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白の完全無欠  作者: 広瀬コテツ
ギルド編
30/105

竜神戦3



 <大地の左腕>が竜を後方へと吹き飛ばした。轟音をたてて竜が地面と衝突する。

『グガァァァッッ!!!』

背中からまともに落ちたのか。悲鳴を上げる竜。

「さてと…」

俺は竜の方へと近付いて行き追撃をかける。

「<大地の左腕>!」

再び左腕が出現して倒れている竜を上から叩き潰す。竜は抵抗するように尾の角度を調節して<大地の左腕>を斬り落とす。斬られた左腕は俺の方へと倒れてくる。

「あぶねっ!?」

左前方へと動き落下してくる腕の下を駆け抜けてかわす。

 竜は既に起き上がっており、逆鱗に触れた時のみ使用されるという<怒号の息吹>を放ってくる。

 まず凄まじい音波の塊が吐き出され、やや遅れて光波の塊が吐き出される。終いには絶対零度の吹雪が吹き荒れる。必殺の魔法。

 だがそんなものは所詮自分の前にいる相手にしか使えない技だ。俺は<武>を足に纏い地面を蹴って跳躍する。たったそれだけで<怒号の息吹>を難なくかわす。

 そのまま竜の真上にまで移動する。竜は頭を上げ息吹を出そうとする。この位置関係でもし息吹を喰らったらひとたまりもない。

「悪いけど俺の勝ちさ!」

俺は身体を地面と平行にして左腕を伸ばしながら横に回転をする。左腕には黒い物質が集まっていく。一回転する頃にはそれは竜と同じくらいの大きさの巨大な黒の直方体の物体が出来上がっていた。

「喰らえ!<摩天楼>!!」

それと同時に竜も<怒号の息吹>を放った。<摩天楼>と<怒号の息吹>が衝突する。しかし圧倒的質量の<摩天楼>を打ち崩すことは出来ずに虚しく<怒号の息吹>は霧散する。 <摩天楼>はそのまま竜に衝突する。

『グギァァァッッッ!!!』

竜が断末魔の叫びを上げる。息も切れ切れになっており、吐血もしている。

「やりすぎたー!回復させなきゃ」

スタッと地面に降り立った俺は何の警戒心もなく竜へと近付いていく。

『近寄…ルナ。醜イ人間…風情…ガ!』

苦しそうにしながらも竜は怒りを忘れない。

「人間を全部否定したらお前が育ててたあの子供たちまで否定することになるぜ?」

『黙レ…!貴様…ニ何ガ…分カル!!アノ場ニ…イタ…ノニ子供ヲ見…殺シニ…シタ貴様モ…アイツラト…同ジダ…!!』

竜は血の涙を流す。それは戦いでひび割れた大地の中へと染み込んでいく。

「そう決めつけるのは早計だなぁ。ま、とりあえず元気出せって!後で面白いもん見せてやっから」

そう言って俺は竜に手を向けて<遡及>の魔法をかける。この魔法は名前通り対象者や対象物の時間を遡らせる時の魔法だ。竜は光に包まれ元の姿、女の姿へと戻っていった。もちろんその身体には傷一つない。俺はさらに<睡眠>の魔法をかけて女を強制的に眠らせた。

「さてと次はシャルビィとアレの回収か」

女から離れて今まで放置していたシャルビィの方へと向かう。



 「まさか…竜神クラスに勝ってしまうとはな…。さすがは神の希望様だな」

カラカラと笑いながら何故か皮肉を飛ばしてくるシャルビィ。あまりに壮大な出来事に最早笑うしかないのだろう。

「いやぁ、あんなに力出したのは初めてだわ。ナイスファンタジーだよな!」

「あれほどの力をほいほい出されたらこの世界が保たんわ」

<神域>のおかげで元気一杯なシャルビィ。

「んじゃ、シャルは先に竜の所に行ってて。あっちで竜が寝てるから」

俺は女のいる方向を指差してからそれとは反対方向に歩み始める。

「お、おい!お前はどこに行くんだ」

「いや、ちょっとした雑用が残っててね」



 そう言って俺は女のいるのとは逆の方へと進んでいく。どうやらシャルビィは諦めて女の方へと向かったようだ。

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