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 マルコは王女に促されて、浴室に向かった。

それは見たことも無いほどの広さだった。

マルコは周囲に人がいないことを確認すると、

仮面と鎧を外し、衣類を脱いだ。

脱いだ衣類を再び、着る気にもならず、

マルコは浴室にそれらを洗うために

一緒に持ち込んだ。


広々とした浴槽には彫像のような物から

絶え間なく湯が注がれていた。

マルコは身体を洗いもせずに浴槽に浸かった。

無色透明な湯は、マルコの周りだけ

汚れに侵食されて、湯に垢が浮き、濁った。

汚れた衣類を浴槽に付けると更にそれは酷くなった。

マルコは焦り、立ち上がった。


「ふふふっ、小心なこと。

当代の勇者様は、どうも小心者にございますね」


「誰だ」

マルコは鋭く叫んだ。


「おやおや、先程とは

随分と違った声でございますね」


マルコの目に一糸纏わぬ王位継承権第4四位の

王女オリガの姿が映った。


マルコは顔を隠さねばと思いながらも

目の前の豊満な肢体を凝視していた。


「ハアハア、オリガ様。

はぁぁ、お戻りください」

マルコの呼吸は乱れていた。

身体を巡る血流の脈動、心臓の動悸を

抑えることができなかった。


「ふふふ、あの清楚そうな聖女ずらした

小娘の味は如何でしたか?随分と楽しんだのでしょう」


マルコはふらふらとオリガの方へ引き寄せられた。

そして、その身体に触れようとした。


「いやですわ。

その汚らしい身体で触れられるのは。

まずは身体を綺麗にしましょう」


勝手のわからないマルコは女王に促されて、

取り敢えず身体を洗い始めた。

何度も繰り返して、ようやく垢が落ち、

綺麗になると、マルコは背中に

柔らかい感触を感じた。


ビクンとマルコの身体が反応した。

そして耳元にオリガから囁かれた。


「ふふふ、偽物にしては

随分と立派なものをお持ちですね。

此処だけは本物より立派のようですわ」


ビクンとマルコの身体が反応した。

背中に悪寒が走り、身体中から汗が噴き出した。

最早、背中に感じる女王の肌を

感じている余裕は全くなかった。


「大した詐欺師よねぇ。

レガリアス聖王朝の全てを騙すなんて、

ドルチの発案かしら。

それとも国王も一枚かんでるのかしらねぇ。

もし、このことが漏れたら、あなた、

どうなるかお判りかしら」


マルコは首を上下に激しく振るうだけだった。


「ふふふ、なら私の言う事を聞いて

貰えるわよねぇ。今日は謁見だけだったけどねぇ。

改めて褒美が与えられるわ。ええ、簡単なことよ。

ちょっと国王へおねだりしてほしいのよねぇ。

無論、あなたにもメリットがあるわ」


マルコはぶるぶると震えながら、

やっとのことで言葉を発した。


「いっ一体、どうすれば」


「簡単なことよ。

私を娶りたいって言えばいいのよ。

それと他の召喚者たちは元の世界に

戻して欲しいと言えばいいのよ。

あなたも女王を抱けるし役得があるわ」

オリガの右手がマルコの下腹部の辺りを

刺激した。


「あっああっあああー」

マルコは身体を震わせながら、絶叫した。


「ふふふ、今日はここまでよ。

約束を守ったら、もっと楽しめるわよ。

でもまあ、正体がバレたら断頭台行きかしら。

気を付けなさいねぇ」


オリガは高笑いを残して、浴室を後にした。

マルコは呆けたまま、浴室を出ると

用意されていた服を着ると、仮面を装着した。

鎧を着る気にはならず、そこへ放置した。


その晩、マルコは事の次第を

全てドルチに話した。

そして、アドバイスを求めた。


「そうですな、

オリガ様の策に乗るしかありませんね。

それが最善でしょう。

あなたも私もバレれば、首が飛びます。

一蓮托生ですよ。仕方ありません」


「だっ大丈夫かな」


「他に何か代案がありますか?」

ドルチはマルコを一瞥した。


マルコは黙った。


「それとですが、私の方でも手を打ちますが、

可能な限り残った召喚者どもに会わないように。

正体がバレると面倒事が増えます」


「あいつらも勇樹たちと同じように

特別な力を持っているのかな」


「一人一人、特別な力を持っていますよ。

申告されたものが本当であれば、

大して気にする必要もないですが、

どうにも怪しいと聖王朝は判断しています」

マルコはその後、黙って、俯いた。


それを機にドルチはマルコにあてがわれた部屋を

後にした。


マルコは部屋の窓を開け、満天の星空を見上げた。

星々の輝きは等しく地に住まう者たちに降り注いでいた。

その輝きは多くの人々を平穏な気分に誘っていた。

しかし、マルコの沈んだ気分は一向に

晴れることはなかった。


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