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大将軍ビルギフの手解きを受けて、

10日ほど経っていた。

「流石は勇樹殿ですな。筋が良い。

ある程度、基礎の型は十分くらい

様になっているかと」


マルコは言葉少なく答えた。

「あなたの指導のお陰です」

マルコにとって、この訓練の時間は

非常に心地よく、充実していた。


「勇樹殿、魔王を倒したとはいえ、

いまだに魔族は至る所に出没しております。

どうですか?我々と魔物の討伐に

向かいませんか?なーに心配ございません。

今回の遠征は、周辺の弱い魔物の掃討が

主な目的です」


マルコは、頬が紅潮し、心臓の動悸が

跳ね上がるのを感じた。

夢にまで見た冒険者らしい活躍。

それが今、目の前にぶら下げられていた。

無論、もし活躍しようともその功績は

勇樹のものとなる。

それでもマルコは討伐に向かいたかった。

マルコは二つ返事で答えた。


「今の身でできる限りのことを」


一瞬、ビルギフが驚いた表情で

マルコを見つめた。

それを誤魔化す様に大笑いした。


「がははは、流石は救国の英雄。

そうでなければ。

しかし、力の大部分を失っていることを

忘れず行動なさい。

では、遠征の計画は後ほど、申し伝えます」


マルコは頷いて、寝室へ戻った。


「はあ、あんた何様のつもり?

ってかあんた、まともに魔物を

殺したことあるの?」

マルコが事の次第をオリガに伝えると、

罵倒された。

罵倒され続ける中で先程のマルコにあった高揚感は、

すっかりと消え失せてしまった。

そして、秘密が露見することを恐れた。


「魔物を倒したことはないです」


「ああっ!

じゃあ何で断らなかったのよ。

どうする気なのさ。

あんた、私を絞首台に送りたい訳」

罵倒の限りを尽くすオリガだった。


「まあまあ、仕方ありません」

それまで無言だったドルチが罵倒に割って入った。

「それに考えようによって、

良いアピールとなりましょうぞ。

勇樹は他の召喚者と違って、

本当に国のことを思っていると」


「何さ、大々的にアピールするつもり?

それは少しあざとすぎるでしょうよ」


「いえ違います。

配下の者を利用して、市場、酒場と

人の集まるところで噂を広めます。

その方が時間はかかりますが、

オリガ様の野望にとって効果的でしょう」


オリガは大仰にため息をついた。

「まだるっこしいけど、仕方ないわね。

ドルチ、念のためにあなたも同行しなさい。

影からこいつがそれなりの戦果を

上げられるように補助なさい」


「御意」


マルコにはこの二人の目的が

全く想像できず、将来のことを

考えると空恐ろしかった。

しかし、今は夢にまで見た魔物の討伐に

心躍っていた。


オリガとベッドで享楽に耽った後、

巨大な窓のカーテンを上げて、

夜空をマルコは見上げていた。


騎士団と共に魔物の討伐、

マルコは何度も心で反芻した。


そして、剣を振るい、

魔物を倒す自分の姿を思い浮かべた。


「ふう村を出て、荷役の仕事しかやれなかったけど、

やっとやっと村の者たちを見返してやれる」

誰にも話すことはできない。

しかし、心で何度も馬鹿にした村の連中を思い出しては、

心の中で見返していた。


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