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#76 王冠祭

 王冠祭……ライストチャーチ白爵(レウコン・クラティア)領の領都ニュナムで今日から明日にかけて行われる祭り。

 その起源はライストチャーチ白爵モノケロ様に対し、今は奥方であるレーオ様が行ったプロポーズに由来する。

 モノケロ様が、自分に追いつけたらプロポーズを受けようと走り出し、レーオ様が二日かけてなんとか追いつき、結婚承諾の証となる王冠をもぎ取ったという。

 去年、結婚十周年記念として、このエピソードを元にした領都あげてのお祭りを作ってみたところ、これが大ウケで、今年以降も毎年開催することになったという。


 街の者はモノケロ様を匿ってもよいが、二ホーラ毎に鳴る鐘が領都内に響いたら、モノケロ様は場所を移動しなければならない。

 去年は最後のプロポーズ再現まで目撃したというライストチャーチ領兵の二人……プラさんとムケーキさんが得意げに話してくれた。

 白爵様とその奥方が街の中をウロウロしているものだから、祭期間は街の門を閉ざしているらしい。


 ラビツ達も閉じ込められていたら良いのだが、もしも祭開始前にニュナムを出ていたのならば、また余計に一日遅れを取ってしまう。

 とはいえ、今からニュナムの外に出るという選択肢は取れなさげなので、アイシス同様、宿の確保と聞き込みに走ることになったのだが……祭というものをちょっとナメていた。


 実績紋の書き換えと、野盗の引き渡しで最初に訪れた魔術師組合でまず言われたのが「今からなんて宿は取れないよ」という話。

 それどころか、馬車を置いておくスペースすらも確保できないだろうと。


 俺たちが肩を落として途方に暮れかけていると、ムケーキさんが嬉しい申し出をしてくれた。

 今回のルージャグ討伐という俺達の功績に対するお礼として、領兵宿舎で馬車と馬だけは預かってくれるという。

 ルージャグの素材をクーラ村復興のためにと寄付しておいて良かった。




「さて。馬車と馬はいいけれど、今晩の宿は本気で探さないとな」


 メリアンが浮かない顔をしている。

 王冠祭の間、街の中の建物についてモノケロ様とレーオ様は出入り自由……必然的に娼館街はどこも開店休業状態だという。

 そんな状況だからこそラビツが残っている可能性は極めて低いと。

 なので聞き込みは早々に諦めて、宿の確保に全力を傾けることになったのだけど、この人混みったら。


「祭というのは初めて見るが、人が多いのだな」


 ルブルムが心なしか嬉しそうだ。

 いや、そわそわしているのはレムやマドハトも同じ。


「ルブルムさん、あっちの方で聞いてきたのですが、宿を取れなかった人は一晩中路上で飲んだり踊ったり、というのも少なくないらしく……」


 ロッキンさんも疲れた表情だ。

 街に着けば休めるだろうと、アイシスからニュナムまでの間は強行軍だったから。


 それよりも、エクシ(クッサンドラ)の疲労が半端ないのが心配だ。

 ドマースへの補償として、けっこうな年数の寿命の渦を提出したらしい。

 もともと、エクシ自身がアイシスの娼館へ頻繁に通うために寿命の渦を売っていたらしく、エクシ(クッサンドラ)が冗談めかして言った「そんなに長くもないかもね」という言葉が、どうにも不安を誘う。


 祭に心を奪われがちの人達と、疲弊しきっている人達。

 俺とメリアンは、どさくさ紛れのスリや物盗りへの警戒。

 ある意味、魔物が出る街の外よりもよっぽど疲れる。


 そんなときだった。

 俺があの声を聞いたのは。


「ツギ、トマリマス」


 この世界(ホルトゥス)の言葉ではなく、日本語だった。

 少しなまってはいたけれど、女性の声で。


 俺は、ルブルムたちに目配せすると、声のした方へと走った。

 そしてすぐに見つける。

 この世界(ホルトゥス)からすると異様なカラーリングの馬車を。


 道の真ん中で酔っ払っているのかゴロ寝している馬種(エポナッ)のおっさんと、その前で止まっている全体的に長方形な馬車。

 全体的に白く塗られているが、馬車下部の前面から側面にかけて赤いラインと紺のライン。

 馬車の真ん中くらいの高さにも、後ろ側から側面にかけて同じカラーリングのライン。

 御者席の両脇には灯り箱(ランテルナ)と、サイドミラーみたいなものまで装着されている。


「バスだ」


 路線名まではわからないけれど、見たことあるような気がするカラーリング。

 すると御者が、首にぶら下げているラッパのような楽器を口にあて、プァーと大きな音を出した。

 あんなもの、リテルの記憶の中にもカエルレウム師匠の蔵書の中にもない。


 音に驚いたのか、おっさんはゆっくり起き上がり、馬車を見て慌てて道を空ける……が、馬車は発車しない。

 それどころか馬車の扉がバスのように折りたたまれながら開き、初老の馬種(エポナッ)の男が一人、降りてきた。

 じっと俺を見つめ、ニヤリと笑みを浮かべる。


「少年。君は今、バスって言ったかね?」


 これは答えていいものなのかどうか。

 異世界から来た人を炙り出すための罠かもしれない。

 うかつだった。逃げるべきか。いや、ルブルム達が追いついてきてしまった。


「うん……まあ、そうだよな。ここじゃ何だから俺の屋敷で話そう。俺の馬車、バス号に着いてきな」


 男は再びニヤリと笑みを浮かべると、馬車の中へと戻る。

 バス号?

 偶然、名前が一致しただけ?


「どうしたんだ? また変なのに好かれたのか?」


 メリアンが俺を見て笑っている。

 バス号とやらは発車してしまう。

 俺は慌ててルブルムとレムに向かって「ツテかもしれない」と告げた。

 「ツテ」というのは、俺や、レムの母親同様に、元の世界から来た人かもしれない人のことを外ではそう呼ぼうって、あらかじめ決めておいた隠語。


「行こう」


 ルブルムが了承し、俺たちは馬車の後を追うことにした。




 バス号はやがて繁華街と高級住宅街との境にある巨大な塀で囲われたエリアへと入ってゆく。

 アーチ型の門には、両開きの鉄柵が付き、門の上には「ナイト商会」と書かれた大きな看板まで付いている。

 ルブルムの知識がなければ、リテルだけの記憶では読めなかったであろう看板の文字。


「入ってきな」


 馬車から降りた男が、身振りで示した方向へゾロゾロとついて行く。

 壁のこちら側に来ただけで、表通りの喧騒を遠く感じる。


 敷地内はディナ先輩のお屋敷の倍以上あり、ディナ先輩とこのお屋敷サイズの建物が幾つも立ち並ぶ。

 どれもレンガ造りで、その半分くらいは窓がほとんどなく倉庫っぽい印象を受けた。


 男はスタスタとそんな建物の一つへと歩いて行き、立ち止まった。

 振り返った男は痩せ型で目が細く、鼻が大きめ、頭頂部が禿げ上がり、口元には立派なヒゲをたくわえている。

 髪の毛もヒゲもかなり白髪交じり……俺やリテルの父親よりは確実に年上だろうな。


「あんたら、宿無し組かい?」


「まだ決まっていない。ナイト商会ってのは宿もやってるってのかい?」


 メリアンが一歩前に出て俺と並ぶ。


「いや、宿はやっていないよ。ただ、大規模な試作をする際に一時的に集めた職人が泊まれる施設があってね。それを貸してもいいと考えている」


「へぇ。魅力的だね。で、条件があるんだろ? まだるっこしいことは抜きにしようぜ」


「ふむ。話が早くて助かる。申し遅れたが、オレはナイト。この商会の会長なんてのもやっているが、本業は発明家でね。そちらの少年に手伝ってもらいたいことがあるんだが」


「男娼なら断るよ」


「いやいやいや、オレはそっちの趣味はねぇよ」


 男は笑う。

 このナイトさんは、俺が「バス」と言ったことに気付いている。

 俺以外で初めて会ったかもしれない、元の世界の、それも生きていて日本出身っぽい人。

 あの馬車に「バス号」という名前をつけていたあたり、元の世界の人を見つけるためにあえて作ったものである可能性もあるよな。

 ただ単に同郷を探しているのなら良いのだが、どうしても罠かもという不安が拭えない。


「さっきさ、オレの馬車見て何か言っていたろ、少年。珍しいものとか興味あるのかなって思ってさ。最近、行き詰まっててね、なんか新しい価値観と会話してみたいなと思ってたんだ」


 あえて直接指摘せず、遠回しに言葉を選んでくれているあたり、悪い人じゃないと考えていいのだろうか。


「面白そう。お兄ちゃん、私も付いてっていい?」


 レムが俺の手を握る。

 護衛としてか、それとも地球の気配を感じているのか、どちらにせよ、一緒に来てくれるなら心強い。


 俺は振り返ってレムの顔を、ルブルムとメリアンの顔を、交互に見た。

 このナイトさんは良い人かもしれない。

 ドマースに対しても、ずっと警戒してて結局何もなかったし……だからといって、ここで油断するのは今まで頑張ってきたことを全て無にしてしまう恐れだってある。

 俺の一存では決めない方がいい、という自身の判断に気付かされる。

 ルブルムやメリアンが危険と感じたなら、スルーしてもよい……利照(おれ)にとって、いまや元の世界よりも、ルブルムたちの方が大切なのだということに。


「私も興味ある」


 ルブルムがそう答えると、メリアンが続く。


「やれやれ。君らが素敵なご提案を出せなかったら、後で宿代せびられるかもだな」


 結局、ナイトさんのご厚意に甘えることにして、マドハトとエクシ(クッサンドラ)、ロッキンさんは先に休憩してもらうことにした。




「ここが、オレの工房だ」


 母屋と思われる建物のすぐ隣にある大きめの建物には、幾つもの丸窓がついている。

 金属でしっかり補強された木製の両開き扉を開くと、二階ぶち抜きの広い空間があった。

 木製テーブルが幾つも並び、それぞれの机には工具や万力、金属の部品のようなものが幾つも乗っている。

 そして何よりも建物内の明るさに驚く。

 丸窓から外の光を取り込んでいるようだが、ディナ先輩とこの窓の曇りガラスに比べて透明度が高い気がする。


 俺とレム、ルブルムとメリアンが建物内に入ると、ナイトさんは入り口の扉をいったん閉める。


「ああ、そうだ。まずはこの模様について聞きたいんだが」


 ナイトさんは木製のペンの先端にインクのようなものを付け、木の板に何かを書いた……日本語だ。


「四人とも?」


 これは転生者が、ということだよな。

 ルブルムとレムにはもう話しているから問題ないのだが、メリアンにはまだ話していない。

 メリアンのことは信頼しているし、その技術や知識、戦闘力の高さは尊敬している。

 でも、心のどこかで一線を引いている部分がある……そんな思考を一瞬巡らせた俺の表情を見抜いたのかメリアンは、大きくあくびをした。


「あたしにはよくわからない世界みたいだ。表で待ってるよ」


 うわー、ものすご気を使わせちゃったな、メリアン。

 本当にごめん。そしてありがとうございます。


 メリアンが出ていき、扉が再び閉まった後で、俺はようやく答えた。


「俺だけですが、二人は知っています。今、外に出た一人は……信頼できる人物です」


「ほっほう。知ってんのか。セイシュンだねぇ。じゃあ、オレも気を使うのやめるぜ?」


「お兄ちゃん、セイシュンってなに?」


「あとでまとめて教える」


 ナイトさんは俺達を見て、クックックと笑う。


「えーと、名前、聞いても平気? オレはキタヤマ・ウマキチ。喜ぶ、多い、山、馬、オミクジのキチ。君は見た感じ猿種(マンッ)だよね。ミョウジか名前に猿って入ってた?」


「俺はアリス・トシテルです。有名のユウ、主人のシュ、利用のリ、照らす、です」


「そっか。ウマキチだから馬種(エポナッ)になったんかって思ったけど違うのか。なんせ、ニホンジンというかあちら出身の人、直に会うの初めてだからさ」


「俺も初めてです」


「いつから? オレは向こうでヨンジュウサンのとき。こっち来たら十二進だろ。実質ゴジュウイチでさ、参るよね。地味に八年いきなり歳取るのってしんどいよ」


「俺はまだ一ヶ月経ってません。向こうではジュウゴで……」


「そっか……じゃあ損は二年だけか。いやごめん、だけってのも変か。その歳なら大きいよな、二年。帰りた……いって感じでもないか。そんなベッピンさん二人も連れて」


 ナイトさんがまたクックックと笑う。

 ルブルムもレムもじっと俺を見ている。

 色々聞きたいことはあるけれど、それを熱心に聞くことで、二人に余計な心配とか、寂しい想いをさせちゃうかもとか、つい考えてしまう。


「共通点は、向こうとこちらとで同じ数字の年齢ということですか……」


 俺はお茶を濁して話題をそらしてしまう。


「あ、向こうで最後の記憶、何年? オレはニセンジュウロク年の誕生日」


「あ、俺も誕生日でした。ニセンジュウハチ年の」


 共通点が一つでもあれば、何かの手がかりになるかもしれない。


「二年しか違わないのか……というか、こちらで俺は二年半くらい経っているから、向こうとこちらとの時間の流れる速度、似ているのかな。転生した先の肉体年齢の整合取れていない以外は」


「そのニセンって言葉、ママから聞いたことある」


 レムが会話に混ざってきた。


「ママが来たとき、向こうの世界はニセン年って言ってた。ミレニアムなのよって」


「え、この子、お母さんがオレたちと同じ?」


「ニホンじゃなくソールズベリーらしいです。多分、イギリスジンですよね……残念ながら、ご本人は既にお亡くなりですが」


「それは……ゴシュウショウサマです……で。ソールズベリーって言ったらストーンヘンジだろ、カッケーな!」


 それからもお互いの基本情報を交換する。

 住所、学校や職業……キタヤマさんは親の持つ小さな工場で働いていたそうで、金属加工なんかは慣れているとのこと。

 ナイトさんは、こちらに来てから事業を興し、ここまで大きな商会へと育て上げたとのこと。


「それでさ。ずっと聞きたかったこと、聞くぜ?」


 ナイトさんは目を細めて、またニヤリとした。


● 主な登場者


有主(アリス) 利照(トシテル)/リテル

 利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。

 リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。

 ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。

 その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種(マンッ)

 レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。

 現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。

 アイシスでチェッシャーに告白されたり、死刑を宣告されたり、フラマからラビツ情報を聞いたり。

 その後、エクシに殺されかけたり、初めての殺人を経験したり、ゴーレムを起動したり。

 とうとう日本人らしき人物に遭遇。


・カエルレウム師匠

 寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種(マンッ)

 肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。

 寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。

 ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。

 自分の興味のないことに対しては、例え国王の誘いであっても断る。


・ルブルム

 寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種(マンッ)のホムンクルス。

 かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。

 カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。

 質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。

 ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。

 いつの間にかレムと仲良くなっている様子。


・マドハト

 赤ん坊のときに取り換え子の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。犬種(コボルトッ)の先祖返り。コーギー顔。

 今は本来の体を取り戻しているが、その体はあんまり丈夫ではない。

 ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、やたら顔を舐めたがる。

 リテルにくっついてきたおかげでちゃっかりカエルレウムの魔法講義を一緒に受けている。

 フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。

 勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。

 クッサンドラを救うためにエクシとクッサンドラの中身を『取り替え子』で入れ替えた。


・ディナ先輩

 フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。

 男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。

 アールヴと猿種(マンッ)のハーフ。壮絶な過去を持つ。

 フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。


・メリアン

 ディナ先輩が手配した護衛。

 リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。

 ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種(モレクッ)の半返りの頼もしい傭兵。

 円盾と小剣(ごつい)を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。

 謎の襲撃犯を撃退し、リテル達と合流。

 騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツの知り合いより近い仲である様子。


・ラビツ

 ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。

 兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。

 ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。

 北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。

 リテルたちより二日早くアイシスを出発した。ギルフォドに向かっているらしい。


エクシ(クッサンドラ)

 クッサンドラは、病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種(アヌビスッ)の先祖返り。ポメラニアン顔。

 フォーリーで領兵をしていたが、マドハトの『取り替え子』により、瀕死の状態からエクシを体を交換された。

 クッサンドラの肉体を傷つけ、その中に入ったエクシは死亡。

 エクシはリテルと同郷で幼馴染の一人。ビンスン兄ちゃんと同い年。フォーリーで領兵をやっていた。

 父ハグリーズからのエクシへの虐待を防いでくれていた姉が、クッサンドラの兄のもとへ嫁いだせいで、守ってくれる者が居なくなり、エクシは歪んだ。

 クッサンドラは、エクシから姉を奪ったことに責任を感じており、エクシが犯した罪を償うべく、エクシが殺しかけたドマースへ、その代償としてエクシ(クッサンドラ)が寿命の渦を売った。


・レム

 バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。

 魔法に長けた爬虫種(セベクッ)の少女。

 リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。

 その母親は利照同様に異世界イギリスから来た。

 現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。

 ルブルム一行の護衛として同行。最近、ルブルムと仲が良さげ。

 お兄ちゃんとは結婚できるとか言い出した。最近はトシテルの方からも大事に想っている。


・ロッキン・フライ

 名無し森砦の兵士。

 フライ濁爵(メイグマ・クラティア)の三男。山羊種(パーンッ)

 ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っているが影が薄い。

 ルブルム一行の護衛として同行。指笛で相棒の馬を呼べる。


・ドマース

 森の中に小さなテーブルと椅子を置き、テーブルに突っ伏して寝ていた鼠種(ラタトスクッ)の先祖返り。

 睡眠することが効果に関係するオリジナル魔法を使う。テーブルも魔法の一部だった。

 王都キャンロルのさる偉いお方から「スノドロッフの一件に絡んだ者たちの一人に声をかけたい」との密命を受け、リテルと交渉しようとエクシへ接触した。

 結果的にリテルにはフラれたが、交渉自体は秘密にしてほしいと口止め料までくれた。

 ニュナムの都市壁の白さの秘密を知っていた。


・四人組

 山羊種(パーンッ)の男四人組。

 ウォッタ達に助けを求められたが、非人道的なことをした。

 カウダの麻痺毒にやられている一人を残して全員ルージャグに喰われた。

 生き残りは、ニュナムで引き渡した。


・プラさん、ムケーキさん

 ライストチャーチ白爵(レウコン・クラティア)領の領兵。

 実績に対する証言代行や、野盗の引き渡しのために同行してくれ、王冠祭のことも詳しく教えてくれた。

 馬車や馬を預かってくれた良い人達。


・ナイトさん

 元の世界では喜多山(キタヤマ)馬吉(ウマキチ)。元の世界では親の工場で働いていた日本人。

 四十五歳の誕生日にこちらへ転生してきた。今は発明家として過ごしているが、ナイト商会のトップである。

 宿難民と化したリテル達に宿の提供を申し出てくれた。


・ルージャグ

 ペックやウォッタ達の村を襲った魔獣。

 瘴気が濃いとのことなので、この世界(ホルトゥス)に迷い出て間もないっぽい。

 元々は地界(クリープタ)の種族。こちらの世界(ホルトゥス)に稀に出現するが、その危険性ゆえ、すぐに討伐される。

 ぼろきれをまとったむさ苦しい女の姿だが、獣種の三倍ほどの体長を持ち、村の防壁を壊すこともある。

 湖をねぐらにし、手当たり次第に人を捕らえて殺す。

 リテルにより退治された。


・レムルース

 地界(クリープタ)に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。

 『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。

 レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。

 ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。



この世界(ホルトゥス)の単位


・ディエス

 魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。

 魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。


・ホーラ

 一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ一時間に相当する。


・ディヴ

 一時間(ホーラ)の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ五分に相当する。


・クビトゥム

 長さの単位。

 本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。

 トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。


・アブス

 長さの単位。

 元の世界における三メートルくらいに相当する。


・プロクル

 長さの単位

 一プロクル=百アブス。

 この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。


・通貨

 銅貨(エクス)銀貨(スアー)金貨(ミールム)大金貨(プリームム)

 十銅貨(エクス)(十二進数なので十二枚)=一銀貨(スアー)

 十銀貨(スアー)(十二進数なので十二枚)=一金貨(ミールム)

 十金貨(ミールム)(十二進数なので十二枚)=一大金貨(プリームム)


・暦

 一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。

 それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。

 各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。

 毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。

 第七十六話終了時点では星の月夜週の八日の昼過ぎ。


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