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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
王都編
82/105

道はある訳です



 四郎たちがアステリを出て3日が経った。途中、四郎たちの亜空間にある家を見てネミリアが驚いたりはしていたが旅は概ね順調だ。

「歩くの…飽きた」

ランド大橋へ向かう道中。例によって例の如く、一番最初に音をあげたのは四郎だった。

「師匠…いつも歩くの嫌がるよね」

「うるせー。現代っ子は歩かないんだよ」

まるで子供のようにぶーたれる四郎。そこには普段のクールな様相はどこにもない。ただのワガママな子供だった。

「なんつーか、こう…ズバーっと行きたいんだよね、俺は」

「旅は風情がないと面白くないじゃない」

ネミリアが髪をかき上げながらそう言った。その肌にはうっすら汗が浮かんでいる。

「そうだな。それに忍耐力と持久力のトレーニングにもなる」

「それに皆で話ながら歩くのは楽しいですし」

シャルビィとミリーも持論を展開し、四郎を追い詰める。

「………泣けてくるぜ。<浮遊>」

四郎はそう言ってから魔法を発動させる。文字通り浮かぶ魔法だ。スピードは歩く程度しか出ず、高度も地上から1メートルくらいまでしか浮かばないのであまり人気のない魔法だ。<魔>の燃費も悪い。

 しかし今の四郎には好都合だった。これなら皆と話しながら楽して進む事が出来る。消耗するのは<魔>だけだが、四郎の<魔>は未だ底なしなので問題はない。

「うわっ!師匠せこっ!!」

「あらあら」

「シロー様…無駄に凄いです」

「阿呆め」

全員の非難が集中するが四郎はどこ吹く風だ。まるでベッドの上にいるかのようなくつろいだ体勢で宙に浮かんでいる。

「そろそろ村とかないのか?」

「そうですね~、もうそろそろハラ村が見えて来てもいいと思うんですが…」

「ハラ村~?」

「はい。ランド大橋の最も近くにある村ですよ。色とりどりの花に囲まれた村らしいです」

ミリーが目を輝かせながら答える。ミリーもやはり女の子(?)なので花とかは好きなのだろう。

「でもよ、本当にそんなに花咲いてるのか?」

四郎はそう言ってから周りを見渡す。周りは一面砂だらけで砂漠のようになっていた。草も僅かながら生えてはいるが本当に申し訳程度でしかない。

「そうね…あまり精霊も活発に活動してないようだしね~」

「そんな事分かるのか?」

「精霊を見る事は出来ないけど感じる事くらいなら出来るのよ。エルフだしね」

ネミリアは尖った耳を更にたてるかのように耳に神経を集中させている。エルフの耳が尖っているのは精霊という存在をより身近に感じるためだ。

「へぇー、俺は時々精霊見えるけどな。精霊ってカラフルな小さい光のことだろ?」

「…えぇっ!?シローちゃん精霊が見えるの?」

ネミリアが驚いたような顔をしている。他のメンバーはまたか、という呆れ半分、疲れ半分といった表情をしている。

「ああ。白くなった時に見える」

白くなった時というのはもちろん<神>を纏った時の状態の事である。

「シローちゃんって本当に何者…?」

「師匠の事考えてたら埒があかないわよ。気にしたら負けよ」

ティカが胸をはってそう答える。何故かドヤ顔をしている。

「そ、そうね…ティカちゃんの言うとおりだわ」

ネミリアは雑念を祓うかのように軽く頭を振った。すると先頭を歩いているシャルビィから急に声を上げた。

「村が見えたぞ!」

その言葉に釣られて全員が前方を見る。朧気ながらも先の方に村らしきものが見える。

「…やっぱ花ねーじゃん」

「おかしいですね…。パンフレットには彩の村、ハラ村って書いてあったんですけどね」

「パンフレットかよっ!」

四郎は久々にツッコミをした。四郎にツッコミをさせる事が出来るのはミリーくらいだろう。

「とにかく行ってみよう。何かあったのかもしれないしな」

シャルビィが四郎のツッコミを華麗に無視して話を元に戻す。

「そうよ。花楽しみにしてたのに許せないわ!原因があるならとっちめてやるわっ!!」

ティカもご立腹のようだ。ミリーとネミリアも頷いている。

「……俺は美味い飯があればいんだけどな」

そうひっそりと呟いた声は誰にも届かなかった。結局四郎には花より団子という事なのだろう。

 こうして四郎一行はランド大橋の最寄り村、ハラ村に着いたのだった。

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