大丈夫だ、問題ない
〈〈お知らせします。隠しダンジョン『森の洞窟』が初攻略されました 攻略者 「クロート」〉〉
〈ユニーク称号『森の洞窟の初攻略者』を獲得しました〉
〈BPを1獲得しました〉
〈[闇結晶]を手に入れました〉
〈称号『ダンジョンビギナー』を獲得しました〉
〈BPを1獲得しました〉
〈3,000G手に入れました〉
〈種族レベルがあがりました〉
〈SPを10獲得しました〉
〈BPを2獲得しました〉
〈【弓士】レベルが上がりました〉
〈『弓』レベルが上がりました〉
〈アーツ『豪射』を獲得しました〉
…………………。
無言で設定画面を開き、匿名設定をオンにし直す
……ふぅ……落ち着け……全体アナウンスで名前が晒された。ここは別に問題はない。フレンドにならなきゃ名前は見えないし顔を晒されたわけでもない
大丈夫、何も問題はない。とりあえずいつものルーティーンをやって冷静になろう。『そよ風』『そよ風』──
〈条件を満たしました。スキル『風魔法』が獲得可能になりました〉
〈『生活魔法』レベルが上がりました。Lv.MAXです〉
〈パッシブアーツ『インベントリ拡張・小』を獲得しました〉
──……一旦落ち着かせて???
一個ずつ整理していこう
まずさっきの全体アナウンスは、内容の通り『公式鯖』で初めてのことを成し遂げたプレイヤーが現れたら流れるものだ
すっかり忘れていた。匿名設定をオンのままにしていれば、攻略者のところは「(匿名)」となったはずだ
俺は過去ログを漁る。「すべて表示」から「全体アナウンスのみ」にし、その内容を見ていく
当然ながらボス討伐アナウンスはない。やっぱ俺以外のタイムリープはいないのか?
お、20分前に冒険者ランクEに行った人がいるぞ?「ジェイ」君か。頼む!そのまま冒険者ランクCまで、できればSまで行ってくれっ!!
……はぁ。こういう先行者利益の要素を既プレイの俺が取りまくるのはよくない、気がする。今後は全体アナウンスを確認して、攻略組の一歩後ろを行くぐらいのペースにしないとな
くそぅ。予定では『光魔法』とった後は装備整えて四方のボス倒したり、冒険者ランク上げてハウス用意したりしようと思ってたのに……
次にユニーク称号だな。名前の通り、1人又は少人数しか取れない称号で、全てが『初◯◯』系だ
このゲームにオンリーワン要素は殆どないが、数少ないオンリーワンがこの称号だ
効果は1BPとちょっとレアなアイテム。俺にとってはそこまで欲しいものではないが、初心者のみんなには必要なものだろう。これも俺が横取りするのはよくない
そんで『ダンジョンビギナー』か。これは誰でも取れるやつだからなんも問題はない。取得条件はダンジョンを1つ攻略するだけだ
ちなみにこの称号は成長型で、攻略ダンジョンを5つ、10つと増やしていくと、貰えるBPが増えていく
それで後は何があったっけ?ああそうだ『風魔法』だ
これは薄々勘付いてただろうが、「その属性の魔法を一定数使用する」という条件を満たして解放した
『生活魔法』の『そよ風』は風属性だから満たせたわけだな。魔法スクロールで発動させるやり方もありだ
他にも『種火』は火属性、『飲み水』は水、『粘土』は土、『明かり』は光属性だな。闇属性の『生活魔法』はない
必要な数は、これまた消費MPの合計だ。火水風土の4属性は600MP、光闇は800MPとかなり要求される。ここに【錬金術師】の緩和補正で600MPが570MPに下がっている
ついでに言っておくと、【錬金術師】の魔法スキル解放緩和は-5%だ。ジョブレベルが上がるともうちょい増える。これが【魔法使い】だったら-15%と取りやすくなるぞ
……さてと、こんなもんか。これからどうするか?
記憶が正しければ、レアボス討伐にまで全体アナウンスは流れなかったはず
まあ流れたら流れたでその時だ。『明かり』760発とかやってられねぇし
俺はボスに再挑戦するため、ボス部屋の中央に出現した帰還用転移陣に乗った
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「出てくれぇぇ出てくれぇぇ!白蛇来いっ!」
洞窟の入り口からボス部屋前の扉に直行した俺は、謎の祈りを捧げていた
試行回数8回。合計で9匹の黒蛇君がお亡くなりになっていた
レアボスの出る確率は20%前後。大分運が悪い。一応LUKも少し上げているのだが、全然活躍してくれない
(彼はこう言っているが、黒蛇からはそこそこいいレアドロップがポツポツ出ていたりする)
小休憩でスタミナも回復し終わり、EPも補充。9回目の試行に挑む
「──お?来たっ!」
本来薄暗い洞窟が、壁のでこぼこがわかるぐらいに明るくなっている
奥でとぐろを巻く大蛇は黒蛇より一回り大きく、なにより全身が真っ白だ
レアボス、ライトサーペントさんの登場だ
「シュルルルルル……」
「さあ、かかってこい!」
かかって行ってるのは俺だけどね
黒蛇と同じように鎌首をもたげて様子を見ているが、俺は先制攻撃はしない。下手にダメージを与えて、回復魔法である『ライトヒール』にMP使われるのはもったいないからだ
「シャァッ!!」
「3倍も速くねぇだろっ!!」
こちらが攻撃しないと見るや、黒蛇と同じく尻尾の薙ぎ払いをしてきた
レアボスは通常ボスよりレベルが高い個体が出るため、黒蛇よりステータスが高いが、それでも余裕で避けられる
そんなに速く動きたいなら、お前の血で全身真っ赤にしてやろうかぁ?このゲームに血の表現はないけどね
「シャァァァァッ!!」
「それじゃないっ!はやく打ってこい!」
噛みつき、叩きつけ、薙ぎ払い、噛みつき……ボス部屋全体をぐるりと回って巻きつこうとすることもあった
もちろん全部避けた。地面が結構揺れてるが、コツを掴んでれば足を取られることはない
「シャァァッ!!」
「よっしゃ来い!!」
攻撃の連打でスタミナが切れかけた白蛇は、距離をとって『光魔法』の『ライトスフィア』を打ってきた
弾速が速いため、ボール系魔法より難易度は高いが、難なく右腹で受け止める
薄めたポーションを手に持ち、サッと体力を確認する
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HP 6/10
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スフィア系の消費MPは10。『光魔法』に必要な量は380MPだから、あと37発食らえばいいわけだ
ポーションをぐいっと飲む。MND上げてなかったら2発で死んでたな
「シャァァァァッ!!」
「おっと、いけるか?」
白蛇がもう1発魔法を打ってきた。が、それはさっきと違い球体ではなく、矢の形をしている
『光魔法』の『ライトアロー』だ
消費MPは15、威力はそこそこだが弾速がかなり速く、避けづらい攻撃だ
それを俺はなんとか右腹で受け止め、即座に体力を確認する
━━━━━━━━━━━━
HP 3/10
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さっきポーションで3HP回復したから、6ダメージか。あっぶね
「シャァァッ!!」
「くっ、身体が勝手に!?」
白蛇はさらに『ライトボール』を打ってくる。これを喰らうと体力が危険域になるのだが、ワキが射線上に吸い込まれるように移動してしまう
MNDのおかげで1ダメージに抑えられたが、残り体力は2。ポーションはクールタイム中。この時に同系統のポーションを飲むと、〈中毒〉の状態異常が発生してしまう
「シュルルルルル……」
スタミナを回復し終わった白蛇が、物理攻撃を再開する
これは、激闘の予感───☆




