#79 ショゴちゃんの乗り心地
訪れた夜明けが外壁の白を際立たせる。
ニュナムの誇る白壁加工は内側にも施されているようだ。
そんな時間だというのに街のあちこちからは陽気に歌や騒ぎ声が聞こえる。
まだ祭りの最中なのだということを五感で感じる。
馬のいななきが聞こえ、割れた人混みの中から俺たちの馬車が現れた。
ニュナムに入る時に一緒だったライストチャーチ白爵領の領兵、プラさんだ。
馬車の後ろから、ムケーキさんがロッキンさんとエクシの馬も連れてきてくれている。
「残念だな。祭りはまだ終わっていないっていうのに」
ムケーキさんが手綱をロッキンさんたちに渡しながら眉を下げる。
「でも、十分に楽しめました」
「そうかい。また来てくれよ。ニュナムはいつでもあんたら、ルージャグ討伐の英雄たちを大歓迎するよ」
困っている人たちの助けになれたこと、自分に少しでも自信を持てるようになったこと、強敵との戦い方へのヒントをもらえたこと、ルージャグとの戦いは、俺にとってもありがたい経験だった。
「じゃあ、早速、馬をつなぎ替えてくれ」
ナイトさんが指示を出し、俺とメリアンとで、馬車の馬をショゴちゃんへとつなぎ替える。
ショゴちゃん……ナイトさんの「バス号」作成前の試作機「ショゴウキ」……板バネによるサスペンションと、藁クッション付き椅子、床下隠し収納、魔力を流すことで御者も馬もなしでブレーキをかけられる「次、止まります」ボタンなどがついた便利な六輪馬車。
このショゴちゃんを俺たちの旅にと提供してくれたのだ。
今持ってきてもらった馬車はナイト商会で預かってくれるという。
ありがたい。
「じゃあ、リテルくん。くれぐれも……」
「はい。ドクロボタンは最後の武器だ、ですね」
どう見ても自爆ボタンっぽかったデザインのボタンには、間違って押さないようにと木製のカバーが取り付けられている。
このドクロボタンも「次、止まります」ボタンも、ボタンの中央にはめられた魔石に触れて魔法代償を注ぎ込むと発動する仕組み。
ゆくゆくは、ゴーレム系の魔術と融合させて、遠隔操作できる「ナイトニセン号」も作りたいとか言っていた。
「就職のこととは別にさ、落ち着いたら遊びに来いよ。一緒にテーブルトークしようぜ。それが、君がオレにできる最高のお礼だから」
「はい! 是非とも!」
馬車に乗り込み椅子に座ると、御者席のレムが門へと近づくために馬車を少しだけ移動させる。
サスペンションに加え、椅子に紐でくくりつけられた藁クッションが、ニュナム大通りの石畳から来る衝撃をかなり和らげてくれる。
「なんだ、この馬車の乗り心地! 他の馬車に乗れなくなっちまうな!」
メリアンのテンションが昨晩同様に高めだ。
昨晩はあれから一ホーラくらいの間だったが、レーオ様がいろんな話を俺たちにしてくれた。
レーオ様はかつて、メリアンが傭兵として参加した戦場でメリアンたちを率いた元上司であり、メリアンがタイマン模擬戦で勝ち越せていない数少ない相手なのだという。
レーオ様から与えられたリベンジ模擬戦の機会を、さすがに祭りの最中だからとメリアンは辞退していたが、そのあたりからメリアンのテンションが上がったのを覚えている。
「勇猛なる雷姫」という二つ名を持っていたというレーオ様にも驚いたが、「噛み千切る壁」という二つ名のメリアンの実績を聞いて改めてその凄さを思い知った夜だった。
街の中へ陽が差すのを合図に、ニュナムの北門がゆっくりと開かれる。
レーオ様のお付きだった猫種女性の領兵さんも一人、見送りに来てくれる。
彼らと、どさくさ紛れに集まった祭りを楽しむ人たちとに手を振りながら、俺達が門の向こうへと出ようとしたとき、一人の男が駆け寄って……こようとしてプラさんたちに取り押さえられる。
「あ、兄貴ぃ! あっしのことも連れてっておくれよぉ!」
兄貴?
明らかに俺よりも年上に見える山羊種の男に見覚えなんてな……あっ。
ウォッタやカーンさんたちに酷いことした四人組山羊種の唯一の生き残りか!
「寿命ちゃんと提出して罪は償っただろ?」
「許可が出ているのは彼らだけだ」
「兄貴ぃ! 兄貴からも一言お願いだよぉ! あっし、兄貴に命を助けてもらって感謝してるんだっ! 何でもするから! 心を入れ替えるから! あっしも連れてってくれよぉ!」
落ち着いて、首を縦に振る。
縦に振るのはこの世界では否定の意味。
「兄貴ぃ! きっと追いついて! お助けに参りやすぅぅぅ! あっしの名前はファウン! 以後お見知りおきをぉぉぉっ!」
ファウンの絶叫を閉じ込めるかのように、北門は再び閉じた。
これでいい。
ドマースやウォッタが同行していた時だってかなり神経をすり減らしたんだ。
気を使わないといけない相手は増えないにこしたことはない。
「お兄ちゃん、この馬車……ショゴちゃん、全然揺れないね!」
「板バネというものはすごいのだな」
レムもルブルムももう興味は馬車の乗り心地へと移っていた。
元の世界での乗り物の乗り心地からしたらまだかなり揺れている方なのだが、こちらの普通の馬車に比べると確かにサスペンションの効果というか、格段上に感じる。
ナイトさんはいずれ貴族用の馬車も作ると言っていたが、これは絶対に需要あるだろうな。
「なあ、ルブルム、リテル……ラビツのことは黙っていたわけじゃないんだが……その、騙されたと思わせちまったんなら謝る」
メリアンのテンションが、さっきまでの反動かのように下がっている。
そういやラビツとの関係については一切明言してこなかったもんな。
「騙す? なぜ? メリアンには感謝してる」
ルブルムが言う通り、俺もメリアンには感謝しかない。
ラビツがしたこととメリアンとは別なんだ。
「いや逆に、メリアンが居てくれたら、ラビツたちに俺たちの話を信じてもらえやすくなるんじゃないかな」
俺が笑うと、馬車の中の雰囲気が再び明るくなった。
ショゴちゃんは順調に街道を北上する。
この先、北部戦線を管理するトゥイードル濁爵領の領都ギルフォドへは、ニュナムから馬車で四日ほど。
とりあえずここも四日の行程を三日で追いつこう大作戦で馬車を進めている。
昼食は、リリさんに持たされた蒸しジャガイモ。
停まらずに馬車の中でとる食事にも、揺れの少なさは大いに貢献してくれている。
本当にありがとうナイト商会!
しかも付け合せって渡された木製の小さな容器に入っているの、自家製マヨネーズ!
昼で食べきってね、って、これのことか!
すごいな。
マヨネーズってこちらでも作れるのか。
そういやナイトさんのとこで食べたものの中には、元の世界で口にした味に似たものがけっこうあったな。
元の世界で読んでいた異世界モノとかでも、食べ物で儲けたり活躍したりする内容のを見てたときは普通の学生とか一般人にあのレベルの細かい知識なんてないだろ、なんてツッコんでたけどさ。
実際にこうして口にすることができると、外部検索に頼らない人の知識には感動を覚えるし、俺は元の世界で何をぼんやり生きていたんだろうって思ったりする。
帰り寄ったときにはマヨネーズの作り方、教えてもらおう。
「そういえば、私の父の治めるフライ濁爵領もここからそう遠くない。時間にゆとりがあれば、寄っていってもらいたかったのだが」
ロッキンさんが指についたマヨネーズをなめながら珍しく自分の話をする。
食事や睡眠のときも席が遠いだけじゃなく、普段から寡黙なロッキンさんとの会話は実はけっこうぶりかもしれない。
御者も騎馬も皆で交代しているからこそ、訪れた貴重な機会。
「どんなところなんですか」
「平原と丘が多い。騎乗用の馬を育てているよ。私の上下の兄弟も皆、騎士としての修練を積んでいて、ここだけの話、弟たちも私よりずっと戦闘に慣れている。私はね、本当は騎士ではなく、ルイース虹爵領の図書館で働きたかったんだ」
ルイース虹爵領は、トゥイードル濁爵領の西に位置し、ギルフォドがまだギルフォルド王国領だった頃はラトウィヂ王国の最前線だったらしい。
ギルフォドから馬車で一日半の場所に城塞都市ゴルドアワが、そこからさらに馬車で二日行くとルイース虹爵領の領都アンダグラがあるという。
ルイース虹爵様は文武両道に秀でた方で、アンダグラの図書館と言ったら王都にも負けないほどの立派なものなんだ……と、ロッキンさんがこんなにも饒舌なのは本当にレアだ。
「馬車が見えた。追い抜くぞ」
御者席のメリアンの声によりロッキンさんのトークタイムが終了した。
御者席側の幌を少しだけ開けて確認すると……遠目にも分かる。
けっこうなオンボロ馬車。
どんどん近づき、より間近で見ることにより、どれだけ戦地をくぐり抜けてきたんだと驚くくらいの傷があちこち付いているのが確認できる。
きっと雨が降ったら中の人はびしょ濡れだろうな。
レムの騎馬、俺たちの馬車、マドハトの騎馬と一列になり、街道の端っこに寄りながらボロ馬車を追い抜いた。
ボロ馬車の御者は猿種。
中には猿種、馬種が二人、両生種。
寿命の渦の緊張した感じが一般人っぽくない。
しかも馬種の片方には不自然な気配を感じる……感情が乗っていないというか……まさか獣種を偽装している?
他人の偽装を見て気付く。
ああ、俺の偽装も普段、感情を乗せていないなって。
肉体一つに魂が二つという魔術特異症を隠すために、単なる猿種の寿命の渦を普段からずっと偽装していて、寝ている間も解けないくらいもう慣れた、なんて驕っていた。
ナイトさんの寿命の渦を見たときも、自分はちゃんと偽装できている、という確認で思考が止まっていた。
こんな歴戦のツワモノ感がある馬車に、魔術師が乗っているという事実も含め、一気に俺も気を引き締め直す。
食事後の片付けを手早く済まし、いつでも行動できるようにと準備をする。
それだけでは飽き足らず、つい後部の幌の隙間から、追い越したボロ馬車を目視でも確認した。
そんなこちらの様子を察知したかのように、突然、向こうも馬車のスピードを上げた。
「メリアン、私が御者を代わります」
ロッキンさんが御者席のメリアンと代わり、俺とルブルムとエクシも装備の確認を始める。
殿のマドハトが心配だ。
いざという時のために弓に矢を軽くつがえてもみる。
ただ、向こうの寿命の渦の面々からは攻撃の気配はまだ感じられない……いや、馬車のスピードをさらに上げてきた。
緊張が高まる中、ボロ馬車は少しずつショゴちゃんを追い抜いてゆく。
向こうの馬車を引いている馬が疲れているのを寿命の渦から感じる。
当然のように、しばらく先行していたボロ馬車の速度が落ち始める。
結果的に再びこちらが追い抜き先へ進む……と、また頑張って抜かしに来る。
無駄な馬車チェイスが何度か行われたあと、並走している最中に向こうの馬車の前幌が開き、中からもう一人の猿種が顔を出した。
「すまんね! くだらねぇ遊びで無駄に馬を疲れさせちまった! お詫びに酒の一杯でも奢るから、休憩でも取らねぇか?」
こちらも御者席の所から顔を出し、男の顔をちらりと覗いてぎょっとする。
男が変なものを被っていたから。
それはまるで、折り紙で作った兜のように見えた。
俺はいったん馬車の中に戻り、ルブルムに告げる。
「またツテかもしれない」
レムのお母さん、ナイトさんに続き、三人目……しかも折り紙ときたらまた日本人転生者かもしれない?
「ツテを見つけたのに、リテルの表情はどうして暗い」
ルブルムが俺の顔を見つめながら小声で尋ねる。
兜を被っていた猿種、表情は笑顔だったんだけど、寿命の渦に怒りや悲しみが混ざっていた……というのをどう伝えたものか。
しかも今この方向に走っているということは、彼らは昨日の夜、どこで夜を明かしたのだろうか。
ニュナムの門は閉ざされていた。
まさか、門が閉められたニュナムへ、俺たちが特別に入っていくところを見ていたとかで、街のすぐ近くなのに壁の外で野宿して……だから俺たちに向けてあんな感情を?
……いや、あのとき、外の騎馬組はレムでもマドハトでもなかったような?
直前はメリアンとロッキンだったっけかな……今、御者していたメリアンを目撃していた可能性はあるのか。
メリアンもじっと俺を見つめている。
「こちらでは見たことのない兜を被っていた」
馬の蹄の音や、馬車の出す音で向こうには聞こえないとは思うが、並走しているだけにやけに緊張する。
「悪いけど、急いでいるんだ。それに私は酒を嗜まない」
ロッキンさんがいい感じに返事をしてくれる。
確かにスルーの方がいいかもしれない。
今まで、元の世界から来た人ならば無条件に仲良くなれるつもりでいたけれど、あの人の、押し殺したような怒りと悲しみには、足を踏み入れたらいけない何かを感じてしまう。
「そうか! 残念だ!」
兜の男は馬車の中へと戻る。
やがて少しずつ向こうのボロ馬車との距離は広がってゆき、起伏のある道を進むうちに見えなくなった。
「あの……メリアンは、魔術師の『魔力感知』のように『気配感知』を使うって聞いたけど、気配で感情とかって判ったりします?」
「感情はわからないことの方が多いが、仕掛けようとする気配はけっこうわかるぞ……向こう、気配が張り詰めていたな」
「やっぱりわかっていたんですね」
「リテル。私はわからなかった」
ルブルムはさっきからずっと俺のすぐ近くに居る。
「やり方、教えるよ」
その後、騎馬組はロッキン、エクシと交代し、メリアンが再び御者席へ。
ルブルムとレム、そして今回はマドハトにも、俺の覚えた『魔力感知』の細かな制御方法、それから魔法代償を常時貯めておく方法をも教えるべく『テレパシー』を使った。
「お兄ちゃん、すごい!」
「いや、もっと早く伝えるべきだった。特にマドハトには『テレパシー』でつながるのも今回が初めてだったし」
「リテル様! 僕、頑張るです!」
ところがルブルムだけはちょっと浮かない顔。
「ルブルム、どうしたの?」
「私は、リテルより先輩なのに、カエルレウム師匠の教えをリテルほど守れていない気がする。最近、思考が止まることが多い」
「何か悩みでもあるの?」
ルブルムは俺の右手を両手でぎゅっと握りしめた。
「リテルが居なくなったらどうしよう、って考えてしまうと、他のことを考えられなくなる」
俺も、一瞬、思考が止まった。
え、今のって……その……なんか。
ナイトさんの「セイシュンだな」って言葉が耳の奥にこだました。
● 主な登場者
・有主 利照/リテル
利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。
リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。
ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。
その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種。
レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。
現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。
元日本人のナイトに、就職を持ちかけられた。
・カエルレウム師匠
寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種。
肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。
寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。
ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。
自分の興味のないことに対しては、例え国王の誘いであっても断る。
・ルブルム
寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種のホムンクルス。
かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。
カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。
質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。
ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。
いつの間にかレムと仲良くなっている様子。
・マドハト
赤ん坊のときに『取り替え子』の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。
今は犬種の先祖返りとしての体を取り戻したが、その体はあんまり丈夫ではない。コーギー顔。
ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、ずっとついてきている。
フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。
勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。
クッサンドラを救うためにエクシとクッサンドラの中身を『取り替え子』で入れ替えた。
・ディナ先輩
フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。
男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。
アールヴと猿種のハーフ。壮絶な過去を持つ。
フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種の半返りの頼もしい傭兵。二つ名は「噛み千切る壁」。
円盾と小剣を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。
騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツと結婚間近。
・ラビツ
ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。
兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。
ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。
北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。
リテルたちより二日早くアイシスを出発した。ギルフォドに向かっているらしい。
・エクシ
クッサンドラは、病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種の先祖返り。ポメラニアン顔。
フォーリーで領兵をしていたが、マドハトの『取り替え子』により、瀕死の状態からエクシを体を交換された。
クッサンドラの肉体を傷つけ、その中に入ったエクシは死亡。
エクシはリテルと同郷で幼馴染の一人。ビンスン兄ちゃんと同い年。フォーリーで領兵をやっていた。
父ハグリーズからのエクシへの虐待を防いでくれていた姉が、クッサンドラの兄のもとへ嫁いだせいで、守ってくれる者が居なくなり、エクシは歪んだ。
クッサンドラは、エクシから姉を奪ったことに責任を感じており、エクシが犯した罪を償うべく、エクシが殺しかけたドマースへ、その代償としてエクシが寿命の渦を売った。
・レム
バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。
魔法に長けた爬虫種の少女。
リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。
その母親は利照同様に異世界から来た。
現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。
ルブルム一行の護衛として同行。最近、ルブルムと仲が良さげ。
お兄ちゃんとは結婚できるとか言い出した。最近はトシテルの方からも大事に想っている。
・ロッキン・フライ
名無し森砦の兵士。
フライ濁爵の三男。山羊種。
ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っているが影が薄い。
ルブルム一行の護衛として同行。指笛で相棒の馬を呼べる。兄弟は皆、強い騎士。
本当はルイース虹爵領の領都アンダグラにある図書館で働きたかった。
・ケティ
リテルの幼馴染。一歳年上の女子。猿種。
旅の傭兵ラビツに唇を奪われ呪詛に伝染し、それを更にリテルへと伝染させた。
カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願し、リテル達がフォーリーを発つ時、メリアンと共に合流した。
盗賊団に襲われた際は死にかけたり、毒で意識不明になったり。
足手まといを自覚し、ストウ村へ先に戻った。
・ナイトさん
元の世界では喜多山馬吉。元の世界では親の工場で働いていた日本人。
四十五歳の誕生日にこちらへ転生してきた。馬種。元はニュナム領兵の隊長をしていた。
今は発明家兼ナイト商会のトップ。宿難民と化したリテル達に宿の提供を申し出てくれた。
ヒモパンやガーターベルトやコンドームの発売もしている。リテルを商会に誘ってくれた。
・リリさん
ナイトさんの奥さん。猫種。
元はニュナムの魔術師組合で働いていた魔術師。もうすぐ子供が生まれる。
・レーオ様
ライストチャーチ白爵領主モノケロの妻。猫種の半返り。
美人で筋肉も威圧感も凄まじい。二つ名は「勇猛なる雷姫」。
かつて戦場でメリアンやラビツたちの上司だったことがある。
・プラさん、ムケーキさん
ライストチャーチ白爵領の領兵。
実績に対する証言代行や、野盗の引き渡しのために同行してくれ、王冠祭のことも詳しく教えてくれた。
馬車や馬を預かってくれた良い人達。
・ファウン
ルージャグに襲われて逃げ出してきたクーラ村のウォッタをはじめとする子供たちに対し、
人質を取った上で酷いことをした山羊種四人組のうち、唯一の生き残り。
ルージャグから助けてもらったからとリテルを兄貴と呼ばわりした。現在はニュナムに居る。
・ボロ馬車の五人組
折り紙の兜みたいなのを被った猿種が笑顔の裏に怒りや悲しみを隠していたっぽい。
御者の猿種、馬種、馬種を偽装していそうな人、両生種の計五人。
馬車チェイスを仕掛けてきて、お詫びに酒を驕るとか言ってきた。
・レムルース
地界に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。
『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。
レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。
ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。
・ルージャグ
元々は地界の種族。こちらの世界に稀に出現するが、その危険性ゆえ、すぐに討伐される。
ぼろきれをまとったむさ苦しい女の姿だが、獣種の三倍ほどの体長を持ち、村の防壁を壊すこともある。
湖をねぐらにし、手当たり次第に人を捕らえて殺す。
● この世界の単位
・ディエス
魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。
魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。
・ホーラ
一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ一時間に相当する。
・ディヴ
一時間の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ五分に相当する。
・クビトゥム
長さの単位。
本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。
トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。
・アブス
長さの単位。
元の世界における三メートルくらいに相当する。
・プロクル
長さの単位
一プロクル=百アブス。
この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。
・通貨
銅貨、銀貨、金貨、大金貨。
十銅貨(十二進数なので十二枚)=一銀貨
十銀貨(十二進数なので十二枚)=一金貨
十金貨(十二進数なので十二枚)=一大金貨
・暦
一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。
それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。
各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。
毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。
第七十九話終了時点では星の月夜週の九日の午前中。




