20
その日からマルコはメイドのことが
気になって仕方なかった。
日が経つにつれてマルコの記憶は、
彼女の相談事がおぼろげになり、
容姿と身体のことを思い出していた。
奇しくもオリガは海洋貿易の会議への
参加のために幾人かの腹心を連れて、
城を留守にしていた。
マルコは通路を歩いている時、
自然と視線が彼女を探していた。
そんなマルコの行動は、直ぐに身を結んだ。
マルコはメイドを見つけると、会釈をした。
目のあったメイドは、負のオーラを
纏っていなかった。
にこやかな笑顔の挨拶がメイドから返って来た。
とてとてとメイドが小走りに近づいて来た。
そして、深々と頭をマルコにさげた。
「ありがとうございます。
勇樹様が便宜を図ってくださいましたと
司さんから聞きました」
マルコは何のことか分からなかったが、
司が上手く収めたのだろうと思った。
「よかった」
「本当にありがとうございました」
再びメイドが頭を下げた。
たわわな胸の揺れにごくりと
マルコは生唾を飲みこんだ。
「部屋で」
メイドはびくりとして、マルコを見上げた。
慌ててマルコは、適当に言葉を繋げた。
「夜、水が欲しいけど」
「はい、勇樹様のご夕食後に
ご準備いたします」
その夜、メイドがマルコの寝室を訪れた。
マルコは所在無げにベッドに座っていた。
「お水をお持ちいたしました」
「名前?」
「リサといいます」
「お水、ありがとう」
リサが一礼すると、マルコは少し開かれた胸元に
己の視線が喰いつくことを意識した。
水を飲んだ後から、妙に身体が火照り、
ムラムラしていた。
自然とリサの右腕を掴み、
ベッドに押し倒した。
そのまま朝まで身体の火照りが
冷めるまでマルコはリサを求めた。
マルコが目覚めると既にリサはいなかった。
マルコは気だるい気分だったが、
訓練場へ向かった。
その途中で司が現れた。
司のにやついた表情に
全てを見透かされているようで、
イラっとした。
「よう、勇樹。なんか怠そうだな」
「そんなこと知らないよ。これから訓練だ」
マルコは気づかないうちに
司へ対して言葉が多くなっていた。
「くくくっ。
あの娘と寝たんだろ!
どうだった?」
マルコは露骨に無視して、
訓練場に向かった。
その後姿をニヤニヤしながら、
司が見送っていた。
それからマルコはリサを指名して、
食後の水を求めるようになった。
「そういえばリサ、今日、
一緒に仕事していた女の子って同僚?」
リサに無言でお腹の辺りをつねられた。
「いや、そのそんなつもりじゃなくて。
あんまりリサが楽しそうに
仕事してなかったからさ」
「そんなこと言って、
どうせ興味があるんでしょ。
はいはい、分かりましたよ」
マルコは拗ねるリサを愛おしく感じた。
彼女の髪を撫でながら、そのまま眠りについた。
翌日、マルコは件の女性に
怒鳴られているリサを見た。
咄嗟に姿を隠して、盗み見た。
「ったくどんくさい。
少し勇樹様のお気に入りだからって
調子乗んないで」
「すみません」
「ふん、英雄様を篭絡して、
良い気にならないことね。
捨てられた時に思い知るわ」
マルコはその場をバレないように離れた。
そして、司を介して、件の女性に
夕食後の水を所望することを伝えた。
その夜、震えながら青ざめた顔で
水をマルコの元へ現れた。
「名前?」
「リーナと申します」
「そう」
水を飲み干し、コップを返すと、
リーナは挨拶もそこそこに
すぐさまその場を離れようとした。
その腕をマルコが掴んだ。
「勇樹様、冗談が過ぎます。
お許しください」
「ん?何のこと。
それが命を賭けた僕に言う事?」
「お許しください。
その婚約者が、ぐっ」
リーナの腹部に左拳がめりこみ、
その場にうずくまるリーナだった。
マルコは、そのままベッドに押し倒し、
朝まで行為に耽った。
気だるい身体を起こすと
既にリーナはいなかった。
マルコは自分の意思で
悪を正したつもりになっていた。
疲れています。他の作品の更新が滞っていて、すみません。




