#78 ヒモパンとガーターベルト
「これの履き方は見たから知ってる」
ルブルムが俺に向かって見せてきたのは紛れもなく紐パンだった。
見たから、というのは『テレパシー』で共有したフラマさん着用シーンのことだろう。
「えっ、もうそんなに流行ってる? うちのヒモパン」
「やっぱり、ナイトさんとこで開発した商品でしたか……」
ルブルムの手を、紐パンごとぎゅっと握りしめる。
「おー、おー、ということは、アイシスあたりで高級娼婦と」
「何もしてません。俺は巻き込まれただけです」
「いいねぇ。若いって」
ナイトさんはヒャッヒャッヒャッと下品に笑う。
「おぅ、リテル。こっちのはどうやって使ってた?」
メリアンまでニヤニヤしながらこちらに向けてブラブラさせているのは……こちらも紐状の。
「あぁ、それはガーターベルトというものだ。膝上までの長い靴下をな、腰の所から吊る道具だ」
「へぇ。何のために」
「そりゃ、男をそそらせるためさ」
「そうなの? お兄ちゃん、そそる?」
レムまでガーターベルトと紐パンを持ち、自分の股間あたりにあてている。
「こういうのは趣味というか、人ぞれぞれだから」
「じゃあ、私はヒモパンだけにしておこっかな」
レムは俺の方をちらりと見る。
「な」
絶句している間に、ルブルムはまた脱ごうとっ。
「ル、ルブルム。ダメだよ、こんなとこで脱いじゃ」
「ああ、ディナ先輩に教えられたやつか。リテルがいるから大丈夫」
「大丈夫じゃないっ。いいかルブルムっ。家族が居るから大丈夫って考えるんじゃなく、家族じゃない人が居るからダメって考えるの!」
「そうなのか……ああ、そうか。理屈は聞いたけど、まだ実践が難しいな」
「ルブルム、ね。お兄ちゃんは、他の男にはルブルムの裸を見せたくないって言っているの」
ルブルムの表情から怪訝さが消え、少し嬉しそうにすら見える。
「お兄ちゃんも、言い方だよ!」
俺が怒られるの?
……疲れる。
「ヒモパンとガーターベルトは、それぞれに一つずつ贈るから、好きな色のを選ぶとよいよ」
「しかし手触りいいな。これ、もしかして絹か?」
メリアン、俺をからかっているんじゃなく本気でヒモパンに興味あるのか。
「ああ、ここいらではまだ貴重だけどね。こういう商品はすぐに真似されるもんだ。この世界にはトッキョなんてのがないからね、真似されても選ばれ続けるよう、最初から品質の高いものを作るんだ。ブランドだよ」
「へぇ。トッキョとかブランドとか、聞いたことない外国語だけど、なんとなく理念は伝わったよ」
「そうだ。リテルくん、コンドーム要るかい?」
「こ、コンドームって」
「避妊に使う道具だよ……って、顔真っ赤じゃないか。もしかして、あれだけ仲良さげな割にはまだ」
「そのうち、だよね。お兄ちゃん」
レムが俺の左腕をぎゅっと抱え込む。
それを見てルブルムも右腕を抱え込む。
まだ革鎧を脱いでいないから腕にあたる感触はゴツゴツなんだけど、普段馬車で寝ているときのことを思い出し、やけに照れくさい。
「いいねぇ! セイシュンだねぇ!」
拍手しながらはしゃぐナイトさんに、リリさんがさり気なく寄り添う。
「コンドームはね、ごくごく秘密で売ろうと考えている。生みたくない利用者なんて浮気が多いだろうからね。獣種の子供は、必ず親のどちらかの獣種と同じになるからね。父親とも母親とも違う子が生まれたら言い訳できないんだ。だから絶対に需要がある。試作も最終段階でね。オレ以外の人にも使ってもらって使用感を試してもらいたいんだよね」
「いやいやいや……俺は無理です」
「ふむ。生派か」
「そ、そうじゃなくって!」
「わかってるよ。ちょっとからかっただけだってば」
やりにくいな。
「ゴムがないからね、動物の腸をベースにしたよ。で、魔石とセットで売り出す予定だ。薄くて破れやすい腸を破れないようにする魔法と、使用者のアレに合わせてぴったり装着できるようにする魔法とを組合せて『コンドーム装着』という魔術をリリに調整してもらってる。それだけだとなんだから付加価値をってことで、表面に細かな突起をつけるってのを調整中でね」
「た、大変なんですね」
細かな突起については、深く聞かないでおこう。
ルブルムやレムが興味を持ったら大変だ。
「秘密でってどうやって売るんですか?」
うわ、レムが興味持っちゃったよ。
「うちの商会は普通の商品を売る店の奥に、特別なお客様だけが入れる商談室を作っているんだ。そこへお通ししたお客様にだけ限定で販売するんだよ。ヒモパンやガーターベルト、コンドームなんかはそこだけで売る。高給品質で特別版の商品を、特権的な満足感と一緒に売るのさ」
レムは目を輝かせながら頷いている。
レムの出身村は貧しい所だったから、こういうことに興味を持つのはよくわかる。
「リテルくん、君ら何か目的があって旅をしているんだろう? その旅が終わったあとのことは考えているかい?」
「……なんとなく……ですけれど」
「確定ってわけじゃないんだね。じゃあ、その選択肢の中に、うちへの就職ってのも入れてみてはどうだい? 正直オレも、君くらい気の合うヤツにあなかなか会えないでいてね」
これは、とてもありがたいお誘いだ。
リテルは次男なのでいずれ家を出なきゃいけない……ただ。
ケティのことを思い出す。
ケティはきっと家業の鍛冶屋を継ぐだろう……リテルは、あわよくばそこに婿入りできたらいいって夢想していたくらいだ。
その二人を、俺の身勝手で引き裂くわけにはいかない。
それに、まだまだ学び足りないこともたくさんあるし、カエルレウム師匠のもとを卒業するには早すぎる。
「まだ、勉強中の身なので」
「わーった、わーった。返事は急がないよ。まあ、覚えといてくれや」
「ありがとうございます」
その後は、休憩してたマドハトたちも合流し、美味しい食事をごちそうになった。
中世ヨーロッパほどじゃないけれど調味料の多くはやはり割高らしく、エログッズで儲けたお金は趣味の発明と贅沢な食事とにけっこう消えているのだとか。
ナイトさんは塩の流通にも手を出しているようで、今後の旅のお供にと塩をそれなりの量いただいた。
塩は、こちらでは浅いプールに海水を注ぎ、天日干しで作られたものが多く流通しているが、細かな埃やゴミなどを取り除いていないため、ナイト商会でそれを除去して真っ白な塩だけに加工して販売しているとかで、いただいたのはその綺麗な方の塩。
それから乾燥にんにくと、肉料理を美味しくするというハーブを数種類……海の雫、フィーニークロウン、クミヌム、サルビア、それからどう嗅いでもミントの香りがするメンタ。
ちなみに、クミヌムは炒るとほんのりカレーの香りがするらしいから、元の世界におけるクミンと同じだろうとナイトさん。
俺は元の世界では料理は全くしたことなかったので、これを機にいろいろ覚えてみようかな。
ナイトさん曰く、ハーブ栽培については、元の世界の中世では修道院がその役割を担っており、食用だけじゃなく治療にも使われていた、という。
修道院とか教会とかがないこの世界においては、そういうハーブ園は貴族がそれぞれ抱えていて、商売で貴族とのコネができるまではわけてもらえなかったとのこと。
今後は、この世界の食生活を潤すべく、ナイト商会でハーブの栽培や販売を徐々に広めて行く計画もあるらしい。
ナイトさんは……キタヤマさんは、この世界を受け入れ、受け入れられ、ここで生きていくことに、生活していくことに、まっすぐに取り組んでいるんだな。
自分がどうするかとは別問題だけど、人生の先輩として、物質的な支援のみならず、とても助けてもらった気がする。
いつかリテルに体を返して、その先、俺がこの世界で生きていけるようになったなら、そのときは大手を振ってお世話になりに来たいなとも思う。
その晩は、ふかふかのベッドで寝ることができた。
ディナ先輩のとこと同じくらい。
また、着ていた服も全部洗濯してくれて、着替えまでプレゼントしてもらった。
何から何までしてもらって、いったいどうすればお礼ができるのだろうか……なんてことを考えていたら、目が冴えてきた。
俺の腹もなぜか鳴る。
違う。なぜか、じゃない。この匂いのせいだ。
ポテトチップを揚げている匂い。
起き上がろうとすると、俺の両腕をがっつり抱き込んでいる二人……ルブルムとレムも目を覚ます。
そして、俺の足元にうずくまるように寝ていたマドハトも。
「あのポテチの匂いです!」
マドハトが嬉しそうな顔をする。
時計はないので、窓から月を探す……いや、明日は新月だから見つから……ないはずなのに、中庭が妙に明るい。
テーブルと椅子が並べられ、松明が配置され、まるでこれから宴会でも開くかのような……ああ、そうか。
今、お祭り中なんだっけ。
鎧などは着込まずに、部屋着というか下着のままで部屋を出る……と、三人もぞろぞろついてくる。
夕飯のときに給仕をしてくれた未完成メイド服のお姉さんたちが、忙しそうに宴の準備に追われている。
「起こしちゃったか、すまないね」
ナイトさんは、ちょっと小綺麗な外套を下着の上から身につけていた。
「君らも起きているなら、給仕をつかまえて外套をもらってくるといい。ルブルムちゃんはクスフォード虹爵にもお会いしたそうだから、大丈夫かもしれないが、くれぐれも粗相のないように」
こんな言い方するってことは……偉い方がいらっしゃるってこと?
ドキドキしている俺の耳に、鐘の音が聞こえた。
あれだ。モノケロ様が移動する合図の、二ホーラ毎の鐘の音。
「さっき、突然に使いの方がいらしてね」
勇ましい足音が揃って近づいてくる。
慌てて外套を羽織り、皆でナイトさんの後ろに整列してると、メリアンまで出てきて列に加わった。
リリさんが山盛りポテチの大皿を台車みたいなので運んできて、大机の横につけたとき、足音が止まり、敷地の入り口に多くの人影が見えた。
「ここにぃー! モノケロ様が隠れていないかぁー! 調べさせてもらおーぅ!」
よく通る綺麗な女性の声……ということは、モノケロ様の奥方のレーオ様の方か。
レーオ様は、猫種の半返り。
物凄い美人。そして文句なく強そう。
周囲のライストチャーチ領兵の人達もみな、猫種の女性で固めているようだが、レーオ様お一人だけ威圧感が凄まじい。
寿命の渦を見ているだけでこんなにも圧倒されたのは初めてかもしれない。
「どうぞどうぞ!」
ナイトさんが大声で叫ぶと、屋敷の他の人たちも「どうぞどうぞ!」と叫ぶ。
俺たちも慌ててその大合唱に加わる。
レーオ様は颯爽と近づいてきて、ポテチをサクッとつまんだ。
背の高さこそメリアンより低いものの、筋肉のつき方が半端ない。
そう。フリルこそたくさんついた服ではあるが、ノースリーブで、ムッキムキの腕がぬっと胴体から出ているのだ。
「お前たちも食え」
レーオ様が腕を高くあげると、領兵の皆さんもポテチに群がる。
「ナイトよ。久しいな」
「レーオ様、息災でなによりです」
「お前のヒモパンとガーターベルト、モノケロも大層喜んでいた。新作ができたらまた屋敷の方へ運んでくれ。今回の祭りが終わったらまた子種を仕込むつもりだからな」
レーオ様は高らかに笑い……そしてこちらを見る。
「なんだ、メリアンじゃないか。本物か? いつここへ?」
え? 知り合いなの?
「久しぶりだな。レーオ……今はレーオ様か。まさか会えるとはな……到着は今日の昼過ぎだ」
「様はいらんよ……おい、昼過ぎだと? 今日は祭りで門は朝から閉まっていたはずだが……まさか! あの魔獣ルージャグ討伐した旅の連中ってのはメリアンたちのことか! あははっ! 相変わらずだなぁ!」
メリアンとレーオ様がまるで友達同士のように肩を叩きあっている。
いや、幾分かメリアンの方が緊張しているようにも見える。
クラーリンさんに寿命の渦に感情が影響することを聞いてから、『魔力感知』の感知力があがったのか、一緒に精神的な状態もちょっとずつ把握できるようになってきている気がする。
「この時期に北へ向かうってことは、北部戦線か?」
「あー、いや、あたしじゃなくラビツたちがな。あたしはその尻拭いさ」
「ラビツか! じゃあアイツもここに寄ったってことか。挨拶もなしで!」
「おおかた門が閉鎖されるって聞いて慌てて飛び出したんだろうよ。昔は祭りなんてやっていなかったろ?」
「ああ。去年たまたまやってみたら領民が喜んでな。つーか、なんだお前ら、まだくっついたり離れたりしてんのか」
「あー、いや……その……北部戦線でひと稼ぎしたら……その……するつもりだよ」
「とうとうか! 式はどこでやるんだ? そうだ。ここでやろう! 昔の連中みんな集めてさ」
「式か……そんなのあたしらっぽくないからさ、やんないつもりなんだけどさ」
「メリアン。式ってのはぽくないことをするもんだよ。普段やらないことをやるからこそ区切りになるんだ」
「レーオに言われると弱いな」
「よし。ここでやるで決定だな。北部戦線の状況見て招集かけておくから、生きて戻ってこいよ」
「まったく、かなわねぇ」
「そう言うなよ。門を開けてやるからさ。追いつきたいんだろ? すぐには無理だが、明日の朝には手配しておく。北門で待っていな」
ん?
今、何が起きたんだ?
メリアンとレーオ様が知り合いで、メリアンとラビツが結婚間近で、それで明日の朝、門を開けてもらえるって?
情報量の多さと話の展開の早さに呑まれそうだよ。
● 主な登場者
・有主 利照/リテル
利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。
リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。
ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。
その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種。
レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。
現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。
アイシスでチェッシャーに告白されたり、死刑を宣告されたり、フラマからラビツ情報を聞いたり。
その後、エクシに殺されかけたり、初めての殺人を経験したり、ゴーレムを起動したり。
とうとう日本人らしき人物に遭遇。
・カエルレウム師匠
寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種。
肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。
寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。
ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。
自分の興味のないことに対しては、例え国王の誘いであっても断る。
・ルブルム
寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種のホムンクルス。
かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。
カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。
質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。
ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。
いつの間にかレムと仲良くなっている様子。
・マドハト
赤ん坊のときに取り換え子の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。犬種の先祖返り。コーギー顔。
今は本来の体を取り戻しているが、その体はあんまり丈夫ではない。
ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、やたら顔を舐めたがる。
リテルにくっついてきたおかげでちゃっかりカエルレウムの魔法講義を一緒に受けている。
フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。
勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。
クッサンドラを救うためにエクシとクッサンドラの中身を『取り替え子』で入れ替えた。
・ディナ先輩
フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。
男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。
アールヴと猿種のハーフ。壮絶な過去を持つ。
フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。
リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種の半返りの頼もしい傭兵。
円盾と小剣を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。
騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツと結婚間近である様子。
・ラビツ
ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。
兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。
ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。
北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。
リテルたちより二日早くアイシスを出発した。ギルフォドに向かっているらしい。
・エクシ
クッサンドラは、病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種の先祖返り。ポメラニアン顔。
フォーリーで領兵をしていたが、マドハトの『取り替え子』により、瀕死の状態からエクシを体を交換された。
クッサンドラの肉体を傷つけ、その中に入ったエクシは死亡。
エクシはリテルと同郷で幼馴染の一人。ビンスン兄ちゃんと同い年。フォーリーで領兵をやっていた。
父ハグリーズからのエクシへの虐待を防いでくれていた姉が、クッサンドラの兄のもとへ嫁いだせいで、守ってくれる者が居なくなり、エクシは歪んだ。
クッサンドラは、エクシから姉を奪ったことに責任を感じており、エクシが犯した罪を償うべく、エクシが殺しかけたドマースへ、その代償としてエクシが寿命の渦を売った。
・レム
バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。
魔法に長けた爬虫種の少女。
リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。
その母親は利照同様に異世界から来た。
現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。
ルブルム一行の護衛として同行。最近、ルブルムと仲が良さげ。
お兄ちゃんとは結婚できるとか言い出した。最近はトシテルの方からも大事に想っている。
・ロッキン・フライ
名無し森砦の兵士。
フライ濁爵の三男。山羊種。
ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っているが影が薄い。
ルブルム一行の護衛として同行。指笛で相棒の馬を呼べる。
・ケティ
リテルの幼馴染。一歳年上の女子。猿種。
旅の傭兵ラビツに唇を奪われ呪詛に伝染し、それを更にリテルへと伝染させた。
カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願し、リテル達がフォーリーを発つ時、メリアンと共に合流した。
盗賊団に襲われた際は死にかけたり、毒で意識不明になったり。
足手まといを自覚し、ストウ村へ先に戻った。
・ナイトさん
元の世界では喜多山馬吉。元の世界では親の工場で働いていた日本人。
四十五歳の誕生日にこちらへ転生してきた。馬種。元はニュナム領兵の隊長をしていた。
今は発明家兼ナイト商会のトップ。宿難民と化したリテル達に宿の提供を申し出てくれた。
ヒモパンやガーターベルトやコンドームの発売もしている。リテルを商会に誘ってくれた。
・リリさん
ナイトさんの奥さん。猫種。
元はニュナムの魔術師組合で働いていた魔術師。もうすぐ子供が生まれる。
・レーオ様
ライストチャーチ白爵領主モノケロの妻。猫種の半返り。
美人で筋肉も威圧感も凄まじい。
メリアンやラビツたちとは旧知の様子。
・レムルース
地界に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。
『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。
レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。
ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。
・ルージャグ
元々は地界の種族。こちらの世界に稀に出現するが、その危険性ゆえ、すぐに討伐される。
ぼろきれをまとったむさ苦しい女の姿だが、獣種の三倍ほどの体長を持ち、村の防壁を壊すこともある。
湖をねぐらにし、手当たり次第に人を捕らえて殺す。
● この世界の単位
・ディエス
魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。
魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。
・ホーラ
一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ一時間に相当する。
・ディヴ
一時間の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ五分に相当する。
・クビトゥム
長さの単位。
本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。
トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。
・アブス
長さの単位。
元の世界における三メートルくらいに相当する。
・プロクル
長さの単位
一プロクル=百アブス。
この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。
・通貨
銅貨、銀貨、金貨、大金貨。
十銅貨(十二進数なので十二枚)=一銀貨
十銀貨(十二進数なので十二枚)=一金貨
十金貨(十二進数なので十二枚)=一大金貨
・暦
一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。
それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。
各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。
毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。
第七十八話終了時点では星の月夜週の八日の夜遅く。




