2日目
次の日はハネネに起こされた。
「起きて下さい、シローさん。お昼ご飯ですよ」
「…う~、あと5分…」
「もう~、何言ってるんですか!起きて下さいよぉ」
「…う~、あとご飯…」
「そうですよ、ご飯ですよ~。だから起きて下さ~い」
ハネネが必死に俺を起こそうとしているので仕方なく起きる事にする。ムクッと起き上がり半眼でハネネに挨拶をする。
「…おはよーさんはねねー」
「はい、おはようございます。何だかすごく眠そうですね」
クスリと笑ってハネネは立ち上がる。ご飯を食べるのだろう。俺も立ち上がりハネネに続く。
そうして食卓につくが、そこにはミリナがいなかった。
「あれ?ミリナは?」
その質問に親父さんとハネネが一瞬、表情を曇らせる。まずい事を聞いたかもと思い、特に追及はしなかったが不意にハネネが口を開いた。
「最近、お姉ちゃん身体が良くないらしいの。昔から病弱ではあったんだけど普段はとっても元気でただ少し人より病気にかかりやすいってだけだったのに…。身体も随分痩せちゃって…」
その話に親父さんは悔しそうに顔を歪めて下を向いている。ハネネの声にも明るさはなかった。
「それでハネネは昨日、あんな所まで薬草を探しにいったのか?」
「いえ。薬草自体はよく森の方へ取りに行ってたんですが、最近村長さんが森の方から雄叫びが聞こえるって言っていたので…。まぁ原因はあのジャイアントワームだったと思うのでもう安心ですが…」
そう言っているハネネの表情は暗いままだ。
何か急速に暗くなっちまったな…。ご飯とか食べてる空気じゃなくなってるし。ちなみにメニューはパンと野菜スープだ。
重い空気の中、黙々と食事をしていると今度は父親が口を開いた。
「本当は薬草もしっかりしたのを買いたいんですが、何分農民は稼ぎが悪くて…。しかも最近無理し過ぎたのか村人にも風邪にかかるものが多くていけません。父親として情けない限りです…」
……さらに雰囲気が重くなった。
「そんな事ないよパパ。パパが頑張ってるのは知ってるし、私もパパやお姉ちゃんを守りたくてやってる事だから」ハネネがそう言った事で暗く雰囲気から少し暖かいものへと変わった。
そうして食事が終わり、ふと窓の外を見ると辺りはすでに真っ暗だった。あれ?俺、さっき起きたばかりなんだが…。
……どうやら少し寝過ぎたようだ。
そして俺はしっかりと反省して再び布団へともぐった。