ギルドの泉
街について真っ先に向かったのは当然ギルドである。ギルドに着くまでの間やけに街の人々から注視された。俺の黒眼黒髪は珍しいらしいから仕方がないかもしれないが、その中は何故な蔑むような視線も混じっていた。
ギルドの扉をくぐるとすぐに「いらっしゃいませ~」という女性職員の声が聞こえた。
「討伐クエスト達成だ。これが証明書だ」
そう言ってシャルビィは先ほど門で二人組を手渡した時に貰った証明書を受け付け嬢に渡していた。
「はい~、お疲れ様でした~、シャルビィさん」
のほほんとした感じの受け付け嬢が証明書に判子を押す。
「そちらの方は~?」
「こいつはギルド登録したいらしい」
何故か俺が答えるよりも先にシャルビィが答えた。
「そうですか~、なら私がギルドの泉に案内しましょうかぁ~?」
「いや私が案内する。説明も私がしておこう」
「そうですか~、ではよろしくお願いします~」
受け付け嬢がゆっくりとした動作で頭を下げる。すると服からはみ出んばかりのパイが…
ドスっ!
「いたぁっ!」
わき腹に一撃をくらった。
「慎みを持てバカ者。ほら行くぞ」
俺はシャルビィに首根っこを掴まれズルズルと連れていかれる。受け付けは最後までのほほんと微笑んでいた。
そして引きずられること数十メートル。目の前には室内だと言うのに噴水があった。
「ここがギルドの泉だ。この泉にカードを入れれば自然に報酬や二つ名が手に入る。登録する時もカードを入れればギルド情報がカードに書き込まれる。ただし犯罪者や不正をした者はいくら泉にカードを入れても反応しない」
「なるほど。んじゃやってみるか」
俺はカードを出現させる。あれ?どうやって泉にカードを入れるの?これ実体がない情報体じゃん。
「言い忘れたが出す時に泉の中に出現するようにイメージしろ」
先に言えよ。俺はカードをしまい再び泉の中に出現させるようイメージして開いた。
「うむ。上手くいったようだな」
そう言ってシャルビィも泉にカードを入れる。先ほどの討伐の報酬を貰うのだろう。
しばらくしてカードが光ったので泉から取り出した。どうやら光ったら終わりの合図ということらしい。
「登録できたか?」
「ああ…」
俺は自分のギルドカードを見て頬をひきつらせていた。
「なぁ称号って何だ?」
「称号というのは生まれながらにしての役割というかこの世界での使命みたいなものだ。これはある人とない人がいて大体の人はない。ある人はその称号を変更することも消すことも出来ない。逆に二つ名の方は周りからの認識だ。これは誰でも手に入れられるし付け替えも可能だ。だが例えば周りの奴から逃げ腰のやつだと認識されたり噂になったりすると二つ名が逃げ腰な男とかになったりするから気をつけた方がいいぞ」
「なるほど…」
俺はふむふむと頷く。
「なぁ、良かったら俺とFリスト交換しないか?」
その提案にシャルビィは僅かばかり眉を歪め覇気のない声で「少し考えさせてくれ…」と言った。
結局その日はそれでお開きになった。




