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高橋花音のこれから  作者: オツタロ


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2/6

第2話 ストーカー被害

高橋は会議室を出て席に戻る。


いつも通りに業務をこなしていたとき社内チャットの個人チャットが飛んできた。


相手は隣の島にいる新入社員の源さんだ。


彼女は前課長に手籠めにされそうになっていたところを高橋と佐伯によって助けられた。


課長によって書庫で暴行を受けそうになっていたところを機転を利かせた彼女が現れて助けられた。


それ以来彼女とはよく昼ごはんを一緒に食べるようになっている。


今日の昼ごはんの時に相談したいことがあります。


そんなチャットが届いていた。



昼休み、彼女とタバコ臭い喫茶店で落ち合う。


会社から離れておりタバコ臭くメニューも少なく、現金払いのみという喫茶店。


会社の人と会うことはまずない店だ。


「それで相談って何。」


2人ともサンドイッチを頼みコーヒーを啜る。


「最近ストーカー被害にあっているようで・・・」


「また・・・なの・・・?」


彼女は申し訳なさそうに頷いた。


課長との件も最初は会社帰りに誰かに後をつけられているという相談からだった。


私よりも先に同じチームの佐伯くん相談していた。


「でも前の課長はもうこの辺りにいないはずよ。なんでもあの後奥さんから離婚されて今は遠くの実家に

帰っているって。」


社内に流れている出所不明の噂である。


とは言っても暴行罪で警察に逮捕されたのだから離婚されていても不思議ではない。


会社もクビになっているので時間をかけてここまで来ることも考えづらい。


源さんを狙っていたのも仕事と家庭のストレスを簡単に解消したくて身近にいた彼女を狙っていたにすぎない。


今さら彼女を狙うとは考えづらい。


「別の人ってことよね。心当たりはあるのよね?」


前回の事件でまだ解決していないことがある。


それは前課長には協力者がいたことだ。


1人はクビになった管理チームの派遣社員藤田さん。


だが協力者は彼女だけではない。


以前それとなく聞いたが教えてはくれなった。


「おそらくストーカーは為末さんと田中さんのどちらかだと思います。」


今回はすんなりと教えてくれた。


為末さんとは管理チームのベテラン3人衆と言われている女子社員の1人。


派遣の藤田さんはクビになったので正しくは2人衆というべきだろうか。


前課長の時は課長の威を借りて佐伯や鈴木に仕事を押し付けていたように見えていた。


源さんへのあたりもきついように感じていたが課長とグルだったとは。


同じ女としてドン引きである。


田中さんの方は情報チームに所属する男性社員だ。年齢は35歳くらいだろうか。


ほとんど絡みはないが影が薄いので気にしたこともなかった。


彼もグルというのは意外だが前課長との接点が見えない。


「私が一緒に帰ろうか。いつも定時で帰っているから大丈夫でしょう。」


「ありがとうございます。」


解決策として彼女との一緒に帰ることになった。




翌日定時で終わった後に源と高橋は一緒に会社を出た。


「結局は暗くなる前に帰ればいいわけよ。


それにあなたに恋人ができれば確率を下げることもできるかも。


恋人ができたことに逆上する可能性もゼロではないけれど。」


「うーむ、彼氏が犯罪に巻き込まれてしまうってのは嫌ですね。


どちらかと言えば今の問題が解決したら彼氏を作りたいかなと思います。」


「気になる人がいるの?」


「高橋先輩の上司さんとか・・・?」


そう言われて高橋は思わずたじろいでしまう。


「どうなんですか。上司さんって恋人とかいるとか知っていますか?」


「・・・どうなんだろう。最近はそんな話していないからわかんないな。」


今日久々に仕事以外の会話をしたという気分である。


「前はそういう話はしていたってことですよね。気になります。」


「私からは答えづらいかな。そう言うのは本人に直接聞いた方がいいよ。」


えーっと言ってはしゃぐ姿が高校を卒業して1年経っていないというのを感じさせる。


工藤君とは同い年だから源さんが付き合ったら18歳と31歳の歳の差である。


恋愛に歳の差は関係ないという人もいるが自分は気になってしまう。


工藤君の好みの子はどんな子だっただろうか。昔話した気がするが思い出せなかった。


そんなことを考えていると駅に着き、源は改札を通る。

その姿を改札の外で見送り彼女は来た道を戻り家路についた。




工藤は珍しくオフィスで残業をしていた。


部下の花音の退職を止めたいがそれは無理だろう。


無理ならば新しい人を採用するか派遣社員を手配するかしなければならない。


正社員の採用ならば管理チームの許可がいるし求人票の作成などの業務が発生する。


派遣社員ならば付き合いのある派遣会社があるのでそのあたりの手間は削減できるだろう。


限られた期限を考えると派遣社員を手配することになりそうなのでその資料をせっせと作っていた。


そして彼女が会社を去る前に自分の気持ちを伝えなければならないと思っていた。


彼女とは同期で入社した。


当時は30人いた同期も今では彼と彼女だけになっている。


辞めていった彼ら彼女らも最初のうちは連絡を取り合っていたが半年も経つと連絡は途絶えがちになり1年もすると連絡はなくなってしまった。


気心の知れた2人だけが残っている。


花音が変わってしまう前は告白を計画していた。


2人で遊びに行った帰りにさりげなく伝える。


その覚悟を決めて日程を考えている時にあの事件が起きた。


当時は設計部にいたので事故を知って高橋の様子を見に行った時にはすでに彼女は会社を、周りの人間を憎んでいた。


俺自身も犯人候補として捉えられており今までしていたフランクな会話も一切なくなってしまった。


しばらくしたら落ち着くだろうと思っていたらずるずると5年も歳月が経ってしまった。


彼女と会話するだけでも周りの気を惹いてしまうようになったので余計に近づけなくなった。


そんな時に経理チームの課長への出世の話がやってきた。


正直現場系部署からの事務系部署への構造改革を狙っての話なので気乗りはしなかったがこれを逃すと彼女との接点が全くなくなってしまう恐れから異動&出世を受けいれた。


経理チームの課長になったはいいが彼女との仲はまったく進展しなかった。


10月下旬から彼女が佐伯君という管理チームの男性社員と会話していると社内で噂になっていた。


その場面は目撃したことはないがあの花音が”普通”に話していると目撃者たちは口にしている。


そのうちに2人は付き合っているんだと言う者まで現れた。


佐伯君は25歳、花音は31歳。ありえなくはない。


彼女は姉御肌なところがあるので年下の方が合っているようにも感じる。


昔の仲が良かったころに恋人にするならどんな子がいいかという話を同期でしたことがあった。


みんな酒に酔っていて叶いそうもない理想像を口にしていた。


その時彼女は年齢にはこだわらないとはっきりと言った。


犬系がいいとも言っていたのを覚えている。


犬系・・・将来は犬を飼いたいということだろうか。


猫と犬、それ以外にもペットの選択肢は多い。


あえて犬と言っていたから動物好きなのだと思って同期連中と出かけている時、ペットショップの前で「犬でも見ていく?」と言ったことがあったが彼女は首を傾げて「?」という状態だった。


自宅に帰った後”犬系 彼氏”と検索してその意味を知ったのは我ながら黒歴史になっている。


今も彼女の好みは犬系なのだろうか。それなら俺はその対象に入っているだろうか。


彼女の雰囲気が昔のように戻ったというのに佐伯君との交際話は出てくるわ、彼女は退職したいと言い出すわで日中は仕事が手に着かなかった。


独り残業しているほうが気分が落ち着いて仕事がはかどっていた。



翌日の昼休み。


工藤は佐伯君と鈴木君が一緒に昼休憩をとるタイミングを見計らい自分もその時間に休憩をとることにした。


彼らの後ろつけて不自然にならないように徐々に距離を詰める。


追い越すふりをして佐伯君に話しかける。


「今から昼休憩かな。一緒に食べようか。」


2人は驚いてその場で足を止めてしまう。


普段の仕事の絡みはほとんどない。


課長が同じ部とはいえ一般社員に声をかけるというのはかけられる側からすると緊張するようだ。


2人はお互いに顔を見合わせてどうする?と小声で会話している。


おそらく領収書関係で指摘事項が見つかったのかもしれないと思っているらしい。


「同じ部なんだからさ一緒に食事でもどうかと思ってね。


新しい課長さんはどんな感じ。優しいかい?そういう話を聞きたくてね。」


嘘八百である。


新しい課長に興味などないし高橋のことを聞きたい。


いきなり本題に入っては警戒される恐れがあるのであえて遠回りをすることにした。


2人は「ご一緒お願いします。」と返事をくれたので一緒に社員食堂に向かうことになった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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