#70 孤独の事情
降伏を態度で現した鼠種は、エクシのすぐ近くまで歩いてくると、その体勢のままエクシへ語りかけた。
「エクシさん、どうなってます? 交渉の橋渡しをお願いしたはずでしょう?」
エクシと顔見知り……なのは想定内として、何やらモメてる?
鼠種側が敵意がないと言っているのは本当なのか、それとも罠なのか?
交渉が目的ならばどうしてさっきクッサンドラは倒れた?
そして……あの兎種は……どうして襲いかかってきた?
どうして……と、俺が状況を見守っているうちに、その状況は予想外の方向へ動いてしまった。
エクシが一歩大きく踏み出した、と思ったら鼠種の胸元へ、その小剣を突き刺したのだ。
魔法代償を集中する鼠種の右目に、エクシは再び小剣を突き刺す……今度はクッサンドラから奪った方の。
そのまま鼠種の体を蹴り飛ばし、小剣を抜いたと思ったら、蹴飛ばした方の足で地面を蹴って、こちらへ駆けてきた。
「リテル様!」
俺が斜め後ろへと飛び退るのと同時、マドハトの声が響き、エクシが大きくバランスを崩して転ぶ。
だが体に勢いがついているせいか、マドハトの『大笑いのぬかるみ』の範囲の外までそのまま滑ってゆく。
俺はその間に魔法代償を集中し、大回りをして鼠種の所まで走ると『生命回復』を少し強めに二回。
丁寧さが二の次なのはこの際許してもらって、せめて命をつなげれば。
「勢いつければ無駄だって!」
エクシがまたこちらへ滑って来る。
俺が通ったルートへマドハトがまたぬかるみを発動したようだが、エクシはその上を滑って来ている。
俺は鼠種が捨てた鞘から小剣を抜き、構える。
白兵戦闘では俺はエクシには敵わない……魔法でなんとかするしか。
ポー、首輪との隙間でガードするの、お願いっ!
エクシは既に滑り終わり、こちらへ駆け出してきている。
魔法を警戒しているのか左右へ体を捌きながら。
「魔法使えたところで当たらなければなっ!」
小剣を構えたまま、エクシがステップを踏んだタイミングで『魔法偽装』と共に『大笑いのぬかるみ』を今度は俺が。
エクシはバランスを崩して滑ってゆく。
エクシが気配を感知できたとしても、魔法代償の集中をつかめなければ、魔法発動のタイミングも読めないだろう。
その隙に走ってきて合流したマドハトは、すぐ近くのクッサンドラの様子をうかがいながら、体勢を立て直す。
「犬っころ! 滑らせてばかりで面倒臭えんだよっ!」
こちらへの距離の詰め方が慎重になったエクシは腕から出血している。
転んだ拍子に自分で持っている小剣で切ったのだろうか。
しかも、今のもマドハトがやったと思ってるっぽい……ならば奇襲で魔法を使える。
なんだ?
エクシの勢いが少し落ち着いた。
駆け出すと見せかけて、バランスを保ったままサイドステップというのを時々混ぜてきている。
マドハトから魔法代償の集中を感じる。
「気配でわかるんだよっ!」
エクシは腰を落とし、安定姿勢を取った。
氷の上を歩く時のような……マジか!
マドハトの作ったぬかるみの上でバランスを取れている?
次の瞬間、エクシは下半身のバランスは保ったままで、無理やり上半身だけで投げつけた……右手に持っていた小剣を。
持っていた小剣で慌ててガードするが、小剣の向かう先は……俺じゃない!
「マドハト避けろっ!」
俺が言い終わらないうちに、ドッと嫌な音が斜め後ろから聞こえた。
「マドハトっ!」
振り返ったそこにはマドハト……に覆い被さり、背中に小剣を突き立てたクッサンドラ。
マドハトをかばってくれたのか?
小剣を抜きながら『生命回復』をかければ助けられるか?
魔法代償を集中しながらクッサンドラの背中の小剣に触れる。
ポーが魔法封じの首輪をガードしてくれているの、本当に助かる。
「リテル様、後ろっ!」
マドハトも魔法代償を集中する。
俺は『生命回復』はかけず、もともと持っていた小剣で身を守りながらエクシの方へ振り返ると、普通に近づいてきている?
いや、よく見ると草の多いところを跳びながら……なるほど。土が剥き出しになっているところしか滑らないのか。
そういやエクシは幼い頃から、こういう自然を使った罠とか作ったり見破ったりが得意だった……リテルの記憶の中から幾つもの、懐かしいエピソードが。
でも……幼い頃から、ちょっと底意地悪い所はあったけれど、こんな悪党ではなかった……どうして。
リテルの中にある一緒に遊んだ記憶が、エクシへの苦手意識が、俺の動きを鈍くする。
昔は仲良かったのに……だからエクシあんちゃんって呼んでいたのに。
「なんで……こんなことに」
剣先に強めの『発火』を『魔法遅延』する。
二つの魔法をつなげたから、『魔法偽装』までは盛り込めず。
「むかつくんだよっ!」
もはや数歩先まで迫ったエクシが両手で小剣を振り下ろす……メリアンに教えてもらった剣による受け流しを試してみるが、こちらの足場が狭いせいか充分に勢いを殺せず、俺の方の小剣がバキンと嫌な音を立てる。
「ぐっ」
右腕に熱さと、少し遅れて痛みと、頭から血の気が引く感じ。
とっさに剣を放して傷口を押さえて『生命回復』……しながら後退しようとしたが、大樹に背中がぶつかってしまう。
エクシはそのままもう一度振りかぶって……目が合った……涙?
「なんでお前ばっかり……」
その時、折れた剣先にかけていた『発火』が発動した。
バスケットボールよりも何回りか大きな火球が、エクシの足下で炸裂する。
エクシがバランスを崩したその時、とても大きな魔法代償の集中を感じた。
マドハトだった。
マドハトが、自らに覆いかぶさるクッサンドラをエクシへ押し付けるように持ち上げ、そして魔法が発動された。
エクシの目の焦点が揺れながらあらぬ方向へと向き、エクシ自身の体もぶるりと震えてから倒れ込んでくる。
俺はなんとか横へと転がり逃げ、鼠種につまずいてまた転……んだそこはぬかるみゾーン。
滑りながら足をなんとか草にひっかけて止まる。
ヤバい。出血が酷い。
意識が遠のく前にと腕の血管をつなぐイメージで『生命回復』。
次は神経、そして傷口全体へと『生命回復』を繰り返した。
……エクシは、武器を落として……すぐ傍らのクッサンドラとマドハトを、眺めている?
少し離れた場所では鼠種が咳き込みながら、体勢をうつ伏せに変えている……命をつなげたのか?
そしてクッサンドラは……エクシを見つめながら自分の顔を触っていて……。
「何をしヴォァ」
自分の吐血で言い終えられなかったそのセリフを最後に、クッサンドラは前のめりに地面へと突っ伏し、俺がぬかるみから脱出して駆けつけたときにはもう、寿命の渦がなくなっていた。
「おいらが、死んだ」
エクシは確かにそう言った。
その一人称……まさかの『取り替え子』?
でも、再使用は十二年に一度とかじゃなかったっけ? しかもこちらの世界での、だから十四年?
「……ああ、そうか」
エクシの表情からは険が取れ、代わりに悲しみと苦しみとが加わっている。
「マドハト……おいらを助けてくれるために、魔法を使ってくれたんだね……ありがとう」
「クッサンドラが先に! 僕を! 助けてくれたです!」
「おいらは……俺は、エクシとして責任を取らなきゃいけない。マドハト。いつかゴド村に帰れるその時まで、お、俺は、エクシとして……俺は、それを、しなきゃいけないから……リテルさん、外しますね」
エクシは、まず、俺の首にはめられた『魔法封印の首輪』を外し、ドマース……瀕死だった鼠種へと返した。
首輪を受け取ったドマースは、それをエクシが求めるままにエクシの首へとはめ直し、まだ治りきっていない負傷を癒やすためにと寝てしまった。
寝ている間に多重の『生命回復』効果が得られるドマースのオリジナル魔術『癒やしのゆりかご』というのを使ったようだ。
ドマースが寝ている間、エクシはエクシの人生について語ってくれた。
エクシの父ハグリーズは、村人に対しては陽気で調子がいいスケベ男だ。
しかし、村人たちに笑顔を見せるその対価であるかのように、自分の子に、主に次男であるエクシに対してはつらくあたった。
長男に対しても厳しさはあったものの、理不尽な暴言や体罰はエクシにだけ与えられるものだった。
特に、養えずの浮気により「命の提出」をした後は、村人からの非難や嘲笑、ネタにされてのからかい等を受けたその鬱憤は全てエクシへと流れていった。
普段、家の中で虐げられていたからこそ外では、自分より幼いケティやリテルに対しマウントを取っていた。
それでかろうじて保てていた心のバランスが一気に崩れはじめたのは、エクシの姉が家を出たのがきっかけだった。
エクシの姉キッチは、誰にでも優しく、愛されていた。
リテルも、リテルの兄ビンスンも、初恋がキッチだったとリテルの記憶の中にはあった。
そのキッチは、ハグリーズがエクシに対して暴力を振るったとき、いつも間に入ってかばってくれていた。
ただ、それだけ人気のある娘がいつまでも放っておかれるわけもなく、エクシが十歳の時、隣村であるゴド村へと嫁いでいった。
キッチの結婚した相手が、クッサンドラの兄である犬種の半返り、アーレ。
自分を庇護する存在を奪われたという絶望は、やがて半返りや先祖返り全般への憎しみとして育っていった。
やがて、エクシが十二歳を迎え半成人となったとき、エクシは当然のように家を出る決意をする。
「半成人」というのは、この世界の制度で、長子、または職業に就く親と同じ性別の最年長である跡取り以外は、十二歳になると親以外の職業の見習いとなれる資格を手に入れた。
任意の職業見習いとなるには、組合職の場合は、対象の組合職の親方による勧誘もしくは、誰かから紹介状をもらう必要がある。
領兵や一次産業などの非組合職の場合、そこまで仰々しいものは必要なく、比較的誰でも受け入れてもらえやすいが、健康や素行などが理由で追い出されることはある。
半成人となってから何も仕事をしない者は基本的には居ない。
職業見習いになれなかった者は、スラムに流れるか、町の外へ放り出され、別の町に新天地を求めるか、さもなくば盗賊のような非合法な生き方へと堕ちてゆくのが通例だ。
ただ、その者を扶養してくれる稀有な存在が居てくれる場合はその限りではない。
見習いは、基本的には最低限の衣食住を保証してもらえるものの無給で働く。
成人となるまでに独り立ちできるよう、技術なりノウハウなりを習得する。
ちなみにこの世界の「成人」は、二十歳……元の世界でいう二十四歳。
技術や能力に優れ、成人を待たずして見習いから職人となれることもある。
職人は衣食住を自分で手配する必要があるが、賃金をちゃんと受け取れる。
半成人だった頃に引き続いて同じ衣食住を求めた場合でも、ちゃんと手取りが発生するような額の賃金が。
ちなみに、成人前に職人となった場合、半成人ではなく準成人と呼ばれる。
エクシがハグリーズに虐げられているのは村人たちも周知であったため、ストウ村門番であるテニール兄貴が、フォーリーの領兵見習いとなれるよう紹介状を用意してあげたようだ。
フォーリーでエクシは貪欲に体を鍛え、自分にようやく自信を持てるようになり始めた頃、新たに領兵見習いとなったのがクッサンドラだった。
クッサンドラからしたら、ある日突然、自分の義姉となってくれた優しいキッチの弟……年齢的には一歳だけクッサンドラの方が年下だったから、もうほとんど義理の兄に出会ったかのようにエクシに声をかけた。
その笑顔が、エクシには気に食わなかった。
自分を守ってくれていた頼れる姉を奪われた恨みを、自分が苦しんでいる間毎日のように姉の優しさに包まれて幸せそうに暮らしてきたクッサンドラへの妬みを、怒りを、自分の哀しみを、全てクッサンドラへとぶつけた。
クッサンドラは、エクシの闇の深さに驚き、同時に事情も理解し、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
だからエクシの無茶な要求もすべて呑んできた。
中には呑めないものもあったが、それでもエクシの気が済むまでつきあおうと努力した。
だけどそうやって全て受け入れることが、甘やかしたことが、結果的にこんな事件にまでエクシを追い詰めることになってしまったと、中身が入れ替わったことで見えるようになったエクシの記憶を覗きながら、クッサンドラは言った。
ドマースたちがエクシと接触したのは、アイシスの宵闇通りでエクシが馴染みの娼婦と共に路地へと消えた直後のこと。
王都キャンロルのさる偉いお方から「スノドロッフの一件に絡んだ者たちの一人に声をかけたい」との密命を受けたドマースが、先回りして色々と準備をしていた網に引っかかったのがエクシだった。
名無し森砦での無駄な足止めも、その準備をするための時間だったようだ。
エクシは最初、自分へ声をかけてもらえたことをとても喜んだ。
今まで誰かに認めてもらうことなんて全くない人生だったから。
でも違ったのだ。
求められていたのは自分ではなかった。
魔女の弟子、つまりルブルム本人は無理だろうということで、その従者である見習い、つまり俺が、お声がかりの対象だった。
エクシは、自分がようやく認められる機会を、俺に奪われたように感じたらしい。
やっぱり自分は要らない子だった。
自分を認めてくれるのは、鍛錬と筋肉、ただそれだけ。
かつて自分のあとをついてまわっていた同郷の幼馴染……ケティやリテルもいつの間にか自分のことなど忘れて二人で仲良くしていた。
それどころか、その俺が、魔女様にも認められ、魔女の弟子や、名無し森砦の女兵士にすら認められ、慕われていた。
あのどんくさかった俺が、いつの間にか偉そうになり、所構わずイチャつき、しかもアイシスのトップ娼婦にすら求められ、そういえば自分に夢中になったはずの娼婦でさえもそれを忘れて俺に夢中になっていた……と。
怒りは既に憎しみへと変わっていた。
魔女の弟子たちと俺を離した状態で交渉したいというドマースの作戦を聞いたとき、それはそのまま「リテルへわからせてやる」いい機会だと考えた。
初めは殺すつもりなんてなく、俺が怯え、色々と垂れ流しながら許しを乞えば許してやる、くらいに考えていたらしい。
しかし、威嚇への素早い対応、その後の行動を見て、俺を認めかけた自分に気付いた途端、エクシの中で何かが壊れたという。
あとは俺が体験したまんま。
エクシは、自分の中に渦巻く負の感情を抑えきれず、血迷い、そして自ら手をかけたクッサンドラと肉体を交換され、絶命した。
エクシに対する申し訳なさ、イチャついているように見えるという第三者の視点に対する申し訳なさ、もしかしたらエクシに襲われている俺たちを助けにきていたのかもしれないドマースの相方……兎種のヘイヤに対して殺害という手段を取ってしまった自分のゆとりのなさ、それ以外にも様々なことが、紳士を目指していたはずの自分へのギャップとしてのしかかる。
クッサンドラの死体と、エクシとを交互に眺めながら、自分の無力さを噛み締めていると、ようやくドマースが癒やしの眠りから目覚めた。
● 主な登場者
・利照/リテル
利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。
リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。
ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。
その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種。
レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。
現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。
アイシスでチェッシャーに告白されたり、死刑を宣告されたり、フラマからラビツ情報を聞いたり。
その後、エクシに殺されかけたり、初めての殺人を経験したり。
・カエルレウム師匠
寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種。
肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。
寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。
ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。
・ルブルム
寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種のホムンクルス。
かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。
カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。
質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。
ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。
・マドハト
赤ん坊のときに取り換え子の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。犬種の先祖返り。コーギー顔。
今は本来の体を取り戻しているが、その体はあんまり丈夫ではない。
ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、やたら顔を舐めたがる。
リテルにくっついてきたおかげでちゃっかりカエルレウムの魔法講義を一緒に受けている。
フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。
勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。
・ディナ先輩
フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。
男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。
アールヴと猿種のハーフ。壮絶な過去を持つ。
フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。
リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種の半返りの頼もしい傭兵。
円盾と小剣を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。
謎の襲撃犯を撃退し、リテル達と合流。
騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツの知り合いである様子。
・ラビツ
ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。
兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。
ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。
北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。
リテルたちより二日早くアイシスを出発した。ギルフォドに向かっているらしい。
・エクシ
ビンスン兄ちゃんと同い年で、リテルが小さな頃は、ビンスンやケティと一緒に遊んでくれた。
村一番の絶倫ハグリーズの次男で、今はフォーリーで領兵をやっている筋肉自慢。
ちょいちょい差別発言や嫌味を吐き、マウントを取ってくる面倒な人だったが、それは父ハグリーズからの虐待に端を発していた。
彼を唯一守ってくれていた姉キッチが隣村へと嫁いだせいで、闇を深くした。
ルブルム一行の護衛として同行していたが、ドマースから交渉を持ちかけられたとき、自分が認められるチャンスと喜んだあとで、交渉希望相手がリテルだったと知り、希望を打ち砕かれる。
そしてドマースが用意した交渉の場を利用して、リテルを脅すつもりだったが、何の因果か殺し合いへと発展してしまう。
マドハトの『取り替え子』により、自ら殺しかけたクッサンドラと体を交換された直後、その傷がもとで死亡した。
・クッサンドラ
病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種の先祖返り。ポメラニアン顔。
フォーリーで領兵、それも偵察兵をやっている。
ルブルム一行の護衛として同行。
ドマースがリテルと交渉しようとした用意した場で、壊れたエクシからマドハトをかばって殺されかけるが、マドハトの『取り替え子』により今は、エクシの肉体の中に居る。
エクシの闇の理由を知り、エクシとして罪を償うことを決意した。
・ハグリーズ
粉挽き小屋で働いている。村一番の絶倫と評判。
外面はいい反面、そこでためたストレスをエクシで晴らしていた。
・テニール兄貴
村の門番。傭兵経験があり、リテルにとって武器としての斧の師匠。
御者もできる。エクシがフォーリーの領兵見習いとなれるよう計らってくれた。
・キッチ
エクシの姉。ハグリーズからエクシへのDVを止めてくれていた。
誰にでも優しく愛されていた。リテルとリテルの兄ビンスンの初恋の人。
結婚後は、ゴド村に住み、夫の弟であるクッサンドラのことも可愛がってくれた。
・アーレ
マドハトの兄。キッチを嫁にした犬種の半返り。
・レム
バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。
魔法に長けた爬虫種の少女。
リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。
その母親は利照同様に異世界から来た。
現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。
ルブルム一行の護衛として同行。
・ロッキン・フライ
名無し森砦の兵士。
フライ濁爵の三男。
ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っている。
ルブルム一行の護衛として同行。
・ドマース
森の中に小さなテーブルと椅子を置き、テーブルに突っ伏して寝ていた鼠種の先祖返り。
睡眠することが効果に関係するオリジナル魔法を使う。
王都キャンロルのさる偉いお方から「スノドロッフの一件に絡んだ者たちの一人に声をかけたい」との密命を受け、リテルと交渉しようとエクシへ接触した。
・ヘイヤ
ドマースと共に、リテルとの交渉の場に居た兎種の先祖返り。
攻撃してきたエクシを警戒していたと思われるが、その行動を襲撃と勘違いしたリテルの反撃により死亡……した可能性が浮上中。
・レムルース
地界に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。
『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。
レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。
ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。
● この世界の単位
・ディエス
魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。
魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。
・ホーラ
一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ一時間に相当する。
・ディヴ
一時間の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ五分に相当する。
・クビトゥム
長さの単位。
本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。
トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。
・アブス
長さの単位。
元の世界における三メートルくらいに相当する。
・プロクル
長さの単位
一プロクル=百アブス。
この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。
・通貨
銅貨、銀貨。
十銅貨(十二進数なので十二枚)=一銀貨
・暦
一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。
それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。
各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。
毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。
第六十八話終了時点では星の月夜週の五日の午後。




