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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
王都編
63/105

回収



 「いやぁ、まさかこれ程とはな」

ジェアナとの対決を終えたシャルビィの前に現れたのはスーツを着た眼鏡の優男だった。

「貴様…何者だ?」

突如現れた乱入者にシャルビィは警戒しながらも問う。

「『黒の眷族』だ。そこに転がってる同胞を拾いにきた」

そう言って優男、黒風はジェアナを指差す。ジェアナはすでに気絶していて動く気配はない。

 シャルビィは黒風の言葉を聞いた瞬間細剣に手をかける。

「おっと…今お前達と遊んでる隙はないんだ」

黒風はいつの間にかシャルビィの背後に回り込んでおり、肩にはジェアナを抱えている。シャルビィは驚愕で眼を大きく見開く。

「いつの間に…」

「まぁ風使いだからな。速さには自信があんだよ。ってことで他の奴らも回収しないといけないからじゃーな!」

黒風の周りに突如風が吹き荒れる。シャルビィは思わず目を瞑る。再びシャルビィが目を開けた時、そこには既に誰もいなかった。





 シャルビィの所から素早く移動してきた黒風はこれからの動向について考えていた。

「さてと…ジェアナは回収したから…えーと…黒雷と黒氷の<邪>は感じられないから死んだのかな。黒土は…こっちに来てるっぽいから合流するか」

黒風はジェアナを抱えたまま黒土のいるであろう方向へと歩いていく。しばらく歩いていると見覚えのあるシルエットが見えた。

「おーい!黒風~!僕だよ~!!」

十歳くらいの少年が黒風を見つけて走ってくる。ぶんぶんと大げさに手を振っている。頭からは小さな二本の角が申し訳程度に生えている。黒土である。

「ごめーん!殺すの失敗しちゃった感じ」

にへらーと笑いながら黒土が開き直った感じで喋った。黒風も半ば予想はしていたのでさほど気にしてはいない。

「生きてるだけでも上出来だ」

「他のみんなは?」

「黒雷と黒氷は多分死んだ」

黒土はそれを聞いて沈黙する。眼には涙が浮かんでいる。

「これからどーするの?」

「……他のメンバーと合流する」

「…他の?」

「ああ。黒闇と黒剣、黒金の三人だ」

「へぇー。知らない名前だなぁ」

他にも仲間がいると聞いて安心したのか黒土は既に笑顔になっている。子供らしい無邪気な笑顔だ。黒風もそれを見て微笑んでいる。

「あいつらは帝国側にいるからな。だからとりあえずは帝国を目指すつもりだ」

「えー、歩くの嫌だし。まだ王女様のおっぱい揉んでないっ!」

地面に転がって嫌嫌嫌嫌と全身でアピールする黒土。さすがに黒風もこれには溜め息を吐いた。

「諦めろ。元々王女は足と目が悪くて部屋から出れないらしいしな」

「ちぇっ。しょーがない。黒炎ので我慢するかぁ」

「ギャハ、誰ので我慢するってぇ?」

いつの間にか復活したジェアナが後ろから黒土の頭を鷲掴みした。黒土は恐怖で顔が引きつっている。

「あわわわわわ…」

そんな黒土を見かねたのか黒風は助け舟を出した。

「黒炎、身体は大丈夫なのか?」

「…ああ。まだ少し痛いが大した事はないよ」

「そうか。とりあえず奴らの事は放置しておいて帝国に向かう事にした」

「あいよ」

ジェアナは特に不満そうな様子もなく素直に頷いた。正直、黒風は反対されると思っていたのでジェアナのその反応に拍子抜けだった。

「道中で仲間を造れたら造っていこう」

黒風は最後にそれだけ言って歩き出した。



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