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遠征先でのマルコは、何匹かのコボルドを倒した。

一匹をドルチの影ながらのサポートで倒した。


剣より伝わる生々しい感覚、吹き出す血しぶき、

それでも襲いかかってくる魔物にマルコは

恐れるよりも興奮した。


動かなくなるまで何度も剣を叩きつけた。


次の獲物を見定めると再び同じことを繰り返した。


周囲の騎士たちからの露骨な冷たい視線に

気付かずに同じようにマルコは続けた。


「勇者殿、殲滅したようです。

それにしても勇者殿の戦い方は、

何というか激しいですね」

一人の騎士が血走った目のマルコへ話しかけた。


その時、はじめてマルコは周囲の視線に気付いた。


ドルチが肩で息をするマルコを支える様に寄り添った。

そして、分からないようにマルコへ囁いた。


「魔物はしぶといから」

マルコは息を切らしながら、それだけを言った。


騎士たちはバツの悪そうに頭を下げた。

大将軍ビルギフだけは、満足気だった。

そして場を締める様に大声をだした。

「いいかぁ戦場に美しい醜いなどない!

必ず魔物は息を止めろ。どんな魔物でも侮るな。

これから帰城する」


ドルチは先頭で動き出したビルギフの背中を

見つめていた。

「ふん、とんでもない狸親父だ。

それとも稀代の詐欺師の才があるのか」

ドルチの呟きをマルコが知ることはなかった。


マルコが遠征に向かっている頃、

城の一室で王位継承権第1の王子を中心に

幾人かの貴族たちが豪奢な料理を囲みながら

雑談に興じていた。


王位継承権第1の王子、その名をビリブといった。

でっぷりと太った体型が折角の容姿端麗を

損なっていた。


「それにしてもオリガの奴、やっと身を固めたな。

あの野郎、己の立場を顧みずに不遜にも王位を

狙いやがって」

ビリブが果汁酒を片手に毒づいた。

そしてそれに取り巻き達も追従した。


「まことにございます。

あの女、勇樹のいないことを良いことにまた、

男を寝室に引き込んでおります。

嘆かわしいことで」


「一体何を考えておりますか!

あろうことか王位を狙うとは、

あの女にそれ程の品位も知性もございません」


一同、言いたい放題の発言にビリブは

満足気であった。

この場にいる全員がオリガに対して

一通り悪態をつくと、暫く沈黙が場を支配した。


誰ともなく呟きが響いた。


「それにしても何故、あの女は、

勇樹を婿に受け入れたのでしょうか」


誰もが心のどこかに引っ掛かっていた疑問であった。


「ふん、勇樹の名声を利用して

いまだに王位を狙っているのだろう」

ビリブが吐き捨てるように言った。


「ビリブ様のご慧眼には頭が下がります。

このところ、民衆の間でも勇樹の人気が

更に上がっているようで、使用人共の耳にも

入っているそうです」


「それは少々、耳障りなことですな」


「しかし民衆の噂を止めるために

力で抑えつける訳にはいきませんな。

かえって不満を煽る結果になりそうですな」


「なれば妙案があります」

一斉にその発言の方へ視線が集まった。


「我らも召喚者どもを利用するのです。

あやつらもそこそこに人気があります」


「しかし、召喚者への接触は

限られた者に制限されている」


その質問に発案者が笑って答えた。

「確かに!

しかし、王に選ばし者のたる

次期王は、王と同様の権限があると

考えて良いのでは?」


その言葉はビリブのプライドをつつき、

自尊心をくすぐった。

口々にビリブを賞賛する言葉を受けて、

ビリブにとって、その策を拒否する発想は

皆無となっていた。


「よかろう、俺から使者を送って

協力させるようにしよう。

言う事を聞かないようだったら、

俺様自ら奴らの屋敷に赴こう」

ビリブは、杯を高く掲げて、大いに笑った。

それに周囲の取り巻きも続いた。


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