表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/17

16

「委員長、囲まれたぞ。

おおう、奴ら屋敷に火を放ちやがったぞ」

仲間の持つスキルで玲奈たちは、

外の状況を正確に把握した。


「それにしても有無を言わさずに

殺しに来たわね。玲奈、どうする?」


「美樹、予定通りに進めるわよ。

この程度なら張り巡らした防御障壁で

十分に対応できるでしょ。

ビルギフ将軍以外の攻撃以外は

大丈夫だと思うわ」


「ったく聖王朝の連中なんて、

呼び捨てでいいでしょ!

それにしても玲奈、ビルギフの爺、

自ら来るとは思わなかったわ」


玲奈は、正面を見据えた。

釈明も弁明も許さずに殺しにきたことへ

驚きしか感じなかった。


「聖王朝の政争に巻き込まれるなんて、

まっぴらごめんよ。

それに勇樹を利用して

利を得ようなんてありえないわ。

大人しく殺されるなんて思わないで欲しいわ。

偽物に一泡吹かせて、逃げ出すわよ」

玲奈が話している途中で

正面の扉が崩れる音がした。


玲奈の眉間に皺がよった。

「みんな、逃げる算段を初めて。

私は一言物申してくるわ」


玲奈は瓦礫を越えて、屋敷から出た。

その後に飄々と続く司だった。


マルコは2人の召喚者と対峙していた。

一人は、優男ふうな出で立ちの

軽薄そうな青年で終始にやにやとしていた。

もう一人は、凛とした表情よく似合う女性だった。

可愛いや美しいという言葉より

かっこいいという表現が似合っていた。

オリガのような豊満な肉体でなく、

引き締まったスレンダーな体型であった。

マルコの好みではなかったが、

十分に魅力的であった。


「勇樹、こんな形で話すことになるとは

思わなかったわ。私たち仲間でしょう。

こんなことになる前に何で私たちと

話そうとしなかったの?

ねえ、勇樹、答えてよ」

玲奈の指摘にマルコは答える術を

もっていなかった。

そもそもこのことを知らかった。

故に沈黙を持って応えた。


「玲奈様、勇樹殿は、魔王無き後の

聖王朝の安定を最優先にしたまでのことです。

荒廃から立ち直る前、いたずらに国家を

混乱させるあなたがたの行動に疑問符を

感じたのです」

マルコの代わりにドルチが答えた。


「ドルチさん、魔王討伐から

ご無事で戻られて何より。

それにしても健二や怜人の最後を聞きたいわ。

元の世界に戻った時、彼らの遺族に

私たちは話す義務があるし、

勇樹、あなたがこの世界に残る理由も

ご両親にきちっと伝えないと」


やばいやばいやばいやばい、

マルコの心の中に何度も同じ言葉が

浮かぶと消えた。

目の前の玲奈という女性をまともに

見ることができなかった。

彼女の後方で屋敷を燃やす炎と黒い煙が

彼女の怒りを表わしているようで、

マルコは恐ろしかった。


「いい加減にしないか。

貴殿らはビリブ様と結託して、

王位を簒奪しようとしたことは、

既に調査済みだ。

勇樹殿の胸中の苦しみを察しろ。

貴様らは、その立場からこの世界の法を

甘くみて行動した結果であろう。

勇樹殿は心を鬼にして、

貴殿らに相応しい罰を下したのだ」


威風堂々とビルギフが大音声で

己の正義を主張した。

大半の人々なら、その主張の如何によらず、

萎縮していまうだろう。

マルコもぶるっと身体を震わせて、萎縮した。

マルコは目の前の召喚者二人を盗み見た。

青年は、太々しい表情だった。

女性の方は、唇を強く噛みしめて、

その威容に抗していた。


マルコの方へ一歩、玲奈が足を踏み出した。

少し遅れて、マルコが一歩後退りした。

「勇樹、これはあなたの本意なの?

元の世界でもこの世界でも私たちは

友人として過ごしたはずよ。

私たちがそんなことをすると思う?

あなたの言葉で答えて。いや、答えなさい」

その声は大きくなかったが、

ずぶりずぶりとマルコの心を抉った。

マルコは玲奈の真摯な訴えに答える術を

マルコは持っていなかった。


マルコの口元が奇妙に歪んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ