#67 逮捕
「あ、あのっ……こ、このヒモパンはどこでっ」
フラマさんは優しく微笑むと俺の手を取り、自分の腰へと誘導する。
「ここ。ここで解くのよ。蝶結びと言ってね、紐を引くだけで簡単に解けるの」
俺の知っている蝶結びとは違って、左右の輪っかがそれぞれ二重になっていて、確かにこちらの方がより蝶っぽい……じゃなくて。
フラマさんのヒモパンを結ぶ紐を解かされる前に慌てて手を引いた。
「きゃっ」
俺の手をつかんでいたフラマさんもバランスを崩して上体がつんのめり、結果……柔らかくも弾力のある、そして何よりも温かい感触がいっぱいに顔を包んで……って窒息しちゃう。
慌ててフラマさんの体を持ち上げ、胸の谷間から自分の顔面を救出する。
マジで窒息するかと思った。
空気に感謝しつつ大きな深呼吸をしている俺を、フラマさんは見下ろしながら微笑んでいる。
「埋まるよりも見たい方、なのね」
フラマさんは俺の顔の両脇に手をつき、肩を左右にゆっくりと振り始める。
豊かで立派なものが、その先端が、俺の頬を撫でながら行き来する……何で俺、おっぱいでソフト往復ビンタされてるの?
あと、行動が大胆になるにつれ、言葉使いもくだけてきている気もする。
というかこのままフラマさんのペースに巻き込まれていたら、肝心な事が全然聞けやしない。
「ぬ、ぬぅ……なんたる……ワタクシの乳房を……」
入り口の方からジャック様の唸る声が漏れ聞こえた直後、フラマさんは俺の耳たぶを軽く噛んだ。
思わず首をすくめた俺の手をつかんだフラマさんは起き上がる。
そして俺の手を引いたまま、ジャック様が座っている椅子の前まで移動する。
綺麗な背中。
有毛の先祖を持つ獣種は、半返りや先祖返りの場合、髪から尻尾まで背骨に沿って毛が生えていることが多い。
これをたてがみと呼ぶ。
鳥種の半返りは嘴や趾を持ち、手は普通の獣種と同じで、たてがみもある。
鳥種の先祖返りは頭部がまるで鳥である以外は半返りと同じ。
先祖返りだとしても翼はなく、空を飛んだりもできない。
返らずの鳥種は、爬虫種同様、穴だけの耳で、手足は普通の獣種と同じでたてがみもない。
この知識は、ルブルムがカエルレウム師匠の所持するたくさんの本から学んだ知識……この世界の獣種について、統計的に網羅していた本から。
他のどこでも見なかったウォルラースの獣種、海象種でさえ載っていた。
それだけ詳しい本の知識をもってしても、フラマさんはこのどれにも当てはまらない。
それに、寿命の渦の形も、アイシスでたくさん見かけた鳥種の半返りに近いは近いけどやはり違う。
まさか、呪詛で足だけが?
元の世界で小さな頃に読んだおとぎ話が頭に雑然と浮かぶ。
呪いとか魔法とかで姿を変えられた人たちのことが。
「いいですか、ジャック様。これはあなたのおっぱいではありません」
ジャック様の前に仁王立ちしているフラマさんは、まだ握りしめていた俺の右手を引っ張り、引き寄せる。
俺はとりあえず様子を見て引っ張られるがままにする……と、フラマさんの右肩に顎を乗せるような体勢になってしまう。
ふわりと香る甘い匂いは、ケティやルブルムとはまた違った良い香り。
「私を買ってくださったお客様のおっぱいなのです」
フラマさんは素早く俺の左手もつかむと引っ張り上げる。
何を……と思う間もなく、俺の両手はフラマさんの胸を後ろからわしづかみさせられた。
いわゆる手ブラ状態の俺の手の上から、フラマさんの手のひらが重ねられる。
動揺する俺をよそに、フラマさんは自分で胸を揉みしだき始めた。
俺は手に全く力を入れていないのに、フラマさんの感触を手のひらいっぱいに感じさせられている。
こ、これは不可抗力ってやつ。
「ぐぬぅ……ああ……ワタクシの……ああ……」
その時、俺は気づいた。
フラマさんの肩越しに見えるジャック様の表情が、苦悶というよりはむしろ恍惚に見えるということに。
え? もしかしてこれ、ジャック様のためのプレイなの?
「んっ……あぁ……んんん……」
フラマさんの吐息は紳士であろうとする俺がモジモジしちゃうくらい扇情的なのに、その鼓動や寿命の渦は俺よりも落ち着いている。
「くっ……おおおおおっ……ぬぅん」
それに対しジャック様はフラマさんの揺れる胸をガン見しながら、自分の股間に手を伸ばそうとしたり、我慢したりを繰り返している。
「ね……こっちにも、触れて」
ふいに俺の右手が大きく下にスライドさせられる。
肌と布地の隙間に差し込まされた指先に……俺の人生でまだ一度も触れたことのない感触が、触れる。
いやいやいや、ヤバいって……これは、その、紳士じゃないっ。
テンパりかけてる俺の耳に、フラマさんがあえぎ声に混ぜて届けた言葉……。
「……奥まで……触れ、て……んっ……いい、のよ」
む、無理だって。
奥まで……って、ちょ、ちょっと待って。
童貞には荷が重すぎです!
俺が手や指先を全く動かさないでいるのを隠すかのように、フラマさんの指がヒモパンの上から俺の手を翻弄する。
「むむむっ……いやっ……そこは……あああ……ワタクシの……ああああっ たまらん! たまらん! ダメだっ! ワタクシのぉぉぉぉっ」
ジャック様の百面相が急に硬直した。
口をだらしなくポカンと開け、どこか遠くを見つめている表情で。
そしてこの鼻をつく臭い。
ジャック様は賢者っぽい放心状態のまま、ぐらりと体勢を崩し、椅子ごと後ろへひっくり返った。
「さ、これでゆっくり話ができるわよ……それにしても、魔法か何かで勃たないように細工しているの? ちょっと自信無くしちゃうな」
フラマさんは俺の手をヒモパンから引き抜き、何事もなかったかのように微笑んだ。
「フ、フラマさんだって演技だったじゃないですか」
ペースを握られっぱなしだったのが悔しくて、ふと口を出た言葉。
しかし、フラマさんの表情を険しくさせて……詰め寄ってくる。
思わず後退る俺の手をつかみ、顔を近づけてくるフラマさん。
そんなにヤバいこと言ったか?
「あなた……リテル様は……『魔力感知』か『気配感知』を使えるの?」
小声だった。
ジャック様の方を見ると、相変わらず椅子ごとひっくり返ったまま。
「ちょ、ちょっとだけですが」
「本当に人探しが目的だったわけ?」
「そうです。もしもこの街を出ているのであれば、急いで追いかけようと思っています」
「あのおっぱい好きなお友達、何をやらかしたわけ?」
「言わないと、教えてもらえないですか?」
「ううん。リテル様にはお世話になったし、そんなことはないけれど……」
話しながらフラマさんは服を着始める。
俺も慌てて自分の着衣の乱れを直す。
呪詛がなければ、俺もジャック様のようにみっともない姿であんな風に果てて倒れていただろうな。
自分の手に生々しく残る感触を振り払うかのように自分の頬を両手でぱちんと叩いた。
「あなたのお友達が出発したのは二日前。夜明けと共に出発したはず」
ようやく。
ようやくラビツの背中が見えてきた。
さっき夜が明けたばかりだから、現時点でまるまる二日のビハインドか。
二日前というと、俺たちが名無し森砦を出たあたり。
やっぱり砦での足止めが響いてるなぁ……なんて言ってる場合じゃない。善は急げだ。
「ありがとう、フラマさん。じゃあ俺が買った期間は好きに過ごしてください。では」
部屋の入口へと向かおうとした俺の手首をフラマさんがつかんだ。
「待ってよ……リテル様は星の月夜週が終わるまで買ってくださったでしょう。その間は尽くしますわよ」
「……いやいや、わ、悪いよ、そんな」
気持ちは嬉しいけど、さっきのレムの表情を思い出す。
ルブルムもいい顔しないだろうし、対外的にケティに対しての申し訳も立たない。
それに余計な人を増やしても守りきれなくなるだけだし。
「ジャック! ワタクシの可愛いジャック! どどどどういうことなのっ!」
突然、部屋の中へ人がわらわらとなだれ込んで来る。
さっき見たジャック様の母様という人と、同じ服を着た屈強な……ああ、治安兵の人たち。
「この二人を逮捕なさい! 死刑よ! 死刑ッ!」
確実に権力者と判っている相手に対し、無茶な反抗などできるわけもなく。
申し開きも仲間への連絡もさせてもらえず、俺たちは連行された。
アイシスの牢屋は、フォーリーよりはずっと綺麗で清潔感があり、そしてものすごく大規模だった。
そういや一日税の違反者は逮捕されるんだっけ。
ただ、早朝ということもあるのだろうか、牢屋に囚われている人は、俺とフラマさん以外に誰も居ない。
まさか、昨日の逮捕者はもう処刑済み?
怖い考えが頭に浮かぶ。
それにしても死刑って……魔法代償提出刑とは違うのかな?
背筋がぶるりと震える。
魔物に襲われた時とはまた違う恐怖、緊張感。
自分一人ならば逃げるという選択肢もあるだろうけれど、ルブルムやケティ、カエルレウム師匠やディナ先輩にどんな迷惑が及ぶだろうか、という。
しかも公的にはクスフォード虹爵のお使いであるルブルムのお供、なわけで……まさか虹爵様にまで迷惑がかかる?
そんなことになったら、ストウ村のリテルの家族はどうなるのだろうか。
全身から血の気が引いてゆく。
「ごめんなさい」
隣の牢から、フラマさんの声が聞こえた。
「え?」
「ジャック様にはね、前から言い寄られていてね……でも、偉い人のお手付きになんてなったら、私がやりたいことを……いえ、やらなきゃいけないことを、出来なくなってしまうから……ずっと断り続けていて……お客様まで巻き込むなんて私、ダメね」
「いや、でも……そんな……」
そんなことで死刑とか言い出す方が、という言葉は飲み込む。
牢番に聞かれでもしたら、それこそもっと酷い目に……いや、死刑以上に酷い目ってなんだ?
(オナカスイタ)
あぁ、ポーか。
そうか今朝はまだご飯あげてなかったな。ごめんな。
魔法代償を集中して、ポーにあげる。
そうだ。
ポーが手伝ってくれたら、牢番には聞かれずにフラマさんと会話できるよね?
(テツダウノカ)
お願いできるかい?
左の手の甲から、ポーが黒猫の尻尾のようにするりと伸び、その先端が蛇のように隣の牢へと伸びてゆく。
「な、なんだっ? なんでこんなところにっ!」
フラマの声と共に魔法代償の集中を感じて、慌てて戻れとポーを呼び戻す。
……あれ?
ポーは俺にしか見えなかったはずだよな?
ポーと契約したとき、ベイグルさんもタービタさんもポーのことを見えないって言っていたよな?
いやでもあの二人はそういう悪質な冗談とか言うタイプじゃないだろうし。
「リテルさん……今、そちらに……」
言葉を濁している。
多分、ポーが見えているよね?
「フラマさん、俺のこと、信じてくれますか?」
少しだけ沈黙があり、その後、小さな声で「はい」という声が聞こえた。
俺はもう一度、ポーに伸びてもらう。
「触れた後、受け入れてくれますか?」
「……わかりました。巻き込んでしまったのは私の方ですし」
ポーにちゃんと触れてくれたかな? ひと呼吸置いてから、『テレパシー』を発動する。
今朝、宿を出る前に予め溜めておいた魔法代償を使って。
クラーリンさんから教えてもらった技術が早速役に立った。
記憶の端末から、あのUSBマークみたいな印を探す……これが、フラマさんにつながるやつかな?
(フラマさん……聞こえますか?)
(……こうかな?)
(『遠話』は使ったことあります? あれと同じ様な魔法です)
(昔、使わせてもらったことありますけど……あ、これなら周りに声を聞かれずに会話できますものね)
(やっぱり魔法使えたんですね、フラマさん)
(あなたもね、リテルさん)
(はい。とはいっても、俺はまだ魔術師見習いですが)
(私は……ちょっと特殊な事情なんです)
(語りたくないことは無理に言わないでくれて構いません)
(優しいのね)
そうなのかな……自己保身が先で、そんな自分を正当化するために、自分が守りたい権利を相手にも許可しているだけ……自分ではそんな風に感じている。
紳士には到底及ばない、浅ましい性根だと。
(そんないいもんじゃないですよ)
(じゃあ、そういうことにしておくわ。それで、そのレムールだけど……もしかして『契約』しています?)
スノドロッフの人たちの情報は伏せておいた方がいいよね、きっと。
(はい……そんなようなものです)
(あなたも……ううん)
フラマさんが何かを聞こうとしてためらった。
でも、フラマさんのイメージは伝わってきてしまった。
迷いと、親近感と、それからこれ……何かへの怒り?
(フラマさん、レムールが見えるんですね)
(それ、気になりますよね……ここまで巻き込んでしまって言えることじゃないですけど、そのことについて話すとなると、もっと巻き込んじゃうかもしれなくて……だって任務を抱えているのでしょう?)
(はい……俺も色々言えないことがありますから、お互い様です)
(そうね。あのお友達さん、とても悪党には見えませんでしたものね)
フラマさんの笑ったイメージが伝わってくる。
(あのお友達さん達は、徒歩で移動しているみたいでしたし、次の街ニュナムまで馬車でも五日はかかりますから、取り戻せない遅れでもないでしょう)
それは、この牢屋から無事に出られたら、の話だよね。
心の溜息がフラマさんへ漏れてしまわないように、ぐっと堪える。
(ね、リテルさん、レムールと契約しているくらいなら、他のレムルースのこと聞いたことあります?)
(他の?)
まさか、スノドロッフのことを探ろうとしている?
(あの……『虫の牙』って聞いたことあります?)
● 主な登場者
・利照/リテル
利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。
リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。利照はこれを「記憶の端末」と呼んでいる。
ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。不能は魔女の呪詛による。
その呪詛を作ったカエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種。
レムールの「ポー」と契約。伸ばしたポーの中においても、自分の体の一部のように魔法代償を集中したり魔法を使えることがわかった。
現在は、呪詛持ちのラビツ一行を追跡している。
チェッシャーに告白された後、流れでフラマを買うことになり、その流れで死刑を宣告されアイシスの牢屋へ。
・カエルレウム師匠
寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種。
肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人。家では無防備な格好をしている。
寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。
ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。ストウ村の住人からは単に「魔女様」と呼ばれることも。
・ルブルム
寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種のホムンクルス。
かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことを、気にしている。
カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。
質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。
ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流した理由に気付き、それでまた自分を責めていた。
・ディナ先輩
フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。
男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた。
アールヴと猿種のハーフ。壮絶な過去を持つ。
フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。
・ケティ
リテルの幼馴染。一歳年上の女子。猿種。
旅の傭兵ラビツに唇を奪われ呪詛に伝染し、それを更にリテルへと伝染させた。
カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願し、リテル達がフォーリーを発つ時、メリアンと共に合流した。
盗賊団に襲われた際は死にかけたり、毒で意識不明になったり。
足手まといを自覚し、ストウ村へ先に戻った。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。
リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種の半返りの頼もしい傭兵。
円盾と小剣を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。
謎の襲撃犯を撃退し、リテル達と合流。
騎馬戦も上手く、『戦技』や『気配感知』を使う。どうやらラビツの知り合いである様子。
・ラビツ
ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。
兎種ハクトッのラビツをリーダーに、猿種マンッが二人と先祖返りの猫種バステトッが一人の四人組。傭兵集団。
ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。おっぱい大好き。
北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。
・レム
バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。
魔法に長けた爬虫種の少女。
リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。
その母親は利照同様に異世界から来た。
現在は、リテルのことをお兄ちゃんと呼び、魔法の使い方を習ったりもしている。
ルブルム一行の護衛として同行。
・チェッシャー
アイシス出身の猫種の半返りの女子。あざといくらいに無防備な姿をしているが、魔法を使う。
姉のために寿命を売りにフォーリーへ向かう途中、乗っていた馬車定期便が襲撃により横転したため、その近くに隠れていた。
チェッシャーたちの命を取らなかったリテルの唇を奪い、銀の髪飾りをくれた。
リテル達が名無し森砦で待たされている間にアイシスへ戻ってきていた。リテルへ好意を打ち明けた。
・フラマ
宵闇通りの高級娼婦。おっぱいで有名。
鳥種の半返りのようだが、嘴はない。足は水鳥のよう。
ジャック・ボートーに言い寄られている。本日からしばらくはリテルに買われた。
魔法を使え、他の人には見えないはずのポーの姿が見える。
・ジャック・ボートー
フリルのついたシャツを着るアイシスの治安部隊の隊長。太めの河馬種。
アイシスを含むボートー領を支配する紅爵と同じ名前。
フラマに入れ込んでいる。根は真面目な人のようだが、NTR性癖の気配。
・ジャックの母
ジャックよりさらに太い河馬種。
大きな帽子とフリルまみれの服を着て、ジャックを溺愛している。
アイシスにおける法を決める権力を持つ。ボートー紅爵のごく身近な関係者と思われる。
・レムルース
地界に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。
『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。
レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。
ディナ先輩の体からリテルの腕へと移ったレムールは、リテルと契約し「ポー」という名を与えられた。
● この世界の単位
・ディエス
魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。
魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。
・ホーラ
一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ一時間に相当する。
・ディヴ
一時間の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ五分に相当する。
・クビトゥム
長さの単位。
本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。
トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。
・アブス
長さの単位。
元の世界における三メートルくらいに相当する。
・プロクル
長さの単位
一プロクル=百アブス。
この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。
・通貨
銅貨、銀貨。
十銅貨(十二進数なので十二枚)=一銀貨
・暦
一年は、十ヶ月(十二進数なので十二ヶ月)+「神の日々」という五~六日間。
それぞれの月は、母の月、子の月、大地の月、風の月、水の月、海の月、光の月、空の月、星の月、火の月、父の月、闇の月と呼ばれる。
各月は、月の始めの十日(十二進数なので十二日)間は「月昼」週。次の六日間は「月黄昏」週、最後の十日(十二進数なので十二日)間が「月夜」週。トータルは十二進数で三十日間。
毎月の、月黄昏週の一日が満月で、月夜週の九日が新月。月は二つあるが、大きい月の周期が基本で、小さい月の周期は二日ほど遅れている。夜が明けるまでは日付は変わらない。
第六十七話終了時点では星の月夜週の五日の朝。




