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#57 女たちの思惑

「そうね、色男さんですものね」


 ケティに横槍を入れたのは予想外のタービタさんだった。


「ケティさん、このくらいの男の子にはね、はっきり言葉にしないと伝わらないわよ。もしも勘違いを正さずにそのままケンカ別れみたいになって、それが最後に交わした言葉になっても後悔しないのであれば良いのですけれど」


 タービタさんの言葉は俺にも沁みた。

 死が近いこの世界では、そういう別れ方になってしまうことは少なくないんだよな。


「……ありがとう、タービタさん」


 ケティが意を決した表情になり、両手で俺の両手をそれぞれ握りしめる。


「リテル。教えてちょうだい。私よりも好きな人ができたのか、二股なのか、それともただ単に手当たり次第なのか」


 あー。

 察しました。

 ケティは……ルブルムや、チェッシャーやらレムやらそういうことを言っているのか。

 そういやカエルレウム師匠のことも疑っていたような。


「呪詛でそういうことできないってのは、ケティも知っているだろ?」


「そういう問題じゃないの! 私に言った好きって言葉を、他の女の子にも言っていたら嫌だって言っているのっ!」


 ……こういう言い方って紳士じゃないのは分かってはいるけれど、彼女持ちのクラスメイトが言っていた「女って面倒くせぇ」ってのが、今ならちょっと分かる。

 しかも俺の場合、自分の彼女じゃないんだよ……リテルの彼女ではあるけどさ。


「ケティ。今はそういう好きとかどうとか言っていられるほどゆとりはないんだよ。実際、今日の昼間だって、ケティのことを守れなかったし……そんな状態なのに俺が他の女の子と何かしているみたいに、ケティは考えているわけ?」


 自分で意地の悪いことを言っている自覚はある。でもね。

 あんまり寝ていないからというのは言い訳なんだけど、精神的にかなり疲弊しているのは事実。

 生き残る以外の所へ使うパワーを極力減らしたいし、余計なストレスも受けたくない。


「だってしょうがないじゃない! ……好きなんだから」


 ずるいなぁ。

 涙をこぼしながら俺をじっと見つめるケティは、可愛かった。

 意地悪な言葉を吐いた自分を責めたくなるくらいに。


 いや、ダメだダメだ。

 俺がリテルの想い人に惚れるのはダメだ。

 この体はいつかリテルへ返すんだから。

 だからこそ、利照(おれ)は、ケティと何かあってはいけないし、かといってケティとリテルが決定的に別れる原因を作るわけにもいかないんだ。

 絶妙な距離を保たなきゃいけないんだ……元の世界で十五年間、彼女なんていたことなかった俺にとってはかなりの無理ゲーなんだけどさ。


 それだけじゃない。

 リテルへ体を返すってことは、利照(おれ)がこの体から出てゆくということ。

 出ていった利照(おれ)はどうなるんだ?

 元の世界へ帰れるのか?

 それとも死ぬのか? まさか、消滅なんてしないよな?

 そんなことを今心配しても仕方ないのはわかっているさ……今は。


 そう。俺にはそんなゆとりがないんだ。

 生きることと、大事な人達を生かすこととで精一杯。


「……ケティ。俺はとても未熟だ。今は生き延びること、仲間を守ること、そして使命を果たすことで精一杯なんだ」


「わかってるよ……リテルをそんな道に追い立てたのは私がうっかりアイツに唇を奪われたからだって……私のせいだって」


「違うよ! ケティのせいじゃない。ラビツ達を受け入れたのは村が決めたことだから、遅かれ早かれ俺たちは呪詛にかかっていた。発見が早かっただけでも幸運だったと思うべきだよ」


「ありがと。でも、そうやってリテルが一生懸命フォローしてくれるのと、ルブルムが泣いているのとは、なんか関係あるんじゃないかって勘繰っちゃう、そういう女なの私は」


 ルブルムが泣いてる?

 振り返ると、確かにルブルムの頬には涙が一筋、伝っていた。


「なんで」


 俺の声と、ルブルムの声が、カブった。

 俺がその先の言葉を呑み込むと、ルブルムの声だけが響いて残った。


「……泣いているのか、わからない」


「私、やっぱり着いてく」


 ルブルムは涙を拭い、ケティは俺にしがみつく。

 あーっ、話したい話が全然できないっ!


 その時、急に視界に光が射し込んだ。

 ベイグルさんが木の板で閉じていた窓を開けたのだ。


「昨晩、ルブルムがフォーリーの魔術師組合へ連絡したように、我も虹爵(イーリス・クラティア)様の代理の者へ連絡を取ったのである」


 そんな通信手段を……?

 ルブルムが連絡できたのは、魔術師免状に、師匠や組合へ連絡する魔法『遠話』がセットされているから。

 報告や依頼の義務と、魔石チャージみたいな便宜とがセットになったのが魔術師免状。

 でもベイグルさんは魔術師ではない。

 代理とはいえ、自分とこの領主様へ直通連絡手段を持つって……スノドロッフ村の村長、恐るべし。


「あ、そうです。そのことで皆さんにご相談がありまして……」


 タービタさんが手をパンと良い音で鳴らす。

 窓から入ってきた早朝の涼しい風と相まって、小屋の中の空気が変わった。


「レム……この人は、子どもたちを村から連れ出した実行犯です。そして私の体を操って、私達の命を脅かしもしました。でも、私は、このレムを、処刑させたくはないのです」


 ケティが慌てて俺から離れ、話を聞く体勢になる。


「レムが私を操った魔法は、そもそもは仲間と感覚を共有する魔法です。鼓動と呼吸とを合わせないと使えないことから、そもそも相手を操る目的の魔法ではありません。仲間の意識がないとき、その仲間を危険な場所から逃がすため、そういう使い方をされていた魔法でした。そして、その魔法をこの身に受けたことで、私の方もレムの意識を共有したんです」


 レムが俺に、俺がレムに『同胞の絆』を使ったときを思い出す。

 俺が「記憶の端末」と名付けた、リテルやレムの記憶に触れることができたあの感覚……あれとタービタさんの話を総合すると、リテルやレムの側も俺と意識を共有できているってこと?


「タービタさん、カウダの麻痺毒で意識を失っていたのに、レムと意識の共有ができていたんですか?」


「その時は意識は無かったのですけれど、魔法の効果時間が終わった後、夢で見ていたいかのように思い出しました。レムが私の中の記憶を覗いていたそれぞれの事柄について、私からもレムの方の記憶が見えたのだと思います」


 一つのキーワードについて意識を集中すると、お互いがお互いの記憶を交換する感じ?

 一方的じゃないのなら罪悪感もちょっとは薄れるな。


 そういえば元の世界で、深淵を覗く者は深遠によって覗かれている……みたいな言葉があったような。


 こういうとき、自分の記憶や知識の薄っぺらさが悔しくなる。

 何かあったら検索かければいいし、何かあったら計算機使えばいいし、何かあったら辞書変換かければいいし……そうやって便利な道具に頼って生きてきた。

 それで何でもできるようになったって思っていた。

 でも今、俺の中に残っている知識の大半は、リンク先にたどり着けないショートカットばっかり。


 ああでも仕方ないか。

 学校では、元の世界の現代社会での生き方しか教えないもんな。

 向こうからは計り知れない異世界での生き方なんて、教えることができないのは当然か。


「レムは……レムともう一人、ミンは、貧しくはありましたが悪い子ではありません。本当は仲間を止めようとしていました。その想いを、私は操られている間にたくさん受け取りました。レムはトームたちをスノドロッフから連れ出した方法を、私の存在すらも、ウォルラースには伝えませんでした。だから私は殺されることも汚されることもなく、こうやってここに居られるのです」


「でも、トームたちは実際にさらったし、さっきだってもう一度さらおうとしてたじゃないですか」


 俺は立場としてはレムの命を助けたい側。

 でも、だからこそ、さっきは深くまで読み取れなかったレムの真意を、レムの気持ちを深く知ったタービタさんに答えてもらいたかった。


「そうですね。確かにトーム達を囮にしようとはしていました。しかしトーム達を連れ出す時も常に、無事に帰らせるからと心の中で謝り続けていたのは伝わっていました。レムとミンの二人は、ウォルラースの隙をみて麻痺毒で動きを止めた後、ウォルラースの記憶から隠し財産の手がかりを探り、それを奪うのが最終的な目的だったようです。悪党からなら盗んでも心が痛まないと」


 タービタさんの話してくれた内容にホッとする。

 しかもタービタさんから言い出してくれたことにも。

 この状況で俺がレムを助けたいとか言い出したら、ケティがどんな顔するか。


「状況はわかりました。それで具体的には……」


「レムはあくまでも砦の兵士として、ウォルラースを監視する目的で仲間になったふりをしていたことにはできないですかね」


「同郷の二人は、ウォルラースの部下と同じ入れ墨をしていた」


 ルブルムが話に加わった。


「そう。そこです。だからこそ入れ墨をしていなかった二人は、仲間になったふりというわけにはいかないでしょうか」


「タービタさん、あの、いいですか?」


 ケティも話に加わる。


「はい、どうぞ」


「どうして、そこまで優しいんですか? 自分の体を乗っ取ったり、自分の村の子どもをさらった相手に、どうして」


「助けられたからです。私はずっと麻痺毒で意識がありませんでした。でも、レムとミンしか知らない場所に隠されていて、盗賊達の慰み者にされることもなければ、トーム達のことも、利用はするけれどちゃんと無事に帰らせる、そういうつもりで動いていたようでした。結果的にそれは失敗して、助けてくださったのはリテルさん達なのですが、レム達はスノドロッフの者に対して一切、差別的な態度も取らず、理解できる姿勢を貫いてくれました。スノドロッフの者は、受けた恩は必ず返すと決めているのです」


 ああ、だから俺に対しても、あんなに……おかげで俺はポーとちゃんと向き合うことができたのか。

 俺がポーのことをちょっと考えただけで、ポーが手のひらに触れているような感覚を覚える。


「でもその作戦だと……メリアンや……あと、生き残りの兵士にも話を合わせてもらわないと、ですよね?」


 向こうに戻って口裏を合わせるなら、確かにここで誰が好きとかそういう話題で時間を潰している場合じゃない。


「そうなのです。それに、そもそもそういう作戦を、レム自身が受け入れてくれるかどうかもわかりません」


「魔法を使える相手を麻痺毒から回復させるのは、危険だと思う」


 タービタさんの懸念に対し、ルブルムが冷静な一言。

 ルブルムはもう泣いてはいない。


 それにしても。

 レムが生き残るためのハードルは高いなぁ。

 せめてレムと会話できたら……ああ、やってみればいいのか。

 新しい魔法を作って。


 魔法は、結果ではなく過程を想像できないと作ることができない。

 俺がこれから作ろうとしている魔法……『テレパシー』は、昨日までの俺には無理だったろうが、『同胞の絆』と『遠話』とを経験した今の俺ならば、なんとなくいけそうな気がするんだ。


「すみません。一つだけ、試してみてもいいですか?」


 イメージしろ。

 触れている相手と、言葉を使わず、意識で語り合う魔法を。

 記憶の端末で相手と向き合う、あの感覚を。


 俺はレムの額に左手でそっと触れる。

 熱を感じる。

 生きている温かさ。

 レムは爬虫種(セベクッ)だけど、冷血動物ではなく変温動物らしい体温を持っている……いやいやこの思考は今は不要だ。


 シンプルに行こう……集中しろ……魔法代償は二ディエスで、あとは効果が切れそうになったら追加消費できるタイプの魔法がいいな。そして魔法の名前は……。


「『テレパシー』」


 目を閉じて、意識を集中する。

 いつもリテルの記憶を探すときのように……ああ、ある。

 レムにつながる……この入り口がUSBマークに見えるのは、俺の深層意識がそういう解釈をしているからなのかな。

 ともあれ。魔法が成功したかどうかを早く確かめよう。


(レム……聞こえるか?)


(……誰?)


 お!


(俺はリテル。さっきレムが『同胞の絆』を使った男だ)


(ああ……あれから私は殺されたの? これは死ぬ前に見ている夢?)


(いや。レムはいま、カウダの麻痺毒で意識を失っている。俺の魔法で『遠話』のように話しかけている)


(これは取り調べ? 処刑するならさっさと処刑して)


(いや、その逆だ。レムを助ける方法を模索している)


(なんで? 奴隷になるくらいなら、死んだ方がまし)


(タービタさんが言い出したんだ。レムを助けたいって……それに俺も、レムの話を聞きたいと思っている)


(義理堅いのね、あの人。で、リテルは……私の何の……あ……さっき、ぼんやりと入ってきた記憶……え? リテル……ママと同じ世界から来た人っ?)


(そうだ。俺はこちらで意識が戻って日が浅いけれど、レムのお母さんの……ミュリエルさんの話を聞きたいと思っている)


(ね、なんか歌って。ママの世界の歌。そしたら信じる)


 ビートルズかクイーンって……好きな曲はあるけれど、歌えるかっていうと微妙だ。

 普段、歌詞カード覚えたりしないからなぁ……そういえば、中学の頃、英語の授業で一曲だけ覚えさせられたっけ。


(俺は、ミュリエルさんとは国も言葉も違うから、発音とか下手だけど……笑わないでくれよ)


(うん)


(♪~)


 あ、これ、さっきの『遠話』と一緒だ。

 イメージすると、俺が発音した歌じゃなく、記憶の中の曲がそのまま全部まるっと流れてる……このまま……このまま……なんとか最後まで思い浮かべきった。


(こんな感じだけど)


(ビートルズのイエスタデイ、だね)


(多分ミュリエルさんほど上手じゃないと思うけど……信じてもらえた?)


(……うん)


(じゃあ、話を聞いてくれる?)


(その前にもう一つだけ、お願いきいてくれる?)


 お願い……どんなお願いだろう。

 ウォルラースを殺す手伝いをして、とかかな。

 それくらいなら個人的には聞いてあげたいけど……今はラビツを追いかけるのが優先事項なのは先に断っておいた方がいいかもな。


(俺には今、やらなきゃいけないことがある。それを優先できないお願いだったら聞けないかもしれない)


(多分、大丈夫……なのね。私のお兄ちゃんになって)


 なんだって?


● 主な登場者


利照(トシテル)/リテル

 利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。

 リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。

 ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。

 魔女の家に来る途中で瀕死のゴブリンをうっかり拾い、そのままうっかり魔法講義を聞き、さらにはうっかり魔物にさらわれた。

 不能は呪詛によるものと判明。カエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種(マンッ)

 フォーリーでディナやルブルムへ異世界から来たことをとうとう打ち明け、そして新たな呪詛をその身に宿した……と思っていたが、どうやらその正体はレムルースっぽい。

 ゴーレムを作ることができる紅魔石(ポイニクス)をディナよりもらった。

 ルブルムとケティを守り抜こうと心に誓った矢先、ケティを守れなかった自分に不甲斐なさを感じている。

 ホブゴブリンとゴブリンの魔法を少し覚え、レムールの「ポー」と契約した。


・カエルレウム師匠

 寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種(マンッ)

 肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人で、家では無防備な格好をしている。

 お出かけ用の服や装備は鮮やかな青で揃えている。

 寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。

 ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。


・ルブルム

 寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種(マンッ)のホムンクルス。

 かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことをずっと気にしている。

 カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。

 質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。

 ディナの屋敷でトシテルとの距離がぐっと近づいた。

 戦闘時の息の合い方はケティが嫉妬するほど。

 ケティがリテルとキスしたり痴話喧嘩したりするのを見て涙を流したが、その理由は自分で理解できていない。


・ディナ先輩

 フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。

 男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた様子。

 アールヴと猿種(マンッ)のハーフ。壮絶な過去を持つ。

 ゴーレムを作る魔法品をトシテルへくれた。

 フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。


・ケティ

 リテルの幼馴染。一歳年上の女子。猿種(マンッ)

 旅の傭兵に唇を奪われ呪詛に伝染。

 リテルがずっと抱えていた想いを伝えた際に、呪詛をリテルへ伝染させた。

 カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願し、リテル達がフォーリーを発つ時、メリアンと共に合流した。

 鍛冶に使っていたハンマーを武器として使う。

 死にかけたり、盗賊団の毒で意識不明になったり、今はリテルへのラブを爆発させている。


・メリアン

 ディナ先輩が手配した護衛。

 リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。

 ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種(モレクッ)の半返りの頼もしい傭兵。

 円盾と小剣(ごつい)を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。

 謎の襲撃犯を撃退し、リテル達と合流。

 騎馬戦も上手な様子。どうやらラビツの知り合いである様子。


・ラビツ

 ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた。

 兎種(ハクトッ)のラビツをリーダーに、猿種(マンッ)が二人と先祖返りの猫種(バステトッ)が一人の四人組。傭兵集団。

 ラビツは、ケティの唇をリテルのファーストキスよりも前に奪った。

 北の国境付近を目指している。本人たちは呪詛にかかっていることに気付いていない。


・ウォルラース

 街道で襲われた商人。

 ディナ先輩と因縁があるウォルラースと同一人物のようだ。

 名無し森砦を守る兵士たちとグルで、スノドロッフの子どもたちを狙っていたっぽい。

 本来は身を守るための魔法品を、相手の無力化に用いたりなど、魔法品を使いこなす。

 ダイク達を残し、単身離脱した。


・スノドロッフの子どもたち

 魔石(クリスタロ)が採れるという伝説の地スノドロッフに住む三人の子どもたち。全員アルバス。

 男子がトーム。ミトとモペトが女子。全員、猫種(バステトッ)の先祖返り。

 盗賊団に誘拐された挙げ句、ケティ同様の毒で意識不明状態にされていたが、白魔石(レウコン)に封じられていた魔法で回復した。

 全員、無事に取り戻した。


・ベイグル

 猫種(バステトッ)の先祖返り。アルバスだが、レムルースで赤目を隠している。

 槍を持つスノドロッフ村の住人。魔法に詳しい。


・タービタ

 数日前に失踪したスノドロッフ村の女性。

 猫種(バステトッ)の先祖返り。アルバスだが、レムルースで赤目を隠している。

 槍以外に何も持たなかった全裸だったが、ベイグルが自分のマントを貸している。

 レムに『同胞の絆』で操作されていたが、今は正気を取り戻している。


・レム

 バータフラ・レムペー。クラースト村のバータフラ世代の五番目の子。

 魔法に長けた爬虫種(セベクッ)の少女。

 リテルより若いが胸はかなり育っている様子。髪型はツインテール。

 カウダの毒を塗った吹き矢や短剣を使う。

 母親は利照同様に異世界イギリスから来た。

 魔法で直接、意識へアクセスしてきたリテルへ、あるお願いをしてきた。


・ミュリエル・ロンドン

 イギリス、ソールズベリー出身。二千年に十九歳でこの世界に転生してきた。

 クラースト村での名前はファーヌ・オツォ(ファーヌ世代の七番目の子)。

 レムの母親。魔法の使い過ぎで寿命の渦を擦り減らし、若くして死亡した。


・ミン

 バータフラ・ミン。クラースト村のバータフラ世代の一番目の子。

 悪党であるウォルラースの財産を盗んでやろうと計画していた。

 バータフラ世代で、ミンとレムだけは悪に染まりきっていなかった。


・レムルース

 地界(クリープタ)に存在する種族。肉体を持たず、こちらの世界では『契約』されていないと長くは留まれない。

 『虫の牙』の呪詛のベースにされていた他、スノドロッフ村の人達が赤目を隠すために『契約』している。

 レムルースは複数形で、単体はレムールと呼ぶ。



● この世界の単位


・ディエス

 魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。

 魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。


・ホーラ

 一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ一時間に相当する。


・ディヴ

 一時間(ホーラ)の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。

 元の世界のほぼ五分に相当する。


・クビトゥム

 長さの単位。

 本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。

 トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。


・アブス

 長さの単位。

 元の世界における三メートルくらいに相当する。


・プロクル

 長さの単位

 一プロクル=百アブス。

 この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。


・通貨

 銅貨(エクス)銀貨(スアー)

 十銅貨(エクス)(十二進数なので十二枚)=一銀貨(スアー)


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