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勇者、大変なことに!

マルコとホニィは、肩を寄せ合って震えていた。

城が一度、激しく震えた後、物音一つしなかった。


「マルコさん、どうしよう」


「くそっ、どんな結末だろうとも国に

報告を持ち帰るのが俺らの仕事だろ。

おまえ、ちょっと見て来いよ。

俺は荷物を守る」


えっというような表情のホニィを

マルコは急かした。


「早く行って来いよ。

皆が生きていたら、手遅れになるだろ。

仲間を見殺しにする気かよ」


震えながらも立ち上がり、

ホニィは大広間に向かった。


俺は悪くない、俺は悪くないと

何度もマルコは震えながら唱えた。


「ぎゃああー」


大広間から叫び声が聞こえた。

咄嗟にマルコは立ち上がり、

城外に向かって逃げ出そうとした。


「いけませんねぇ。それはよくないですね」


マルコの前に見知った顔がコロコロと転がって来た。


「いぎゃああああ」


言葉にならない叫びを上げて、

マルコはその場にへたり込んだ。


「そんなにビビることはないですよ。

この子は残念なことに魔物の残党に

頸をねじ切られただけですから。

それよりも戦いの結末を確認に向かいましょう」


ドルチに促されて、ふらふらと大広間の方へ

マルコは向かった。


大広間で巨大で真っ黒なクリスタルが

マルコの目に入った。

そして、3人の転移者たちが目に入った。


「残念です。

3人とも魔王討伐の尊い犠牲者となったようです」


マルコは仰向けに倒れている勇樹の側に近寄った。

この男に嫉妬していた。しかし、この男がいなければ、

魔物に支配されていたと思うとマルコの心に

多少の感謝の気持ちが湧いていた。


「ドルチさん、まだ、息があります。

回復薬を取ってきます」


何故かドルチがぴたりとマルコに身を寄せていた。

「いやいや、マルコ。

この男は既に死んでいます。

ほらよく見なさい」


ドルチは短刀をマルコに握らせていた。

「ドルチさん、何を」


「ふふふ、聖女とのまぐわい。

彼らは見せつけていましたねえ。

なぜあれほどの美女が別世界の良く分からない男と

身体を重ねなければいけなかったのでしょうね。

この男が求めたからに違いないでしょうねえ」


「ドルチさん、離してください」

マルコはドルチを振り解こうとした。


「まあ聞きなさい。

この男は凱旋しても

まもなく病死する予定となっています。

それはこの国の方針なのです。

役目を終えた英雄は国の邪魔になるでしょうね。

ここで死ぬと変わりありませんよ」


「いやでもなら」


「ふふふ、よく見てごらんなさい」


ドルチに促されて、マルコは

勇樹をまじまじと見つめた。

年恰好はほぼマルコと同じだった。


「そういうことです。

覚悟を決めなさい。

私もおこぼれに与らせて貰います」


マルコの抗う力が弱くなった。


「そうです。

さっ後は、彼の首筋にその短剣を

振り下ろすだけで、望むのは何でも手に入ります。

傾国の美女を抱きながら、美食に美酒を貪り、

気に入らない奴らを好きなように貶められます。

さあさあ、覚悟を決めなさい」


勇樹の首筋に短剣が突き刺さっていた。

血が流れ、確実に勇樹は死ぬだろう。


マルコは震えながら、立ち上がった。

周囲を見渡し、怜人と健二を見た。


「あの二人はどうする?」


「これは失念しておりました。

生きているとも思えませんが、

念のため、確認をしましょう」


「ドルチさん、いや、ドルチ、おまえがやれ」

ドルチはニヤリとした。

マルコの心境の変化に満足した。


「心得ました」


ドルチはまず、怜人に近づいた。

ことりと瓶が落ちる音がした。

マルコはドルチの背中に遮られて、

その小瓶がどこから落ちたか分からなかった。


「貴様らには必ず復讐する」

怜人の掠れ声が響いた。


「チイイイ」

何故かドルチは怜人から大きく距離を取った。

その理由がマルコには分からなかった。


突然、健二と怜人が光芒となり、その場から消えた。


「まあ、あれではすぐに野垂れ死にするでしょう」


「いやでも」


「それより勇樹の鎧や剣を装備なさい。

それに顔を覆うこのマスクを常に装着しなさい」


渋々と従うマルコだった。

しかし、聖剣だけはどうしても

持ち上げることができずに二人は諦めた。


「ドルチ、元々、こういう計画だったのか?」


「いえ、違います。生き残れはそれで良し。

いずれ亡くなって貰うことになっていました。

それについては幾つか案はありました。

もし魔王が滅ぼされて、勇樹が死んだ時には、

身代わりを立てる案もありました。

だから、彼と年恰好が近い何の能もないあなたが

荷役に選ばれたのです」


くぐもった声で笑うドルチだった。


「それにしても臭いな」


「我慢なさい。それも演出の一つです。

これから得られる権益を考えれば、

我慢もできるでしょう」


2人は黙々と勇樹とホニィの死体を

見つからないように処理すると、

魔王城からレガリアス聖王朝の首都に

向かって旅立った。


ええっ、、いきなり勇者死亡。


どうなることやら

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