コルク村にて
村に着いてまず行ったのは水浴びだった。どうやらこの世界で水はそれ程貴重なものではないらしい。ファンタジーだと水不足なんかはありがちなので偏に感心せざるを得なかった。
その後、ハネネ達の親父さんが出てきてこれまた丁寧に礼を述べていた。
「行くとこがないのだろう。今日はうちに泊まっていきなさい」
その親父さんの提案を俺はありがたく受けることにした。
そして今、テーブルを囲んでその場には俺とハネネとミリナがいた。
「…色々聞きたい事があるんだがいいか?」
「聞きたい事ですか?」
答えたのはミリナだ。
「まずはお金についてだ。この世界のお金の単位は何だ?」
「……」「……」
俺の質問に返ってきたのは沈黙だけだった。変な事言ったつもりはないんだが…。
「…お金って何ですか?」
……は?お金が何かって…。お金はお金だよ!そんな事も知らんのかい!?
とは言わずに必死に二人に説明する。
「食べ物買ったり、仕事をしたりして貰うやつのことだよ」
「…ああ!!tptのことですね!」
「てぃーぴーてぃー?何だそれ?」
「「…知らないんですか?」」
二人が信じられないと言ったような瞳でこちらを見つめる。
「この世界で生きているのにtptを知らない人はいないと思うんですけど。貴男、何者なんですか…?」
部屋の温度が少し下がったように感じられた。どうやら二人が俺に不信感を持ち始めたようだ。
さて、選択肢はいくつかある。無難なのは適当な理由をでっち上げて誤魔化す。リスクが高いのは俺が異世界人だと話す。そして最後は魔法を使って調べる。
個人的にあの二人に魔法は使いたくない。可愛いからね!それにレディには紳士的でいるべきだ。
「そうだな。ちょっと信じられないかもしれないが、それでもいいなら事情を話すが…」
結局俺は真実を話す事にした。
「かまいません。話して下さい」
ミリナが少し警戒するように答える。ハネネの方は警戒はしていないが緊張しているようだ。
「実は俺は……」
「異世界なんだ!」
間違えたぁぁ!!!
「人」が抜けちまったよ!
むっちゃ恥ずかしい。二人とも目が点になってるし!
「ゴホンッ、実は俺…異世界人なんだ!」
とりあえず何事も無かったかのように言い直した。
「異世界人?この世界の人間ではないということですか?」
ミリナが疑わしげな視線を向けている。
手っ取り早く信じてもらうには俺の記憶を見てもらった方が早いな。
「んじゃ、とりあえずこれを見てくれ。<共有>!」
俺は自らの記憶を魔法を使って二人に共有させた。
そういえば、あのワームも魔法で倒せば体液まみれにならずに済んだのにな、と今さら気付いた。
もちろん一気にテンションが下がった。




