ゴキブリン
「という訳でゴキブリンの討伐に来たんだけど……」
ガルトの街から少し外れた林のような所に俺は来ていた。
そして今、目の前に広がる光景は悪夢だった。ゴキブリンとはあの地球にいる黒の悪魔を巨大化させて油まみれにさせたような魔物だったのだ。
ゴキブリンの全身がぬめぬめしていて寒気が止まらない。しかも10体討伐だったのに明らかに20体はいる。というかそもそも20体じゃなくて20匹だろ!と内心ツッコミをいれる。
ちなみにこの場にシャルビィはいない。最初はついて来るつもりだったらしいが俺がゴキブリンのクエストを取った瞬間、顔を引きつらせて「今日はあの日だったわ…うふふ」
という最低な言い訳と共に去っていった。俺たちに芽生えた友情はいったいどこへいったんだ、シャルビィよ。
「や、やるしかねぇか。そうだ、虫なんか怖くない!…はずた…」
俺は左腕を前へ差し出す。もちろん<魔>を纏った状態で。
「<シュレーディンガーの猫>!!」
そう叫んだ瞬間、ゴキブリンたちの周りを囲むように結界が出現する。その瞬間、結界の中が大量の煙で覆い隠される。
そして派手な音を立て、結界が割れる。20体中11体が死んでいた。
これは結界の中にいる生物を約50%の確率で必ず殺す魔法である。
ゴキブリンたちは仲間が殺された事に怒りを感じたのか、カサカサカサカサという最悪の音を発しながら突っ込んで来た。俺はそれを難なく回避し、空中に座標を固定させる。これはただの<固定>の魔法で足場の空気を固定しただけだ。
「<楽園の炎>!」
すると白い炎が出現する。熱さが存在していないこの白炎は存在を焼き尽くす。この魔法で焼かれると後片もなく消えてしまう。
みるみる内にゴキブリンたちが存在を焼き尽くされ消えていく。熱さを感じないのでゴキブリンたちは何も感じることのないままただ消滅していくのだろう。それほど時間も掛からずに焼き尽くせた。おかげで呆気なく20体の討伐が終わった。
これからギルドに戻らなければいけない。討伐証明は先に殺した11体の方から剥ぎ取っておく。この作業は地獄だった。なんせ巨大ぬめぬめゴキブリたちの死骸を触るのだ。途中で何回も吐きそうになった。ちなみにゴキブリンたちから討伐証明の素材を狩り取るためにわざわざ傷跡を残さない<シュレーディンガーの猫>を使ったのだ。魔法には使い所というのがある。そしてそれを見極められる者こそ真の一流魔術師といえるだろう。
そして剥ぎ取ったゴキブリンの素材を鞄にしまい最悪のテンションで帰路についた。
途中、帰り際に怪しい馬車を見つけたので俺はそいつを追跡することにした。




