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石中の恋歌  作者: モノノベワークス
一対一対応の枕辺(まくらべ)
76/81

人鏡に映ったビスクドール

次回の更新は4/19です

 カラリリが貴族のキャンプに戻り、私達も詫びジーちゃんの家に戻ることにした。家に入って扉を閉めると私とフランはデカイため息をつきながら皮のサンダルをそこら辺に放り出した。乱雑に置かれたサンダルを後ろでアキレアが拾って整えて置いてくれる。


「アキレアありがとう。ハァーやっぱ官職はしんどいわ」


「うん。でも何か楽しくなってきたかも」


 私達はスカートの裾をまくるとその場にふくらはぎをあらわにして座った。


「お嬢様方、だらしないですよ」


 そんなアキレアの言葉を「わかってるって」と手で軽くいなしながら私は足を放り出すとその場に寝転んだ。横でフランが「ねえ」と話しかけ来るので答えると彼女は言った。


「ルリコは外交任されたじゃん? 私って何が向いていると思う?」


「…いや、そんなのわからないよ」


「今度母さんに聞いてみるか…」


 まあ、フランって何が苦手って印象もないけど…これと言って何が得意ってのもないからなぁ…。そう言う人って何がむいているんだろう?


 そう思って私が口を開きかけるとアキレアが私達を手で制して言った。


「誰か来ます」


 その言葉を聞いた私達は急いで立ち上がると乱れた服と髪を直して平静を装ってアキレアが明けた扉から出た。見るとそこにはシュラに乗ったロゼ副団長が近づいて来ていた。家から離れた場所でシュラ止め、辺りを見回すと降りた。副団長は手綱を握った逆の手を後ろ手に回すと森に向かって大きな声を投げかけた。


「我が名はクインストラナイツの副団長マリエル・ロゼだ。今日は用向きがあったので、潜んでいるなら姿を見せて欲しい」


 え? 誰か居るの?


 そう思って副団長が声をかけた森の方を見ても、暗い木々が見えるだけだ。


 私はフランと顔を合わせて二人で肩をすくめて視線を戻すとそこには黒の外套とつば広帽子を被った男エルフが音もなく立っていた。


 え!? マフディさん!?


 その黒づくめで色気のある男エルフは久々に再開した私には目もくれず副団長を見つめていた。すると副団長はマフディさんに頭を下げると言った。


「突然で申し訳ない。彼女らに伝達事項があってお邪魔した」


 その手はまるで劇場の挨拶の様に高らかに上げられている。


「悪いな、作法はよく分からん。…で、何の用だ?」


 彼がそう言った矢先に、後ろから女性の声が響いた。


「謝る必要ありませんマフディ様。突然のご来訪ですもの。多少の無作法は、お互い様でしょう?」


 そう言って木の影から姿を現したのはリサンドラだった。


「…いい、下がってろ。ここは俺が話す」


 マフディさんは現れたリサンドラさんを振り返ることなくたしなめる。すると彼女は頭を下げて半歩木の陰に隠れて言った。


「承知しました」


 マフディの言葉を受けると副団長は軽く背を伸ばすとマフディさんに向けて言った。


「クインストラナイツ団長リリア・ブランシュの代理で来た。明後日、団長主催のサロンがある。エルフの方々にも席を用意したい」


「…ああ、話は通る。招待は受けよう」


 そう答えたマフディさんの後ろでリサンドラさんが言葉を発する。


「その件、場所について一つお願いがございます。森の境界の駅での開催としていただけませんか。その方が、双方にとって都合が良いかと」


「承知しました。団長にはそのように伝えます」


 そう言うと副団長は軽く礼をするとシュラに乗ってその場を後にした。後ろ手にアキレアを一瞥し、わずかに頷いた。私はマフディさんを振り返ると彼は副団長の遠い背中をまだ見つめたままだった。


『お久しぶりです。マフディさん』


 そう言って近づくとマフディさんは眼帯で隠れてない方の目で一瞥すると言った。


『久しいな。ライラの娘。見違えたぞ』


『おかげさまで。たまには下にも遊びに来てくださいよ』


 そういうと彼はフッと微笑んだ。


『俺にはそんな暇などない』


『何言ってるんですか、無職の癖に』


 そう言って笑うと、後ろから冷や水の様な声がかけられた。


『ライラの娘ルリコ。貴方、マフディ様に対して不敬ですよ』


『そ、そうかなぁ?』


 私がそう言って頭を掻こうとすると、後ろからフランがその手を掴んで言った。


『リサンドラ。貴方なんでここに? まさかまた裏でコソコソ何かやってないよね?』


 リサンドラさんは面白くなさそうに額に指を当てて頭を振った。


『方達が人間と勝手をしているから事態を掌握する必要がでてきたんです』


『勝手って別に私達はそんな…』


『もともとクリシダを焚きつけたからこんなことになっているんですよ。ライラの娘ルリコ』


 うう…。やっぱクリシダも裏でなんかやってんのかな…?


『そんなこと言うならあなたもこっち来て何かすればいいじゃん』


 それを言われてリサンドラさんはフッと笑う。


『歩くくらいはしますよ。走り続けるのは、性に合わないだけで』


 それを聞いてフランはムッとする。


『リサンドラ。まさか明後日の会合に貴方も来る気?』


 それを聞いてリサンドラさんが答えようとするとマフディさんが間に立って言った。


『俺が行く。リサンドラ、お前達は下がっていろ。お前達の美貌びぼうは人間に邪な思いをいだかせるかもしれないからな』


『承知しました…』


 そう言って俯いたリサンドラさんの表情はどこか口惜しそうだった。


 もしかしてリサンドラさんも来たかったのかな? 


 そう思った私は軽く手を上げて言った。


『あ、マフディさん。明後日のサロンって多分カップル同伴だからパートナーの女の子を用意した方が良いですよ』


 そう言ってリサンドラさんをこれみよがしに見つめるが、彼は私の肩を叩いて言った。


『お前は俺と来い。…その方が都合がいい』


『ええ!? それ、私でいいんですか!?』


 そう言うとマフディさんはフッと笑う。それを見て私も変な愛想笑いを浮かべる。


 ダメだ…この人何考えてるか全然わからん…。


 私がマフディさんの顔色を伺っているとリサンドラさんが木の影から身を乗り出して言った。


『ルリコさん。勘違いしないでくださいね。マフディ様は“無駄に目立つもの”は避ける方ですから』


『えー? じゃあ私は誰と行こうかな…。誰かさん達と違って目立たないしね』


 そう言ってフランはリサンドラに勝ち誇ったような笑顔を向ける。それを見たリサンドラはフランを流し目で見つめて言った。


『ルリコさん、フランさん。これはお遊びとは違うんです。ラヴェルヌの人間達がいつ我々に反旗はんきひるがえすともかぎりません。その時の為に、騎士団の忠を得るのは必須です。そのことだけはどうかお忘れなく』


『そんなこと言われなくてもわかってます』


 リサンドラの言葉にフランが答える。


『わかっている? 貴方達は何もわかっていない。貴方達の掲げる繁栄。それは本当に美しいのですか? 私の見る限り貴方達が…正しい道を進んでいるとは思えない…』


『は? 生きてるんだから仕方ないじゃん』


 フランの声が低くなる。


『じゃあ何よ? アンタ達みたいに働かずにすきっ腹を抱えて男が持ってくるエサを待ってジッとして居ることが美なの? それで子供を産んで死んでを繰り返すことが美なの?』


 そう言われるとリサンドラは顔をうつむかせる。


『わかりません。でもだからと言って、私は人間の生き様を美しいとは思えない』


 それを言われたフランは眼を落した。


『それは…まあそうだけど…』


 リサンドラもうつむいたまま目を閉じると言った。


『私達は私達の道を行く。だから…貴方達はご自分の道を進んでください。その道がいつかまた交わることを――オウムアレアに祈ります』


 そう言ってリサンドラはマフディさんに見送られながら森へと帰って行った。家に戻ったフランは乱暴に座ると『なんなのアイツ!』と言って膝を顔に埋めた。その様子を見て心配そうな目線を私に送るアキレアに言った。


「ごめん。アキレア。エルフの中でも騎士団に興味持つ人がいるみたいでね。あのキレイなオジサンが私と来ることになった」


「そうなんですね」


 アキレアは頷きながらもまだあまりよくわかってなさそうな表情を浮かべている。


「というわけでアキレア、アンタは私とね」


 突然埋めていた膝から顔を上げたフランはそう言うとアキレアの手を取った。


「ええ!? 私がお嬢様と!? しかし私は女ですが…」


「大丈夫、男装すればバレないから」


「お戯れを! そのようなことをしては当家に顔向けが…」


「でもそうすれば最前線でルリコを守れるじゃん」


 フランがそう言うとアキレアは顎に手を当てて悩ましい表情を浮かべた。


「決まりね。じゃあルリコ」


「うん?」


「行くよ」


「どこに?」


「決まってるじゃん。明後日の服を手に入れるの」


「あー。でもどこで手に入れる? ケペンさんの所は全部ノグルスが接収しちゃったしなぁ…」


「じゃあアイツのところ行こう」


「アイツ?」


「カラリリ」


「ああ…まあ、確かに服は沢山持ってそう」


「ついでだからアキンボも連れて行こう」


「うーんじゃあ明日はカラリリに迎えに来てもらうか」


「ええ…? 今から貴族のところにまた行くの嫌なんだけど…」


 それは私も嫌だったので少し考えてから、小屋の窓を開けて暗くなりかけた森に叫んだ。


「クリシダー?」


 そう呼びかけても森はシンと静まり返ったままだ。


「いや、いくらクリシダとはいえ居るわけないって」


 いや、クリシダのことだから居るな。


 そう思って私はまた声をかけた「シルバー?」そう呼びかけてもやっぱり森に変化はない。


「やっぱ無理なんじゃない?」


 フランがそう言って窓辺に顎をのせると「うわ」と声を上げた。フランの視線を見ると暗い森の中に二つの白い光のような物が浮いていた。


「狼の目だ」


 狼は私達の方を見て「何か用か?」と言わんばかりにジッとしていた。


「あの! クリシダに鳥で明日貴族のキャンプに行くって伝令を飛ばして欲しいって伝えて!」


 そう狼に言うと彼はわかったとでもいう様に頭を何度かおじぎさせて森に消えた。暫く狼が消えた後もジッとしていると、フランがボソッと言った。


「ねえ。貴族のキャンプにいきなり鳥が伝令に来たら…。余計に私達って変って思われない?」


 それを聞いた私はそうなる気がして背中に冷や汗が垂れた。


「明日何聞かれても知らないフリしよ」


「そうだね」


 翌朝、見張りをしていたアキレアが私達を起こして言った。


「貴族のキャンプ方面からのろしがあがっています」


  それを聞いた私達は飛び起きた。三人がかりで髪をとかし、服を着付ける。急ぎながらも、手だけは妙に丁寧になる。準備を整え、私達は家を飛び出した。


 しばらく歩いて森から出ると森と開拓地の境界の駅に鳥車が止まっているのを見えた。急ぎたいところを私達はしゃなりしゃなりと優雅に近づくと鳥車の周りには赤と黒の重装甲を着た兵士たちが私達に膝間づいて迎えた。


「相変わらず大げさ」

 

 そうフランが呟くと車の影からおかっぱ頭に前髪で顔が隠れたメイドさんが現れて言った。


「ルリコ様、フラン様、アキレア様。お待ちしておりました。どうぞこちらへ」


 私達と一緒におかっぱのメイドさんも一緒に鳥車に乗り、走り出すと彼女は言った。


「アキンボ様は他の者を向かわせておりますのでご安心を」


「はあ…」


 豪華な内装に目を奪われていた私達は、そう言われてアキンボの迎えについて言い忘れていたことを思い出した。


「お願いします」


 私は愛想笑いを浮かべながらも、ふかふかのソファに手を沈めて上げてを繰り返して密かに感触を楽しんでいた。


 うーん流石は貴族の乗り物って感じだな…。


 隣のフランはと言うと、アキレアの隣に座っているおっかぱたまのメイドに「何その髪型?」とでも言わんばかりの目線をずっと向けたままだった。


 暫くして貴族のテントについた私達はおかっぱのメイドの案内で鳥車の外に出た。そこは鳥車が入っても窮屈きゅうくつにならない程に大きいテントの中だった。テントの中には面にずらりと並んだドレスが置かれていた。そのドレスの間をかき分けるようにしてカラリリが出てくると言った。


「ごきげんよう」


 それを見てフランはため息をつくと「いきなりでごめんだけど今日はよろしくね」と頭を振った。


「いえ、私もお二人のセンスについて一言あったので丁度良かったです」

 

 と悪びれずクスクスと笑った。


「貴方のそのド派手な衣装に言われたくないんだけど…」


 そう軽口を交わしている間にテントの中に入っていた鳥車はテントの反対側の出口から出て行った。天幕に降ろされる布を見ながら私はどんな服を選ぶかをぼんやりと考えていた。


 マフディさん黒が好きだろうし…。だったらそれに合わせる色が良いかなぁ…。黒に黒だと葬式みたいになりそうだし…。


 そう思って私はテントの中の大量のドレスの前を吟味しながら歩く。


 やっぱ無難に白かな?


 そう思って手に取って鏡の前で合わせて見ているとカラリリが近づいて来て言った。


「白基調とは。明日のサロンで貴方は主催でも務めるんですか?」


「え? ちょっと派手過ぎた?」


「派手というより、白基調はサロンの主催や主演が切るべき色なので。適宜ではないのでは?」


「あーわかるわかる」


 アキレアに服を合わせながらフランもカラリリに同意する。


「そういう訳でどうでしょう。ラヴェルヌ家伝統のワインレッドのドレスは」


「それはアンタが好きなだけでしょ! ホラ、ルリコ! これ。紺のやつ合わせてみなよ」


 そう言ってフランに当てられたネイビーのドレスはなんだか落ち着いた大人っぽい雰囲気を感じた。


 ああ、そうか。サラリーマンも黒のスーツにネイビーのニットとか合わせるもんな。これでいいか。


「私はこれにする。フランは?」


「私は黒。アキレアは白に黒で」


 そう言うとテントの影からメイド達が現れて私達にドレスを着せて採寸して手直しを始める。私達はメイドに成すがままにされながらその間話続けた。


「アキンボはどうするの?」


「わからないけどアイツは多分無難に黒でしょ。あっちの団長は白好きそうだしあの鎧の子も白着させそう」


「あーまあ確かにそれはそう。褐色肌に白って何か合うしね」


 そんな他愛もない話をしているとカラリリがポツリと言う。


「ルリコさん。そういえばあれからマーガレットにはお会いしましたか?」


 いきなりそんな話を振られて私はキョトンとして答える。


「いや。何で?」


「…最近、あの方。あまり表に出ていないようで」


「そうなの?」


「ええ。こういう場に顔を出さないのは、珍しい方ですから。……お声がけしてみてもいいかもしれません」


 そう言うカラリリの表情には彼女を憂うような色は全く見えない。


「もしかして…なんか企んでる?」


「え…?」


 そう言われたカラリリは大きく眼を見開くとすぐに細めて言った。


「どうしてそう思ったんですか?」


 え、いや何この反応。どっちだ?


「まあいいけど…でも団長に無断で誘っていいのかな?」


「ではウチに駐在している騎士を走らせましょう」


 やけに親切だなぁ…。


 私はカラリリを横目で見ながら言った。


「いや、私から副団長さんに確認とってもらうよう言っておくよ」


 そうじゃないとなんかカラリリがマーガレットさんに仕掛けるんじゃないかなって気がするんだよなぁ。


「どうぞ」


 そう言うカラリリの笑顔はどこか寂しそうにも見えた。


 うーんどっちなんだ。全然わからん。


「ねえ、服を合わせたいからちょっと外して欲しいんだけど」


 フランがカラリリのそう言うと彼女は意外そうに口に手を当てて言った。


「あら? 私は貴方達のお友達なんだからその美しい肢体を楽しんでも構わないのでは?」


「その発言がもう既にもう無理。悪いけど外して」


「仕方ありませんね」


 そう言ってお付きの使用人と共にテントの入り口に向かうカラリリの背にフランは舌をチロリと出した。


 いや、やめなって。着付けしてくれる使用人はカラリリさんの部下なんだからさ…。


 私達は使用人に服を脱がしてもらうと、彼女たちは私達の身体に見惚れるような視線を向けそうになるのをこらえているようだった。そんな使用人に気づかないフリをしているフランに私は言った。


『ねえ、どう思う?』


 それを聞いたフランは私を横目で見て言った。


『どうって?』


『なんか変じゃなかった? 企んでそうっていうか…』


『…あの娘はいつも変でしょ』


 …そうかな? そうかも? そうなんだろうか?


 黙り込む私にフランは続けて言った。


『なんか一貫性がないっていうか…。優しい気もすれば、なんか厳しいときもあるし…。どれが本当のカラリリなんだろう? って感じはする』


 それを聞いて私は握った両手に口先を埋めて言った。


『そんなことないよ。だって私だって前世の私、エルフの私っていう沢山の面がある。きっとカラリリは私と同じで色々なことに適応しないとダメであんなになったんじゃない?』


 そう言うと私はフランの顔を見る。彼女は不思議そうな表情で首を傾げる。


『それっておかしいことなの?』


『え?』


 私がフランを見ると彼女は肩をすくめて言った。


『私だって家の私、友達の私、ルリコにとっての私がある。そんなの当たり前じゃん』


『それは…』


『むしろ私はルリコに表裏がないことの方が驚きだよ』


 …確かに言われてみると奇妙かもしれない。


『ルリコはどうしてそんなに自分とか私にこだわるの?』


 そう言われて私は合点した。


 そうか…この世界の人達はそうなんだ。家の自分とか友達と付き合う自分とか色々な自分が居るんだ。


 私は使用人たちになされるがままに天を仰いで言った。


『まあ、私にも家の自分とか仕事の自分は居るけど…。何かウソをつくのは気持ち悪い感じがするっていうか…』


 って…。それまんまフランのことじゃん…。


『あ、ゴメン。でもフランのことは別に変だと思ってないよ』


 そう思って私はフランを見ると彼女は笑った。


「なんで謝るの? だってルリコは強いじゃん。どこに居ても誰が相手でもルリコはルリコ。私はそんなルリコと一緒に居る時は”本当の私”で居られる気がしている。ルリコを中心にしていると皆正直になれる。思うんだけどカラリリもルリコと一緒に居る時だけは”本当のカラリリ”なんじゃない?」


 フランに言われてやっと私は腑に落ちた。


 …そうかカラリリに一貫性がなくても…。いやないからこそ、私と居る時のカラリリは私用の自分で振舞っているかもしれないんだ。


「…たしかにそうかも。ありがと」


 そう言うと私はテントの鏡に映る自分を見た。


 だとしたらさっきのカラリリはカラリリじゃないのかもしれない。この鏡に映った私の様にカラリリという人を通して映った私の姿を見ていたのかもしれないな。


 そんなことを私はずっとぼんやりと考えていた。

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