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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
ギルド編
41/105

<探索>


 「お嬢様…!?」

突如走り去っていったティカにヒントは声をかけるがそれは届かなかった。

「どうしてお嬢様が…?逃げ出した…?」

ヒントは混乱しているようだ。ミスティオとミリーはまだ現状をよく把握出来ていないようでボケッとしている。俺は普通にリックルスープを飲んでいた。

「ティカは目立つ俺たちをここから追い出したかったんだろ?だったら俺とお前らが一緒にいたらマズいんでね?」

俺のその言葉にハッとする三人。そしてミスティオは走り出した。

「ヒント!お前は騎士団のメンバーに至急連絡して捜索させろ!」

「了解しました!!」

「シローたちも周りを捜してくれ!」

「はいっ!!」

ミリーが勢いよく返事する。孤児を育てていたミリーにとってみればティカも子供のようなものなのだろう。あのような話を聞いたらなおさらだろう。

「行きましょうシロー様」

「落ち着け。とりあえず無闇に動くのは得策じゃない」

「じゃあどうすれば…!?」

落ち着けといってもそう簡単に落ち着くはずもなく慌てた様子でミリーは尋ねてくる。

「魔法を使う」

俺は席を立ち、地面にしゃがみ込み手をつける。周りの人たちからの注目されるが仕方ない。地面に俺を囲むように光が発生し、それが枝の様に周りへと伸びていく。

「<探索>」

光は更に伸びていきやがて光が見えなくなるほど薄くなっていった。俺は目を瞑る。

「………」

「…何をしたんですか?」

「………」

「……あのシロー様?」

「………」

「………うう…シローさまぁ」

「………なるほど」

目を開けると何故かミリーが泣きそうになっていた。

「どしたんだミリー?」

「知りません。シロー様なんか」

プイッとそっぽを向かれた。何か俺悪いことしたか?

「まぁいい。ティカはどうやら裏路地の方へ入っていったみたいだな」

「どうしてそんな事分かるんですか?」

「今俺が使った魔法は<探索>っていう光魔法なんだ。これは俺の<魔>を光に変えて四方に伸ばして他人のカードに侵入し、そこから神経を辿って他人が見た記憶や情報を手に入れる魔法だ」

「…それ犯罪じゃないですか?」

「緊急事態だ。仕方ない」

ミリーはどうも釈然としない様子だったが今はそれどころではないと判断したようで口を閉ざしている。

「ミリーはそこを右に曲がってミスティオを連れ戻してくれ」

俺は素早く指示を飛ばす。ミリーたちが後で俺に追いつけるように<共有>で俺が見た場所の記憶を渡しておく。

 そのまま俺とミリーは二手に別れる。人ごみを上手くかわしながらティカが通ったであろう道を通ってゆく。時々ぶつかる人が顔をしかめたり罵声を浴びせてきたりしたが、構っている余裕はない。

 まだ昼時で太陽が真上にあるせいか随分と暑い。いやもしかしたら焦っているのかもしれない。直感だから何とも言えないが嫌な予感がする。

「ティカ!」

目的の裏路地に入るとそこには誰もいない。俺が記憶で見た場所はここで間違いない。だがあれから当然時間は進んでいるのだからティカがそのままここに居続ける訳もない。

「いるんだろティカ」

だが俺は不思議と直感していた。ここにティカがいると。どうやって隠れているのかは知らないが確実にここにいるはずだ。

 しかしその場の<魔>を探っても芳しい反応は得られなかった。どうしようか考えているとミリーとミスティオの二人が俺に追いついて来た。

「シロー様!」

「お嬢様は!?」

二人の表情には不安と焦燥、それとわずかばかりの期待が見えた。俺は静かに首を横に振ると二人が落胆の表情を見せる。

「ただティカはここにいる。間違いない」

「いるってここに隠れてるって事ですか?」

「ああ。だが周囲に魔法を使用した形跡は見られない。だが気配は感じる。ミスティオが俺たちと戦った時に使った時も似たように感じたが同じ魔法か?」

「いや。私のは光魔法で誤魔化しただけだ。少なくともこんな光のない裏路地で出来るものではない」

なるほど。恐らくあの時ミスティオが使っていたのは幻覚系の光魔法と騎士として身に付けた<武>で<魔>と気配を隠す技術を用いたのだろう。まぁ完璧ではないらしくやや気配が漏れ出していたが。

 だが今回は違う。気配は隠している様子はない。だが何かオブラートに包まれたように薄くなっており半ば直感に頼らざるを得なくなっている。もしかしたら何かしらの不確定要素が紛れ込んでいるのかもしれないと意識を集中させる。

「…!?」

すると前方に一際影が濃くなっている場所を発見した。俺はそれに近づこうと足を一歩踏み出す。

 その瞬間、濃い影が四方に弾けた。俺はミリーとミスティオをとっさに庇う。

「…っ!?」

どちらかの驚くような声がした。それに合わせるように振り返るとそこには全身が漆黒に包まれたティカの姿があった。


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