし、いい毛並みじゃないか」アイラが豪快にフェルの頭を撫でると、フェルはまんざらでもない様子で鼻を鳴らした。

 ルウはピコやソラが仲良く並んでいる姿を見て、フッと柔らかい笑みを浮かべた。

「ねえレイン、なんだか最近、この家を中心に森の魔物たちの雰囲気がすごく穏やかになってるわよ。街の冒険者たちの間でも『西の森に行くなら絆紋亭の近くを通れ、安全だから』なんて噂が流れてるくらいなんだからね」

「本当かい? それはありがたいような、恥ずかしいような……」

「ほっほっほ、良いことじゃないか。このアシュタルの街にとっても、お前の存在はすでになくてはならないものになりつつあるということじゃよ」と、ゴットが温かい目で俺を見据えた。

 みんながテーブルの席に腰を下ろすと、俺は早速淹れたてのハーブティーと、今朝焼き上げたばかりの香ばしいパンを配っていった。

「はい、どうぞ。今日はみんなが揃ったから、ちょっとしたご馳走だ」

「わぁ、いい香り! レインの作る料理は本当に絶品なんだから」ルウが目を輝かせてパンを一口かじり、幸せそうに頬を緩める。

 アイラも豪快にパンを頬張りながら、「あぁ、これだよこれ! こんな美味いメシが食えて、周りにはこんなに癒やされる連中がいて……アタシたち、本当にいい場所を見つけたもんだぜ」と大きく頷いた。

 フェルやピコ、そしてソラもそれぞれの朝食を受け取り、庭のあちこちで和やかに食事を楽しんでいる。

 ウールシープの群れがのんびりと草を食む音が、心地よいBGMのように響いていた。

 急いで強くなる必要なんてない。

 誰かと競い合って、無理に頂点を目指す必要もない。

 ただ目の前にある温かな日常を大切にし、自分を必要としてくれる仲間たちと共に、ゆっくりと歩いていく。

 王都を追い出されたときは、人生の終わりだと思っていた。だが今ならはっきりと分かる。あの追放こそが、俺にとって本当の人生のはじまりだったのだと。

「さて、それじゃあ今日は、みんなで庭のハーブ園の手入れでもしようか」

「おっ、いいぜ! 力仕事ならアタシに任せな!」

「私は薬草の仕分けを手伝うわ」

「ほっほっほ、ではワシはのんびり監督させてもらうかのう」

 笑い声が飛び交う中、俺たちの新しい一日が、今日も最高のかたちで動き出していった。

 この穏やかで温かい絆が、これからもずっと続いていくように――俺は心の中でそっとそう願いながら、青く澄みわたるアシュタルの空を見上げた。

【現在のステータス】

名前:レイン

職業:冒険者(クラン『絆紋亭』マスター)

称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手

Lv:20

HP:220 / 220

MP:55 / 55

【スキル】

・生活魔法 Lv.6(※レベルアップ)

・剣術 Lv.3

・解体 Lv.5

・野営技術 Lv.7

・野戦調薬 Lv.5(※レベルアップ)

・植物知識 Lv.4(※レベルアップ)

・建築・修繕 Lv.3

・鑑定 Lv.2

・気配察知 Lv.3

【固有スキル】

絆紋きずなもん:対象の魔物と心を通わせ、警戒心を解き放つ。深い絆を結んだ魔物と感覚や力を共有できる。クランメンバーおよび合流した魔物たちとの精神的ネットワークが完全に確立。

【クラン『絆紋亭』メンバー】

空色小竜ソラ:絆レベル5

・銀色のウルフ(フェル):新規合流 / 絆レベル3

・ポーションラビット(ピコ):新規合流 / 絆レベル3

・ウールシープの群れおよび森の小動物たち

・アイラ(女戦士・正式なクラン協力者)

・ルウ(魔導士・正式なクラン協力者)

・ゴット(薬師・正式なクラン協力者)

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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