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『PAX UNIVERSALIS 2041/蒼の序曲』  作者: 幸塚良寛
二章.NEXT DAY / 災難はひとりでは来ない
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14/22

13.馬に蹴られて死んじまえ―8

 名前:新橋愛。

 性別:美少女。

 年齢:一六歳。

 階級:伍長。

 備考:超能力者。


 現時点、自分の相棒についてわかってる事と言えばこれくらい。

 考えてみれば(みるまでもなく?)おかしな、変なことばかり。

 この基地の特殊性はもちろん、軍の規則的にも辻褄が合わない。

 なんつったって、問題なのが()()だよ、年齢!

 愛ちゃんが実は御年まだ一六歳だという一事!

 ()()じゃん、とまでは言わない。失礼だから。

 でもね、一六歳ってのは、まだ未成年なの、未・成・年!

 いくらなんでも四捨五入とかして軍籍ゲットな筈もナシ。

 て言うか、なんで軍籍もってンの? 一体()()から軍人なワケ?

 初対面で気付いとけ? ウン、ごもっとも。でも、それはムリ。

 何故って、俺の初実戦も未成年時――一七歳の時だったから。

 だから、普通の人よかその点、ちょっと鈍感気味かも知れない。

 ま、俺の件については秘密――一応、軍機扱いなんだけどな。

 え、理由を聞きたい?――じゃあ、もったいぶらずに話そうか。

 え~、オホン!

 いま言ったとおりに、俺の初陣は一七歳当時の事だった。

 場所はもちろん内地ではなく外地――中東の某所、某国な。

 予科練(あがり)は早いっていわれてるけど、それでも早すぎだわ。

 でも事情があった。それも不可抗力的よんどころない事情が。

 予科練ってなに? って知らないの? 世間の認知度低いな。

 軍人教育一般や飛行機関連のアレコレを学ぶ我が軍の訓練施設。

 全寮制で、そこに机を並べているのはオレを含めて全員が孤児。

 幼年学校兼操縦士の養成所なので、生徒はいわゆる『国家の子』

 養ってもらった代わりに人生がすでに決定されてる人間ばかり。

 それが予科練――国防軍飛行予科練習生ならびに育成実習施設。

 でもって、クロベエはその予科練の同期生だったりするんだな。

 で、サ。

 その予科練の卒業を間近にひかえた頃に、修学旅行ってか卒業旅行ってか、ま、研修っていうのが適切なのかな――とにかく、外地に駐留している実戦部隊に派遣されるワケ。

 ()()たちの働きぶりを間近、実地で見てみようとか、まぁ、一種、社会見学的な企画だね。

 行き先は、やっぱり同じく軍隊の基地、なんで、観光旅行とかじゃあないんだけれど、それでも俺たちにとっては初めての海外。

 空気、景色、人間、食べ物――きっと、はじめて目にする、物珍しいもので(あふ)れてる筈、なんて調子でウキウキ浮かれてた。

 民間の旅客機でなく空軍の輸送機に乗って、快適さなんて贅沢とは正直無縁な道中だったけど、それでも期待に胸をふくらませ、目的地に着くのを楽しみにしてたんだ。

 なのに、現地に着いた途端、いきなり(ドン)(パチ)(ぼっ)(ぱつ)しちまった。

 荷物をほどいて、訪問先の部隊に挨拶にまわって、さぁ、これからって矢先だよ?

 もぉ、なにをどうする(いとま)もない。

 右往左往する間もないまま、ハイ戦闘、だ。

 反日感情が強い、なんて段じゃない。周囲(まわり)は全部、『敵』なんだよ、『敵』

 四面楚歌な絶対の死地に置かれて、内地(にほん)に帰るどころか安全な後方(ばしょ)に退避する余裕すらなく、とにかく飛ばなきゃ戦わなけりゃ死亡確定だったんだ。

 というワケで、俺もクロベエはじめの同期生たちも、(ヒヨ)(ッコ)ながら生き残ろうと必死にあがきまくった。

 それが俺の軍人生活の実質的な出発点。

 その後、増援部隊もやって来て、内戦はなんとかおさまったけど、まぁ、ハイ元通りとはいく筈ないよな。

 パニック状態の只中で、いちばん場数を踏んでない、要領がわるいのは俺たち予科練生だったから被害者ゼロで済もう筈がない。

 で、

 自立国家、友好国――そうした事実はあれ内戦の可能性を予想できていなかった事。

 能力的にほぼ一人前にちかくても、まだ見習いの()()に死傷者をだしてしまった事。

 それは軍や情報機関の失策で、最終的には政府の支持率にも影響を及ぼす事となる。

 その為、せめても世間様からの風あたりを柔らかくしようと、未成年者でありながら実戦の場に出た――出ざるを得なかった()()()()の存在は伏せられた。

 一応レベルであっても俺やクロベエたちの初陣が軍機あつかいされているのは、そーゆー理由。

 まぁ、いわゆるひとつのオトナの事情というヤツだぁね。

 だけどサ、

 そんな事情が事情だった俺たちと愛ちゃんとでは違うだろ?

 非常事態も緊急事態もアクシデントも何も無い。

 ことさら未成年者を軍人にする、しかも、最高レベルに機密度の高い基地に配属をする。

 どう考えたってオカシイじゃんか。

 もちろん、こうした不審な点は、愛ちゃんが超能力者(ワオ!)だって事から説明可能なのかも知れない。

 そこまではハッキリとはわからない。

 愛ちゃんの超能力がなんなのか。

 読心なのか、透視なのか――行き先も告げず、宿泊台帳もない宿にもぐりこんでた俺をアッサリ見つけ出したんだから、いずれ、そうした超知覚系の能力をもってる事は確実だけど、それだけなのか他にもあるのか。

 いや、それだけだって良いんだ。

 全然それで構わない。

 でも、もしも観念動力とか観念移動とかもアリなんだったら是非みてみたい。

 超(ヒー)(ロー)( ア)(クシ)(ョン)劇なんかじゃ定番&鉄板だし、なんと言っても見栄えがするし。

 ()()()じゃないけど、愛ちゃんのビジュアルに超能力のエフェクトまでもが追加されたら、そりゃもぉ絶対バズる。

 バズらない方がおかしいって。

 確実、一〇〇(パー)間違いない。

 可憐な(美)少女が超能力を発現すると、なんか、こぉ、髪の毛なんかが炎の色に染まって、バァッと逆立っちゃったりして、でもって、いならぶ敵をバッタバッタとなぎ倒す、とかさぁ……。

 想像しただけで、『ぅおおをおおぉ~~ッ!』てな感じになるじゃんか。

 なッ?

「ならんならん。そんな、子供じみた(たわ)けたことを考えるのは、トーウン、お前くらいなもんだ」

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