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#56 契約

 レムルースとの契約は通常、スノドロッフ村にある儀式用の神殿で、村長たるベイグルさんが取り仕切る。


 『契約の儀式』は、レムルースとの契約のための精神世界を一時的に構築するもので、レムルースが棲む地界(クリープタ)へ精神的につながる道を作る。

 契約者はそこへ呼びかけ、応じてくれたレムールと、契約を結ぶための交渉をする。

 彼らの食事となる魔法代償を与え、契約の目的を伝え、契約のための名前を与える。

 それをレムールが了承すれば契約は完了する。


 どのレムールが応じるかは、運と相性だというが、今回はこの腕に居るレムールに対して交渉をしかけるので、レムールを呼ぶ必要はない。


 『契約の儀式』の魔術を発動した者は、発動後も特定の呪文を唱え続けなければならず、その呪文が続く間だけ儀式が成立する。

 呪文は息継ぎする部分が決まっており、その息継ぎ部分までの一節は復唱が可能だけど、途中でトチると儀式が終了しちゃうらしい。

 スノドロッフ村の神殿には、そんな失敗を回避するための『儀式の復唱』という魔術が準備されていて、儀式の発動者が唱えた呪文を、一言一句間違えることなく復唱してくれる。

 だけど今回は人力。

 トリエグルさんとタービタさんが、その復唱を担ってくれることには本当に感謝だ。


 もしも俺が契約に時間をかけ過ぎると、契約の儀式は完了せずに終わる恐れもある。

 俺次第ってことか……頑張るしかない。


 いくつかの注意を聞いた後、三人は俺を中心にして手をつなぐ。

 ものすご近い。

 契約を行う者が儀式を発動する者へ触れていることが重要とのこと。

 なので俺は、ベイグルさんとトリエグルさんがつないでいる手の上へ右手を……って、ダメだって!

 俺の呪詛が移ってしまう。


 自分にかけられている呪詛のことをベイグルさん達へ伝えると、俺はタービタさんへ触れることになった。

 儀式を発動するのもタービタさん。


 急遽、『契約の儀式』の魔術と、儀式中の呪文とを覚えることになったタービタさんが、一生懸命練習をしている。

 申し訳ない気持ちになる。


 練習による待ち時間に、どうしてそこまでしてくれるのかと思わず聞いてしまった。

 だって、俺は呪詛にかかっている。

 呪詛が解けてからおいでと言われても俺は納得するし、それでも十分ありがたいと感じる。


「リテル。君は我らスノドロッフの者に対し、それだけのことをしたのである」


 そこまで言ってもらえると、この世界で少しは人の役に立てたのかな、とホッとする。

 自分の選択がいつも最良を選び損なっているのではないかという不安を、ずっと抱えているから。


「もう大丈夫。いけるよ」


 タービタさんに俺は向き合い、俺は彼女の両手首をつかむ。

 タービタさんのそれぞれの手の先はベイグルさんとトリエグルさんが俺に触れないようにつなぎ、そして俺を取り囲む輪を作った。

 俺が目を閉じると、タービタさんが魔法代償を集中し……『契約の儀式』が発動した。




 視界が急に広がった。

 『魔力感知』の時のような、宇宙みたいな世界。

 ただ、ここで見える寿命の渦……のような輝きは、生命じゃない。

 俺の左腕、ベイグルさんたちそれぞれの目の位置に、黒い光を放つ塊が見える。

 輝いているのに、黒い。

 そして遠くには無数の黒い光球。

 不思議だし、とても綺麗だ。


 俺の左腕があるべき位置を見つめる。

 そこに居るこの黒い光球が……傷ムガッァァ!

 凄まじい痛みが脳に直接響いた。

 ごめん違うんだ。そんな名前をつけようとしたわけじゃない……の前に。

 俺は魔法代償を集中する。

 左腕に、黒い光球の居るあたりに。

 知らなかったとはいえ、ひもじい思いをさせてごめんな。

 お腹空いてるよな。

 食べていいよ。

 魔法代償は瞬時に消える……消費された感と共に。


 このがっついた感じ、拾ってきたばかりのハッタと一緒だ。

 飢えた生き物だと認識した途端、今までの痛みがあっても尚、申し訳ない気持ちがしっかりと芽生える。


 お腹空いてたんだよな。

 もっと食べるか?

 魔法代償をさらに集中する。

 それもすぐに消費される……喜んでくれているのかな。


 魔法代償を与え続けること八回。

 九回目でようやく食べるのをやめた。


 話ができるか?

 心で問うと、べろりと舐められる感覚。

 OKってことかな?

 ベイグルさんはレムールとの対話に必要なのは敬意だと言っていた。

 どうにも犬っぽさを感じるけれど、人に対してコミュニケーションを取っているつもりで心に言葉を思い浮かべてみる。


(思いをそちらからこちらへ伝えることはできますか?)


(カエリタイ)


 答えが返ってきた!

 怒りや悲しみ、寂しさ、そんな感情と共に……これはレムールの?


 俺が理解しようとすると、レムールから流れてくる寂しさが減った。

 そうだよな。

 このレムールだって『虫の牙』で無理やり召喚されてディナ先輩に縛り付けられたようなものなんだ。

 元の世界からこの世界へ転生した自分自身に重なる……と、怒りや悲しみも少し減った。


(俺がどうやったら、あなたを帰してあげられますか?)


(アルジトナレ)


 思考を何度か交わし、具体的な方法がなんとなく伝わってくる。

 『虫の牙』の今の主を俺が殺した上で『虫の牙』を手にすること。

 それにより、『虫の牙』が召喚しているレムールを地界(クリープタ)へ送還することができるようになる、と。

 ハードル高いな。

 それが出来るならば俺もしたい。

 だけど、きっと今の俺では『虫の牙』の持ち主に勝つことは相当に困難だろう。


(チカラヲカス)


(ありがとうございます)


 ……ああ。これが契約の目的ってやつか。

 だとしたら、あとは名前。

 どんな名前が良いんだろう。

 ベイグルさんは短いほうがいいと言っていた。

 ベイグルさんの契約しているレムールの名はエク、トリエグルさんのはウィデ、タービタさんのはチラ。

 二文字くらいな印象。

 最初に考えたのは、元の世界でムカデ型の最凶モンスター、サイデ痛たた。

 どうにもあの傷ムカデのイメージがっ違う違う。傷なんて名前にしないって……どうやら傷とかムカデとか関連はアウト。


 レムルースはもともと物理的な形を持たない。

 なのでこちらの世界へ呼んだ時に、こちらの世界での形を与える必要があると。

 ベイグルさんたちのレムールは、普段はアルバスの特徴的な赤目を隠すために黒目のカラコンみたいに赤目の部分だけを覆っている。

 一つのレムールなのに二つに分かれるのかって聞いたら、それは契約者の認識が強く影響するって言っていたんだよな。

 「目」という一つのモノに対してそれを覆うという認識だって。


 もういっそ、レムール本人の好みをもとに名前や形を決めるのはどうだろう?

 当人に聞くだけ聞いてみよう。


(どんな形がお好みですか?)


 黒い光球が、リンゴの皮を剥くみたいにひゅるひゅると解けだす。

 蛇……は違いますね、はい。

 ミミ痛っ……虫とかそういうのはイメージしただけで咬み付かれているような。

 でもこの細長いの、なぁ。

 うどんとか蕎麦とかパスタとか……うーん。興味なさげ。


 くゆりくゆりと揺れる黒く光る細長い……しっぽみたいだな。

 べろりときた。

 しっぽ? 尻尾が好きなのか?

 あ、もっと短いのがいいんだっけ。


 テイル……一緒か。

 お。尾。オー。

 しっぽ。やっぱりしっぽか。

 しっ。ぽー。

 べろりがあった。ということはぽー? いや、ポーかな?

 ぽーよりポーの方がいいのか。

 ということは、ひらがなとカタカナのイメージの違いを認識できているってことか。

 うん。わかった。


(あなたのことをポーと呼びます)


(ポー)


 視界が切り替わる。

 真正面にタービタさんの顔がある。


「早くて良かった。呪文、ちょっと自信なかったから……ありがとうね」


「い、いえ、こちらこそわざわざ契約の儀式を行ってくださって……」


 タービタさんの唱えた呪文のうち、最初の一節の息継ぎが終わった直後だったらしく最初は失敗したのかと心配になったという。

 『遠話』のときもそうだったけれど、精神世界での会話は実際の会話よりも凄まじく高速で行われるようだ。


「リテルさん、能力は何にしました?」


「能力……あ、忘れました」


 そうだった。

 契約の目的に、どんな能力にしたいかを含めるんだった。

 ベイグルさんのエクは視界の中で発動中の魔法に色がついて見える能力。

 ウィデさんのは遠くのものが近くに見えたり、風の動きが見える能力。

 そういうのがあれば、これから先に力になること間違いないんだけどな。

 もう一度契約ってわけにはいかないよね?


(ノウリョク)


 ポーの声が聞こえる。

 左手の甲からにゅるんと黒い尻尾のようなものが生える。

 そしてくゆりくゆりと揺れる。

 可愛いな。これ、文字とか書けるのかな。

 うおっ「文」という形になった!

 形が自由に変わるのか。


 その「文」に右手で触れてみる……今度はするんと右手へと移る……ポーの全体が。

 あー、ディナ先輩の体を移動していたアレか。


 ものはつかめるのかな。

 地面にある草をむしって持ち上げようとしてみるが、草の表面を軽く撫でるだけ。

 しかも草はピクリとも動かない。

 物理的なものへの干渉はできない、と。


 好きな形に変わってくれるだけ……今度はまたしっぽのように揺れる。

 ちょっとイメージすると、俺の両手の上でのびをする黒猫のように。


 ……能力は癒やし系っと。

 ちょっと喜んでいるのが伝わってくる。

 そっか。


 ポーは虫嫌いで可愛いのが好き。

 女の子っぽいイメージ。


「あ、あの。レムルースって性別あるんですか?」


「レムルースがどのように繁殖しているのかは不明です。個性や性格はありますが、性別についてはわかりません」


 トリエグルさんが答えてくれる。


「ありがとうございます」


(オナカスイタ)


 あー、たくさん変化してもらうとお腹が空くのか。

 そうだよな。そりゃ俺だってたくさん動けば腹が減る。

 魔法代償を一ディエス集中して、ポーにあげる。


「リテル、傷ムカデが消えている!」


 ルブルムが興味津々な顔で横から俺の左手を覗き込む……ん?

 左手の手のひらに、ポーの尻尾をちょっと出して振ってもらうが、ルブルムの反応はない。

 でも、ポーはルブルムには見えてない?


「あの、ベイグルさんたちは俺のレムール、見えますか?」


「見えないのである」


「なるほど。見えなくなる能力ですか。タービタのと似ていますね?」


 見えなくなる?

 試しに左手を手袋みたいに覆ってもらう。


「俺の左手、見えてます?」


「……すみません、リテルさん。私の早とちりでした」


 その後、ちょっと実験した。

 ポーが見えるのは俺にだけ。

 ポーには物理的に触れる能力がない。

 でも、ポーのお腹が空いていないときは、伸ばしたポーの体の先に魔法代償を集中することができた。


 これはすごい。

 離れた場所で接触式の魔法を発動させられるってことがだ。

 ただの癒やし系じゃない。

 無茶苦茶活躍できる能力じゃないか。


 ベイグルさん達から、レムルースとの付き合い方を聞いているうちにだいぶ夜も更けてしまった。


「明日は早い。リテルは仮眠するとよいのである」


 『眠りの波』でぐっすり寝たルブルムが元気に首を横に振る。

 そうそう。横が肯定だっけね。


 小屋の中へと入り、藁を少しわけてもらって横になる。

 睡魔がすぐ近くに控えている気はするのだが、どうにも気持ちが高ぶって寝られない。

 今日一日で起きたことがとにかくもうたくさんありすぎて。

 魔法も教えてもらえたし、ポーと『契約』もできた。

 特にポーはすごい。

 魔法を使っても咬まれなくなったのもかなり嬉しい。

 あ、そうだ。

 明日起きたら、ポーを見ることができるようになる魔法を考えてみよう。

 ルブルムに教えたら、遠く離れていてもポーに文字になってもらって合図するなんて使い方もできるかもだし……。




 揺さぶられて目が覚める。

 開いた目に飛び込んできたのは真っ白くて赤目の仔猫の顔が三つ。

 トームとミトとモペトが覗き込んでいる……揺さぶっているのはケティ。


「ぼくたち、もう村にかえるんだ」


「おれいをいいたくておこしました」


「ありがと」


 最後の一人、ミトかモペトかが俺の頬にキスをする。

 おませさんなのか、それともそういう挨拶なのか。

 スノドロッフ村の風習なんて、もちろんリテルの記憶の中にはない。


 頭を撫でたい衝動をぐっと堪えて、お別れの挨拶をする。

 トリエグルに連れられた三人は名残惜しそうに森の奥へ入っていった。

 ロービンも途中まで送ってゆくとついて行ってしまう。


 後に残ったのはベイグルさんとタービタさん、ルブルムとケティ、俺。それからレム。

 そうだ。レムのことをもう少し皆と話し合っておくべきだった。

 それなのに、魔法や『契約』に夢中になって……俺はちょっと自己中だったかもしれない。

 話をしようと皆の方へ向き直った途端、ケティが先に口を開いた。


「リテル。私……戻るね」


「戻るって?」


「ストウ村に……せっかくリテルが一緒に来てほしいって言ってくれたのに」


 え?

 言った?

 俺が?

 いつ?

 ケティに一緒に来てって?


 あ。


 俺が寄らずの森へと出かけるとき、ケティが「私も一緒に行く」と言ったあの時だ。

 俺は首を左右に振った。元の世界での否定の意味で。

 あー、アレか……。


「でも、今の私じゃただの足手まといだってわかった。リテルとルブルムが居てくれなかったら、生きてすらもいなかった……だから」


 ケティは自分の二の腕から何かを外して俺へと手渡す。


「寄らずの森の魔女様から貸していただいたお守り。魔法にかかりにくくなるって。これはリテルかルブルムが着けていた方がいいと思う」


 あー、治癒の魔法が最初かからなかったのはそういうことだったのか。


「ありがとう……ごめんね、ケティ。本当は俺が守」


「いいの、リテル。それじゃダメだってわかってる。だから」


 ケティは俺に抱きついて、キスをした。ちゃんとした、唇へのキスを。

 頭の中にはそうすることへの違和感や罪悪感がある。

 でも、この体は利照(おれ)じゃなく、リテルだから……俺はそのキスを受け止めた。


 ……ちょっと長いぞ。

 きっと『契約』にかかった時間より長い。

 俺はケティの肩をもって引き離す。


「……やっぱりね。気付いてたんだ。リテルのこと、私の知らないあだ名みたいなので呼ぼうとしたり……」


 ケティの瞳から大粒の涙がこぼれて頬を伝った。

 ちょ、ちょっと待って。

 話が見えないんですけど。


● 主な登場者


利照(トシテル)/リテル

 利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。

 リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。

 ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。

 魔女の家に来る途中で瀕死のゴブリンをうっかり拾い、そのままうっかり魔法講義を聞き、さらにはうっかり魔物にさらわれた。

 不能は呪詛によるものと判明。カエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種(マンッ)

 フォーリーでディナやルブルムへ異世界から来たことをとうとう打ち明け、そして新たな呪詛をその身に宿した……と思っていたが、どうやらその正体はレムルースっぽい。

 ゴーレムを作ることができる紅魔石(ポイニクス)をディナよりもらった。

 ルブルムとケティを守り抜こうと心に誓った矢先、ケティを守れなかった自分に不甲斐なさを感じている。

 ホブゴブリンとゴブリンの魔法を少し覚え、レムールの「ポー」と契約した。


・カエルレウム師匠

 寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種(マンッ)

 肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人で、家では無防備な格好をしている。

 お出かけ用の服や装備は鮮やかな青で揃えている。

 寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。

 ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。


・ルブルム

 寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種(マンッ)のホムンクルス。

 かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことをずっと気にしている。

 カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。

 質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。

 ディナの屋敷でトシテルとの距離がぐっと近づいた。

 戦闘時の息の合い方はケティが嫉妬するほど。


・ディナ先輩

 フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。

 男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた様子。

 アールヴと猿種(マンッ)のハーフ。壮絶な過去を持つ。

 ゴーレムを作る魔法品をトシテルへくれた。

 フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。


・マドハト

 赤ん坊のときに取り換え子の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。犬種(コボルトッ)の先祖返り。

 今は本来の体を取り戻しているが、その体はあんまり丈夫ではない。

 ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、やたら顔を舐めたがる。

 リテルにくっついてきたおかげでちゃっかりカエルレウムの魔法講義を一緒に受けている。

 フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。

 勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。


・ケティ

 リテルの幼馴染。一歳年上の女子。猿種(マンッ)

 旅の傭兵に唇を奪われ呪詛に伝染。

 リテルがずっと抱えていた想いを伝えた際に、呪詛をリテルへ伝染させた。

 カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願した。

 リテルとの関係はちょっとギクシャクしていたのだが、再会したときにはなんかふっきれていたが、ケティの記憶の中のリテルと今のリテルとの違いに、やっぱり違和感を覚えている。

 鍛冶に使っていたハンマーを武器として使う。

 死にかけたり、盗賊団の毒で意識不明になったり、散々な目に遭っている。


・ロービン

 一見して凛々しい青年で、筋力がある。ホブゴブリン。

 獣種に似ているけれど、獣種よりももっと力強い異世界由来の種族、という情報を、ルブルムは本で読んだことがあるという。

 人の言うことを信じて疑わないタイプっぽい。

 ダイクとの戦いの中で負傷し、カウダの毒で麻痺していたが、ルブルムに治療された。


・ウォルラース

 街道で襲われた商人。

 ディナ先輩と因縁があるウォルラースと同一人物のようだ。

 名無し森砦を守る兵士たちとグルで、スノドロッフの子どもたちを狙っていたっぽい。

 本来は身を守るための魔法品を、相手の無力化に用いたりなど、魔法品を使いこなす。

 ダイク達を残し、単身離脱した。


・スノドロッフの子どもたち

 魔石(クリスタロ)が採れるという伝説の地スノドロッフに住む三人の子どもたち。全員アルバス。

 男子がトーム。ミトとモペトが女子。全員、猫種(バステトッ)の先祖返り。

 盗賊団に誘拐された挙げ句、ケティ同様の毒で意識不明状態にされていたが、白魔石(レウコン)に封じられていた魔法で回復した。

 全員、無事に取り戻した。


・ベイグル

 猫種(バステトッ)の先祖返り。アルバスだが、レムルースで赤目を隠している。

 槍を持つスノドロッフ村の住人。魔法に詳しい。


・トリエグル

 猫種(バステトッ)の先祖返り。アルバスだが、レムルースで赤目を隠している。

 弓を持つスノドロッフ村の住人。リテルの左腕のレムルースに気付いていた。


・タービタ

 数日前に失踪したスノドロッフ村の女性。

 猫種(バステトッ)の先祖返り。アルバスだが、レムルースで赤目を隠している。

 槍以外に何も持たなかった全裸だったが、ベイグルが自分のマントを貸している。

 レムに『同胞の絆』で操作されていたが、今は正気を取り戻している。


・レム。

 バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。

 魔法に長けた爬虫種(セベクッ)の少女。

 リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。

 カウダの毒を塗った吹き矢や短剣を使う。


・レムルース

 地界(クリープタ)に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。

 『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。

 レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。



● この世界の単位


・ディエス

 魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。

 魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。


・ホーラ

 一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ一時間に相当する。


・ディヴ

 一時間(ホーラ)の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ五分に相当する。


・クビトゥム

 長さの単位。

 本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。

 トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。


・アブス

 長さの単位。

 元の世界における三メートルくらいに相当する。


・プロクル

 長さの単位

 一プロクル=百アブス。

 この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。


・通貨

 銅貨(エクス)銀貨(スアー)

 十銅貨(エクス)(十二進数なので十二枚)=一銀貨(スアー)


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