#48 稀少なアルバス
「カウダの居る場所へ案内されずに来るってことはカウダか……いや、街道からここまで随分目印残してきたからなぁ。そうとも言い切れないか」
メリアンが一人で納得している。
でもそうだな。
街道には横転した馬車……エルーシの仲間二人の死体は頭が真っ二つのまま残してあるわけだろ?
その近くから入れる小道の途中には、放置馬車とまた死体。
小道の先の広場にも死体。
広場から進んだ道にも、ブレドアの死体と縛られたままの麻痺エルーシ……馬も無事じゃないかもしれない。
その先、道から直接見えないとはいえ、この洞窟の入口の窪みには馬が何頭か繋がれている。
確かに目印だらけだ。
そしてそんな状況でわざわざ見に来るってのは、腕には相当自信がある連中だろう。
「あたしが見てこようか」
「待ってくれメリアン」
一人で行こうとしたメリアンをとっさに止めたのは、うちの最大戦力だから。
ウォルラースには油断できない。
ディナ先輩に装着させた魔法封じの魔法品や、激しい痛みを引き起こすおそらく魔法、ウォルラースはそういうものを持っているはずだ。
そういうものでルブルムが無力化されたら、メリアン抜きでは対処できない。
「もしも敵だったときのことを考えたら、人数は多い方がいい。麻痺からまだ完全に復活していない子どもたちとケティを残して……万が一のためにマドハトを護衛に残して、俺たち五人で行かないか?」
「ご、五人って、私も数に入ってるんですかっ?」
ウォルラースはブルブルと震える……今の俺には演技にしか見えないのだが。
「体が大きいし、強そうに見えるし、それに盗賊の隙を見て逃げ出すくらいの判断力や瞬発力もある。居てくれた方が安心感がありますよ」
選んだ言葉は嘘ではない。
ただのデブには思えないし、舐めるつもりもない。
病み上がりのケティや子どもたちと一緒に残して人質にされる、というのは絶対に避けたい。
もしもこいつが本物のウォルラースじゃなかったとしても、そのくらいの用心さでいけとディナ先輩なら言うだろう。
実際、ノバディ……御者だって盗賊団カウダの仲間だったじゃないか。
「か、買いかぶり過ぎですよ。しがない商人ですよ?」
「心配ならこれを持っておきな。あんたを脅していたやつの小剣だけどな」
メリアンが、顔面がひしゃげてしまったバータフラの死体から小剣を奪ってウォルラースへと手渡す。
「ロービン、残って子どもたちを守るのがマドハトなら、安心してくれるか?」
「おいらは、それで構わないさ」
「じゃあ早速行こう。明かりはつけずにな」
メリアンが先頭になって洞窟の入り口へと戻り始める。
ロービンが続くのを見て、俺はルブルムの手を引いて自分の後ろへと下がらせ、ウォルラースを先に行くよううながした。
「俺が間に入りますから」
ウォルラースは慌ててロービンの後に続く。
その次に俺、そしてルブルムが殿だ。
とりあえず、ウォルラースが人質にしそうなメンバーは引き離すことができた。
あとは……来たのが敵じゃなければいいが。
静かに、静かに進んでゆく。
真っ暗だからこそゆっくりと、ということもある。
左右の壁はゴツゴツしていて、隠れられそうなところは少なくない。
向こうから誰かが来ても息を潜めて動かないでいれば、松明程度の灯りなら、かなり近づかれるまではなんとかなるかもしれない。
メリアンが進むのを止める。
馬のいななきが少し落ち着いたような気がする。
馬を連れていなくなった?
『魔力感知』の範囲はまだ洞窟の入り口まで届いていない。
精度は粗くなるが範囲を広げてみるか……。
……大きな寿命の渦が、十五……いや、こちらの数え方だと十三か。
俺たちの馬と、逃げてきた奴の馬が合わせて三頭となると、十人もしくは騎乗した連中が六人ってあたりか。
人数けっこう多いな。
「リテル」
背後からルブルムが囁いてくる。
「馬が九、獣種が六」
ぬおっ。
『魔力感知』の範囲は人によって違うとは聞いていたが、さすがルブルム、さすが姉弟子。
俺だとこの距離からじゃ寿命の渦のアバウトな大きさしか分からなかったが、生物の種類まで特定できるだなんて。
しかし……六人が騎乗か。
カウダのメンバーなのか?
ちょっと違和感を覚えたのは、今までのやつらの行動から。
ブレドア、エルーシ、エルーシの仲間二人の四名で馬が三頭。
馬車に偵察で来た爬虫種は二人で一頭。
広場で待ち伏せしていたのは馬なし。
逃げた爬虫種も、偵察の馬に乗って逃げた。
それに引き換え今、洞窟の入り口付近に居るのは一人一頭。
いやいや、盗賊団の主力が馬を使っていたからあんまり残っていなかったという可能性もある。
ところで他にはどんな可能性があるだろうか……。
少しずつ進みながら考えてはみるが、この世界における冒険者的な知識や経験が少なすぎて、うまくひねり出せない。
うわ、一人が洞窟内に入ってきた!
やけに響く足音と共に金属が擦れる音……鎧に金属部分が多い?
そして馬は一人一頭。
頭に最初に浮かんだのは騎士……どこの騎士?
このへんだとクスフォード領の?
メリアンとロービンとが左右の壁に寄った。
ウォルラースもロービン側の壁へ身を寄せる。
俺もルブルムと共にメリアン側の壁に寄る。
洞窟は直線というわけではないから見通せはしないが、確実に近づいてきているようだ。
「……あのー。誰か居ますかー?」
向こうから声を出してきた。
若い男っぽい。
心なしか震えている。
「あのー、居ませんかー?」
ここはどうするべきだろうか。
もしも盗賊団の連中なら、こんな声かけしないような気がする。
「おいらが行ってくる」
ロービンは小声でそう言い残すと、立ち上がって前へと進み始めた。
「わっ、足音? やっぱり誰かいますよねー?」
「おいらはロービン。君は誰だい?」
「ぼ、僕は名無し森砦の兵士ですっ。フライ濁爵が三男、ロッキンです!」
砦の兵士?
しかも貴族だって?
名無し森砦は、クスフォード虹爵領都フォーリーと王都キャンロル、ボートー紅爵領都アイシスとを結ぶ街道の分岐付近にある砦で、王国直轄の砦……そんな重要拠点だと兵士の中に貴族とか混ざっているのか。
何事も事件がなく街道を進めていれば、夕方になる前には着けていたであろう場所。
その後、ロービンとロッキンとのやりとりを経て、俺たちは全員で……バータフラの死体も込みで、洞窟の外へと出た。
樹々の切れ目からのぞく空は暮れてこそないが、夕焼けはそう遠くなさそうな気配。
「盗賊団の退治協力、感謝する。私が名無し森砦の守備隊長、ダイク勲爵だ」
勲爵……リテルの記憶の中にある。
虹爵から濁爵までのような世襲貴族ではないにも関わらず、王侯貴族に謁見できる身分。
貴族の後継者以外の子や、平民上がりで功績上げた人なんかがなれる……元の世界の知識と比べると騎士に近い感じかな?
となると濁爵の三男であるロッキンも勲爵なんだろうな。
獣種の方は、守備隊長ダイクが猿種、ロッキンが山羊種。
あと四名は、鼠種のスナドラ、両生種のプラプディン、鳥種のホリーリヴ、馬種のブラデレズン……で合ってるはず。復唱できる自信はないが。
全員の装備は、腰に小剣、背中に円盾、鎧はベースが革で、兜に籠手、脛当ても着け、鎧は全て金属板を一定間隔で取り付け、補強されている。
馬にも頭と胸元付近に丈夫そうな革鎧が取り付けられている。
胸元のは鞍とつながっていて、鞍の右側には槍、左側に小型の弓と矢筒とが引っ掛けられている。
その堅い守りとしっかりとした武器装備にこのあたりの治安の悪さをひしひしと感じる。
「あたしは、メリアン。そしてこちらがルブルム、リテル、マドハト、ケティ」
「おいらはロービン。そしてこの子たちは……」
「ぼく、トーム」
「わたしはミト」
「あたいはモペト」
洞窟の中では気付かなかったが、スノドロッフからさらわれてきた三人は三人とも透き通るほど肌が白く、目が赤い。
しかも先祖返りで、獣種は猫種。
首から上だけ見ているとアルビノの仔猫にしか見えない……この世界ではアルビノじゃなくアルバスと呼ぶみたいだけど。
「おやまあ、三人ともアルバスかい。そりゃ狙われるわけだな」
メリアンが驚いているってことは珍しいんだろうな……なるほど。
ディナ先輩の言葉を思い出す……「連中は、アールヴとかホムンクルスとかを希少価値だと考える」……やっぱりこの盗賊団とウォルラースはつながっているとしか……。
「とりあえず砦まで送ろう。道の途中に放置してあった馬車をそこまで持ってきた。乗り給え」
「待ってくれよ、ダイク。この子たちの親はもうすぐここへ来るはずなんだ」
ロービン、砦の守備隊長を呼び捨てか……じゃなくて。
バータフラの仲間が親を呼びに行っているって嘘なんじゃないのか?
それとも何か秘密の通信手段とかあるのだろうか?
「そうか。もうすぐ来るのか……じゃあ」
笑顔のまま、ダイク隊長はロービンにいきなり斬りかかった。
とっさに飛び退くロービンへ、二撃、三激と、ダイク隊長は異様な剣での攻撃をやめない。
異様な剣……片刃なんだけど、刀身の背の部分、つまり刃がついていない方は鋭いギザギザ形状になっている。
「白いのを逃がすなっ!」
「おい……っ」
メリアンの声に突然、苦しみの呻きが混じる。
見ると片膝をつき、片手で下腹部を抑えている。
ルブルムとケティも同様に、お腹を抑えて地面に横たわっている。
かなり苦しそうだ。
「犬っころは魔法を使う!」
ウォルラースが叫んだ直後、スナドラとプラなんとかとが小剣を抜き、マドハトへと斬りかかった。
俺に対しては……魔法が「触れた」感じ……ああ、これが魔法を防げた感じか。
魔法を唱えたのはホリとかいうやつか。
馬種のなんとかズンも剣を抜きこちらへ……俺は、倒れる……と見せかけてウォルラースの方へと跳んだ。
ルブルム達が苦しんでいるのはアレだ。きっとディナ先輩のときと同じ魔法的な何か。
となるとやったのはウォルラースしかいない。
しかしというかやはりというか、ウォルラースの奴、やけに素早い。
手斧を抜いて斬りかかったが、小剣でうまくさばかれる。
実戦経験は向こうが上か。
ただ魔法代償を消費し続けているのは感じる。
これだけ動けるというのは、使用に集中を要する魔法じゃない。何か魔法品を使っているのか。
マドハトを襲った二人のうちの一人がスノドロッフの子どもたちを捕まえる方に回ったせいか、マドハトはなんとか逃げ回れているようだが、このままじゃヤバい。
うわっ、今度は向こうから斬りかかってきた!
ウォルラースの一撃、重たいじゃないか。
「つっ」
背後から斬りかかられ、右手に深い傷を負う。
なんとかズンか。
『魔力感知』で把握はしていたが、ウォルラースと対峙していたから反応できなかった。
見えていても動けるのは別だ。
痛みは『虫の牙』の傷ムカデほどじゃないが、右手を強く握れない。
血で滑り、手斧が俺の手から滑り落ちる。
「ちょ、ちょっと、皆さん何をやっているんですかっ!」
ロッキンの声。
貴族の三男坊だけは中立か?
いや、油断させるためか?
「ブラデレズン! ロッキンは賊にやられた」
ダイクの命令でブラデレズンが俺から剥がれて貴族の三男坊へ向かったとき、視界の端でマドハトを襲おうとしたスナドラがみっともなく転んだのが見えた。
おかげでウォルラースの注意がそちらへ向く……届けっ!
血まみれの手刀でウォルラースへ殴りかかると同時に『水刃』を使った。
自分の血で、通常の二倍の魔法代償を集中して。
魔術特異症と『虫の牙』のひとつまみの祝福の効果を考えると、これで貫けるはず。
俺の血でできた刃が一瞬、指先からウォルラースの喉元まで伸びて突き刺さ……ってない?
ウォルラースの使っていた小剣は弾いて伸ばせた刃だったが、ウォルラースは首をひねって自身の大きな牙で刃をガードしたのだ。
その牙をへし折りはしたものの反動でウォルラースの巨体は後ろへ押された形となり、結果的に奴の首筋には刃の先がわずかにかすった程度。
ああダメだ。効果時間が終わる。
ビシャっと地面に自分の血が落ちる音を聞きながら、俺は立ちくらみで地面に膝をついてしまう。
体内の血を刃として大量に使ってしまったからか……自分の内側にあった血まで使ったから。
意識を集中しようにも、この体調では、『虫の牙』の傷ムカデの痛みに耐えるのは至難。
「よくやった!」
メリアンの声が遠ざかってゆくな……と薄れかけた意識が急にはっきりとする。
痛みが引いてゆく。
右腕の斬られた傷も、左腕の傷ムカデの痛みも。
ルブルムが『生命回復』と『脳内モルヒネ』とをかけてくれたのか。
「う、動くな! このガキを殺すぞっ!」
プラプラなんとかがスノドロッフの男の子、確かトームを捕まえ、短剣を首筋に当てている。
ウォルラースと、武器を持たない左腕を失っているダイク、ホリなんとかとブラデレズンがその周りへささっと集まる。
ホリなんとかは魔法代償を集中して魔法を使う。
『魔力感知』の感度を上げていたからかもしれないが、範囲内で使われたその魔法が『魔法封印』だと分かる。
何を封じたのかは分からないが、定石通りならばおそらく『魔法転移』だろう。
だとしたら、範囲内の向こうからも『魔法転移』を使えなくなるから、それはそれでありがたいが。
ホリなんとかは続けてダイクの左腕付近に何か魔法を使う。そっちは『生命回復』ではなく、俺の知る魔法でもない。
そしてまだつるつる滑っているままのスナドラはおそらく『魔法封印』の範囲外。
こちらと言えばメリアンのすぐ横で、ロービンは大剣を地面に置いたまま両膝をついている……やられたのか?
スノドロッフの女の子たちは、ケティがなんとか抱きかかえてメリアンのすぐ後ろへ移動している。
マドハトとルブルムは立ち上がった俺のすぐ隣に居る。
メリアンたちと俺たちとの距離は二アブス程度。いざとなったらすぐに合流できる距離。
とはいえ、動くなと言われた現状をどう打開できる?
● 主な登場者
・利照/リテル
利照として日本で生き、十五歳の誕生日に熱が出て意識を失うまでの記憶を、同様に十五歳の誕生日に熱を出して寝込んでいたリテルとして取り戻す。ただ、この世界は十二進数なのでリテルの年齢は十七歳ということになる。
リテルの記憶は意識を集中させれば思い出すことができる。
ケティとの初体験チャンスに戸惑っているときに、頭痛と共に不能となった。
魔女の家に来る途中で瀕死のゴブリンをうっかり拾い、そのままうっかり魔法講義を聞き、さらにはうっかり魔物にさらわれた。
不能は呪詛によるものと判明。カエルレウムに弟子入りした。魔術特異症。猿種。
フォーリーでディナやルブルムへ異世界から来たことをとうとう打ち明け、そして新たな呪詛をその身に宿した。
ゴーレムを作ることができる紅魔石をディナよりもらった。
ルブルムとケティを守り抜こうと心に誓った矢先、ケティを守れなかった自分に不甲斐なさを感じている。
・カエルレウム師匠
寄らずの森に二百年ほど住んでいる、青い長髪の魔女。猿種。
肉体の成長を止めているため、見た目は若い美人で、家では無防備な格好をしている。
お出かけ用の服や装備は鮮やかな青で揃えている。
寄らずの森のゴブリンが増えすぎないよう、繁殖を制限する呪詛をかけた張本人。
ディナ先輩、ルブルム、リテルの魔法の師匠。
・ルブルム
寄らずの森の魔女カエルレウムの弟子。赤髪の美少女。リテルと同い年くらい。猿種のホムンクルス。
かつて好奇心がゆえにアルブムを泣かせてしまったことをずっと気にしている。
カエルレウムの弟子を、リテルのことも含め「家族」だと考えている。
質問好きで、知的好奇心旺盛。驚くほど無防備。
ディナの屋敷でトシテルとの距離がぐっと近づいた。
戦闘時の息の合い方はケティが嫉妬するほど。
・ディナ先輩
フォーリーに住むカエルレウムの弟子にしてルブルムの先輩。
男全般に対する嫌悪が凄まじいが、リテルのことは弟弟子と認めてくれた様子。
アールヴと猿種のハーフ。壮絶な過去を持つ。
ゴーレムを作る魔法品をトシテルへくれた。
フォーリー以北への旅について、大量の忠告をしてくれた。
・マドハト
赤ん坊のときに取り換え子の被害に遭い、ゴブリン魔術師として育った。犬種の先祖返り。
今は本来の体を取り戻しているが、その体はあんまり丈夫ではない。
ゴブリンの時に瀕死状態だった自分を助けてくれたリテルに懐き、やたら顔を舐めたがる。
リテルにくっついてきたおかげでちゃっかりカエルレウムの魔法講義を一緒に受けている。
フォーリーの街中で魔法を使ってしまい、三年分の魔法代償徴収刑を受けた。
勇敢なのか無謀なのかわからないときがある。いつも明るい。
・ケティ
リテルの幼馴染。一歳年上の女子。猿種。
旅の傭兵に唇を奪われ呪詛に伝染。
リテルがずっと抱えていた想いを伝えた際に、呪詛をリテルへ伝染させた。
カエルレウムが呪詛解除のために村人へ協力要請した際、志願した。
リテルとの関係はちょっとギクシャクしていたのだが、再会したときにはなんかふっきれていたが、ケティの記憶の中のリテルと今のリテルとの違いに、やっぱり違和感を覚えている。
鍛冶に使っていたハンマーを武器として使う。
死にかけたり、盗賊団の毒で意識不明になったり、散々な目に遭っている。
・メリアン
ディナ先輩が手配した護衛。
リテルたちを鍛える依頼も同時に受けている。
ものすごい筋肉と、角と副乳を持つ牛種の半返りの頼もしい傭兵。
円盾と小剣を二つずつ持ち、手にはスパイク付きのプレートナックルを装備。
謎の襲撃犯を撃退し、リテル達と合流。
騎馬戦も上手な様子。どうやらラビツの知り合いである様子。
・ラビツ
兎種のラビツをリーダーに、猿種が二人と先祖返りの猫種が一人の四人組の傭兵。
そのラビツが、リテルのファーストキスよりも前にケティの唇を奪った。
北の国境付近を目指す途中、ストウ村に立ち寄った。
村長の依頼で村の近くに出た魔物を退治したあと一晩はお楽しみして、翌日の朝、旅立った。
ゴブリン魔術師によって変異してしまったカエルレウムの呪詛をストウ村の人々に伝染させた犯人。
・ノバディ
フォーリーから馬車を操っていた御者。実は待ち伏せ襲撃犯の仲間。
本来はフォーリー訛りではないようだ。
ケティの喉を裂いた直後、ルブルムに剣で喉を貫かれ死亡。
・ブレドア
メリアンに撃退された襲撃犯の一人。牛種
盗賊団の一味っぽい入れ墨をしている。
毒のついた針を持っていた。もう既に死体となっている。
・バータフラ
待ち伏せしていた二人の爬虫種のうち、逃げた方。
もう一人は、メリアンが倒した。
洞窟の奥でウォルラースを脅していたが、嘘がバレてロービンに倒された。
『カウダの毒消し』という魔法が封じられた白魔石を隠し持っていた。
・ロービン
一見して凛々しい青年で、筋力がある。ホブゴブリン。
獣種に似ているけれど、獣種よりももっと力強い異界由来の種族、という情報を、ルブルムは本で読んだことがあるという。
人の言うことを信じて疑わないタイプっぽい。
ダイクとの戦いの中で負傷し、両膝をついている。
・ウォルラース
街道で襲われた商人。
ディナ先輩と因縁があるウォルラースと同一人物のようだ。
名無し森砦を守る兵士たちとグルで、スノドロッフの子どもたちを狙っていたっぽい。
怪しい魔法品を使う。
・スノドロッフの子どもたち
魔石が採れるという伝説の地スノドロッフに住む三人の子どもたち。
男子がトーム。ミトとモペトが女子。全員、猫種の先祖返り。
おまけに透き通るほど肌が白く、目が赤い、いわゆるアルバス。
盗賊団に誘拐された挙げ句、ケティ同様の毒で意識不明状態にされていたが、白魔石に封じられていた魔法で回復した。
現在、トームがプラプディンに捕まっている。
・ダイク
名無し森砦の守備隊長。勲爵。
名無し森砦は、クスフォード虹爵領都フォーリーと王都キャンロル、ボートー紅爵領都アイシスとを結ぶ街道の分岐付近にある砦で、王国直轄の砦。
刀とノコギリが合わさったような凶悪そうな武器を使い、突然ロービンへ斬りかかった。
現在は(武器を持たない方の)左腕を失っている。ウォルラースとグルだった様子。
・ロッキン・フライ
名無し森砦の兵士。
フライ濁爵の三男。
ウォルラースとダイクの計画を唯一知らされていなかったっぽい。
・名無し森砦の兵士たち
鼠種のスナドラは、マドハトを追いかけてつるつる滑っている。
両生種のプラプディンは、トームを捕まえ、首筋に短剣を当てている。
鳥種のホリーリヴは、魔法を使う。
馬種のブラデレズンは、リテルの右手に負傷を追わせた後、ロッキンを「賊に殺された」状態にしに行った。
全員が金属板で補強された革鎧に身を包み、小剣と円盾を持つ。
● この世界の単位
・ディエス
魔法を使うために消費する魔法代償(寿命)の最小単位。
魔術師が集中する一ディエスは一日分の寿命に相当するが、魔法代償を集中する訓練を積まない素人は一ディエス分を集中するのに何年分もの寿命を費やしてしまう恐れがある。
・ホーラ
一日を二十四に区切った時間の単位(十二進数的には「二十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ一時間に相当する。
・ディヴ
一時間の十二分の一となる時間の単位(十二進数的には「十に区切って」いる)。
元の世界のほぼ五分に相当する。
・クビトゥム
長さの単位。
本文中に説明はなかったが、元の世界における五十センチくらいに相当する。
トシテルが元の世界の長さに脳内変換しないでもいいくらい、リテルが日常的に使っていた単位。
・アブス
長さの単位。
元の世界における三メートルくらいに相当する。
・プロクル
長さの単位
一プロクル=百アブス。
この世界は十二進数のため、実際は(3m×12×12=)432mほど。
・通貨
銅貨、銀貨。
十銅貨(十二進数なので十二枚)=一銀貨




