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人釣りゲームを開催した夜、

マルコはオリガに罵られていた。

しかし、普段と違い、マルコはそれを平然と

受け止めていた。


「まったく今後、勝手なことは控えて貰います。

あんな下品な催し。王家の名を傷つけるだけです」


マルコは何も言わずにオリガを睨みつけた。


「そもそも司の入れ知恵であって、

あなたの案ではないでしょう。

あのような異世界者の甘言に乗るのはやめなさい。

黙って私の言う事に従っていればいいのです」


マルコは黙って立ち上がり、

オリガの両腕を掴み、持ち上げた。

そして、強引にベッドへ引き倒した。


「なっ、無礼な。放しなさい。

人を呼びますわよ」


「呼んでみろ。困るのはお互い様だ。

今日のイベントは続ける。

今日の利益でどれだけ国庫を潤したか分かるか。

貧民より搾取するより金を持っている奴らから

納得して吐き出させる方が良いだろう」

マルコは仮面を外して、

反論をしようとしたオリガの唇を塞いだ。


「むぐっ、離れなさい。この禽獣」


「酷い言い様だな。

だがその男と夫婦になるんだ。

互いをもっと知るにはこれが一番だろ」


マルコは再び、オリガの唇を奪い、

強引に衣類を剥ぎ取ると、行為に及んだ。


マルコが勇樹と名乗ってから、1年近くが経過した。

世にマルコが勇樹の偽物と疑う者は皆無であった。


レガリアス聖王朝の王は、

政治に無関心で無気力であったが、

健在であった。

王政はオリガが代行しており、

王国民への苛斂誅求が変わらぬままであった。

人釣りゲームといった幾つかのガス抜き政策が

功を奏しているのか、王都近郊は、

それなりに安定した治世を維持していた。

しかし、地方では不作の深刻な影響を受けて、

村や町を暗い雰囲気が覆っていた。

そういった暗い雰囲気の中で人々に

一つの明るい話題が提供された。

暗く希望の見いだせない時代の雰囲気に

一筋の光明が奔ったようだった。


「勇者勇樹様と王位継承権第一オリガ様の間に

第一子ご懐妊」


正式な婚姻をあげておらず、2人の結婚式が至急、

催されることになった。

その話は、近隣諸国まで一気に広がった。

王都は、各国の使者でごった返していた。


当の本人であるマルコはこの話題に冷め切っていた。

誰の子かすら分からなかった。

そして、リサを始めとして、幾人もの侍女に

手を付けていながら、誰も懐妊の兆しがなかった。

恐らく自分は種無しなのだろうと思っていた。


「おいおい、勇樹。

もっと嬉しそうにしろよ。

それじゃ婚姻にめっちゃ不満だと思われるぞ」


「司か。そうだね。気を付けるよ。

それより地方の貴族を介してでもいいから、

酒や美味い飲み物を村々に振舞えるよな。

そのくらいは、人釣りゲームで稼いでるだろう」


「まあなんとかなるだろうけど、いいのか?」


「使う当てなく貯め込んでいてもしょうがないだろ。

こんな時しか貧村は酒にありつけないんだよ」

マルコは何かを思い出したように

天井を見上げながら、言った。


「おいおい勇樹、随分と詳しいな」

司の茶化したような言い様を

特に否定するでもなくマルコは続けた。


「税率とか詳しくは分からないけどさ、

魔王がいなくなって、楽になると思ったら、

今度は貴族の搾取が苦しめてるんじゃないかと

思っただけだよ」


「なら根本から改善すべきじゃないか?」


「俺は無学だから、良く分からない。

理由あってのことかもしれないし。

だから、こんな時くらいは、

パーっと楽しく酒でも呑んで欲しいんだよ」


「ふーん、確かに俺ら召喚者は

その辺りをもっと学ぶべきだな」


「そうだな。司、頼むよ」

マルコはそう言って少しほほ笑んだ。


「知るか。勇樹が学べよ。

まあ、酒や飲み物の件は上手くやっておくさ」

司はマルコの肩を軽く叩くと、

マルコの執務室から出て行った。

すれ違いざまにドルチが入室して来た。

ドアを施錠し、室内のソファーに深々と

マルコは腰を下ろした。


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