到着
「という訳でやって来ました帝都メサイア!!」
四郎は両手を広げて喜びを表す。外から見たメサイアはまさに圧巻だった。今まで見た街の中では圧倒的存在感を放っていた。
黒を基調とした街壁は難攻不落を思わせ、その奥に見える街の光に誘われる。街そのものの大きさもかなりのものだ。街の中心に高く聳え立つのは宮殿なのだろう。
「シローちゃん、大はしゃぎね」
「師匠子供ね」
「最初の頃のクールキャラは何処へ…」
この世界に馴れてきたからか四郎も随分と感情を表すようになった。
こちらに来た頃は誰一人知り合いはいなかった。それ故に思慮を欠かさず冷静を常としていた。しかし元来、四郎はお調子者なので馴染んでしまえばクールでいる必要もない。信頼出来る仲間も増え、ようやく四郎は本当の自分に戻れるのだ。
「クールだったのはキャラ作りだからな。気にすんな」
頭の後ろで腕を組ながら気楽そうに四郎は言った。
一行は街門を通り、中へ入る。まず一番目に付いたのは人だった。
「人多っ!?」
ティカがメンバーを代表して言った。恐らくほとんどの人が武道大会目当てだろう。
「何人くらいエントリーするんかねー」
「予想よりも多そうだな」
とりあえず四郎とシャルビィは大会にエントリーするために闘技場へと向かう。ネミリアは情報収集を行うため一人だけで離脱した。残りのメンバーは予想より人が多いので早めに宿を取りに行くとのことだ。
「闘技場ってアレだよな」
「多分そうだろう」
四郎が指差した先にドームがある。
「強い奴いるといいな~」
雑談をしながら闘技場の方へと歩いて行く。すれ違う人々の話題も大会一色だ。公式に賭けも行われているらしい。
「いらっしゃい。参加希望者かい?」
闘技場の入り口にある受付に声を掛けようとしたら先に声を掛けられた四郎。出鼻を挫かれたような感じだ。
「ああ。俺とコイツだ」
隣にいるシャルビィを指差す。受付の男は二人を一瞥してから視線を戻す。
「参加資格はランクB以上で犯罪歴がない事だ。大丈夫ならこの水晶に手を当ててくれ」
言われた通りに二人は水晶に手を当てる。すると水晶が光り中から文字が浮き出てきた。
「シロー・タチバナ。変わった名前だな。君はBブロックだ」
「おう」
「シャルビィ・ルーラン。君はFブロックだな。これでエントリーは終わったから頑張ってくれたまえ」
受付の男がそう言った瞬間、場が殺気で包まれる。一人や二人どころではない。この場にいるほとんどの人間が四郎たちに殺気を放っているのだ。受付の男が笑う。
「なるほどね。出場権は手に入れたけどまだ出場資格を手に入れてないって事か」
「全く下らんな。これならシローの方がまだマシだ」
「ちょ、どゆこと!?」
余裕そうな、いや実際に余裕なんだがその態度が気に喰わなかったのか一人の男が声を荒らげる。
「テメェら余裕ぶっこいてんじゃねーぞ!!ぶっ殺されてーか!!」
「黙れ」
この場を打ち消すように四郎が殺気を放出する。そのまま受付の男に話し掛ける。
「どうすれば俺らは大会に出れるんだ?」
受付の男は四郎の殺気にやられていないようで飄々としている。
「合格だよ、合格。予想以上だよ。まさか一戦も交えずに圧倒するなんてね」
お手上げといった風に受付の男は両手を軽く上げる。
「大会の本戦は一週間後。予選は明後日からでAブロックから順番にやるから遅刻しないでね。遅刻は即失格だから。どんな理由があろうとも、ね?」
そこから更に大会の細かいルールを聞いていった。殺しは禁止らしい。一応見栄え上ステージはあるが場外はないらしい。時間も無制限とのことだ。ただし予選は生き残り戦らしく場外があるらしい。
「ちなみに本戦に出場出来たら、その人が所属してるチームはタダで会場に入れるから。大体これ位だけど何か質問はあるかい?」
「優勝候補と有力選手が知りたい」
すかさずにシャルビィがそう言った。四郎はあまり興味無かったがとりあえず頷いておいた。
「そうだねー、この五人かなぁ」
<青の騎獅>…前回優勝者
<筋肉爆弾>…前回準優勝者
<女髪>…Sランカー
<ラッキーピンク>…有力チームのリーダー
<ハーミット>…正体不明のSランカー
「って感じかな。これ以上は教えられないから。もういいかい?」
「ああ、助かった」
エントリーも説明も終わり、二人はそのままミリーたちと合流するため街の中へと戻って行った。
「いやぁ、今年は荒れそうだねー」
最後に受付の男がそう呟いた。




