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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
王都編
56/105


 詳しい話はこうだ。

 先日、ダークエルフの村が黒い炎と黒い影に襲われたらしい。そこで犯人を追い掛けたネミリア(彼女の名前)は返り討ちにされるも犯人たちの会話を聞いて俺たちに辿り着いたらしい。

「あの黒い影には普通の魔法は効きません。黒い炎の方は通常の炎よりも数倍の威力があります。犯人も魔法耐性はかなり高いようですが効かないという訳ではないみたいです。例外で精霊魔法には弱いみたいです」

「なるほど。だが犯人を捕まえるなら部外者の俺たちよりエルフ同士で組んだ方が良くないか?」

するとネミリアは悲しさと悔しさの入り混じったような表情をする。

「ダークエルフの里は襲撃のせいでほぼ壊滅状態で…こちらに割ける人員がいないんです」

「………わかった。協力しよう」

俺の目的は元々、この世界の破滅の阻止だ。怪しい動きをしている奴らがいるならその情報を少しでも知りたい。

 それにダークエルフの一族に貸しを作っておくのも悪くない。何かの時に助けて貰えるかもしれないからな。

「本当!?ありがとうシロー君!」

ネミリアは顔をほころばせた。年上のお姉さんって感じの人がこんな無邪気に喜ぶのを見るとドキっとする。

「ああ、それで村を襲ったヤツの特徴は?」

「確か…自分の事を『黒の眷族』って呼んでたわ。名前はジェアナ…くすんだ赤い髪に淀んだ赤い眼、浅黒い肌に下品な喋り方をする女だったわ」

「結構分かりやすそうな見た目だな。一応、他のメンバーにも連絡しておくか」

俺はそう言ってチームのメンバー全員にネミリアから聞いた情報を書いて<光字>で送った。それからチラリとネミリアの後方にある建物へ視線を向ける。

「んじゃ、まず協力するにあたってお互いの実力を把握しておこう。とりあえず近くの草原に行こう」

「ええ、わかったわ」

二人で路地裏から出ると街の外へ向かって歩き出す。

「ネミリアの得意な属性は?」

「風よ。水も使えるけどあくまで使えるってレベル。シロー君は?」

正直、シロー君は止めて欲しいが、どうせ言っても聞かないだろう。何となくそう思ったので特に何も言わない事にした。

「大体の属性は使える。まぁ器用貧乏って奴だな」

「へ~、凄いわね。それに見た所、前衛もなかなか出来そうだしね」

「分かるのか?」

「多少はね」

たわいもないお喋りをしながら街を出る。目の前はすでに草原なのだがもう少し先へ行く事にする。

「<先駆車>」

久しぶりにあの真っ黒なバイクを出す。隣でネミリアが息を呑むのが分かる。俺はそっとネミリアの耳に口を近づける。

「何者かにつけられてる。少し街から離れよう」

ネミリアが驚きを露わにする。俺は先にバイクに跨り、ネミリアに後ろに乗るように促す。ネミリアはやや躊躇いながらも俺の後ろに乗った。バイクを発進し、素早く街から離れる。

「す、凄いわねコレ…」

「まぁな」

互いにあまり喋る事も無く、心地良い風を浴びながら草原を進んで行く。しばらく進んで街が見えなくなる位まで来るとバイクを止めた。

「とりあえずネミリアは俺の作る結界の中にいてくれ」

「え…でも…」

「少なくとも敵はネミリアに気付かれないで尾行することの出来る人物だ。勝てないとは言わないが分が悪いだろう。それに俺たちは会ったばかりだから連携なんて取れないしな」

「…わかったわ。なら今回はシロー君の実力を見せて貰うって事で」

「ああ。んじゃ<神域>」

俺はネミリアが納得したのを見て結界をはる。これでネミリアに関しては安心だ。

「さてと…出て来いよ」

すると前方に黒い霧のような物が現れ収束していく。やがてそこから一人の人物が現れた。

 氷の美女。現れたのはそんな感じの女性だった。白い髪に、灰色に近い水色の瞳。冷たい双眸でこちらを無表情に見ている。しかし顔を横切るようにに一本の刀傷がその美貌を台無しにしていた。傷物の人形といったイメージだ。

「『黒の眷族』レスカー・レインド。コードネーム黒氷。対象の男を抹殺する」

そして戦闘の火蓋が切って落とされた。

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