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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
王都編
74/105

スレイターに会おう4



 ドラッグマーカーが何かを仕掛けてくる前に俺は動き出す。瞬時に間合いを詰め蹴りを繰り出す。しかしそれはドラッグマーカーの左腕だけで防がれる。

「なっ…!?」

これにはさすがに驚かずにはいられなかった。蹴りといっても普通の蹴りじゃない。神の技すら使える俺の蹴りだ。それを片腕だけで止めたのだ。

「シロー様っ!」

ミリーの叫びと同時に右足に激痛がはしる。右足に目を向けるとそこにはあったはずの足が溶けていっている。

「<遡及>!」

被害が広がる前に足の時間を蹴りを放つ前まで戻す。

「なるほどね。自分に触れたものを腐敗させられるのか」

ドラッグマーカーとの距離を空ける。しかし足元が急にぬかるみバランスを崩す。地面が腐敗してせいで足が沈んだのだ。

「<鎌鼬>」

物理耐性はかなりのものと分かったので次は魔法耐性の方を調べる。この程度の魔法は小手調べだ。

 しかし鎌鼬がドラッグマーカーの身体に触れた瞬間腐敗して消滅してしまった。

「おいおい。どうやって殺せばいんだよ」

「ドラッグマーカーに並大抵の攻撃は通用しません」

俺とミリーが話している間にニ体のドラッグマーカーがこちらへと近づいて来る。ティカが作戦を練っている俺らの代わりに牽制程度に魔法を放つ。

「なら並大抵じゃない攻撃をすればいい」

俺はニヤリと笑うとミリーもそれに倣ってニヤリと笑った。

「私もそう思います」

「ティカ!奴らの足止めをしろ!!」

するとそれを聞いたティカが眉をしかめながらも了承する。

「<雷網>!!」

ドラッグマーカーの足元に雷が出現し網のように絡みついた。いわゆる麻痺状態である。

「あんまり長くは保たないわよ!!」

俺はポケットに手を入れ、先日買って放置していた武器を亜空間から取り出す。

「それは…鉄球ですか?」

「ああ。多分、神器かそれに準ずる武器だ」

そう言って俺はそれに<神>を注ぎ込む。<神>を使った事により俺の身体が純白へと変わる。

「喰らえ!」

俺は<神>をたっぷり注ぎ込んだ鉄球をドラッグマーカーへと投げ込む。それはドラッグマーカーにぶつかると同時に二つに増える。そしてその二つが腐敗する前に鉄球は更に四つに増える。

 鉄球は腐敗する前にひたすらに増えていきあっという間にドラッグマーカーを包み込んだ。金属同士がぶつかり合う不愉快な音が響く。

「私も忘れてもらっては困ります。<流心・流浪>」

ミリーはドラッグマーカーに近寄り直接手で触れた。もし普通にそんな事をしたら腕は腐敗し絶命するのが落ちだろう。

 しかしミリーは自身の流れを操る事により自らに来るはずだった腐敗を全てドラッグマーカー自身へと向けたのだ。一見この作戦は無意味のように見える。なんせ腐敗はドラッグマーカー自身には効かないかもしれないからだ。

 それでもミリーがこの技を使ったのは絶対に効くという確信があったからだ。根拠は地面だ。もしドラッグマーカーが触れたもの全てを腐敗させるのなら真っ先に腐るのは大地だ。

 だが大地は別段腐敗してはいない。ここで思い出されるのはさっきドラッグマーカーが地面の一部を腐敗させた事だ。これにより一つの推測が立てられる。

 もしかしたらドラッグマーカーは任意に腐敗させる対象を選べるのではないか。ならばドラッグマーカーの鎧も対象にしていないだけで腐敗させられるのではないか。という事だ。

 そして結果は予想通りだったという訳だ。

「終わりましたね」

「終わったな」

「はぁ…はぁ…終わったわね」

災害級を相手にしたというのに全く疲れた様子を見せない俺とミリー。それに対しティカは大分お疲れのようだ。

「やっぱり魔物だからな。手加減しないで殺しても平気だからやりやすい」

「そうですね。対人戦だとなるたけ手の内を見せないようにしたり、殺したりしないようにと色々縛りが多いですからね」

ミリーがやれやれといった感じに溜め息を吐く。

「とりあえず急いでスレイターさんを探そうぜ。もしかしたら他にも何か強力な魔物がいるかもしれないしな」

「そうよっ!早くお兄様を探さなきゃ!!」

そう言って俺たちはスレイターさんたちの捜索を再開した。

 もちろんドラッグマーカーの腐敗の被害が下手に広がらないように最後に俺がその場を<浄化>したのは言うまでもない。

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