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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
王都編
71/105

スレイターに会おう1



 ティカとミリーは王都騎士団の詰め所に来ていた。訪問の理由はティカの兄であるスレイターに会うためだ。

「詰め所なのに何でこんなに大きいのよ!」

「王都ですからね~」

二人は呑気な会話をしながら窓口にいる兵士に話し掛ける。

「すいません、スレイター・ファーフードに会いたいんですが」

「スレイターならさっき第二部隊長と一緒に森へ行っちまったよ」

「そうですか。いつ頃帰ってくるとかは?」

「んー、早くても明後日かね~」

「そうですか。ありがとうございました」

兵士にお礼を言ってから窓口を離れる。そのまま大通りの方へと歩いていく。

「どうしましょう?」

ミリーとしてはここで明後日まで待っていても森まで探しに行ってもどちらでも構わないので決定権をティカに託す。

「そうね~、どうせならピクニックも兼ねて森へ行くのもいんじゃない?」

「ならネミリアとシャルビィはコルク村ですからシロー様を誘って三人で行きましょう♪」

ミリーがるんるん気分で四郎を呼び出す。するとすぐに周りが光に包まれそこから四郎が現れる。

「来たぞ。いきなりピクニックに行こうって言われてもさっぱりなんだが」

四郎を交えて先ほどの兵士から聞いた話について話し合う。

「森に行ったなら討伐だろ。ピクニックするには危ないんじゃないか?」

「何で討伐って決まってんのよ。秘薬とか探しにいってるだけかもしれないじゃない」

四郎の意見にピクニック気分だったティカが頬を膨らませながら意見を述べる。

「あのなぁ、騎士団が薬探しにわざわざ森に行く訳ねーだろ。仮に行ったとしても騎士団が動かなきゃならない程危険な場所に秘薬があるってことだろ」

「うぐ…た、確かに」

呆れたように喋る四郎。実は宿で寝ようとしてた所を呼び出されたためご機嫌ななめなのだ。

「という事はやっぱりピクニックをするという事ですね」

「おいミリー、俺の話聞いてたか?」

「もちのろんです。シロー様の話を聞き逃すなんて有り得ませんよ」

やけに嬉しそうにミリーが語る。その脇にいるティカは少しだけ顔を引きつらせているが。

「なら何でそんな結論になる」

「だって敵がいてもいなくてもシロー様がいれば絶対安心じゃないですか」

するとティカが急に水を得た魚並みにミリーの意見に便乗し始める。

「そうよ!師匠がいればどこでだってピクニック出来るわよ!そうと決まればさっそく出発よ!!」

ティカは言うだけ言って街門がある方向へと歩き出そうとする。しかし四郎に服の首根っこを掴まれ止められる。

「…ぐえっ…な、何すんのよ!!」

「落ち着けよティカ。まだ誰も行くとは言ってないだろ」

「え?師匠行かないの?」

ティカがわざとらしく大きく眼を見開く。ちらりとミリーにアイコンタクトをとる。ミリーも眼だけで頷く。

「そんな…シロー様が行かないピクニックなんて……それはもうパニックですよ……」

よよよ、とふらついてから顔を伏せて泣き真似をするミリー。

「何でミリー泣いてんだよ!てかパニックって何だよっ!」

普段はクールを装ってはいるが四郎は案外沸点が低いので、ミリーとティカのコンボに見事に引っかかった。

「…あー!師匠ミリーを泣かせたー!!」

少しだけ棒読みのティカ。

「いやお前これ絶対嘘泣きだろ!」

「うぅ……シロー様ひどいです…。私はただピクニックに行きたかっただけなのに…」

こんな風に騒いでいれば、ここは街中なので当然視線が集まる訳で…。

「わ、わかった!ピクニックに行こう。だからその嘘泣きはやめろ」

そう言うとミリーがガバッと顔を上げる。満面の笑みだ。

「さすがシロー様です!それじゃあティカちゃん。行きますよ」

先ほど四郎がティカにしたようにミリーがシローの首根っこを掴み、ズルズルと引きずって行く。さすがの四郎でもこれには抵抗出来なかった。

「り、理不尽だ…」

引きずられながらも四郎は涙ながらに語った。ティカは一緒に仕組んでいたとはいえミリーの怖さを改めて実感した。そんな二人の気持ちに全く気付いていないある意味おめでたなミリーは四郎を引きずったまま鼻歌を歌いながら街門へと向かって行った。

 その光景を一部始終見ていた街人たち、特に男性はやっぱり女に逆らうべきではないなと再認識し肩身が狭そうにしながらその場を去って行ったという。

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