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追放された絆紋使いの穏やかな冒険譚〜辺境の街ではぐれ者たちと最強の居場所を作ります〜  作者: 盆ちゃん


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第9話 古い遺跡の秘密と、クランに響く賑やかな足音

第9話 古い遺跡の秘密と、クランに響く賑やかな足音

 西の森の奥深くに眠る古い遺跡から、駆け出しの冒険者パーティーを無事に連れ帰ってから数日。

 アシュタルの街の冒険者ギルドは、いつにも増して騒がしかった。それもそのはず、俺がロック・リザードの怒りを鎮め、一滴の血も流すことなく鎮静化させたという噂が、あの救出した若者たち口から街中に広まったからだ。

「おい、聞いたか? あの新人の絆紋使いの兄ちゃん、Aランク相当の地竜をペットみたいに撫でてたってよ」

「マジかよ……やっぱり噂の『絆紋亭』ってのは、ただ者じゃないな……」

 ギルドのカウンターに立ち寄るたびに、周囲の冒険者たちがひそひそと驚きの視線を向けてくる。だが、俺自身はそんな周囲の反応などどこ吹く風で、いつも通り穏やかに採取依頼の報酬を受け取っていた。

「レインさん、お疲れ様です! これ、今回の依頼の報酬と……それから、ギルド長からの特別ボーナスです」

 赤毛の受付嬢が、いつも以上に満面の笑みでずっしりと重い金貨の入った小袋を差し出してくれた。

「ありがとう。こんなに多くてもいいのかい?」

「もちろんです! 森の異常気象の原因だった呪いの魔石も、レインさんが回収してくれたおかげで、西の森はすっかり安全になりましたからね。街の住民みんな感謝してますよ!」

 ギルドを後にした俺が、肩の上にちょこんと乗ったソラと一緒にアシュタルの街並みを歩いていると、道の脇から聞き覚えのある豪快な声が飛んできた。

「お、噂の絆紋使いの旦那じゃねえか! ちょうどいいところに会ったぜ!」

 振り返ると、そこにいたのは巨大な戦斧を担いだ女戦士アイラと、気だるげに杖をつく少女魔導士ルウ、そして不気味な笑みを浮かべる老薬師ゴットの三人だった。

「アイラさん、ルウ、ゴットさん。奇遇だな」

「奇遇も何も、お前の家に向かう途中だったんだよ。ルウが『レインの淹れるハーブティーが飲みたい』ってうるさくてよ」

「ちょっとアイラ、勝手に私の欲求を代弁しないでよ! 別にそんなんじゃないわよ!」ルウが真っ赤になってアイラの腕をペシペシと叩く。その微笑ましいやり取りに、ゴットが「ほっほっほ、若い二人は元気があってよろしいのう」と面白そうに髭を撫でていた。

「ふたりとも、ちょうどいい。せっかくだから、今からうちの拠点に来ないか? 新しいハーブティーの茶葉を手に入れたんだ」

「おっ、マジか! そりゃ行くしかないだろ!」

 こうして、俺たちは賑やかな笑い声を上げながら、街のはずれにある非公式クラン『絆紋亭』の拠点へと向かった。

 丘の上にある開拓民の廃屋を改修した我が家――改め、クラン『絆紋亭』の庭に足を踏み入れると、待ち構えていたかのようにウールシープの群れや小動物たちが「メェ~!」「キュルルッ!」と嬉しそうに駆け寄ってきた。

「うわっ、相変わらずモフモフの楽園だなここは……! 癒やされるわぁ……」

 アイラは豪快に笑いながら、駆け寄ってきたウールシープのモフモフとした背中をぐりぐりと撫で回した。ルウも口元を緩め、小さなフォレストラビットをそっと抱き上げる。ソラは得意げにテラスの手すりに飛び乗り、仲間たちに挨拶するように翼をパタパタと動かした。

 俺はテラスの木製テーブルに温かいハーブティーの入ったカップを人数分並べ、皆に配っていった。

「はい、どうぞ。少し香りが強いかもしれないけど、旅の疲れには効くはずだ」

「ふぁあ……いい香り。この渋みと甘みのバランス、相変わらず絶妙ね……レイン、あんた本当にいい腕してるわ」

 ルウがカップの両手を包み込み、うっとりとした表情で息を呑む。

 アイラも豪快にカップを傾け、「ぷはぁ! 生き返るぜ! こんな美味いお茶が飲めるなら、冒険者引退してここに住み込みたくなっちまうな」と笑った。

 ゴットはゆっくりとティーを啜りながら、細い目をさらに細めて俺を見た。

「ほっほっほ、レインの若いの。お前の周りには、不思議と自然と温かい空気が集まってくる。かつて王都の殺伐とした世界にいたとは思えんほどの居心地の良さじゃな」

 ゴットのその言葉に、俺は少しだけ手を止めた。

 王都。あの頃の俺は、常に「自分には才能がない」「もっと役に立たなければ」と焦り、誰からも認められず、ただ「足手まとい」として切り捨てられる恐怖と戦っていた。

 あの場所には、こんな風に心から笑い合える温かな時間なんて、一度も存在しなかった。

「……そうだな。ここは、本当に居心地がいい」

 俺がカップを見つめながらポツリと呟くと、ソラが心配そうに肩から飛び降り、俺の膝の上にちょこんと乗って「キュッ」と鳴いた。まるで「私がいるよ」と慰めてくれているかのように。

 その温かさに励まされ、俺はふっと自然な笑みを浮かべた。

「急ぐ必要なんてない。強さや名声を競い合う世界から離れて、こうして大切な仲間たちと穏やかに暮らす。今の俺には、これが一番合っているんだ」

 アイラがガシリと俺の背中を力強く叩いた。

「当たり前だろ! お前がそのままでいるからこそ、アタシたちはここに帰ってきたくなるんだからな。なあ、みんな?」

「もちろんよ」「まったく、その通りじゃな」

 仲間たちの明るい笑い声が、夕暮れの空に染まるハーブガーデンに優しく響き渡った。

 王都を追放されてから始まった、この辺境の物語。

 笑いあり、もふもふあり、そしてかけがえのない絆に満ちた日々は、これからもゆっくりと、しかし確実に温かな足取りで続いていく。

 遠くで風が吹き抜け、新しい明日への扉をそっと開いてくれるような気がした。

【現在のステータス】

名前:レイン

職業:冒険者(クラン『絆紋亭』マスター)

称号:追放されし者 / 魔物に愛されし者 / 辺境の癒し手

Lv:19

HP:210 / 210

MP:50 / 50

【スキル】

・生活魔法 Lv.5

・剣術 Lv.3

・解体 Lv.5

・野営技術 Lv.7

・野戦調薬 Lv.4

・植物知識 Lv.3

・建築・修繕 Lv.3

・鑑定 Lv.2

・気配察知 Lv.3

【固有スキル】

絆紋きずなもん:対象の魔物と心を通わせ、警戒心を解き放つ。深い絆を結んだ魔物と感覚や力を共有できる。クランメンバーとの精神的繋がりが完全に定着。

【クラン『絆紋亭』メンバー】

空色小竜ソラ:絆レベル5(完全な信頼関係)

・ウールシープの群れおよび森の小動物たち

・アイラ(女戦士・正式なクラン協力者)

・ルウ(魔導士・正式なクラン協力者)

・ゴット(薬師・正式なクラン協力者)

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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