ダークエルフ
アステリのギルドで華々しいデビューをした俺たちは現在バラバラに行動中だ。シャルビィは護衛任務でバロックまで行っており、ティカはソロでも狩れる魔物たちを狩っている。ミリーは雑用系の依頼で子ども達の面倒を見ている。
そして俺はというと一人退屈している。転移魔法で遠くの依頼でもすぐに片付ける事が出来たのであっという間にランクが上がったのだ。もっともギルド職員は驚いたような顔をしていたが。
「お金も貯まったし、武器でも見に行くか」
ファンタジーなのに自身の武器を持っていない事に気付いた俺は武器屋に行く事にした。武器なら自分の力で創り出す事が出来るんだが、やはり男としては伝説の武器やら魔剣やらに惹かれるものがあるからだ。まぁそうそう街の武器屋に魔剣があるとは思えないが。
王都の見物も兼ねてふらふらと色々な所を見回りながら遠回りに武器屋を目指す。さすが王都というだけあって大通りはかなり賑わっている。それでもやはり俺の黒眼黒髪は珍しいようで行き交う人々の視線が多数感じられる。
しばらく歩くと武器屋に着いたので中に入ってみる。中は思ったより広く綺麗で洒落た感じだ。武器屋に洒落た感じはいらんと思うが。
「いらっしゃい。何かお探しかい?」
店主と思わしき女性が葉巻を加えながら声を掛けて来た。見た目は若い。容姿は格好いいお姉さんといった感じだ。
「普通に武器を探しに」
「そうかい。得意な得物は?」
「特にない。変わった武器とか伝説の武器が欲しい」
俺がそう告げると店主の女性は大笑いをした。葉巻もうっかり落としてしまっている。店主はそれを足で踏み、火を消す。
「そうだね~。変わった武器というよりよく分からない武器ならあるよ」
「どんな武器なんだ?」
「それがねぇ、エネルギーを充填する回路はついているのに<魔>でも<武>でも反応しない武器なんだよね」
「故障とかじゃなく?」
「いやそれはないよ。何なら見てみるかい?」
「ああ」
そう言うと店主は店の奥へと消えて行った。この時点で武器についてのある程度の予想は出来ている。すると直ぐに店主が小さな木箱を抱えて戻って来た。
「これだよホラ」
店主が木箱のフタを開けるとそこには黒い光沢のある球体が収まっていた。やはり思った通りだ。
「なるほど。いくらだ?」
「おや?買うのかい。だったら30万tptだよ」
「はいよ」
カードから言われた額を引き出し渡す。店主は扱いに困っていたモノが売れたので上機嫌だ。俺はそれに構わずさっさと店から出て行った。
俺はとりあえず球体をポケットを扉にして家の中に放り込んでおく。そのまま隠れるように路地裏へと入って行く。
すると後ろから一本の弓矢が飛んで来た。俺はそれを振り返りもせずに受け止めた。直後、弓矢が急激な光を放つが特にダメージは無かった。
「何の用だ?」
振り返り俺がそう呼びかけると角からフードを被った人物が出て来た。手には弓を持っている。俺を狙った人物に間違いない。
「いつから気付いていたの?」
聞こえて来たのは意外にも女性の声だった。
「宿屋を出てからだ」
「つまり最初からってことね」
はぁ、と溜め息を吐いてから女性はフードを取る。
まず目に入ったのは尖った耳と褐色の肌。そして銀色の髪。ダークエルフだ。かなりの美女だ。
「で、もう一度聞く。何のようだ?」
しばらく彼女は考えた後、口を開いた。
「助けて欲しいの」
予想外の台詞に思わず顔をしかめる。いきなり襲ってきておいて現れた途端に助けてくれなんてアホらしすぎる。だが何故か話だけでも聞いてみるべきだと直感が告げている。
「いきなり襲ったことについては謝るわ。ただ貴方の実力が知りたかったの。貴方がアイツらに対抗できるかどうか」
「アイツら?」
「ええ、私たちダークエルフの里に黒い火を放とうとした女とその仲間よ」
俺はそのダークエルフから詳しい話を聞いてみることにした。




