4
「魔王を倒したことは素晴らしき事だな。
だが、国王を前にして、その珍奇な仮面にその臭い、
失礼であろう」
甲高い声で王位継承権第1の王子が叫んだ。
その表情には醜く歪み、勇者の功績に
嫉妬していることがありありと見て取れた。
「発言を許した覚えはないのだが」
国王が先程の柔らか声と打って変わって、
低い声で王子を制した。
王子は国王に向かって一礼した。
「勇樹よ、すまぬ。
他の召喚者たちと一緒に過ごすと
根掘り葉掘り聞かれて、疲れるだろう。
王宮に一室を設ける故にそこで
まずは旅の疲れを癒してくれ」
国王は大広間から退室した。
「では王宮の一室には
私がご案内いたしましょう」
王位継承権第4位の王女はそう言って、
マルコの手を取り、大広間らか連れ出した。
マルコは緊張から解放され、
舞い上がる気分で王女と共に歩いた。
上流貴族の屋敷が建てられている
地域の一角に召喚者たちが住まう屋敷があった。
マルコが王と面会している時、
彼等の一部はひそひそと深刻な表情で
話し合いをしていた。
全員が食堂に集まっていた。
野太い声がまず、食堂に響いた。
「怜人やと健二は本当に亡くなったのか」
「いまだに姿や連絡がないところをみると
そう考えるしかないよね。
多分、勇樹に色目を使っていた阿波擦れ聖女も
くたばったんでしょ。それで委員長、どうするの」
そう発言した女性は、そこから話が終わったのかと
思いきやレイニィのことを長々と罵倒し続けた。
委員長と呼ばれた女性は苦笑した。
「美樹、その程度にして。話が進まないわ。
それよりパレードで見た勇樹、本物なのかしら」
委員長の発言で30人の召喚者たちは騒めいた。
各所で意見を交わしていた。
身体つきは勇樹のようだが、雰囲気が
どうにも勇樹らしくないというのが
大半の意見を占めていた。
「はいはい、みんな、静かにして。
圭太、彼は本当に勇樹だったの?」
30人の中でも一際小柄で華奢で
中性的な容姿の圭太は、
声をかけられるとびくりとした。
もごもごと話して、良く聞こえなかった数人が
圭太へ苛つきを露わにした。
「ちょっと静かにして。圭太、それは本当なの?」
こくりと頷く圭太だった。
「そうやはり偽物だったのね」
委員長と呼ばれた女性は気難しい表情だった。
「俺らをはめようとして、
こいつが嘘ついてるってことはないよな」
圭太に向かって凄む男を中心に野次が
彼に飛ばされていた。
何人かの女性は気味悪げに圭太を見ていた。
「ちょっと黙って。
圭太がそんなバカなことをする訳ないでしょ。
それよりこれからのことを考えないと」
「ああっ!
どうするも何も国王に言うに決まってるだろ。
それで終いだ。
こんな糞みたいな世界からさっさと戻るぞ」
先程、圭太にイキリ散らした男が周囲に賛同を求めた。
しかし、積極的に賛同する者はいなかった。
「勝手な行動は禁止よ。
もしレガリアス聖王朝ぐるみなら、
拘束されて、分かるでしょう」
委員長が右腕を振り回して、
首を斬られるような仕草をした。
誰も何も言わなかった。
暫く沈黙が続いたが、
委員長が暗い表情でぽつりと呟いた。
「今後の方針を決めましょう」
その場には、明るい表情で
頷くものは皆無であった。
色々と思惑がありますね




