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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
帝国編
97/105

着きそう



 「頭が痛いわ…」

ティカが頭を抱えながら歩いている。隣には四郎がいる。

「頭が悪いの間違いじゃないか?」

「違うわよ!!誰かさんに無理やりお酒飲まされたせいで二日酔いなのよ!」

そう叫んでからティカは再び頭を抱えた。どうやら自分の声が頭に響いたようだ。

「ミリーのせいか」

「原因は師匠だけどね!」

二日酔いにしては無駄に元気そうにはっちゃけている。メイナーとシャルビィなんかは気分が悪そうに俯いているというのに。

「うう~、頭が…」

「不覚にも酒に呑まれてしまったか…」

ぶつぶつと言っている二人。もちろんネミリアとミリーは全く酔った様子はない。

「もうそろそろメサイアに着きますから頑張って下さい~」

ミリーが二日酔いメンバーを励ます。しかしそれに一番食い付いたのは四郎だった。

「マジか。ようやくこの徒歩地獄から解放されるのか」

両手を組み、神へ祈りを捧げるポーズを取る。余程嬉しいらしい。

「街へ入ったらどうするのかしら?」

「んー、とりあえず大会へのエントリーをするかな」

「確か本戦に出れるのは八人だったな」

シャルビィが気分が悪そうなまま会話に参加する。

「てことは八つのブロックに分けて予選って事か」

どこから取り出したのかリンゴをシャリシャリかじりながら話す四郎。ティカがそのリンゴを羨ましそうに見つめている。

「……ティカとメイナーにもリンゴをやろう」

視線に堪えきれなくなった四郎は仕方なくポケットからリンゴを二つ取り出しティカとメイナーに渡す。

「さんきゅー♪」

「ありがとっ」

二人は意外にもそのままリンゴを丸かじりする。

「んで、エントリーが終わったら大会が始まるまでは観光かな」

「まぁ妥当ね。私は街に入ったら別行動させてもらうけど構わないかしら?」

「ああ、お前が動きやすいようにしてくれ」

残ったリンゴの芯を投げ捨てる。ポイ捨てだが生ゴミなのでそれを非難する人物はいない。

 そこからしばらくは皆無言で歩いた。二日酔い組もしんどそうにしながらも文句を言ったりする者はいなかった。四郎も二日酔い組が文句を言っていないのに自分だけ文句を言う訳もいかず大人しく歩いていた。

 道中に今まで違って彩りに溢れていた。草原を歩いているのは変わらないのだが色とりどりの花が咲いているのだ。

「これも『黒の獣』の影響なのか?」

「分からん。帝国に来るのは初めてだからな」

「メイナーは何か知ってる?」

「ううん。ボクも帝国をちゃんと歩くのは初めてだから」

メイナーのその言葉を聞いてミリー、ティカ、シャルビィが顔を伏せる。メイナーが奴隷だったという事を思い出しているのだろう。

「そっか、それじゃあ判断出来ないか」

「ごめんなさい」

「お前が気にする事じゃねーよ」

四郎は無意識のうちにメイナーの頭を撫でる。年齢はほとんど変わらないはずなのだがいつも年下扱いしてしまう。

「でも『黒の獣』の影響で豊かになるってありえなくない?」

「確かに『黒の獣』だけじゃな。だけどもし『黒の獣』の封印を解こうとしてる奴ならどうだろうな」

ティカだけでなくネミリアやミリーまでも眉をひそめる。

「どういう事?」

「いや『黒の獣』を復活させて利用しようとしてる奴がいるかもしれないって事」

「否定は出来ないけれど『黒の獣』を人の力で操れるとは思えないわ」

「同感だ。今のはただの戯言だから気にしないでくれ」

それから四郎は眠そうに欠伸をした。ミリーは四郎が言った事をにしているのか未だに思案顔だ。

「(もし操ろうとしているのが人ではなかったら…)」

ミリーはそこまで考えて頭を振る。ここから先は考えたくなかったのだ。

「あ!街だ!!」

メイナーが前方を指差して言った。獣人だから視力がいいのだろう。見えたと言われても四郎たちにはいまいちピンと来ない。

「見えねー」

「あっちにあるじゃん!!」

誰も理解してくれないので少し怒り気味のメイナー。頬を膨らませて尻尾を立てている。狐というよりはどちらかと言うと猫みたいだ。

「ああ、見えたわ」

そこから次にネミリアが街を見つける事が出来た。その後はすぐに皆遠くに街があるのを確認した。

 帝都メサイアはもうすぐそこまで迫っていた。


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