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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
王都編
75/105

スレイターに会おう5



 ドラッグマーカーを倒した俺たちは今森の中を魔物の気配を追うように歩いていた。

「どうして<ドラッグマーカー>は<カプセルユニコーン>のカプセルの中にいたんだ?」

「確かに気になりますね。<カプセルユニコーン>はカプセルにお気に入りのものを無理やり詰め込みます。さっきカプセルの中に入っていたのは<ドラッグマーカー>です。それはつまり災害級をカプセルに無理やり詰め込んだという事です。不可能ではありませんが不可解ではありますね」

そうだ。ドラッグマーカーは腐敗の能力を持っている。簡単に捕まえられるとは思えないし、仮に捕まえたとしても腐敗で抜け出せるはずだ。あの鬣が変化したカプセルの強度が腐敗の能力を上回っているとは考え難い。なんせドラッグマーカー自身をも腐敗させるほどのものだ。たかがカプセル程度を腐敗させるなんて雑作もないはずだ。

「誰かの差し金…『黒の獣』絡みか?」

「少なくとも『黒の獣』は関係なさそうですけどね。黒の力を使っていませんでしたし」

俺とミリーはうんうんと悩んでいる。不意に後ろにいたティカが呟くように言った。

「もしかしてカプセルの中で育ったんじゃない?」

「「は?」」

思わず二人揃ってティカの方を振り返る。その動きがあまりにシンクロしていたためかティカは驚いてビクリと身体を震わせた。

「い、いやだから…カプセルの中に鎧をしばらく入れておいたら<ドラッグマーカー>に進化するんじゃないかなって思ったのよ」

「さすがにティカちゃんそれは…。大体鎧が魔物になるなんて」

ミリーの指摘に恥ずかしそうに顔を赤らめてそっぽを向いたティカ。

「た、ただ何となく思ったから言っただけよ!ダメなら聞き流してよっ」

「……………いや」

「どうかしたんですかシロー様」

「いや、ティカの意見は多分合っている」

するとティカがパァッと顔を輝かせる。拗ねたり疲れたり照れたり笑顔になったりとティカは本当に忙しいやつだ。

「えっ?本当に!?」

「ああ。唯一違うのはカプセルの中に入れてたのは鎧じゃなくて兵士の死体だって所だ」

俺が真剣に言うと二人は何とも言えない表情をする。

「…兵士の死体ですか」

「ああ。恐らく<カプセルユニコーン>は兵士の死体をカプセルに入れてたんだ。中に入れた死体は時間と共に腐っていく。そして最後にカプセルの中に残るのは鎧と兵士の無念だけだ。恐らくこれが<ドラッグマーカー>の正体。戦場で無念の死を遂げた兵士の怨念が具現化したもの」

「……でもそれなら<ドラッグマーカー>って何で大量発生しないのよ。<カプセルユニコーン>が戦場で死体を拾ったらかなりの数の<ドラッグマーカー>が出来ることになるじゃない」

確かにティカの疑問ももっともだな。ミリーも同じように納得いってないような表情をしてるし。

「それは多分怨念のレベルの違いだろうな。拾った死体に宿る怨念のレベルが低ければ出来上がる<ドラッグマーカー>のレベル、つまり腐敗能力が低いものが生まれる事になる。基本ユニコーンなんて森にいるもんなんだし大概の<ドラッグマーカー>は大した強さじゃなくて森の魔物たちに狩られていたんだろう。稀に森の魔物が狩れなかった強者の<ドラッグマーカー>が人里に出て来て怨念を晴らしていたからそれが災害級に指定されたんだと思う」

「なるほど。確かに辻褄は合いますね。なら私たちが戦った<ドラッグマーカー>というのは…」

「ただの雑魚」

それを聞いてティカが抗議してくる。まぁティカにしてみれば十分強敵だったのだから仕方ないといえば仕方ないのだろう。

「ですが何故今までその事実に気付く人がいなかったんでしょうか?<カプセルユニコーン>だってこんなに王都に近い森にいるというのに」

「いや多分この森に元々<カプセルユニコーン>は生息していないはずだ」

「じゃあ他の場所からわざわざ移動してきたって事?」

今日のティカはいつもより冴えてるな。やはりピクニックでテンションが上がって頭の回転も速くなったのだろうか。

「ああ。他にも本来生息していない場所に新たな魔物が現れるような事例が最近いくつも確認されている」

コルク村にいたデカブトムシとか大きいワームとかな。他にも王都で受けた依頼に似たような感じのがいくつかあったしな。

「なるほどね。じゃあその原因ってのは何なのよ?」

「原因は恐らく『黒の獣』だろうな。そんな化け物が復活しようとしてるんだ。第六感が鋭い魔物なんかは既にそれを察知して生き残るために色々動いてるんだろうよ」

「やはり最終的には『黒の獣』ですか…。もしこのまま魔物たちの動きが活性化していったら世界は大混乱に陥りますよ。予想よりも遥かに悪い状態ですね」

「ああ」

俺たちは会話をこれで打ち切り再び、捜索と討伐の二つを視野に入れ森を奥へと進んで行くのであった。

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