#69 初めての
矢の射出音だった。
その場の離れ際に、矢を確認する。
射掛けてきた方向を知るために……え、マジか。
俺の矢じゃないか。
そんなこと……まさか……でも……この状況は「それ」しか考えられない。
付近の草むらに何かが倒れる音。
クッサンドラだ。
地面に突っ伏している。
第二射の音はまだ……ということは魔法?
だけど魔法代償の集中も特に感じられなかった……魔法にかけられたわけじゃなく、既に発動していた魔法への魔法抵抗が失敗したと考えるべきか?
それはそれで考えなきゃいけないことだけど、この状況で真っ先に確保するのは明確な殺意から身を護ること。
矢の飛んできた方向に対する遮蔽の確保。
矢の方角に居る寿命の渦からは死角になるよう、大きな樹の陰に隠れる。
クッサンドラについては、寿命の渦の状態を確認すると、死ではなく意識を失くしているだけのようだ……失神とか睡眠とかその手のやつなら良いけれど。
それにしても第二射はなかなか来ない。
威嚇だったのか、それとも隠れているから射って来ないだけか。
クッサンドラは心配だけど、もしもアイツが……エクシが本気で俺を殺そうとしているのであれば、エクシとクッサンドラとは同じ警備兵だし、油断させるための演技だったりして?
この場所に留まるのは危険過ぎるよな。
なんとかして皆と合流しな……え?
さっきまで向こうに二つあった寿命の渦、いつの間にか一つ消えている。
移動というよりは、溶けたみたいに。
怪しい二人というか今は一人の方も、エクシの方も、距離はここから半プロクル程度……元の世界での二百メートルくらい。
マドハトはエクシよりさらに半々プロクルは遅れてこちらへ向かっている。
ならば俺は……教えてもらったばかりの『新たなる生』で自分自身の幻影を作り出す。
それと同時に、俺本体の寿命の渦は『魔法偽装』で小さく、目立たないように……。
うまくいったかな?
とはいえ、俺自身は丸見えなんだよな。
いずれ自分の姿を見えなくさせる魔法とか考えないと……というのは置いといて、どうするか、だよ。
この時間だとまだ森は明るいし……幻影を移動させる方法を……すげぇ、クラーリンさん!
幻影、動かせるじゃないか!
となると、走れ幻影!
近づいてくるエクシからと、あの怪しい二人もとい一人からとも、距離を取り続けるように……ぬおっ。
幻影、動かすにはそれなりに精神集中が必要みたいだ。
気を抜くと立ち止まっちゃう。
本当は俺もここから離れつつってしたいけど、仕方ない。
とにかく幻影だけでも遠くへ……エクシは幻影を追っていってるようだ。
しかしこの幻影の操作に慣れるのは早急な課題だな……『魔力感知』の密度を変えられるだけの集中力を、幻影走らせるのと同時には保てないから。
まったく……左右両手で別々の難しい字を綺麗に書くような感じだよ。
再び、矢がどこかの木に刺さった音。
幻影はまだ消えてないってことは、当たってはいないってことか……本当に威嚇か?
それとも、やっぱり殺しに来ているのか?
まさか、あの二人は盗賊団?
エクシがウォルラースとつながってる可能性はあるのか?
ふと湧いた恐ろしい考え。
そんなことあるのか。
どうやって接点が……それに、いくら態度悪いマウント好きエクシとはいえ、小さい頃はよく一緒に遊んだ同郷のよく知っている人だし……でも、ちょっと手がブレたら当てて殺しちゃうかもしれない矢を射掛けてきているのは事実だし……。
いや、でも……思い込みは捨てよう。
俺が一番にしなきゃいけないことは、ルブルムたちを守ること。
迷うな。
例えリテルの幼馴染でも……うわっ。
いつの間に、だろうか。
横たわるクッサンドラのすぐ傍らに、両手に短剣を持った誰かが立っていた。
さっきの二人組の片方、兎種の方。
向こうも俺に気づき、驚いている表情……だがこいつ、寿命の渦をほとんど感じられない。
俺が魔法代償を集中したのと同時だった。
兎種が俺に向かって突進してきたのは……そしてマンガみたいに吹っ飛んだ。
ポーが俺の意図を組んでくれて、向こうへと伸びてくれたおかげ。
俺はポーの先端で、とっさに『ぶっ飛ばす』を放ったのだ。
一番最初に創った魔法『ぶん殴る』五発分のダメージ。
それが、カウンター気味に炸裂したのだ。
吹っ飛んだ相手へと近付いて、血の気が引く。
そいつは仰向けに倒れているのに、その首はそいつの胸の上に伏せられている。
ちょうど首のところで手前に折りたたまれているみたいに。
折れている部分からは勢いよく血が吹き出ており、血溜まりが辺りへみるみる広がってゆく。
これは、俺が、殺したんだ。
覚悟はしていたはずなのに。
指先が震え、めまいまでしてくる。
殺した。
俺が。
初めての、殺人。
リテルは森で動物を狩ったことは何度もある。
命を奪う、ということについても経験がある。
いくら頭部が先祖返りでウサギそっくりでも、首から下がここまでリアルに人間だと、自分の気持にごまかしがきかない。
人なんだ。
人を殺したんだ……あれだけ覚悟していたのに、なぜかこんなにも体が震える。
あのカウダの連中との戦闘でだって、結局俺自身は誰も殺していなかったから。
力の入らない足で近寄って、頭を……本来あるべき位置へと戻す。
その顔は直視できない。
傷口に触れ、まずは血管から『生命回復』を……使用して……理解する。
この肉体はもう、生命体が本来持つ回復力を失っていることに。
俺が、殺した……いや、俺は身を守っただけだ。
やらなきゃ、俺かクッサンドラが殺されていた。
なのに。
敵だというのに……どうして俺はまだ、無駄な『生命回復』をかけているんだ。
あまりにもあっけない人の命を前に、俺は周囲を警戒することさえ忘れていた。
ガチャリと、俺の首に何かがはめられた。
慌てて外そうと首輪に触れ、魔法代償を集中するが、凄まじい痛みと共に集めた魔法代償が吸われてしまう。
思わず首をすくめた俺を、誰かが強く蹴飛ばした。
血溜まりの中へ転びながら身をよじる。
その俺の鼻先へ、槍の先端があった。
エクシが、俺を睨みつけて立っていた。
「魔女様の弟子になったってのは、嘘じゃなかったんだな」
何か答えようとして、口の中に鉄の味を感じて咳き込む。
同時に右肩に感じる痛み。
エクシの槍が、俺の右肩に刺さっている。
「変な動きすんじゃねぇよ」
この体勢から、エクシの槍を避けるなんて無理だろう。
俺は血まみれで、なんとかその体勢を維持しようとする。
「リテル……お前、調子に乗ってねぇか? 自分に価値があるとか勘違いしているだろう」
なんだよ唐突に……エクシは俺の右肩から槍を抜き、また鼻先へと突きつけてきた。
リテルの記憶を覗いても、エクシにこんなにも恨まれるような過去は……まさか、ケティを狙っていたとか?
「お前は! お前らは! 俺に言う通りにしてりゃいいんだっ!」
ああ、そのセリフには聞き覚えがある……俺が、ではなく、リテルが、だけど。
きっとケティだって覚えているはず……ストウ村の人ならきっと誰もが知っているセリフ。
ハグリーズさんが、あの養えない浮気で「命の提出」をさせられた後、酒の量が増えて、夜にはちょいちょいあの声が家の外にまで聞こえてきていた。
そういえば、ハグリーズさんのとこの長女……エクシのお姉さんが隣のゴド村へとお嫁に行った後、エクシは顔にアザを作っていることが多くなった。
エクシがこんな傲慢で傍若無人に振る舞うようになったのって、DV被害者がDVするようになるっていうアレなのか?
エクシのおかげで冷静さを取り戻す。
人を殺してしまった衝撃に打ちのめされるよりも前に、やることがたくさんあるじゃないか。
あと、ポーもありがとうな。
「な、なんだその目は! リテルのくせにっ」
エクシが槍を動かすよりも早く、俺は魔法を使った。
ポーが伸びて触れてくれているエクシの胸元へ、馬車に乗る前に集中してずっと留めていた魔法代償を使って『ぶん殴る』を。
まるでメリアンが殴りつけたかのように、エクシの体が一アブスは吹っ飛んだ。
でも大丈夫。
殺すような威力じゃあない。
せいぜい槍を手放し、地面に尻もちをついて咳き込む程度。
かわりにこちらは起き上がる。
ディナ先輩から聞いていた魔法封印の首輪は、アールヴの魔法……契約精霊に行動してもらい、その対価として魔法代償を消費させられる……それなら魔法を使うことができたっていうことを、聞いておいてよかった。
それにクラーリンさんにも、集中した魔法代償をずっと維持するという発想を教えてもらえててよかった。
本当に試してよかった。
魔法代償の集中ができないのであって、あらかじめ集中してお取り置きしておいた分については普通に使うことができたわけだ。
もう一度、魔法代償を集中しようとすると、それだけで首に凄まじい痛みが走る。
ポーがまだ『虫の牙』の呪詛に囚われていた頃の痛みに比べれば、まだそこまでじゃないんだけど、首ってのがなぁ。
「な、なんでだよ! 『魔法封印の首輪』だぞ?」
エクシに近づき槍を奪おうとしたが、エクシは先に槍をつかむ。
その手首へ、伸びてもらったポーの先端へ、もう一度『ぶん殴る』。
エクシは槍を落とし、右手首を押さえながら後退する。
「壊れているのか? それとも俺は騙されたのかっ? くそう! あいつら! 殺してやる!」
エクシが拾えなかった槍を拾って、構える。
血で滑ってうまく使いこなせる自信はないが、エクシが精神的に追い詰められている今、俺の方は焦った姿を見せるべきじゃない。
蓄えておいた集中済の魔法代償も、一ディエスを二回分、両方とももう使ってしまったから、こっから先はかなりハッタリだけで乗り越えなきゃいけない。
でも不思議と落ち着いていられる……自分の中の寿命の渦を「落ち着いているときの状態」に整えてみているんだけど、本当に感情をコントロールできている感がある。
クラーリンさんには感謝してもしきれない。
「リテル様っ!」
マドハトが到着した。
『魔力感知』の範囲には、メリアン達は来ていない……ということは、伝えずに途中で引き返してきたのか?
「マドハト、気をつけろ。エクシは盗賊たちを手を組んでいる」
「はいです!」
マドハトは短剣を抜いて構える。
「盗賊だと? おめでたいやつだな!」
エクシが突然、余裕を取り戻す。
その足下にはクッサンドラ……エクシは自分が帯剣していた小剣を抜き、さらには倒れているクッサンドラの小剣も鞘から抜き、両手に小剣スタイルとなった。
武器を増やす目的か、と思った瞬間、倒れているクッサンドラの首筋に、片方の小剣を当てる。
起こすのではない? だとすると、クッサンドラとは共謀ってわけじゃないのか?。
「お前ら、動くなよ」
人質か……同じ警備兵仲間じゃないのか?
だが、ここまで堕ちたエクシにばかり気を止めているわけにはいかない。
さっきテーブルに突っ伏していた鼠種が、こちらへ近づいてきているのだ。
「ど、どういうことになっているんですか!」
鼠種が叫んでいる。
それはこっちが聞きたいよ。
飛び道具は……見た感じ持ってないようだけど、魔法を使うのなら手ぶらでも関係ないし。
それにしても魔法代償の集中ができないってのは困るな。
首輪じゃなく腕輪なら、我慢できる気はするんだけど。
(テツダウ)
ポー?
突然、ポーが俺の首周りをぐるりと覆った。
ちょ、ちょっと、まさかこんな簡単に防げたりするもの?
魔法代償を集中してみる……いける!
すげーよ、ポー!
そうだよな。ポーだって『契約』だもんな。
アールヴの契約精霊に負けてなんかないぜ!
あとでゴハン多めにあげるから!
念の為、失敗したかのように魔法代償の集中を解き、さっきと同じ様に首をすくめてみせる。
それから『魔法偽装』付きで二ディエス一回分を準備した。
これで少しはマシか……ん?
ゆっくりと近づいてくる鼠種が、腰につけていた剣を鞘とベルトごと投げ捨てて、両手首を揃えて頭の上へ……降伏の合図だ。
「私に敵意はありません」
これは信用していいのか?
こんな森の中でテーブル持ち出して寝ていたやつだぞ?
● 主な登場者
・利照/リテル
利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。
リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。
ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。
その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種。
レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。
現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。
アイシスでチェッシャーに告白されたり、死刑を宣告されたり、フラマからラビツ情報を聞いたり。
・カエルレウム師匠
寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種。
肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。
寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。
ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。
・ルブルム
寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種のホムンクルス。
かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。
カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。
質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。
ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。
・マドハト
赤ん坊のときに取り換え子の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。犬種の先祖返り。コーギー顔。
今は本来の体を取り戻しているが、その体はあんまり丈夫ではない。
ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、やたら顔を舐めたがる。
リテルにくっついてきたおかげでちゃっかりカエルレウムの魔法講義を一緒に受けている。
フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。
勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。
・ディナ先輩
フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。
男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。
アールヴと猿種のハーフ。壮絶な過去を持つ。
フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。
リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種の半返りの頼もしい傭兵。
円盾と小剣を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。
謎の襲撃犯を撃退し、リテル達と合流。
騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツの知り合いである様子。
・ラビツ
ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。
兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。
ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。
北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。
リテルたちより二日早くアイシスを出発した。ギルフォドに向かっているらしい。
・エクシ
ビンスン兄ちゃんと同い年で、リテルが小さな頃は、ビンスンやケティと一緒に遊んでくれた。
村一番の絶倫ハグリーズの次男で、今はフォーリーで領兵をやっている筋肉自慢。
ちょいちょい差別発言や嫌味を吐き、マウントを取ってくる面倒な人。
ルブルム一行の護衛として同行。過去にチェッシャーを買い、魔法で惑わされた。
・クッサンドラ
病弱だったマドハト(中身はゴブリン)の世話を焼いていたゴド村出身の犬種の先祖返り。ポメラニアン顔。
フォーリーで領兵、それも偵察兵をやっている。
ルブルム一行の護衛として同行。
・レム
バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。
魔法に長けた爬虫種の少女。
リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。
その母親は利照同様に異世界から来た。
現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。
ルブルム一行の護衛として同行。
・ロッキン・フライ
名無し森砦の兵士。
フライ濁爵の三男。
ウォルラースとダイクの計画を知らされていなかった。正義の心を持っている。
ルブルム一行の護衛として同行。
・クラーリン
チェッシャーの姉グリニーに惚れている魔術師。猫種。目がギョロついているおじさん。
チェッシャーに魔法を教えた人。リテルにも魔術師としての心構えや魔法を教えてくれた。
・森の中の二人
森の中に小さなテーブルと椅子を置き、テーブルに突っ伏して寝る鼠種の先祖返りと、それにもたれて何かを飲んでいる兎種の先祖返り。
怪し過ぎる二人組だが、兎種の方は、襲いかかってきたところをリテルの反撃に合い、死亡。
・レムルース
地界に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。
『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。
レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。
ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。
● この世界の単位
・ディエス
魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。
魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。
・ホーラ
一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ一時間に相当する。
・ディヴ
一時間の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ五分に相当する。
・クビトゥム
長さの単位。
本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。
トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。
・アブス
長さの単位。
元の世界における三メートルくらいに相当する。
・プロクル
長さの単位
一プロクル=百アブス。
この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。
・通貨
銅貨、銀貨。
十銅貨(十二進数なので十二枚)=一銀貨
・暦
一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。
それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。
各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。
毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。
第六十八話終了時点では星の月夜週の五日の午後。




